プロフィール
中村彰憲

立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)副会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。

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福島GameJam2013:京都サテライトの挑戦

福島GameJam2013:京都サテライトの挑戦

 

 

 IGDA日本は、8月3日と4日に福島の南相馬及び郡山を中心に「福島GameJam2013」を開催した。このイベントは2011年から始まり、今年で3回目。当日は、福島以外にも東京、京都、南相場、郡山会場、台湾、チリ、コロンビアなど3カ国と1地域の国内外14会場で、約520名が参加者した大規模なゲーム開発イベントとなった。

 

 

 さらに、ここで開発されたゲームが、東京ゲームショウ2013並びに東京ゲームロケテストショーでの出展も決定したことを、本イベントの総合のプロデューサーを務めたIGDA日本副理事で株式会社サイバーズのCEOである中林寿氏が当日発表。会場を沸かせた。本稿では、その中でも京都サテライトの模様をお伝えする。

 「テーマ」はJUMP。ゲームとしてはお馴染みのテーマとも言えるが、2チームに別れた、京都サテライトの会場は、それぞれの視点からゲーム企画立案から開発に取り組んでいった。

 普段もゲーム開発に取り組んでいるヒロポンさんがリーダーを務める「チームヒロポン」は、プランナー2名、プログラマー2名、グラフィックデザイナー1名の5名体制。京都、大阪在住の人達で構成されている。一方、普段はソーシャルゲームの開発運営をおこなっているしばの氏がリーダーを務める「チームラビッツ」はプランナー2名、グラフィックデザイナー2名並びにプログラマー2名の6人体制。大阪、京都に加え、和歌山から馳せ参じたメンバーが2名という関西というよりは、むしろ西日本チームと言えるだろう。

 

 

多様なブレストで進める企画会議


 双方、ブレストから、企画の詰め、さらに開発という流れまでは同じだが、そのスタイルには若干の違いも。

 チームヒロポンは、ポストイットを多数貼り付けつつ、その中から気にったアイデアをいくつか選ぶという方法。チームラビッツは、JUMPを中心にマインドマップを皆と共有してふくまらせるという方式を採用。ただ、双方とも各メンバーが提示する様々なアイデアを付け合わせながらアイデアの洗練化を進めていた。

 結局、チームヒロポンシューティングがキャラクターのジャンプに影響を与えることを面白さの肝にすることで、合意し、タイトルも『ぴょんぴょん遺跡物語(仮)』に落ち着いた。

 これに対しチームラビッツは、ジャンプをつづけて月まで行くというコンセプトに到達。タイトル名もそのコンセプトを明確に示せる『ポップンスカイ:Pop'n Sky』となった。

 この企画立案工程について、「こういったプロジェクトでは、スケジュール管理が大切」とヒロポン氏。一方、「普段は、市場のニーズ調査や、プランナーの仕様書作成を先に進めていくんです」としばの氏。「今回は、時間が30時間と限られている事から、「難しいものや、こだわったものよりは、とにかく遊べるものが出来ればとの思いでやっている」と述べた。


プロジェクトで得たゲーム開発の心得


 程なくすると、事務局から、子供たちがデザインしたグラフィック、並びに音源がサーバーにアップされた。「音源とどきましたよ~」と皆に告知する川中紀陽子さん。Kyoto Indies Games Seminar の主宰で、京都サテライトの代表だ。福島ゲームジャムで開発するプロジェクトの条件として必須である、福島の小中学生によりつくられたグラフィック及びサウンドのいずれかから素材5つを活用するというルールがあるためだ。メディアファイルをオープンしつつ、どれを活用するか取捨選択を進めるチーム。10時から始まったこのイベントも企画を固めた時点ですでに15時30分をまわっていた。 

 チーム内でもプロと学生の間が絶妙なコンビネーションが重要。ディレクターと簡単な打ち合わせや方針を明確にしたところで、学生にタスクを振り分けている様子が双方のチームで見受けられた。プロのプロジェクトの詰め方、作業に対する理解、そしてその配分、これらを効率的おこなっていく様子は、学生にとっても非常に有益だろう。 

 また当日後半からはチームヒロポンに、さらに1名が参加。以降は、それぞれ6名体制でゲーム開発に取り組んだ。

 

 

 終了時には、チームヒロポンは、タイトル名を『ジャンプガン』と改めほぼ完成系を、チームラビッツはプロトタイプを無事アップロード。最後まで走り続けられたことに各チーム満足気だ。

 今回の経験について、チームラビッツでプログラミングを担当したにしさんは、「本気でやったらここまで出来るとは思わなかった。何かがあったら誰かが助けてくれる」とチームでのモノづくりについての思いを語る。一方、「普段ゲームを作っていない人とやれるのが新鮮。仕事でも活かせる」とリーダーのしばのさん。

 チームヒロポンに参加した、くるくるさんは、既にゲームジャムへの参加は今回も含め4回目。「プロのプランナーがリーダーとしてついたので次なにをするべきかすぐわかったのがよかった」とプロとともに開発経験が出来たことの意義について述べた。

 

 

 一方、「絵がつくとここまで映えるのか」と驚きを隠せなかったのが、携帯関連のシステムプログラム開発の業務に従事してきた久野さん。現在、転職し、時間も増えたのでかねてからの夢だったゲーム開発にチャレンジしたのだという。「はじめてゲーム開発に興味のある仲間同士でゲーム開発に挑んだが、仲間といっしょにやるとここまで出来るものなんだな」と改めて感心したと言う。チーム一丸となって取り組んだプロジェクトだが、関わった理由や、この経験を経て得た想いはまさに各者各様。だが、ここで学んだ事が自分たちのミライに活かせる事は確かなようだ。

 

 

 

 

2013年8月20日 18:38