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大河原克行

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーラ ンスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、20年以上にわたって、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、 ビジネス 誌、パソコン誌、Web媒体などで活躍。PCWatchの「大河原克行のパソコン業界東奔西走」、日経パソコン PCオンラインの「マイクロ ソフト・ウォッチング」、日経トレンディネットの「大河原克行のデジタル業界事情」などを連載。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド 戦略」(アスキー新書)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)などがある。

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Windows VS Android(ウィンドウズ VS アンドロイド)第2回(全4回)

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コンシューマ市場の軸となるアップル

 

 今回のWindows VS Androidというタイトルからは外れるが、いま、スマートフォン、スレートPCの領域で最も勢いがあるのがアップルである。
 前回の記事でも触れたように、2011年1~3月において、アップルは過去最高の業績を達成している。

 とくにiPhoneの販売台数は同四半期だけで1865万台を出荷。前年同期の875万台と比べても113%増という高い伸びを記録した。MM総研によると、2010年の国内スマートフォンの出荷実績が855万台。2011年度の国内スマートフォンの総需要が1820万台と予測していることに比べても、アップルは日本における年間総出荷台数を、四半期だけで出荷している計算になる。


 また、iPadの販売台数は469万台に達しており、2010年10~12月の733万台、同7~9月の419万台、同4~6月の327万台を足すと、この1年間で2000万台近い規模の出荷を達成していることになる。日本で年間に出荷されるPCが1456万5000台(2010年度実績、MM総研調べ)であったことと比較しても、それを遙かに上回る規模になる。日本のPC市場は、iPadの年間出荷台数の約4分の3でしかないという計算になるのだ。
 アップルの強みは、ひとつの製品の寿命が長いこと、そして、ハードウェアとソフトウェアをひとつのメーカーで開発していることで、高い機能水準でバランスが取れていることにある。
 さらに、App Storeを通じて利用できる無料および有料アプリケーションの数が圧倒的であり、これもiPhone、iPadの人気を支えている。

 

 

年間2000万台規模の出荷実績を誇るアップルのiPad。

iPad 2は日本でも4月28日から発売され高い人気を誇っている

 実は、スマートフォン市場におけるiPhoneの月間シェアは減少傾向にある。日本においても、NTTドコモやauなどから続々とAndroid搭載製品が登場しており、iPhoneは毎月のように登場するAndroid搭載スマートフォン新製品に押されているのが現状だ。しかし、長期的な視点で見てみると、年間1回しか新製品が発売されないiPhoneの年間販売シェアは圧倒的で、入れ替わり立ち替わり新製品が発表されるAndroid搭載スマートフォンは、まさに「人海戦術」によってシェアを高めているにすぎない。次々と登場するAndroid新製品に、約1年間の製品寿命を持つiPhoneが毎月のように立ちはだかるという構図である。
 そして、見逃せないのが、iPhoneの購入後満足度の高さだ。
 インターネット調査のマクロミルが発表したスマートフォンに関する調査では、Androidの所有者の満足度が64.2%に対して、iPhoneは80.4%と高い満足度を示している。また、アプリケーションのダウンロード本数は、Androidの場合は無料アプリケーションが平均18.0本、有料アプリケーションがわずかに平均1.2本であるのに対して、iPhoneでは無料アプリケーションで平均38.8本、有料アプリケーションでも平均8.5本と、圧倒的に多いのだ。

 しかし、Android搭載スマートフォンには広い選択肢があり、それがトータルでのシェアを引き上げているという事実は揺るぎないものだ。それはAndroidならではのオープン性の強みだといっていい。
 だが、オープンであることは、反面、Androidの弱みを生むことにもつながっている。

 

 アップルのiPhoneはスマートフォン市場をリードする製品。

高い顧客満足度と1年間という長い寿命も特徴。


 例えば、Androidはオープンであるが故、市場には異なるバージョンが林立しており、それぞれに機能が異なるという点だ。また、製造メーカーごとに実現される機能が微妙に異なり、同じバージョンであっても、メーカーによって機能に差が出ている。また、新たなバージョンへのアップデートパスが、各製品ごとに異なり、場合によっては次のバージョンへのパスが用意されない場合もある。これがユーザーの混乱を招くベースにもなっている。
 さらにソフトウェアを開発するメーカーにとっての課題も生む。Androidでは端末ごとに異なるディスプレイサイズやCPU、タッチパネルのセンサー精度などに応じた開発が余儀なくされるからだ。多くのデバイスでソフトウェアを稼働させるという点は、開発メーカーにとってかなりの弊害になっているという声が聞かれる。
 これに対して、アップルのiPhoneは、初期のiPhone 3Gであっても、最新版であるiOS 4.3へのアップデートが可能になる。これは、ひとつのメーカーで、ハードも、OSも開発するというアップルならではのものだといえる。
 だが、当然のことながら、iOS 4.3は、最新のiPhone 4での利用を想定して開発されたものであり、ハードウェアスペックの観点からも、iPhone 3Gでは動作が極端に遅くなることを覚悟しなくてはならないのは明らかだが、同一のディスプレイサイズや、限定されたスペックを対象にソフトウェアを開発できるという点では開発メーカーにとって、大きなメリットがある。
 Androidの特徴はオープンということではあるが、その一方で、オープンであることがアキレス腱にもなりかねない。

 

 

 

 

 

2011年7月19日 11:49