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子作り、子育ても自由自在! ピーター・モリニュー氏が語る『Fable2』の世界

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●英国の鬼才が不退転の決意で挑む意欲作

 

 スペインのバルセロナで開催されているXbox 360向け情報発信イベント、X06。その2日目にあたる9月28日(現地時間)に、英国の開発スタジオ”ライオンヘッド スタジオ”のゲームデザイナー、ピーター・モリニュー氏に直撃! ピーター・モリニュー氏と言えば、Xbox用RPG『Fable』を制作した世界でも指折りのゲームクリエーター。今回は発表されたばかりの『Fable2』について熱く語ってもらった。
 

▲9月27日(現地時間)に公開された『Fable2』のムービー。現在、日本での発売は未定となっているが、前作は国内発売されているだけに日本での発売も期待したい作品だ。

 

 

【ピーター・モリニュー氏が語る『Fable2』の世界】
 

●プレイヤーの行動すべてが世界に影響する
 

 ひとつの行程だけで50日以上かかるほど複雑な作業が要求される『Fable2』の開発ですが、今回は我々のビジョンをお話ししようと思います。まずこの作品は当然『Fable』の続編にあたるタイトルです。ふつうは前作の反応を見てユーザーがどのようなものを求めているか調査をし、それらを追加するというやりかたをしますが、我々はそういう方法ではなく、もっとユニークな方法を採っています。また、通常のRPGでは善と悪に分かれてストーリーが進みますが、『Fable2』はそういうアプローチはしていません。非常に意外性があって競合他社とはまったく異なる世界観を持った作品になっています。
 

 この作品を語るとき、”ワールド”、”キャラクター”、”バトル”が重要なキーワードとなります。
 

 まず、ワールドからお話ししましょう。『Fable2』の世界では、プレイヤーはどんな場所にも行けるようになります。お城、刑務所など、本当にどこにでも行ける。ただ、これだけでは当たり前過ぎます。そこで我々は、新しいシステム”ダイナミックリージョン”を採用しました。これはたとえば森の中にキャンプしている人たちがいて、その人たちが強盗に襲われているところを助けてあげる。すると10年後そこに村ができ、20年後には街ができる。逆にプレイヤーがキャンプ地の人たちを皆殺しにしてしまったら? 10年後には村や街ではなく、単なる森に戻っている。つまり自分の行動がゲームの中で10年後、20年後に大きな変化となって表れるのです。これが我々が考えるワールドです。
 

 そしてもうひとつワールドに関して重要なことがあります。今回はゲーム内のすべてのものがプレイヤーの所有物になります。たとえば、家を所有して他人に貸せば家賃が得られる。城を所有すれば城主にだってなれます。また、城を所有している状態で何者かが城に攻めてくるとします。それを城主として倒すか倒さないかで、10年後、20年後がさらに変化するという感じになっています。どうするかはプレイヤーの自由。そういう意味で通常のRPGにある”勧善懲悪”の概念を超えた作品になると自信を持っています。

 

▲インタビュー取材中には残念ながら映像を使ったプレゼンなどは行われなかったが、その分ピーター・モリニュー氏が身振り手振りで『Fable2』をアピールした。

 

●”無条件の愛”がキャラクターテーマ


 続いてキャラクターについてお話しします。キャラクターのテーマは”無条件の愛”。プレイヤーは男性、女性どちらのキャラクターを選ぶことができます。そして結婚して子供を作って育てることもできます。もちろん結婚しても避妊具を使って、子供ができないようにすることもできます。いままでのRPGではプレイヤーキャラクターが妊娠するなんてことはなかったでしょう。もちろん『Fable2』は出産ゲームではありませんよ(笑)。

 子供が生まれると必然的に家族ができます。プレイヤーが家に帰ってくると子供が出迎えてくれるのです。たとえばプレイヤーが誰かを倒して帰ってくると子供は「いい仕事したね」と”無条件の愛”を示してくれる。そして、子供たちにはプレイヤーの行動が反映され、人を殺したりすると子供も悪い影響が出て入れ墨を入れたり、ほかの子供をいじめたりするようになります。つまり家族との関わりかたが非常に重要なのです。たとえば、父親であれば娘への配慮は現実と同じで難しい問題です(苦笑)。娘に変なことをする父親を演じることももちろんできます(笑)。


 また、プレイヤーは貧乏な家庭の場合、たまたま外で見つけたアップルパイをお腹が空いた子供たちのまえで「おいしい、おいしい」と見せつけて食べる、なんて酷いこともできるのです。これも自分が役割を演ずるRPGだからできること。ただそういう行動はすべて子供に影響する。そういう意味で”無条件の愛”がキャラクターのテーマというわけです。


 そしてストーリーにも我々は力を入れています。冒頭のシーンは、鳥が飛んでいるところから始まり、カメラはそれを追いかけます。大空を舞うことで、プレイヤーが世界を支配している感じを受けてくれるだろうと思います。鳥は街に入り、城の上まで来るとフンをします。そのフンはプレイヤーの頭に(笑)。これはプレイヤーキャラクターも平凡なただの人から始まるという意味を込めています。


 キャラクター作成は入れ墨やヘアスタイルなどを自由に決めることができ、髪の毛は伸びるようにもなっています。これが我々の考える”キャラクター”です。

 

●場所によって変わるバトルアクション


 最後はバトルについてです。『Fable』ではたくさんの批判をいただき、失敗したと言ってもいいでしょう。なので『Fable2』ではその経験からバトルを革新的に変えています。まず刀を振り回したりしても何でも切れるわけではありません。振り回して何が切れるかはシーンによって異なります。また、広いスペースにいる場合と壁際ではアクションが当然違ってきます。これはリアル世界でも同じこと。狭いと振り回すことはできません。つまり同じアクションボタンを押しても、いろいろなシチュエーションによってくり出されるアクションが違うのです。た

とえば、ジャッキー・チェンのように狭い部屋の中で戦うとします。その戦闘では椅子やテーブルのような部屋の中の物が武器になるんです。
 

●ゲームデザインを辞める覚悟で挑む!


 『Fable』は自分自身、失敗だったと反省しています。しかし、今回は非常に手応えを感じています。『Fable2』がダメならゲームデザインを辞めようとまで考えています。その自信を裏付けているもうひとつの要素があるのですが、今回はあえてお話ししません。映像などが用意できていない段階でお話ししても「バカバカしい」と相手にされない可能性があるからです。現に企画段階で仲間に話すと、そういう反応が返ってきました。ただ、その要素を入れるこ

とで劇的にイイ作品になると確信しています。この要素については3月に発表したいと思っているので、皆さんご期待していてください。

 

▲ピーター・モリニュー氏の話を聞く限りでは、『Fable2』はプレイヤーにとってのもうひとつの”人生”が楽しめる作品という印象を受けた。勧善懲悪ではないどんなストーリーが展開されるのか、期待大だ。

 

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