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第20回 ファミコン:その5(『チャンピオンシップロードランナー』)
ゲーム人生回顧録 - 乱舞吉田

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 前回、前々回に続き、『ロードランナー』関連の話です。'84年に発売されたファミコン版の『ロードランナー』。このゲームにドップリとハマった僕は、収録されている50面のクリアーだけでは飽きたらず、エディットモードで遊び続けました。雑誌に掲載されたエディット面をエディットモードで再現してそれをクリアーしたり、オリジナル面を作ったりして、飽きることなくず〜っと遊び続けていました。もちろんほかのゲームも遊びまくっていましたが、当時のソフトでいちばん長く遊んだのが『ロードランナー』でしたね。そして『ロードランナー』が発売されてから9ヵ月後、新たなる『ロードランナー』が発売されたのです。その名は、『チャンピオンシップ・ロードランナー』!

 

 『チャンピオンシップ・ロードランナー』は、『ロードランナー』の上級者向けバージョンです。基本ルールは『ロードランナー』と同じで、すべての金塊を回収して脱出するだけ。ですが、その難易度の高さといったら……。ソフトのパッケージに、「警告! ロードランナー未経験者お断り!」と書いてあるくらい。まさに一見さんお断りというか、完全に前作をクリアーした人向けのソフト。前作をプレイしていない人は、1面すら解けないのではないでしょうか。『チャンピオンシップ・ロードランナー』には、そんなメチャクチャ難易度の高いステージばかりが、全50面収録されているのです。これらはすべて『ロードランナー』の発売後に、一般プレイヤーたちから、作者のダグ・スミス宛に送られてきた膨大な数のエディット面。その中から厳選された、折り紙つきの超難解面なのです。なかには日本人の作品が採用されたものもあり、ステージ25がそうであると当時の雑誌に書いてありましたね。

 

 『チャンピオンシップ・ロードランナー』では、『ロードランナー』と比べて画面サイズが約30パーセントほど大きくなっています。左右スクロールだけでなく、上下にも大きくスクロールするようになり、スタートボタンで一時停止させると、+ボタンで画面に映っていない部分を見ることができました。これがけっこうクセ者なんですね。『チャンピオンシップ・ロードランナー』は画面全体をとおしてひとつのパズルとして構成されている面がほとんどで、決まった順番で金塊を取っていかないとクリアーできないことが多くありました。なので、初めてプレイする面はゲームスタート直後にポーズして、まず画面全体をよく観察し、金塊を取る順番、敵の位置、脱出予測地点などを事前にシミュレートしてから始めることになります。ですが、意外な場所に落とし穴があったり、敵ロボットの行動パターンが変化したり、実際にやってみないと金塊が取れない激ムズ穴掘りパズルなどがあったりして、予想どおりにいかないこともしばしばあるのです。画面サイズのほかに前作と違うところは、掘った地面の穴が復活する時間が長くなっていたり、敵ロボットのアルゴリズムが変更になったりと、細かい調整もありました。あとは、ラウンドセレクト機能の廃止。最初は1〜10面までしか選択できず、あとは1ステージをクリアーするたびにパスワードが表示され、先の面へ挑戦できるようになっていたのです。「解けない面があったら、そこを飛ばしてつぎの面」なんて妥協は許されません。解けない面でも、四苦八苦し、何度も挑戦し、1面ずつ根気よく解いていかなければならないのです。

 

▲これが、有名な『チャンピオンシップ・ロードランナー』の1面。そのスタート直後の画面です。いきなり、落下してくる3体のロボットの頭を渡って、向こう岸へ移動しなければなりません。デモ画面では、1面の途中までの解法が流されていました。 

 

 激ムズの『チャンピオンシップ・ロードランナー』。当然のことながら、興味を持つのは一部の『ロードランナー』ファンに限定されてしまいますよね、ふつうは。そこで、ハドソンは仕掛けました。『チャンピオンシップ・ロードランナー』の超難解50面をすべて解いた人には、ゴールドに輝く"認定証"を発行すると! 取扱説明書に50面のパスワードを書き込んでハドソンに送ると、完全クリアーの証である認定証がもらえ、しかもその認定証にはクリアーした(ハドソンに届いた)順番にナンバーが記されるというのです。これは『ロードランナー』ファンはもちろんのこと、一般ゲームユーザーも注目しました。僕も、思いっ切り煽られましたよ。「なんとしても認定証をもらってやる!」。しかも、「ただクリアーするのではなくて、できるだけ早くクリアーしてやる!」って。

 

 ソフトの発売まえに認定証に関する告知があったわけですが、僕はさっそく『チャンピオンシップ・ロードランナー』の情報収集を開始しました。『チャンピオンシップ・ロードランナー』は、ファミコン版よりさきに、マイコン版がひと足早く発売されることになっていたのです。そこで、各種マイコン雑誌をチェックしました。マイコン雑誌の広告ページには、よくマイコン版『チャンピオンシップ・ロードランナー』の画面写真が、いくつか掲載されていたんですよ。僕は、それをもとにファミコン版『ロードランナー』のエディットモードで似たような面を再現し、『チャンピオンシップ・ロードランナー』の予習をしました。学校の勉強の予習なんかはしたことないのに、ゲームの予習はやっていたんですね(笑)。

 

 『チャンピオンシップ・ロードランナー』よりさきに、ハドソンは『バンゲリング・ベイ』というシューティングゲームを発売しました(このソフトについても書きたいことがたくさんあるのですが、それはまた別の機会に)。で、『バンゲリング・ベイ』の発売記念イベントが行われたんですね。場所は、銀座の松屋。僕も行きました。お子様を中心に大勢のギャラリーが集まり、ステージではハドソンの高橋名人が最新作『バンゲリング・ベイ』のゲームの解説をしたのです。そしてそのイベントの最後に、つぎにハドソンから発売される予定の『チャンピオンシップ・ロードランナー』の宣伝がありました。高橋名人が『チャンピオンシップ・ロードランナー』のステージ1を、ギャラリーの目の前で解いて見せたのです。さらに、「ちょっとだけヒントね」と言って、序盤(たしか、ステージ4とステージ5だったと思います)の攻略ポイントを教えてくれたのです。「こんどの『ロードランナー』は、こんなこともできる。こんなにスゴイんだよ」って。僕は、まばたきもせずに(誇張アリ)それを脳裏に焼きつけました。

 

 そしてついに、ソフトの発売日である'85年4月20日が間近に迫ってきました。僕は、発売日の1日まえからショップを巡り、ソフト発売日の前日の夕方、フライングゲットに成功。速攻で家に帰り、ファミコンにカセットをセットし、プレイを開始しました。最初の数ステージは、すでに予習済み。サクサクとクリアーできました。そして、未知のステージへの挑戦が始まったのです。そして、改めて感じました。恐るべし『チャンピオンシップ・ロードランナー』、と。いったい何人の主人公(ランナー)がお亡くなりになったことか。あるときはロボットに捕まり、あるときは穴に埋まり、あるときは凹みに閉じ込められて自決し、またあるときは解法が思いつかず途方にくれて……。ひとつのステージをクリアーするのに数時間かかったことは、ざらでした。落とし穴だらけのステージ31なんて、方眼紙に全体マップを書いて、落とし穴の位置を全部チェックしましたし。基本的に、食事とトイレのとき以外は、寝ないでプレイし続けましたね。高橋名人の「ゲームは1日1時間」なんて教えなど、まるっきり守らずに(笑)。するって〜と、当然のことながら+ボタンを操作する親指は痛くなり、頭はボ〜ッとしてくるわけです。で、ミスが多くなり、悪循環に陥ります。そんなときは1時間だけ寝る。または風呂家へ行って(当時は銭湯通いでした)気分転換。そうして時間をおいてアツくなった頭を冷やすと、あれほど悩んだのにわからなかった解法が、あっさりと頭に浮かんだりするから不思議です。で、兎にも角にも『チャンピオンシップ・ロードランナー』をプレイし続けました。

 

 そんなこんなで、ついに最終面である50面にたどりつきました。この50面が難しかった! まさに『チャンピオンシップ・ロードランナー』の集大成とも言う構成で、いままで以上の超難解な穴掘りパズルに加えて、"ロボットの頭に乗って落下しながら横の地面を掘る"といった大技まで駆使しないと解けないんですよ。僕も、ここでかなりの時間を費やしました。しかし、いままでに49面をクリアーしてきたことにより、知らぬ間に自分自身がかなりレベルアップしていたんですね。最終面に挑戦してから数時間後、ついにクリアーすることができました。1面から始めて、たしか3日間かかったのかな。さっそくハドソンにパスワードを記した取扱説明書を送りました。で、爆睡しましたとさ(笑)。

 

▲これが、『チャンピオンシップ・ロードランナー』の最終面である50面。その左下の超難解な穴掘りパズルを要する場所。金塊の取りかたはわかりますか? それでも、最終面全体のほんの一部分でしかないんです。

 

 それから、毎日郵便受けを覗く日々。送った翌日になんて、返事がくるわけないのにね(笑)。そして数日後、ついにハドソンから封筒が届いたのです。中には、「クリアーおめでとう! なんちゃら、かんちゃら……」という手紙、送った取扱説明書には"HUDSON 審査委員会"の赤いハンコ、そして待望の認定証が入っていました! クリアー番号は、No.00000015。ナント、僕は日本で15番目にファミコン版の『チャンピオンシップ・ロードランナー』を解いていたのです! このときは、もうサイコーに嬉しかった。飛び跳ねましたね。家の天井に"マリオパンチ"して、拳を痛めたくらいです。マジで。たしかハドソンの高橋名人がNo.00000001とのことですから、一般ユーザーでは実質14番目ということになるのでしょう。下がその認定証の証拠写真です。ちょっと自慢げ(笑)。

 

▲眩しく輝くゴールドのカード。僕にとっては、クレジットカードよりも大切かも(笑)。はたして、『チャンピオンシップ・ロードランナー』を購入した人のうち、何人の人がこの認定証をゲットできたのでしょう? 途中で挫折した人も多かったみたいですから。 

 

▲その裏側です。ちなみに、HUDSON『チャンピオンシップ・ロードランナー』審査委員会からの発行となっています。

 

▲オマケ。余談ですが、僕は『フラッピー』というゲームの認定証も持っています。が、こちらは000229番でした。ガッカリ……。

 

  『ロードランナー』は、ハドソン以外のメーカーからも発売されました。アイレムは、まずアーケードで4作……'84年に『ロードランナー』、'85年に『ロードランナー2 バンゲリング帝国の逆襲』と『ロードランナー3 魔人の復活』、'86年に『ロードランナー4 帝国からの脱出』を発売。そして、'87年にファミコンディスクシステム専用ソフトとして『スーパーロードランナー』を、ファミコンディスクライター書き換え専用ソフトとして『スーパーロードランナー2』を発売しました。僕は、この『スーパーロードランナー』にもハマったのですが、それについてはファミコンディスクシステムの話が始まったときに、改めて書きたいと思います。

 

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