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『サクラ大戦』歌謡ショウを継ぐ舞台に! 広井王子氏の新たな挑戦

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●広井氏が語るデジタルと舞台の融合とは?

▲遊座旗揚げ公演『いとしの儚』の製作記者会見に出席したのは、左からプロデューサーの広井王子氏、脚本家の横内謙介氏、主題歌を手がける加藤和彦氏。そして、横山智佐、山中崇史、山口勝平、井之上隆志の出演者4名。


 2007年3月24日〜29日に新国立劇場 小劇場で、『サクラ大戦』シリーズなどで知られるレッド・エンタテインメント代表取締役会長の広井王子氏がプロデューサーを務める演劇公演"遊座 旗揚げ公演『いとしの儚(はかな)』"が上演される。この公演の製作記者会見が、2007年1月19日に都内で行われた。


▲『いとしの儚』は、中世の絵巻物語"長谷雄草紙"がもとになっている時代劇ファンタジー。山中崇史が演じるバクチ打ちの鈴次郎は、ある日鬼と勝負して勝ち、墓場の死体を寄せ集めて作った絶世の美女、横山智佐演じる儚を手に入れた。だが、100日経たないうちに儚を抱くと、水になって消えてしまうのだという……。


 『いとしの儚』は、広井氏が中心となって立ち上げた劇団、遊座の第1回公演となる。ヒロイン役を務めるのは、真宮寺さくら役として『サクラ大戦』の舞台、スーパー歌謡ショウに出演していた横山智佐。演出は、同じく『サクラ大戦』スーパー歌謡ショウの演出家、茅野イサム氏が担当する。『いとしの儚』は、茅野氏が所属している劇団、扉座の横内謙介氏が手がけた脚本で、まるで『サクラ大戦』と扉座が融合してできた舞台のような印象だ。この『いとしの儚』の上演をめぐっては、じつに6年まえからの運命的な出会いがあったようだ。


 製作記者会見に出席した広井氏は、「10年続けてきた『サクラ大戦』スーパー歌謡ショウが昨年の夏に幕を降ろして、演出の茅野さんといっしょに、このままみんながバラバラになっちゃうともったいないと話していたんです。遊びながら何かやりたいねって」と、遊座結成のきっかけを説明。加えて、扉座の脚本家である横内氏の作品の大ファンだったことを明かした。そもそも、『サクラ大戦』スーパー歌謡ショウで演出を任せた茅野氏との出会いは、6年まえに広井氏自身が扉座の公演を観客として観に行ったことから始まったのだという。その芝居こそが、今回上演されることになった『いとしの儚』の初演だった。広井氏は、「『いとしの儚』は、横内さんの作品の中でもとくに泣ける。現代にも通じるテーマ性もあって、ぜひこれがやりたいと思いました」と再演に至った経緯を語ったが、じつはこの作品にもっと強い気持ちを寄せていたのが、横山智佐。広井氏とともに舞台を観に行き、「ロビーで演出の横内さんに挨拶させてもらったんですけど、物語を思い出して号泣してしまったんです」(横山)。横内氏もそれを覚えていて、「いきなりロビーで泣き出して、周りの人もびっくりしてましたね。でも、それでお客さんが増えたような気がします」と笑った。その後、横山智佐は折にふれて『いとしの儚』を自分で演じたいと語っていて、広井氏と茅野氏のもう一度舞台を作ろうという思いとかみ合い、遊座の『いとしの儚』上演へと結びついたのだそうだ。


▲「『サクラ大戦』のときは、どこかにさくら役としての縛りがあったと思うんです。さくらはこんなことはしないとか。今回は、コスチュームを着ていないおそろしさもあるけど身軽さもある。それを楽しみたいと思います」と、横山智佐。


 歌謡ショウを終えたばかりの広井氏が、ふたたび舞台に挑む。その心のうちについて、横内氏は、「広井さんはいつも、デジタル産業に身を置いているけれども、根幹はライブにありたいと言ってるんです」と明かした。舞台については何の知識もないところから、『サクラ大戦』でゲームから舞台へという流れを作り上げた広井氏。今度は、舞台から始まる仕掛けを考えているのだという。


▲広井氏は、「今回は、本当に演劇が好きな演劇バカが集まって作る舞台」とうれしそうに語った。

 「舞台からデジタルへの流れに挑戦したいと思っているんです。『いとしの儚』という題材も、はじめからデジタル化を考えて決めました。横内さんはそんなことはまったく考えてなかったと思うけど、僕はつねに頭のどこかにデジタルが置いてある人間で、舞台からデジタルを作ることが僕ならできるかもしれない。演劇の大先輩のところに間借りさせてもらって『サクラ大戦』をやったわけだから、今度はちょっと恩返しをしたいとも思っています」(広井)


 続けて、「デジタルと舞台をつなげることにこそ、僕がやる意味がある」と断言。「僕はずっと、モニターの前にいるお客さんを劇場に連れて行くわくわく感を持っているんです。テレビ見ている子たち、ゲームやってる子たち、劇場へいらっしゃい、と。その旗振りをやりたいんです」(広井)と、熱く語った。


 そんな広井氏の言葉を受けて、横内氏は「いままで僕が出会えなかったお客さんと出会わせてもらえるのを楽しみにしています」とコメント。劇団をあげて『サクラ大戦』歌謡ショウと深く関わってきた立場から、デジタルと舞台の融合について以下のように語った。

 「『サクラ大戦』は、進化していく様をすごくおもしろいと思って見ていました。さまざまな情報交換や、稽古場を行き来していくうちに、『サクラ大戦』の人たちがだんだん演劇人になっていって。逆に、扉座の人間が『サクラ』のファンに名前を覚えてもらったり、声優の仕事をもらうようになったりして、融合していった感があります。今後、どんどんそういった垣根はなっていくんじゃないでしょうか」(横内)


 『いとしの儚』という作品については、「中世の絵草子がもとになっているんですが、死体を寄せ集めてできた美女という設定がとてもおもしろいと思ったんです。でも、広井さんに言わせると、これはいま流行りのアンドロイドだと」(横内)。つまり、広井氏にとっては「モニターの前にいる人たちにぴったりの題材」だというわけだ。横内氏は、「表現方法が違うだけで、時代を超えて同じものをおもしろがっているんだと思うんですよね。それはデジタルか舞台か、というのと同じこと」とまとめ、メディアを超えた作品としてのおもしろさをアピールした。

 『サクラ大戦』歌謡ショウは幕を降ろしたが、『サクラ大戦』から始まった仲間の和を広げながら広井氏の挑戦は続いていく。歌謡ショウに毎回通っていた人はもちろん、一度も舞台を観たことがないというゲームファンも、劇場へいらっしゃい!
 

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