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5日間連続! 著名クリエーターが洋ゲーを語る! 第3回目は上田文人氏
【特別企画】

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●今後発売される作品でSCEJの上田氏が気になっている洋ゲーが明らかに!

 

 2007年3月16日号の週刊ファミ通で掲載(40ページ)された特集記事”ゲームファン必見の海外産名作ゲーム大紹介 欧米か? 洋ゲーか!!”。この記事で、著名クリエーターたちに洋ゲーに対するコメントを寄せてもらったのだが、スペースの都合上、かなり割愛させてもらった部分が多かった。そこでファミ通.comで、2007年4月2日〜4月6日までの5日間に渡って、5人のクリエーターのコメントを全文掲載するぞ。週の真ん中水曜日、第3回目で語っているのはソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの上田文人氏。

 

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
ジャパンスタジオ制作1部シニアゲームデザイナー

上田文人氏

プロフィール……代表作は『ICO』、『ワンダと巨像』。独特の世界観が描かれている両作は、海外でも多くの賞を受賞している。

 

 アミーガというコンピュータを買う以前、初めて洋ゲーと意識して遊んだのは、スーパーファミコン版の『レミングス』だったと思います。 『レミングス』に限らず当時の海外産ゲームのグラフィックは色彩センスもまだまだ日本人好みとは言えず、洋ゲー自体の持つイメージもいいものではなかったのですが、僕にとってはすごく印象に残るタイトルでした。というのも、そのころ僕は美術を学んでいたんですけど、『レミングス』のゲームルールは、ある程度犠牲を出しても何パーセントという決められた数を助ければゲームクリアーという、そのシュールなルール事態がコンセンプチュアルで現代アートみたいだと感じたんです。「ビデオゲームってスゴイ」と最初に感じさせてくれたのが『レミングス』でした。また、レミングたちのアニメーションもすばらしかったんですよね。日本のゲームのキャラクターよりも小さいんだけど、表情が豊かで……。もともと、動画や動きの表現への興味もあったので、関心したことを覚えています。その流れで、『プリンス・オブ・ペルシャ』や『フラッシュバック』を遊んでいった感じですね。

 

 じつはPCの洋ゲーはあまりやっていないんです。というのも、PCから家庭用ゲームという一般層向けに移植されたもの、というのが個人的に意外性があってよかったんですよね。スーパーファミコンという誰もが持っているゲーム機なのに、『アウターワールド』みたいなゲームが出ていて異彩を放っている、という感じが好きだったんです。セガのメガドライブは、海外のソフトが遊べるゲーム機というイメージが強かったですね。メガドライブの後期タイトルは技術的にもスゴかったんですよ。たとえば、『ベクターマン』は光源計算っぽいことがされていて、銃を撃ったときのマズルフラッシュが、キャラクターや背景にも照り返すという処理を2Dでやっていました。そういう技術的な部分も、洋ゲーならではというか、変なところのこだわりが興味をそそりました。
 

 学生のときに、よく遊んでいた友だちに洋ゲー好きがいたことが影響して、海外のゲームばかりやっていましたね。海外旅行に行っても観光はほとんど行わず、ゲームショップを見てまわって(笑)。ジャケ買いしたこともたくさんありました。いま考えると、もっと観光しとけばよかったなって(笑)。海外のゲームが買えるってだけで海外旅行が楽しかった。海外産ゲームでもっとも思い出に残っているのは、自分でクリアーしたメガドライブ版の『フラッシュバック』ですね。『アウターワールド』という作品と同じ系列のゲームなんですけど、『アウターワールド』は僕には難しすぎて……。『アウターワールド』は、ゲーム表現と映像表現の比重でいうと、映像表現の比重のほうが大きかったんだと思うのですが、『フラッシュバック』は若干ゲームよりのデザインで、そのくらいが僕にはちょうどよかった。『プリンス・オブ・ペルシャ』もそうですね。プレイステーション発売後、『ワイプアウト』、『デストラクションダービー』が出たころになると難しいとか大味とか作りが甘いという、洋ゲーのマイナスイメージはまったくなかったですね。むしろ海外のゲームのほうが洗練されているイメージでした。あとは、日本では発売されていないプレイステーション用ソフト、『ソウルリーバー』ですね。ふたつの世界を行き来するゲーム進行なんですけど、それによってステージの形状もシームレスで変形していくんですよ。いろいろなゲームのもとになっている部分も多く、新しい要素がたくさん詰まっていたと思います。僕がよく遊んでいたジャンルは、アクションパズルが多いです。『エイブ・ア・ゴーゴー』や『エイブ99』というゲームはよくできていて、いまでもときどき遊んだりします。あと、アクションパズルではないですがニンテンドウ64の『ゴールデンアイ』とかもよかったですね。海外出張の際に、向こうのメディアや制作者に「日本のゲームはユニークで新しい物が多い」と言われるんですけど、僕からすると海外のゲームのほうこそ新しいものが多いと感じます。隣りの芝生は青く見えるのかも知れませんが、真摯にビデオゲームの可能性とかゲームデザインについて考えているのは海外のデザイナーのほうが多いように感じます。確かに昔の洋ゲーは作りの荒さもありました。でも、最近は日本の物よりも作りが細かいものが多いです。いつからこうなったのか調べてみたいくらいです(笑)。

 

 海外のゲームには少なからず影響を受けていますね。「ビデオゲームでこういう表現も可能なんだ」ということを洋ゲーから学んだと思います。たとえば、日本のゲームだと商品としてのセオリーがたくさんあるように感じるんですが、海外のゲームには、そういう縛りみたいなものをあまり感じないというか、縛られずに作ってると思われるタイトルもあって、『ICO(イコ)』制作当時はそういったことに勇気づけられました。ただ、何度も言いますが最近の洋ゲーって、日本のゲームよりも親切だったり、チューニングの部分でもすごくやりやすくなっている。洋ゲーというと勘違いされて受け取られそうですけど、日本のゲームよりも日本っぽいものもあるんですよね。今後発売されるゲームで気になっているのは、『ゴーストリコン2』。とくにグラフィック表現が気になっています。

 

※プレイステーション公式サイトはこちら

※『ワンダと巨像』公式サイトはこちら

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