酒缶さん
ゲームコレクターの酒缶が、大好きなゲームを世の中に紹介するために、ゲームを作っている人、ゲームを集めている人、何かしらゲームに関わって生活している人に、ゲームの話を訊きにいくブログです。
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【酒缶のゲーム通信】



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【星野光弘氏】4.見よう見まねでやってます

 今回のゲスト:星野光弘氏 
ランカース代表取締役。制作に関わったタイトルは『BUBBLE BOBBLE DOUBLE』(iPhone)、『ワイズマンズワールド』、『ジュエルペット』シリーズなど多数

 

星野 ゲームショップではいろんなことがあって、そのお店を辞めることになったので、「さあ、次はどうしよう」と、フロムAを毎日見ていました。ゲームショップを辞めた後は、毎日ヒマで、親の視線も痛いわけですよね。だから、ファーストフード店に行って、コーヒーを何回もおかわりできるところでコーヒーを飲みながら、一日中フロムAを眺めていると。それを何ヵ月か繰り返して、ある時パンドラボックス(※1)がスタッフを募集していたんです。名前は当然知っていたし、場所も近かったので。

(※1) パンドラボックス 主に1990年代にバンダイ系のタイトルを中心に活躍していた開発会社。

酒缶 ちょうど、パンドラボックスがパブリッシングを始めた時期ですよね。

星野 パンドラマックス(※2)をやっていた時期ですね。実はパンドラマックスシリーズの最後の時だったんです。

(※2) パンドラマックス パンドラボックスがプレイステーション向けに発売したゲームのシリーズ。正式名称はパンドラMAXシリーズ。ゲームアーカイブスの発売元はシャノン。

 

酒缶 『ごちゃちる』(※3)とか?

(※3) 『ごちゃちる』 2000年にパンドラボックスがプレイステーション向けに発売したアドベンチャーゲーム。ゲームアーカイブス http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0610npjj00300_000000000000000001.html

星野 『ごちゃちる』のあと、『ONI零』(※4)っていうやつですね。

(※4) 『ONI零』 正式名称は『ONI零?復活?』。2001年にパンドラボックスがプレイステーション向けに発売したRPG。ゲームアーカイブス http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0610npjj00302_000000000000000001.html

酒缶 『ONI零』は何かしら関わっているんですか?

星野 開発末期に入ったので僕はもうデバッグと調整、意見を言ったり、そういった感じでしたね。一応、フロムAを見ていた時に時間があったので、インターネットでゲームの作り方を一生懸命覚えて、ダンジョンRPGを作ったんです。ダンジョンRPGというところに何か運命を感じますけど……。それを提出したら採用になって、プログラマーとしてパンドラボックスに入ったんですよ。

酒缶 プログラムの勉強をしたけど、最初はデバッグの仕事だったんですね。

星野 はい。で、次のプロジェクトは僕がプログラマーとして何かやるのかと思ったら、次のプロジェクトがないんですよ。いきなり解散になっちゃうんですね。

酒缶 それが、『リストラの朝』(※5)ですか?

(※5) 『リストラの朝』 パンドラMAXシリーズとして発表されていたが、発売されなかったタイトル。

星野 (笑)。僕、実際に『リストラの朝』の企画も考えていましたよ。

酒缶 それ、もしかして、体験をしてゲームに還元しようという……。

星野 (笑)結構、生々しいですね。ちなみに『ONI』(※6)というゲームをやったことがなかったんですよ。パンドラボックスって言ったら、僕の中では『ブライ』(※7)と『ラストハルマゲドン』(※8)なんですね。

(※6) 『ONI』 バンプレスト(現バンダイナムコゲームス)がゲームボーイを中心に発売していたRPG。ゲームボーイで5作、スーパーファミコンで2作発売されている。
(※7) 『ブライ』 1989年にリバーヒルソフトがパソコン向けに発売したRPG。ゲームデザインは飯島健男氏。
(※8) 『ラストハルマゲドン』 1988年にブレイングレイがパソコン向けに発売したRPG。ブレイングレイは当時、飯島健男氏が所属していた会社。

酒缶 違いますよ。それはパンドラの実績じゃなく、飯島さん(※9)だけですよ。

(※9) 飯島さん 株式会社シャノンの飯島多紀哉氏のこと。以前は飯島健男名義で活躍していた。

 

 

星野 そうそう(笑)。それで入って、飯島さんに、PCエンジン版の『ブライ』を持っていって、サインを貰いましたね。それでも嬉しかった。運がいいことに、一応、ゲーム会社を体験できたので、それがきっかけで、ある人から「こっちのゲーム会社に来ない?」とお声が掛かったんですよ。

酒缶 なるほど。

星野 でも、プログラマーとしての経験がないため、即戦力になれないんです。そしたら「じゃ、お前は企画で来い」って言われて、ネクサスインターラクト(※10)に行きました。そこで僕は高校野球のゲームを企画でやっていたのですが、あんまり詳しくないんですよ、高校野球は(笑)。それから毎日、高校野球の試合をビデオで見たり、本を読んだり勉強しましたね。

(※10) ネクサスインターラクト プレイステーションの『レイクマスターズ』や『目指せ!名門野球部』を制作した開発会社。

酒缶 で、その流れで、パンドラからネクサスに企画で入って。

星野 関わっているプロジェクトが終わったら、その会社の人たちが会社を作ると言い出して、「お前は、じゃ今度はプログラマーとして来い。なりたいんだろ?」というわけですよ。「でも、僕、わかんないですよ。プログラムなんて」と言いながら、入ったんですね。当然、わかんないんですけど。見よう見まねでやって。

酒缶 その会社は?

星野 彩ワークスというところです。どちらかというとデザイン会社で、今でもデザインは強いと思うんですけど、そこにプログラマとして入り、ディレクション等もやっていました。

酒缶 最初、「お前、企画やれ!」、「お前、プログラムやれ!」、みたいに使われていたのが、いつの間にかディレクションの立場に?

星野 そうなんです。ようは、「お前、ディレクションもやれ!」って。「じゃ、やります」って。

酒缶 すごいですね。

星野 見よう見まねの連続ですよ。でも、何とか形にはして。初ディレクションをやって、色々と現場がわかるんですね。自分の指示不足とか、空気を読まないような厳しい発言をしちゃったりとか。いろいろと勉強になりました。で、「次に何かやろうか」といっても、なかなかタイトルが続かなかったんです。その時に、僕に声を掛けてくれた人がいて、「会社作んない?」って言われてこの会社を作ったんです。

酒缶 この会社にはショップ時代の同僚がいるんですよね。

星野 いますよ。みんなだからゲームに詳しいし、濃いですよね。当然、秋葉原出身なんで。

酒缶 皆さんは……仲間の方は開発の仕事を?

星野 一切してないですよ。うちで初めてやって、みんな見よう見まねでやってます。

酒缶 できるんですね。

星野 できるもんですね。愛があれば。

 

 

酒缶 それってまさに、この辺で星野さんが経験しているそれを今度は社内でやっちゃったわけでしょ。

星野 はい。で、このときに、ここから独立する間に、彩ワークスさんの許可を得て、専門学校の講師をやったんです。教えることができないのに、なぜか講師をやるんですね。

酒缶 意味がわからないんですけど。

星野 先生って、何を質問されても全部答えなければならないので、学生よりも10倍は詳しくないといけないと思うんです。そのため、一生懸命勉強をしなきゃいけないんです。それで毎日毎日、授業のことを考えたり、カリキュラムを考えたり、テストを作ったりとかやっているうちに、プログラムを覚えていって(笑)。そうやって自分を追い込んだんです。本当なんですよ。そこで教えた学生たちは今うちにいたり、他社で結構メジャーなタイトルを作っていたりしますね。

酒缶 すごい。でも、元々、星野さん、すごい能力があると言うか……。

星野 いや、恐いもの知らずのゲームバカですよね。

酒缶 御社の会社方針をサイトで見たら、心構えというのがあったんですけど、「第1に「ゲーム性の追求」と「職人芸」を基本とし、常に創造性豊かな作品を生み出すこと」。この「ゲーム性の追求」と「職人芸」とは、こだわりのことですか?

星野 そうですね。やっぱり、限られた時間、限られた予算ではあるんですけど、変なものは出したくないので、詰め込んで、妥協をしないというところでやっています。

酒缶 で、もう1個「第2に僕らが子供のころに夢中だったあの気持を、今度は僕らがより多くの人へ提供できるよう心がけること」というのは?

星野 これの一番大きな背景として、自分が好きだったようなゲームを提供したいんです。アクションやRPG、それと今下火になっているシューティングですね。

酒缶 この「子どものころ夢中だった」というのと、飯島さんは繋がるんですか?

星野 飯島さん……繋がらないですね。

酒缶 繋がらないんですか?(笑)サインを貰いに行ったじゃないですか?

星野 ミーハーだったんです。僕はタイトルとそれに関わった開発者っていうのが好きなんです。それをセットで考えるので、やっぱり会えたら嬉しいじゃないですか?

酒缶 なるほど。そういうことですね(笑)。

星野 そりゃ、嬉しいですよ。

酒缶 でも、そのミーハーなところと「子どもの頃に夢中になったこと」とは繋がらないんですね。

星野 あのゲームは夢中になりづらいですよ(笑)。

次回の更新は、10月11日(火)の予定です。

2011年10月7日 17:17