エプソンvsキヤノン 第6回
エプソンvsキヤノン
第6回 競合激しいプリンタメーカーが呉越同舟で取り組む共同プロジェクトとは
激しい競合関係にあるプリンタメーカーだが、呉越同舟ともいえる協力関係を築いているプロジェクトがある。
それが「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」である。

セイコーエプソン、キヤノン、ブラザー、日本ヒューレット・パッカード、レックスマークインターナショナル、デルのプリンタメーカー6社が共同で展開しているこのプロジェクトは、家庭用インクジェットプリンタの使用済みインクカートリッジを回収するというものだ。
2008年4月8日に回収をスタート。2011年12月に累計回収本数が500万個に達した。
インクカートリッジ里帰りプロジェクトでは、日本郵政グループと連携し、全国3639拠点の郵便局に専用回収ボックスを設置。さらに、全国125自治体と連携し、庁舎、図書館など1719カ所の公共施設にも専用回収ボックスを設置している。

使用済みのインクカートリッジをこの回収ボックスに入れ、ボックスが一杯になると、ゆうパックを利用して、長野県諏訪市のエプソンミズベ(セイコーエプソンの100%子会社)に送られ、ここでメーカーごとにカートリッジが仕分けされる。仕分けされたのちに、プリンタメーカー各社のリサイクル拠点に再度送られ、各社ごとにリサイクルが行われるという仕組みだ。
そして、このプロジェクトに関しては、公平な負担費用ルールの構築と、相互に情報公開を徹底することを基本としている。
競合他社には絶対に公開しないエプソンミズベの施設も、参加企業に対しては作業内容をすべて公開し、メーカー別のカートリッジ回収数も、仕分けを行うエプソンだけが知ることができるという不公平感をなくし、すべての参加会社に情報を公開している。
年末商戦でみせるような、激しい競合関係とは、まさに180度異なる共同戦線となる。
プリンタメーカー各社にとって、使用済みインクカートリッジの回収は共通の課題だった。
国内では、年間2億個のインクカートリッジが使用されているものの、様々な回収ルートを活用しても、回収量は全体の1割程度に留まっていた。製造者の責任としても、インクカートリッジの回収は課題となっており、その点ではまさに協力関係を構築することがプラスに働くことになる。
「使用済みインクカートリッジは、捨てればゴミ、回収すれば資源」となるだけに、業界が一丸となった回収・リサイクルの促進、廃棄物減量や資源循環型社会形成への貢献という観点からも、共同戦線を敷くことになったのだ。
この6社の共同プロジェクトは自治体の協力を得る点でも意味がある。この6社をあわせた国内におけるプリンタのシェアは99.9%。1社だけの取り組みでは自治体も難色を示すが、業界全体をあげた取り組みであれば、むしろ歓迎したいということになる。
こうした回収活動が4年目に入り、いよいよ累計500万個の回収規模にまで到達したという。500万個の回収量は、約202トンのCO2排出量削減に貢献。これは杉の木に換算して約1万4000本分のCO2吸収量に相当するという。
そして、この取り組みは、2011年12月から、シンガポールにも波及。ブラザー、キヤノン、デル、レックスマークインターナショナル、セイコーエプソンの5社が共同で「Project Homecoming」と呼ぶ使用済みインクカートリッジおよび使用済みトナーカートリッジの回収プロジェクトを開始した。今後はアジア地域を対象に広がりをみせることになりそうだ。
インクカートリッジ里帰りプロジェクトでは、2012年度においては、全国6000カ所以上に回収ボックスを設置する方針であるほか、年間の回収量を220万個に拡大する考えを示している。
2011年度の見込みは185万個。2桁の回収増加を見込む一方、年間2億個のインクカートリッジが出荷されている現状から逆算すると、いよいよ全出荷量の1%を突破する回収量に達することになる。
激しい競合関係の裏では、環境貢献、社会貢献において、しっかりと手を組んでいるのが、プリンタメーカーの関係なのである。
2012年1月20日 14:25
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