LAP22(連載22回目)初代『グランツーリスモ』誕生秘話 プロローグ
【定期連載 山内一典の読むグランツーリスモ】
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●LAP22 初代『グランツーリスモ』誕生秘話 プロローグ
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▲プレイステーション用ソフト『グランツーリスモ』。すべてはここから始まった。 |
この連載の担当編集はファミ通の毛利名人です。『グランツーリスモ4』の制作中にぼくは毛利名人と出会いました。それから現在まで、ずいぶん長い間『グランツーリスモ』を我が子のように愛してくれています。なにしろ、ご本人が一人のユーザーとして熱狂的な『グランツーリスモ』ファンなのです。
毛利名人がファミ通誌面で作る『グランツーリスモ』の攻略記事といったら、制作しているぼくたちですら同じクオリティーのものは作れないんじゃないかと思えるほど微に入り細を穿った丁寧なものです。攻略記事を作るライター、エディターとしてだけではなく、誰よりもコアなユーザーとして記事を作っているわけだから当然でもあるのですが。
この連載”読むグランツーリスモ”も、そもそもは毛利名人の熱烈なるラブコールにぼくが負けて始めたのでした 。
さて、”読むグランツーリスモ”の連載がファミ通誌面で始まると決まったとき、毛利名人とぼくは連載の方向性に関して打ち合わせを行いました。
山内 「まあ、ぼくが書くということは、ひとつは制作中の『グランツーリスモ』シリーズに関する進捗報告とでも言うものと、あとは、ゲームとは関係なくクルマにまつわるコラム的なものになるんでしょうかね?」
毛利 「そうですね。ゲームとクルマ、それを二本柱にしていただければいいと思います」
そう名人は答えたあと、
毛利 「……あ、あと、もうひとつお願いがあります……」
山内 「え、何ですか?」
名人は恥ずかしそうに小さな声で続けました。
毛利 「あの……すぐにとは言いませんが、もし可能なら、いつか『グランツーリスモ』が誕生するまでのいきさつを、つまり誕生秘話とでもいうものを、書いてもらえないでしょうか」
山内 「え、誕生秘話ですか……」
ぼくは思わず絶句しました。なぜなら、初代『グランツーリスモ』の誕生というのは、もう運命的な出会いと奇跡の連続で、それを振り返って文章にすることなど、到底できないような思い出が詰まっているからなのです。
ぼくと仲間たちにとっては楽しくもあり苦しくもあり、挫折も喜びもあった濃密な時代です。それを文章にすることなど、どうも出来る気がしない。というより、気が進まない。『グランツーリスモ』は今でもシリーズは続いていますからノスタルジックに過去を振り返る必要もないし、何より、あまりにも苛烈な体験だったが故に、今はもう触れずに胸の内にしまっておきたい。
そんな気分だったのです。ぼくは答えました。
山内 「毛利さん、それはもう少し後になったら……書けそうになったら、書きます……今は書けそうにないんです」
毛利 「ええ、わかっています。わかっていますよ、もちろんです」
名人は続けた。
毛利 「いつか……でいいんです、いつかで」
そんなやりとりをしてから、X年とXヵ月の月日が経ちました。先日、ぼくたちの会社に久しぶりに毛利名人が現れました。
山内 「どうしたんですか?」
毛利 「いや、あの……以前に約束した、『グランツーリスモ』誕生秘話、覚えていますか?」
山内 「ああ、覚えていますよ。書けるときが来たら書くってお約束したことですよね」
毛利 「あれを来月から書いてもらえませんか」
毛利名人の目は真剣だ。ぼくは毛利名人の気迫に圧倒された。どうやら本気らしい。
山内 「わ、わかりました。考えてみます」
というわけで、来月より「『グランツーリスモ』の夜明け」、『グランツーリスモ』の誕生にまつわる、あれこれの秘話をここで書いていきます。そんな文章が望まれているのかどうか、ぼく自身がそれを書くことが適切かどうか、もっと言えば自身の体験をきちんと相対化し読み物として成立させられるかどうか……ぼくの悩みは尽きないのですが、ともかく筆を進めてみようと思います。
読者のみなさん、これからもよろしくお願いします。
次回の”山内一典の読むGT”は4月28日を予定しています。お楽しみに! |
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