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連載バックナンバー
ゲーム人生回顧録 - 乱舞吉田
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第36回 ファミコン:その21(『ハイパーオリンピック』前編)
第35回 ファミコン:その20(『スパルタンX』)
第34回 ファミコン:その19(『レッキングクルー』)
第33回 ファミコン:その18(『フラッピー』)
第32回 ファミコン:その17(『ディグダグ』ほか)
第31回 ファミコン:その16(『忍者くん 魔城の冒険』ほか)
第30回 ファミコン:その15(『イーアルカンフー』)
第29回 ファミコン:その14(『スペースインベーダー』ほか)
第28回 ファミコン:その13(『バンゲリングベイ』ほか)
第27回 ファミコン:その12(『アイスクライマー』ほか)

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第37回 ファミコン:その22(『ハイパーオリンピック』中編)
ゲーム人生回顧録 - 乱舞吉田

 前回に続き、コナミの『ハイパーオリンピック』の話です。とりあえず前回書いたことを簡単にまとめるとですね……、ボタン連打に特化したこのゲームの攻略を巡って、ボタン連打の方法が急速に進化していった、と。そのなかで、ピアノ連打、痙攣打ち、こすりといった連打方法が編み出されていった。しかし、ピアノ連打にはテクニックが必要で、痙攣打ちは疲れやすくて連続使用に不向きで、こすりはツメや指先への肉体的ダメージが大きかった、ということを書いたんですね。で、今回は、その続きになります。

 

 前記の3種類の連打方法……ピアノ連打、痙攣打ち、こすりには、いずれも一長一短があり、万人向けではなかったんです。そこで、新たなる連打方法が編み出されました。それが、道具の使用です。この道具を使った連打方法は、こすりを改良したものでした。ツメを立ててこする代わりに、道具を使ってボタンをこすることで、自分へのダメージをなくすわけです。当時の状況を知らない若い人にわかりやすくこの道具ボタン連打をたとえると、スクラッチカードの"銀はがし"とよく似ている感じです。スクラッチカードは、コインでこすって、銀色部分をはがすじゃないですか。道具こすりのやりかたは、まさに、それなんです。道具を指先に持って、銀色部分の代わりにボタンをこする。それが、道具こすりです。「シャカシャカシャカ」っと道具を持った腕を左右にす速く動かすと、ボタンが途切れることなく連打されるんですよ。

 

 当時よく使用されていた道具は、10円玉や100円玉といったコイン、100円ライターの底、ガチャガチャのカプセルといったものでした。いずれも固い材質でできていて、丸みを持った形状という共通点があります。さて、ここでガチャガチャについて捕捉しておきましょう。現在は"ガシャポン"という呼び名で一般に認知されていますが、当時は(僕らの仲間ウチでは)"ガチャガチャ"と呼んでいました。プレイ料金も、現在では1回100円または200円のものがメジャーですが、当時は1回20円のものが主流だったんです。当時は、1回100円のものはデパートの屋上くらいにしか置かれてなかったなぁ。1回100円のガチャガチャは、珍しいほうだったんですよね。だから、ガチャガチャの主流は駄菓子屋とかゲームセンターの店先に置かれていた、1回20円のものだった。カプセルのサイズも、現在の1回100円や200円のものよりもかなり小さかった。今回指しているガチャガチャというのは、1回20円のガチャガチャの小さいカプセルのほうです。で、そういったガチャガチャのカプセルなどの道具を使ってボタンをこする方法が、『ハイパーオリンピック』の攻略法として急に広まっていったんですね。だって、やりかたが簡単なんだから。テクニックとか慣れとか関係なく、誰にでもできちゃう。それでいて、ふつうに指でボタンを連打するよりも高い記録(スコア)が簡単に出せるんです。そんなわけで、日本全国のゲームセンターでは、道具こすりが流行しました。と・こ・ろ・が……、道具こすりには大きな欠点があったのです!

 

 道具こすりの欠点。それは、筐体のコンパネを傷つけてしまうこと。たしかに、通常のこすりに比べてプレイヤーへのダメージは軽減されますが、その代わりにボタンを含むコンパネを傷をつけてしまうんですね。道具連打の使用回数が増えるごとに、ボタンには斜めラインの傷跡が深々と刻み込まれ、ボタンのまわりのコンパネ部分は塗装が削り取られて銀ギラギンになってしまう……。道具こすりが流行り出してからすぐに、『ハイパーオリンピック』の筐体はボロボロになってしまいました。誰だって、ボロボロの筐体ではプレイしたくないですよね。道具を使わずに自分の指でプレイする人は、ことさらにね。ボロボロの筐体でもあえてプレイする人は、道具を使う人くらい。道具を使って傷つき、ふつうの人はプレイしなくなり、道具を使う人だけがプレイする。筐体の傷は、どんどんひどくなっていく……。これは悪循環です。コンパネを取り替えるには、当然のことながらお金がかかります。それを負担するのは、もちろんショップ側。ということで、「こすり使用禁止!」や「道具の使用禁止!! 見つけた人はカウンターまでお知らせください」といった張り紙が、『ハイパーオリンピック』の筐体や店の壁などに張り出されることになったのでした。しかし、この道具こすり禁止令によって、みんなが『ハイパーオリンピック』のプレイを止めたわけではありません。当時のプレイヤーたちは、そんなことではへこたれませんでしたから。連打への探求、創意工夫は、まだまだ続いていました。そして、とんでもない連打方法が発明されたのです!

 

 ある日、ゲームセンターに立ち寄った僕は、『ハイパーオリンピック』のデモ画面で、ハイスコアーを見て驚きました。「え!? 100メートルで6秒台? マジかよ……」。道具こすりでも、当時の記録は8秒台くらい。すごい人で、7秒台がせいぜいだったんです。それが、1秒以上も更新されていた。「誰が、この記録を出したのか?」。僕の心のなかに疑問が渦巻きました。しかし、その疑問もすぐに解決したのです。しばらくそのゲームセンターで時間を潰していたら、(たしか)3〜4人の学生のグループがやってきて、『ハイパーオリンピック』の筐体を取り囲んだのです。そして、グループのひとりがプレイ席に座って50円を投入し、おもむろにアイテムを取り出しました。それは、道具こすりで広まったコインでも、100円ライターでも、ガチャガチャのカプセルでもありません。銀色に輝く、細長い板。「何だ、アレ?」と、興味津々でちょっと離れた場所から、僕はじ〜っと観察していました。「何をするんだろう!?」。よ〜く見ると、銀色に輝く細長い板の正体は、鉄定規でした。そしてプレイヤー席に座った人は、鉄定規を使って『ハイパーオリンピック』をプレイし始めたのです。僕は、いままで想像もつかなかった異様な光景に出くわしました。もう、釘付けです。目からウロコです。「そんな!?」、「なるほど!!」、「すげ〜ッ!!」。鉄定規とボタン連打。この奇妙な関係の詳細については、次回にて……。

 


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