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新氏が語る、北米・韓国を中心としたRMT取引の現在
【AOGC 2007 Tokyo】

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●日本を取り巻くRMTの現状とは?

 

 AOGC 2007 Tokyoにて国際ゲーム開発者教会(IGDA)日本代表を務める新清士氏が、"RTM(リアルマネートレード)取引の現在"と題した講演を行った。今回の講演内容は、新氏がジャーナリストとしての立場と取材結果を基に構成された内容であるとのこと。また新氏は、基本的に"アングラ化したRMTには反対"の立場を示していることを明記しておこう。そのうえで、新氏は「既存のアングラ化したRMT行為が進んでいる限り、これ以上のオンラインゲーム市場の発展は難しいと思う」と発言。その背景には、ここ数年のオンラインゲーム市場そのものの劇的な変化あり、最近ではNHKなどの巨大マスメディアですらRMT問題を番組で取り扱うに至っている。またRMT問題を考える際、「ただ感情的"ダメだ"と論じるのではなく、ゲーム会社や産業、ユーザーにとって納得のいく方策を考えなければならない」と語った。

 

▲CESAの理事も務める新氏だが、今回はジャーナリストとしての立場で講演を行った。

 

 RMTの文献を調べていくと、最終的にはインターネット上の法律の問題にたどり着く。インターネット上で"利用者の権利をどのように定義するか?"といった問題にぶつかり、オンラインゲームのみを切り離して論議することはできないと言う。また、RMTに関連する根本的な問題提起として、"そもそも、オンラインゲームの付加価値はどこから発生するのか?"といった内容も議論されなければならない。この点は非常に重要で、ユーザーが"何に対して価値を見出しているか"が最大のポイントとなる。

 

 ユーザーはゲームそのものではなく、自分で創出したセーブデータをいちばん大切だと感じている。そして、ユーザーが他人とデータを交換可能となった時点で、RMT行為といったものがどうしても出てしまう土壌ができあがっている。これを規制することは非常に難しく、交換対象となるデータのは"誰が所有権を持つのか?"といった問題もある。オンラインゲームの場合は運営会社のサーバー上にデータが存在するため、ユーザーの財産権が認められるかも不確定だ。この問題はアメリカでも決着がついておらず、日本では法律論争すらほとんど行われていないとのこと。

 

 では、なぜこのような事態になったかと言うと、2000年以降の"eコマース"ビジネスが発展する過程でインターネット利用者は、バーチャルなデータに付加価値を感じるようになった。その当時のオンラインゲーム業者は、ユーザーが"ゲーム内のアイテムに対して財産権を持つわけがない"と考えるのが一般的であったが、いまのユーザーはゲーム内の物に対して強烈に財産権を主張するようになったという。

 

 そして、ここ数年で利用者の意識そのものの劇的な変化を呼ぶきっかけとなったのが、手軽に取引できる"オークションサイト"の登場ではないかと新氏は予想する。日本の"Yahoo!オークション"ように、アメリカには"eBay"、韓国には"ItemBay"といったサイトがあり、韓国で巨大RMT市場が発生した最大の要因にItemBayとウェブゼン社が行った裁判で、財産権にまで踏み込まなかったものの"ユーザーどうしのアイテム交換や、オークションで取引されることは規制できない"という判決が下されたことにあるためだ。これによって、RMT文化が日本にも波及することになった。

 

 さらに、Botを使った自動プレイ化ツールの登場と技術レベルの高度化が、RMT市場の発展に拍車をかける。現状出回っているBotツールは、開発会社が太刀打ちできないほど技術レベルが高く、またアングラ化しているため実体はほとんどわかっていない。中国などでは、これが商売として成り立っているために、より大きな問題となっている。そのうえ、"ゴールドファーマー"と呼ばれる人々のように、国境を越えて日本のゲームに入ってくるRMT業者が登場するようになった。これは、現在のインターネットが抱える根本的な弱点に起因し、ゲーム運営会社ではIP偽装などを行われると、規制することは困難であると言う。

 

 こうした世界中で"論議はされていても、結論の出ていない"問題にどのように対処すべきか? 新氏は"RTMの可視化"がキーワードであるとした。『Second Life』やジークレストが発表した『セルツク』のように、ゲーム会社がユーザークリエイトコンテンツに対して一定の著作権を認めること、可視化したRMTの仕組みを取り込むことが、新しいビジネスチャンスにつながる可能性を開く。ただし、明確な犯罪やアングラ化、ユーザーコンテンツにありがちな性的なものには対処していかなければならない。著作権に関しては、日本の現行法で対処できる部分に対処して他国の事例を待つ、日本文化らしく"あいまいなまま進める"ほうが得策かもしれないもと言及していた。マンガの分野で同人市場といったものが確立されている日本でRMTを否定することは、「ビジネスとして発展する可能性まで閉ざしてしまう必要はないのではないか?」と語った。

 

▲別のゲームでRMTを行う者がコンテンツの提供者となる『Second Life』は、ユーザーへの著作権委譲に対して新しいポリシーを提示している。

 

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