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ゲーム人生回顧録 - 乱舞吉田
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第24回 ファミコン:その9(『ギャラクシアン』ほか)
第23回 ファミコン:その8(『テニス』ほか)
第22回 ファミコン:その7(『ドンキーコングJR』ほか)
第21回 ファミコン:その6(『ドンキーコング』)
第20回 ファミコン:その5(『チャンピオンシップロードランナー』)
第19回 ファミコン:その4(『ロードランナー』)
第18回 ファミコン:その3(『ロードランナー』)
第17回 ファミコン(その2)
第16回 ファミコン(その1)
第15回 ゲーム&ウォッチ(後編)

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第25回 ファミコン:その10(『ゼビウス』)
ゲーム人生回顧録 - 乱舞吉田

 '84年に発売されたファミコンソフトの話の続きです。今回は、ナムコのファミコンソフト第3弾、『ゼビウス』について書きたいと思います。『ゼビウス』といえば、アーケードで大ヒットを記録した、ゲーム史に残る名作シューティングゲーム。このコラムでも第5回第6回第7回と、3回に渡ってアーケード版『ゼビウス』の思い出を書いていますので、未読の人は、よかったらそちらから読んでみてください。

 

▲ファミコン版の画面。ゼビウス軍の巨大要塞、アンドアジェネシス。残念ながら浮游していませんが、その迫力は健在。 

 

 僕がファミコン本体を買った最大の理由は、『ゼビウス』で遊ぶため。アーケードであれだけハマったゲームが、家で好きなだけプレイできる。当時の僕は、まだアーケード版の『ゼビウス』を攻略できていなかったんですね。『ゼビウス』は全部で16のエリアから構成されていました。16エリアのあとは7エリアからくり返されるわけなんですけれども、その16エリアを突破したことは一度もなかったんです。そこで、「ファミコン版で思いっ切り練習して、16エリアを突破してやる!」という目的がありました。そんなわけで、ファミコンで『ゼビウス』の発売が発表されるとすぐに、僕はファミコン本体を購入。友だちからソフトを借りて遊びながら、ファミコン版の『ゼビウス』が発売される日を待ち望んでいたのです。そしてついに、忘れもしません'84年の11月8日! ファミコン版の『ゼビウス』が発売されました。もちろん速攻で発売日に購入。『ゼビウス』は品切れになるほど売れまくり、本体と同時に買う人も大勢いました。さらには、ファミコン本体自体が品切れになってしまい、入荷を待つ人が続出しました。

 

 ファミコン版の『ゼビウス』。アーケード版と比べてしまうと、グラフィックや音楽を始め、全体的に見劣りする感じがするのは正直否めない。ファミコン版を初めてプレイする人にはあまり関係ないことだと思いますが、アーケード版を体験した人にとっては、やはりグレードダウンの印象は拭えません。まず、画面の比率が違う。アーケード版は縦画面で、ファミコンというか家庭用のテレビは横画面。これは、しかたのないところですね。つぎに、アンドアジェネシス。アーケード版のアンドアジェネシスは空中に浮游していました。地面がスクロールするなか、空中に留まり、自機ソルバルウに攻撃を仕掛けてきたのです。しかしファミコン版では、アンドアジェネシスは地上物として背景と一体化していました。アンドアジェネシスの出現とともにスクロールが止まり、攻撃するという仕様に変更されていたのです。つぎは、ナスカの地上絵。アーケード版ではナスカの地上絵が、『ゼビウス』の世界観を際立たせる存在として、強烈な印象を残していました。しかしファミコン版には、ナスカの地上絵はナシ。容量の関係で削除されてしまったのです。そのほかにも細かいところでは、1画面内に存在できるバキュラの総数が少なくなっていたり、ソルの出現パターンが省略されているためソルの成長が早かったり、46本目のソルが追加されているなど、細かい違いがありました。

 

▲左にある円錐状の物体が、アーケード版にはなかったファミコン版オリジナルの46本目のソル。エリア6に存在します。 

 

 このように書くと、ファミコン版の『ゼビウス』は「なんだ、ダメっぽいじゃん」と思われてしまうかもしれませんが、じつはそうではありません! むしろ、当時としてはかなりハイレベルな移植作でした。カートリッジのプログラム容量も、ファミコン初の256キロビットを使用(ちなみに、それまでのソフトは64キロビットや128キロビットでした)。そんな大容量のROMを使って、できるかぎりアーケード版を再現しようとしていたんですね。話によると、容量の関係でアンドアジェネシスかナスカの地上絵のどちらかを削るしかないということになり、やむなくナスカの地上絵を削除するしかなかったとのこと。ファミコン版の『ゼビウス』は、ハードの制約上しかたない部分はありますが、ゲーム性の部分では充分満足できる内容でした。というかファミコン版は、当時、アーケード版以外で『ゼビウス』が遊べる唯一のソフトだったのです。正確には、『ゼビウス』は当時『タイニーゼビウス』などの名称でパソコンにも移植されていましたが、それらはあくまでも"『ゼビウス』っぽいゲーム"でしかなかったんですね。移植作というよりも、"できるだけ再現"といった内容でしたから。なので、ファミコン版の『ゼビウス』は、「文句を言ったらバチが当たる」、「たった4800円で、『ゼビウス』が家でやり放題!」といった存在なのでした。もちろん、僕は大満足。アーケード版のファンも、基盤を購入しちゃうほどの超マニアを除けば、みんな満足だったハズです。ファミコンで『ゼビウス』初体験の人は、言わずもがな大満足に違いなかったでしょう。

 

 で、やりまくりましたよ、ファミコン版『ゼビウス』を。しかし、予想だにしなかったワナと遭遇することとなりました。それは、ファミコンの+ボタン。ソルバルウが思うように動かせない! 敵の弾が避けられない! アーケード版のレバーでは手足のように自由自在に動かせたソルバルウが、ファミコン版ではまるで水中にいるがごとく、または手足に鉛をつけられたかのごとく、意のままには動いてはくれません。ゲーム内容としてはよくできているファミコン版の『ゼビウス』なのに、思うように自機が操作できないために、「違う!」、「こんなところでミスするなんて……」、「納得がいかない!」。でもそれはソフトのせいではなく、+ボタンのせい。僕は、+ボタンの壁に遭遇したのでした。

 

 『ゼビウス』は上下左右だけでなく、斜め方向もアリで、8方向の操作に対応しているゲームでした。ファミコンの+ボタンでは、この斜めを入力するのに、かなりの慣れを要するんですね。左上へ移動させたいならば、+ボタンの左と上。このふたつの部分を、ギュゥ〜っと押さなければなりません。力が入っていないと、左上ではなく、左もしくは上への移動となってしまうんですね。しかも、一度斜めに入れたら入れっぱなしでオーケーなゲームではなく、状況に応じて瞬時に8方向への移動を迫られるゲームでしたから。これがね、けっこう指に負担がかかるんですよ。もう、しばらく遊んでいると親指がジンジンと痛くなってきてくるという……。僕が、+ボタンで親指が痛くなった始めてのファミコンソフトが、この『ゼビウス』でした。『ゼビウス』の登場までは、+ボタンのうち左右2方向だけしか使わないものや、使っても上下左右の4方向しか使わないソフトばかりでした。8方向対応だったのは『テニス』くらいかな。それでも『テニス』は、上下左右の動きがメインでもけっこう遊べましたから。なので初遭遇となった、+ボタン8方向自由自在操作への道。この道のりは、けっこう険しかったですね。それでも人間っつーのは恐ろしいもので、回数をこなせばそのうちに慣れちゃう。+ボタンのほうも、最初は固くって、親指がすぐ痛くなってしまったのに、使い込むことによってしだいに柔らかくなってきて。そして親指自体も鍛えられて、タフになってきて(笑)。最終的には、レバーに近い感覚でソルバルウを操作できるようになりました。ソルバルウが自由に操作できるようになれば、もう何も問題はない。あとは、遊びまくるだけ。そして、いつしか16エリアも越えるられるようになりました。ファミコンで16エリアを突破したあと、アーケード版の16エリアの突破にも成功。当初の目的が果たせたのであります。

 

 あと、ファミコン版『ゼビウス』を語るときにハズせないのが、無敵になる裏技の話題ですね。ソフトが発売されてしばらく経ち、僕的に『ゼビウス』に飽きてきたわけではないんだけれど、一時期ほどの熱が冷めてきたころ。そんなときに『ゼビウス』の裏技が、コンプティークという雑誌に掲載されました。方法は、つぎのとおり。タイトル表示中にコントローラIIのAボタンかBボタンを押しながら、+ボタンの右を9回、上を2回、左を2回、下を9回押す。右から反時計回りに9、2、2、9です。すると、画面の右上に8桁の0の数字が表われ、0と1の組み合わせでゲーム設定を変更することができました。8桁目と7桁目は、自機の判定に関わる部分。10か11にすると、なんと自機が無敵になりました! 6桁目と5桁目は、自機が増えるエクステンドの設定。4桁目と3桁目は、難易度の設定。01がイージー、10がハード、11がスーパーハードです。スーパーハードにすると、トーロイドではなく、いきなりタルケンが出現。強めの敵がつぎつぎ登場し、弾をバラ撒いていきます。2桁目と1桁目は、自機の残機の初期設定。11にすると4機になりました。

 

 この裏技は、ものすごく衝撃的でしたね。コントローラIIを使うために偶然発見されるということは、当時の状況からして常識的にありえません。たしか、ROMを解析した人が発見して、噂が広まり、そして雑誌に掲載されたという。そんないきさつだったと思います。プログラマーによるデバッグ用のプログラムが、そのまま残った状態で製品化されたという話でした。この裏技を掲載したコンプティークは、すぐに完売。増刷して、それも完売。ゲームの裏技というものが、世間に初めて認知された瞬間でした。この裏技を使えば、ヘタな人でも楽々と16エリアが体験できるからか、裏技が広まるにつれて『ゼビウス』の売上がさらに伸びました。僕も、この裏技を知って試して『ゼビウス』熱が復活。実際、無敵は邪道なんだけれども、基本を踏まえたうえで活用すれば、さらなるテクニックの練習に有効だったんですね。難易度を上げれば、また新鮮に『ゼビウス』が楽しめたのもありがたかったし。

 

▲裏技の入力に成功すると、画面の右上に8桁の数字が出現。0と1を組み合わせて設定変更後、リセットを押して数字を消し、プレイ開始! 

 

 かくして、ファミコン版の『ゼビウス』は、当時ファミコン史上最大のヒットを記録。ファミコン本体も売上を大きく伸ばし、世間での認知度もかなり高まっていきました。ファミコン版の『ゼビウス』は、ファミコン伝説の第一章を築いたソフトといっても過言ではないでしょう。

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