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連載バックナンバー
『モンスターハンター2(ドス)』プレイ日記
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第10回 インファイト
第9回 虫さされ
第8回 ハンターがひとり増えました
第7回 イャンクック
第6回 重い重い武器
第5回 夜更けのフルフル
第4回 ヤオザミの恐怖
第3回 まずは自分をリセット
第2回  なかなか狩りにいけません
第1回 待ちに待った発売日!

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第11回 1死クエの恐怖
『モンスターハンター2(ドス)』プレイ日記

Today’s Text:大塚角満 
 

 あまりにも更新しないので読者の方々に見捨てられてしまうのではないかと内心ビビってる大塚角満です。じつは更新する間も惜しんで『モンハン2』をプレイしていたりするんですが、その甲斐もあってかとっくにオフラインモードはやり尽くして(と思ってる)、オンラインで仲間たちと毎日のように冒険に精を出している次第であります。なのでこのコラムは、オフラインモードにおける過去の出来事と、オンラインモードにおけるリアルタイムな出来事がごちゃ混ぜになる恐れがありますので、少々読みづらくなることはご容赦いただけたらとクドクドクド……。
 

 さっそく今回は、オンラインでの出来事を綴ります。
 

●闘技演習
 

 ある日、いつものようにオンラインにつないで仲間たちとのたまり場に行くと、友だちのWちゃん、B、そしてキレンジャこと女尻笠井がなにやら話し込んでいる。聞くと、これから"闘技演習"に遊びに行くところだという。闘技演習は街にある"アリーナ"で遊べるもので、決められた装備に身を包んで規定のモンスターを倒す、というもの。クエストは4つ用意されていて、そのすべてをクリアーするとモンスターを飼育することができるようになる。
 

 クエストには4人まで参加できるので、僕もいっしょに行くことになった。このメンバーとは、本当に毎日のように遊んでいるので気楽なものである。しかしここで、ふたつ隣の席に座っている女尻笠井が気になることを言った。チャットではなく、リアルな会話で、である。
 

 「じつはこの闘技演習、数日まえに別の友だちと行ったんスよ。ところが最後の演習の対リオレイア戦で2回も失敗して、友だちに怒られたんですよね……」
 

 そう言う笠井の表情は、ちょっと青ざめて見えた。詳しく聞くとこの闘技演習、1回でも誰かが倒されると強制的にクエスト終了となってしまうらしいのだ。いわゆる"1死クエ"である。笠井は友だちとふたりでこれに臨み、2回連続でレイアに惨殺されて友だちに怒られたらしい。自分の些細なミスでそれまで築き上げてきたものが消滅してしまう1死クエの緊張感は、なにげに凄まじいものがある。僕も1死クエに行くときは、相棒がどれほど仲のいい友だちでも極度の緊張感を覚える。しかも闘技演習は、装備する武器と防具が決められているのだ。さあ困った。これはエラいときに街に来てしまったものだ。しかし「やべえやべえ」とふたりで言っているうちに俺たちはいつのまにか闘技演習に臨み、アレヨアレヨと言う間に3つのクエストをクリアーしてしまった。残るは恐怖のリオレイア。笠井から見ればトラウマとも言える相手である。見ると笠井は、手のひらにかいた汗を必死の形相でぬぐっている。相当緊張しているらしい。俺は彼に言った。
 

 「そんな緊張しなくても大丈夫だろ。そうそうやられないだろうし、倒されたところで笑って許してもらえるよ」
 

 笠井は青い顔に引きつった笑みを浮かべて「そっすね……」と言ったあと、「……死ねねえ」と呟いた。俺の言葉は何の慰めにもならなかったようだ。
 

 なんでこんなに笠井が緊張するのかというと、それはWちゃんが俺たちの仲間内ではズバ抜けて、このゲームの達人だからである。ハンターランクが"5"ほど離れている場合は、新幹線で言うところの東京−熱海間くらいの差しかないものだが、俺たちとWちゃんの差は新幹線の東京−博多間を突き破って、東京から鈍行に乗って南極の昭和基地に行くくらい大きな差になっているのである(まわりくどい表現だナ)。スポーツでも遊びでも、達人といっしょに何かをやるときって、緊張するでしょう。達人サイドが何も思っていなくても、「怒られるかも」、「粗相はできぬ」、「迷惑をかけるわけにはいかない」という気持ちが心に満ちてしまい、まったく余裕がなくなってしまうのだ。クエストに失敗したところでWちゃんは怒ったりする人ではないのだが、笠井の気持ちは痛いほどよくわかった。少しずつ、俺も緊張していった。
 

 そして緊張のクエストスタート。全員、麻痺属性のハンマーを振り回してレイアを追いつめていく。クエストが始まってしまえば緊張感も吹き飛ぶのか、笠井も調子に乗ってレイアの懐に飛び込んで行っている。しかし好事魔多し。レイアの怒りのサマーソルトキックを食らった笠井の分身はヒラヒラと宙を舞い、あっけなく昇天してしまったのだ! 1死クエなので当然、それだけでクエスト終了である。サマーソルトキックを食らった瞬間、笠井は俺のふたつ隣の席で「ぐはっ!!!」と絶叫。まるで自分自身がサマーソルトを食らったかのように悶絶し、「やっちまった……」と言って血を吐くように嘆息した。それを見て、俺はゲラゲラと笑った。そして(死んだのが俺でなくて本当によかった!!)と心の中で声を張り上げた。
 

 「どんまいww」
 

とBが言った。Bは基本的に脳天気なので、まったく緊張しているフシはない。
 

 「気にせず、もう1回いこう^^」
 

 とWちゃんが言った。それを見て笠井は「そのニコニコマークが怖い……」と呟いていたが、チャットでは「ごめーん。もう1回よろしく!」なんて言っていた。
 

 さあ気を取り直して、2回目のリオレイア討伐スタートだ。もう死ぬわけにはいかないと言うわけで、笠井は慎重に慎重を重ねてレイアに攻撃をしている。「死ぬくらいなら役立たずでいい!」なんて口走りながら、必要以上にレイアと距離をとって逃げ回っている。しかしそういうときに限ってモンスターの攻撃が集中するもので、逃げまどう笠井のキャラにレイアが猛烈な火の玉を吐いて、あえなくそれが直撃。なんとか一命を取り留めたもののそれは一瞬にすぎず、レイアは笠井向かって猛烈なダッシュアタックをくり出して彼の命を奪った。クエストがスタートしてから、ほんの数分後の出来事である。
 

 「やっべええええ!! またやっちゃった! もうヤだ俺……」
 

 真っ白な顔に脂汗を浮かべて、笠井は慟哭する。俺はそれを見て腹を抱えて笑っていたが、内心は(やべえ……。これでつぎに俺が死んだらエライことになるぞ……)と思い、胃のあたりがチリチリと痛み始めていた。そんな俺を見て、死神に取り憑かれた笠井がポツリと言った。
 

 「つぎに死んだら、Wちゃんに殺される……」
 

 ゴクリ、と俺は唾を飲み込んだ。もうイヤだ……。このクエに行きたくない……。俺は笠井に「もう今日はこれくらいにしておいて、続きは明日にしようかね」なんて言っていたのだが、くだんのWちゃんは「さあもう1回いこう」と言っている。それを見て笠井は「もうやるしかないっすよ、大塚さん」と声を絞り出した。俺は覚悟を決めた。

 じつはこのあたりから、俺と笠井のふたりは爆笑が止まらなくなっていた。極限の緊張が笑いに変換されて、表面に噴出してきてしまったのである。一種のパニックだ。こういうことって、たまにありませんか? ないですか。とにかく俺と笠井のふたりは、「やべえ、はじまっちゃうよワハハハハ!」、「いけね、地図取り忘れちゃいましたよウヒヒヒヒィ!」、「逃げろ逃げろぎゃはははは!!」ってな具合に、何かひとつ行動するたびに腹を抱えて笑っていたのである。深夜の編集部において、それはそれは不気味な光景だったことだろう。

 

 そして3回目。俺たちは恥も外聞も捨てて「なるべくレイアには近づくな!」、「落とし穴に落ちたとき以外接近しないように!」、「麻痺るまでシカトしよう!」なんて言い合いながら、ニワトリが見たら裸足で逃げ出すくらいのチキン度でクエストに臨んだ。とにかく生きてさえすれば面目は保てる! そう信じて、俺たちは逃げに逃げた。
 

 しかし、悲劇は突然やってきた。十分な距離をとっていたはずなのに、いつの間にか俺の背後に忍び寄っていたリオレイアが突然咆哮! 防御ができないハンマーを持っていた俺のキャラは為す術もなく硬直し、猛烈な怒りタックルを食らってしまったのだ! それだけで、満タンだった体力のほとんどを削られてしまう。俺は大慌てで距離をとろうとしたのだが、運悪く壁際まで吹き飛んでしまってどっちに逃げたらいいかわからない。「大塚さん、逃げて逃げて!」というリアルな笠井の絶叫も虚しく、クルクルと回るレイアの尻尾に直撃し、なんと俺のキャラが昇天してしまった……。なんと俺たちのせいで3回もクエストに失敗したのである。
 

 「どんまいw」
 

 とWちゃんは言った。もう俺と笠井は顔面蒼白である。こ、こ、これ以上の粗相は許してもらえない! 「と、とにかく生きて還ってこよう!」と、俺たちは萎えてしまいそうなこころを奮い立たせて、4回目のクエストに臨んだ。当然、これまで以上のチキンプレイである。「もういっさい、レイアには近づくな!」、「落とし穴に落ちても接近すんな!」、「距離とって距離とって!!」と、口から出る言葉は情けないものばかり。それでも時たま隙を見て、殴っては逃げをくり返した。すると本当にたまたまなのだが、笠井が放った一撃で、レイアがビリビリと麻痺った。すかさずWちゃんが「ナイス♪」と発言。その言葉を見て笠井は涙を流さんばかりに喜んで「Wちゃんにホメられましたよっ!!」と絶叫した。俺も感激して「よかったなあオイ!」と笠井に返す。しかし調子に乗ってるとすぐに間隙を突かれるもので、不用意に接近してしまった俺はレイアに転ばされて片膝立ちに。するとレイアはそのままサマーソルトキックを放った!! 「うわああああああっ!!」と俺は泣き叫んで目を瞑る。しかし奇跡的にキックの軌道がズレていて、俺のキャラはよろめいただけで一命を取り留めているではないか! 「大塚さん、死んだと思った!! ぎゃはははは!」と笠井。俺は必死の形相で必要以上にレイアと距離をとり、それ以降、二度と彼女に近づかなかった。
 

 俺たちの必死の逃亡の甲斐あって、見事、WちゃんとBのふたりがレイアを撃退してくれた。無事に街に戻ってきて、心も身体も疲れ果てた俺たちは息も絶え絶えになりながら、口々に「死んだら殺されるからがんばった……」と言った。
 

 それを見たWちゃんはひと言、「誰に殺されんのよ!!」と言って激怒した。
 


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