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【CEDEC2006】『FFXII』はどのように作られたのか? その秘訣と開発ツールが惜しげもなく公開!!

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●"も〜ちゃん"に"モデルさん"、"えふぇくちゃん"であの大作が作られた!?
 

 2006年3月16日に発売され、現在までに240万本(スクウェア・エニックスの発表)の販売数を記録している『ファイナルファンタジーXII』(以下、『FFXII』)はどのようにして作られたのか? このゲーム開発者ならずとも興味を引かれる話題について公演が行われた。スピーカーは、スクウェア・エニックス研究開発部長で『FFXII』のスーパーバイザーを務めた村田琢氏と、チーフプログラマーの片野尚志氏、開発ツール群の設計に携わった土田善紀氏、ビジュアルアーティストの皆川裕史氏の4人。公演では、『FFXII』の制作に使われた開発ツール群が惜しげもなく公開され、聴講したゲーム開発者たちの注目を集めた。

▲上が村田氏。下の写真の左から片野氏、土田氏、皆川氏。

 

 まずは進行役の村田琢氏が、開発陣が過去の『ファイナルファンタジー』シリーズをどう捉えていたかについて、以下のようにコメントした。
 

 「結果的に240万本を達成しましたが、作る側にとっては相当なプレッシャーでした。『X』と『XI』がプレイステーション2用ソフトとしてすでに発売されており、これ以上どのようにグラフィックの品質を向上させるか? これまではグラフィック品質のためにエンカウントバトルのシステムを採用していましたが、『XII』ではシームレスバトルになったのも課題でした」(村田氏)
 

 村田氏の発言にあるシームレスバトルとは、移動から戦闘が切れ目なしに行われるシステムのこと。エンカウントバトルとは、移動シーンと戦闘シーンのあいだに切れ目が存在するシステムのことだ。このシームレスバトルシステムはどのように実現したのか? この点に関して片野尚志氏が解説してくれた。
 

 「『ファイナルファンタジーX』はエンカウントバトル。クエストと戦闘システムの両者が互いを気にせずに、最大限の品質を追求できました。ところが、『XII』では同じシステムで両者を処理することになります。『X』と同じ仕組みではメモリ不足に陥ります」(片野氏)
 

 メモリとは、CPUが直接読み書きできる記憶装置。この場合はプレイステーション2のメモリを指す。ソフトを起動させる場合、メモリにデータを一時的に記憶させることになるが、その容量は限られている。同時に動かせるシステムには限りがあるのだ。開発陣は、メモリの問題を解決するため、開発ツールにメモリの状態をつねに確認できるシステムを組み込んだという。これにより、メモリに関する問題が比較的容易に解決できたとのことだ。
 

 また、じつは『FFXII』の戦闘システムは完全なシームレスではないという。戦闘中のある局面で時間が停止するようになっており、その停止時間にメニュー操作やコマンド入力を行うことで、戦略的な戦闘が楽しめるのだ。開発陣は初期段階で、さまざまな条件を想定し、どの局面で時間を停止させるのかを徹底的に究明したそうだ。
 

 「問題が発生したときに原因を究明する時間を削減する意識が必要です。企画書だけでは見えてこない隠れた用件を早期に発見することが重要です」(片野氏)

▲こちらはE3 2004で公開された画面。当時はインフォメーション部分がいまよりも大きかった。

 

▲街を移動する画面。開発当初はパーティメンバー全員が表示されていたことがわかる。

 

 続いて、土田氏と皆川氏がどのように『FFXII』のグラフィック品質を向上させたかについて解説した。皆川氏はその苦労を以下のように語った。
 

 「『X』や『XI』の時点ですでにグラフィックは高品質。これらと同じプレイステーション2でどうやって作るのか? またシームレス実現のために、当初考えていたグラフィックリソース(CPUの処理速度やメモリ、ハードディスクの容量など、演算処理に必要なマシンパワー)の半分で作る必要迫られました。さあ、どうする? という感じでした」(皆川氏)
 

 皆川氏たち開発陣は、この困難な目標を達成するために「可能な限り作り込みに時間がかけられる環境を作る」ことを徹底したという。そのために、土田氏らが開発ツールを作った。以下が、公演で紹介された開発ツールだ。

▲テクスチャ(画像)を3Dモデルに貼り付けるなどの機能を持つツール。名前は"モデルさん"。土田氏の命名。

 

▲キャラクターのモーションをチェックするツール。名前は"も〜ちゃん"。土田氏が命名。

 

▲足煙から召喚獣の大技まで、あらゆるエフェクトを作る"えふぇくちゃん"。土田氏命名。

 

▲イベントシーンに演出効果をつける"イベントエディタ"。「これだけ普通の名前なのは、私がつけてないから」(土田氏)とのこと。


 土田氏は、これらのツール群を連携させ、プレイステーション2に接続させた。これはデザイナーから実際のゲーム画面でどのように見えるのかをすぐに確認したいという要望が上がったからだという。制作しながらリアルタイムで確認できる状態にしたことは「絶大な効果があり、プロジェクトを立ち上げたときからいちばんこだわった部分」(皆川氏)だそうだ。

▲Photoshop(グラフィックを描く市販ソフト)とMaya(3Dグラフィックを制作する市販ソフト)も連動させプレイステーション2に接続。Photoshopでグラフィックを描き直すと、すぐに3Dモデルに反映され、モニターに表示される。その間、1秒前後という速さだ。

 

▲ライティング(照明)など、イベントシーンのエフェクト処理もすべてリアルタイムでプレビューできるように環境が整備された。なお、ライティングの方針は、移動とバトルは見やすさを重視。イベントシーンはキャラクターを魅力的に見せることを重視したという。

 

 最後に村田氏がこれからの『ファイナルファンタジー』シリーズのソフト制作について言及し、公演を締めくくった。
 

 「システムの面では、マルチコアに対応しなければなりません。システムを設計するうえで、マルチスレッド(同時に複数の処理を行うこと)をどのように使いこなしていくかが課題になるでしょう。また、ハードの表現能力がさらに上がってきており、手作業で制作していたのでは限界があります。ツールの重要性がますます上がるでしょう。皆さんと情報を共有してどうやっていけばいいのかを考えていきたいと思います」(村田氏)


   

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