●注目してほしい点
――じゃあ改めてですね、ここに注目してほしいという点をひとりひとり挙げていただきたいと思います。では、神山さんから。
神山 グラフィックに関しては、私たちが力を入れてスーパーファミコン版より数段きれいになっています。ぜひ、そちらに注目していただけたらと思いますね。
──なるほど。では、山上さん。
山上 任天堂を代表するレースゲームがもうひとつありますよね。
──ああ、『マリオカート』。
山上 『マリオカート』は、『F-ZERO』の対極の位置に存在すると思うんですよ。どちらかと言えばアイテムを使って相手とのかけひきを楽しむのが『マリオカート』ですよね。それに対して、『F-ZERO』はもう己に挑戦するゲームなんですよ。己の限界、もう命を削って0.01秒にかける(笑)。
一同 (笑)
山上 『F-ZERO』の純粋なタイムアタックの楽しさ。これを知って欲しいですね。テクニックを磨けば磨くほど、それに応えてタイムが上がっていくんです。プレイヤーのテクニックに最後までついてくるゲームなんてそうそうないですよ。ひとつ攻略するとほれこれはどうだって、つぎからつぎへとさらに上の新しいテクニックが用意されてるわけですから。まさしく「これがレースゲームだぞ!」って言いたいですね。
──エンディングを出したら「はい終わり、クリアーおめでとう」じゃないですからね。清水さんはいかがですか?
清水 たとえば、このゲームはサファリラリーを楽しめるゲームですとか、このゲームはF1の実際のサーキットを走れるゲームですとか、市販のクルマに乗ってこういうコースが走れるとか、それを体験させてくれるシミュレーションっぽいものもありだと思うんですね。でも、それに対してこれは『F-ZERO』ていううジャンルなんじゃないかなと。『F-ZERO』買ってくれた人には『F-ZERO』が体験できます。そういうノリですね、まさに(笑)。
――うんうん。
清水 だから、『F-ZERO』を買った人には『F-ZERO』を体験してもらいたい。ほかの何物でもない。『F-ZERO』を体験したい人に買ってもらいたいっていうのが率直な気持ちですね。
山上 最近のレースが全部シミュレーターになってしまってるんです。
──ええ。
山上 そうじゃなくて、ゲームっていうのはこうだって言いたい。みんなが最近やってるのはレースゲームじゃないんです。シミュレーターなんです。
──リアルに再現しているもののことですね。
山上 そうです。シミュレートするんじゃなくて、私たちは『F-ZERO』っていう世界を作り、『F-ZERO』の中で、いろんなテクニックをすべて作って、それをもってユーザーさんの挑戦を受けつけています。すなわちすべてのルールがゲームなんですよね。シミュレートではないんです。で、ゲームっていうのはこういうもんだって、提示してるわけなんです。何を真似てるわけでもない、シミュレートしてるわけでもない。これはゲームなんです。
清水 ゲーム屋さんが作ったゲームです。
山上 本物のゲーム!
――すごい……。
一同 (笑)。
──これ以上ないくらいの、まとめの言葉をいただいてしまいました。読んでいただいたかたにも、開発者のみなさんの意気込みがきっと伝わると思います。今日はどうもありがとうございました。
●余談
インタビューのあと、撮影の準備をしているところへ『F-ZERO』の広報担当者が駆け寄ってきました。
広報担当者 ひとことキーワードを出してっていう企画を週刊ファミ通でやってましたが……。
──あ、それあれですね。小冊子のほうですね。同じ号(3月30日号)の小冊子で、なんか問題ありました?
広報担当者 いえいえ。あの中でゲームを象徴する単語を選ぶ企画がありましたが、それで『F-ZERO』は"粋"っていう漢字にしたんですよ。小粋の"粋"ですね。
──はいはい。
広報担当者 このソフト、ゲーム屋さんが作ったゲーム、というか気持ち良さのツボを心得ているなあと思うんです。手前味噌で申し訳ないですが……。そういう意味で、<人情・世情に通じている様>という意味の"粋"という漢字がぴったりかなと。ゲーム好きの方の人情に通じているということで(笑)
──ちょ、ちょっとメモらせてもらいます(笑)
広報担当者 じつは掛詞になっていて、"粋"というこの言葉、もともと"意気"から転じたらしいんですね。国語辞典を引くと。だから、清水はじめ開発スタッフの『F-ZERO』にかける意気込みというか、心意気という意味もあるんです。このことを小冊子のほうの100字にはちょっと書ききれなかったんですよ。だからちょっと欄外にでも、このインタビューの下にでも書いていただけたらと思いまして。
というわけで、開発者3人と広報を交えた熱〜い談義は終わり、そして3月21日、ゲームボーイアドバンスとともに『F-ZERO
FOR GAMEBOY ADVANCE』は無事誕生しました。彼らが注いだ情熱は、みなさんにはどんなふうに伝わりましたか?
(C)2001 Nintendo
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