プロフィール
中村彰憲

立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)副会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。

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映画『ソウル・フラワー・トレイン』が、京都の立命館大学にて上映。


『コミックビーム』で連載された『ソウル・フラワー・トレイン』の映画が京都の立命館大学にて上映。

 

 



 京都・立命館大学充光館の地下シアター型教室で、11月7日、8月下旬から新宿 K's cinemaなどで上映され、話題となっていた、『ソウル・フラワー・トレイン』が上映された。本稿では、基本ゲームしか扱わないのだが、今回は原作が、エンターブレインの漫画雑誌コミックビームに掲載された同名マンガなのだ。

 さらに作品上映後は、監督の西尾孔志氏、プロデューサーの前田和紀氏や巴山将来氏といった映画製作陣に加え、原作のロビン西氏本人も登壇したとあれば、扱わないわけにはいかない! というわけで、本稿ではそのときの模様をお伝えする。
 
 『ソウル・フラワー・トレイン』は、九州の地方に住む高齢の父親が、大阪の大学に通う娘の「ユキ」を訪ねる1人旅の道中で、新世界や、通天閣など古きよき人情味あふれる浪速界隈をめぐりながら大阪の人たちと熱い友情を育みつつともに娘の成長を見届けるというストーリー。原作の雰囲気はそのままで、映画ならではの要素もしっかりと練りこまれ、原作ファンを納得させながら映画好きもクスリとさせられるオマージュも盛り込まれた快作となった。今回のチラシに織り込まれたコピーは「油断するのがいい。不意をつかれて、涙することになる」だったが、その言葉どおり、後半では、すすり泣く声が方々で聞こえてきた。

 上映会後のトークショーは、立命館大学映像学部の映画製作と漫画や出版産業を研究している学生たちによって構成されただけに、飛び出す質問はかなりディープ。100名以上の参加者も多いに盛り上がった。まず最初の質問は、「なぜ本作を映画化したのか?」。

 これに関し、まずは本作が、今回の製作団体であるAlewo企画第一作目作品ということで、Alewo企画設立の経緯が語られた。巴山氏はこれまで自主映画はほとんど見たことがなかったが、前田氏が企画しているMOVIELOVERSという映画祭に参加したところ、自主映画でも非常に面白く作品を取る監督が数多くいることに驚きを感じたという。

 巴山氏は、かねてから大手出版社より発売されているメジャーな作品だけでなく、面白い幻の名作が数多く存在するということを広く世の中に伝えたいという思いを持ち、そのようなトークイベントをプロデュースしてきた。また、このような優れた自主映画の人たちと協力して映画を作るのもその一つなのではと、映画祭参加を契機に考えるようになったという。

 この時期に西尾監督とも出会ったこともあり、幻の名作を映画化するという決意とともに観客から「あれを映画にするの?」と言われるような作品をつくることをビジョンにAlewo企画を設立したという。その打ち合わせを梅田の喫茶店でおこなった際、監督のほうからロビン西氏の原作をとの話があったという。そこで、巴山将来氏が『ソウル・フラワー・トレイン』を提案。さっそくその原作を読んだところ「うるっときた」と言い、そこで即決したという。一方、西尾監督は、どれだけ一地方都市のスタッフと役者でいい映画を撮っていてもそこからの広がりに限界を感じていたという。そのような中で、多くのマンガ家に愛されるイベンターであった巴山氏と知り合うことで、そういった音楽、映画が組むというのがインディーズを撮るのに、重要なのではという発想で話を持ちかけたところ意気投合したという。

 「巴山君と飲むとロビンさんの話が出てきたので、巴山さんからオファーしていただいた。当然『マインドゲーム』というプレッシャーがあるものの、ぜひ阿佐ヶ谷にやってきて、映画を撮らせてくださいとお願いした」。

 ロビン西氏は「いつでもOKはいうものの期待はしていない。止まるケースも考えられる。でも豆に脚本を見せていただき、じょじょに固まるものを見て、映画になると実感した。いまだにAlewoの映画公開の仕方は特殊だが、新宿での上映を見て面白いと感じています」。

原作でのやりとりの演出で気に入ったところ

 「原作のシーンももちろんあるが、最初は自分の書いたセリフはすっと見れずに、意識しちゃって何回かみるうちに、客観的に見れるように気に入っているのがクライマックスのシーンが気に入っている」。

 

 

 

あかねのストーリーについて

 新キャラクターはたしかに原作とはちがうものの、通天閣でのシーンが気に入ったとのこと。また、あかねを演じた真凜さんが素敵だと感じたとも。もともとマンガの内容だけだと足りないとは思っていたので、自分自身も映画化にあたってはたしたほうがいいと思っていたので他の人の人生があちこちに散りばめられているのが映画を豊かにしたと率直な感想を語った。何回も見るところがあると感じたという。

 この点について、前田さんは「80年代の薬師丸ひろ子や、原田知世時代の角川青春テーマをとってもらいたかった、もともと高校時代に見た角川映画が大好きだった」と当時の思いを述懐したうえで、「蘇る金狼のほうはハードボイルド路線とは別にアイドル路線があったがそれをやりたいという思いを以前から語っていた、当時、映画館にいないアイドルを存在し、会うためにはスクリーンにいかなければならないというのがあった。主題歌も絶対に必要ということで、少年ナイフに主題歌を書き下ろしてもらった。これをやりたいというのがあった」

西尾監督


 「パンフレットに原作を全部掲載するのだが、原作を知っている人によろこんでもらうために原作をあえてズラした形にした、たしかにあかねは原作に出ないキャラクターだが、出し方にかなり工夫はした。まず阿佐ヶ谷の居酒屋で原作を好きになってくださいとの話をえた、西尾監督のとったソウルフラワートレインが楽しみだと伝えていただいたことから、話を大胆に変えていこうと思いながら、原作の方に原作への愛情を感じてもらいたいということから、原作の話をベースにしながら、原作とはずれたパラレルワールドになるように考えた。前田さんは、一観客目線でシナリオがあがってくるのがすごく楽しいだった。最終的にはとてもいい本になったので特にこうしてああしてというのはなかった」。
 
 火山「原作マンガを好きに人にがっくりしてもらわないようにしつつ、映画好きな人にもマンガを好きになってもらいたいなという思いがあった。そのときに原作のある設定を女性につくりかえると聞いたときに正直楽しみだなと思ったでも原作でも大切なテイストというか、ロビンに氏テイストがあるのせそこを終われば失敗はしないだろうという思いでつくりあげた」という。


撮影で苦労したシーン
 「単純にものすごく時間がなくて、ほぼ何人かは、一日3時間寝たらよかったのではという形で、10日間をすごした。主役ですら、深夜にホテルにお送りして、朝6時に迎えにいくという状況だった。役者は待ち時間に仮眠をとることができるがスタッフは起きっぱなしだった。

 やはりラストシーンが苦労した。その世界観の雰囲気を示しながらその世界を露骨に示すことで観客の視点が振れてしまうようにするのではなく、親子の関係に観客に集中してもらうようはバランスを配慮した。その純粋に部分に集中しつつ、社会の現実の示されるような配慮が重要だった」。また、あかねのビー玉をのぞいているチラシが印象的「ソウルフラワートレイン」といったらこれが印象に残る。

 前田氏「監督としては、平田さんが看板を見上げるというシーンをスチールとして提供したが、配給担当の人の意見が強かった、フライアー案があったがチラシは手にとってもらうのが重要。そのぐらいキャッチーなものが必要で内容がたとえリンクしていなくても、上がビー玉で、下がトラックにしたもののチラシの裏面が、ユキが手をさしのべているものだったが、配給の意見として、ビー玉のほうが手にとりやすいということから決断した理由になっている」。

 ソウルフラワートレイン>これは、本作に関わるある隠語でもあるのだが、人生を運ぶという意味でソウルフラワートレインにしたとのこと。

 西尾「原作では、冒頭の新幹線しか出てこない中で、暗喩を実写化するという野暮なことをあえて、映画ではした、とのこと。ホームに到着するのが世界で最初の映像なので、動画、モーションピクチャーだから面白いわけでかなりクラシックな考え方をするのでカメラや人の動きなど動いているものに感情は心理、見ているひとの感情をすくってあげる
ことが出来ると思っているので画面に動きで活性化させたい。昔の映画で車に男と女の人が入ればそれで完成するというのもありますので、電車は動いて面白いし背景も動くのでいいな、あと人の人生を運ぶとういうのもあります」。

 

 

 

 本作は、プロにより製作されたものの、大手配給会社によるものではない文字通りの「インディー」作品。昨今、ゲーム業界においてもこれまで以上にインディーが注目されつつあることを考えるとここでの講演内容はこれらインディー系開発チームの人たちにとっても示唆するものがある。

2013年12月5日 11:06