【CEDEC 2006】Havokの物理演算がもたらす次世代の表現!
【CEDEC 2006】
●これまでのゲームの常識を覆す表現が可能に!
CEDECはゲーム開発者向けの公演会であるだけに、専門的な内容の公演も多い。ゲーム開発の知識がないと、その内容を完全に理解することは難しいが、そんな専門的な公演のなかにも、非常に興味深いものがある。ここでは、そんな公演のひとつ、Havok社の物理エンジンHavok Spectrum4.0に関するプレゼンテーションを紹介しよう。まずは、その驚異的な映像をご覧になっていただきたい。
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▲通風口から出る煙の動きが物理演算で表現されている。煙を非常に小さな物体に分け、そのすべての動きをシミュレートすることで、自然な表現を実現している。 |
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▲レンガの壁にボールが当たり、壁が崩れる様子。ボールはもちろん、壁を構成するレンガのひとつひとつの動きがシミュレートされ、リアルタイムで映像化される。 |
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▲膨大な数のチェスの駒が落下してきてこぼれ落ちる。この物体の動きもリアルタイムで演算処理されているというから驚きだ。 |
物理演算とは、ゲームの3D空間内の物体の動きをシミュレートして、リアルタイムで映像化すること。以前からゲームに応用されてきたが、本格的に使用するにはハードのスペックが足りなかった。PC用ゲームでは本格的に物理演算が用いられたソフトがちらほら出始め、またプレイステーション3の特徴としても注目を集めている。
Havokは、9年まえにアイルランドに設立された会社で、物理演算を手がけてきた企業としては老舗と言われている。物理演算はそれだけ新しい技術なのだ。同社はこれまでに、さまざまな家庭用ゲーム機とPC向けの物理演算用ミドルウェア(ソフトを作るためのソフト)を提供してきており、150タイトル以上のソフトに応用されている。公演を行ったHavok社の地域ゼネラルマネージャー、ショーン・ボナム氏によると、次世代ゲーム機向けソフトでも、プレイステーション3で25タイトル、Wiiで3タイトル、Xbox 360で30タイトル以上が同社のツールを使って開発されているという。そのタイトルの一部が公開されたが、その中には『ソニック』シリーズや『Halo3』、『ロスト プラネット』などの名前があった。
紹介されたHavok Spectrum4.0は、Havok社がNvidiaと共同で開発したGPU(グラフィックス・プロセッサー。PC内でグラフィックに関する演算処理を行う)で処理できことでる話題になっているHavok FXなど、いくつかのツールによって構成されている。構成の詳細は省くが、物理シミュレーションを行うHavok Physicsは、並列的な物理処理に優れているのが特徴だ。
物理演算では、数多くの物体の動きをシミュレートすることになるが、これをひとつずつ順番に計算したのでは遅くなってしまう。そこで、マルチコアプロセッサー(コアが複数ある)CPUで、動きが干渉しない物体の演算を複数のコアで分担して処理しようというのだ。
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▲並列処理の概念図。複数の補助的なコア(SPU)に処理を分担させることで、物理演算を高速で行う。 |
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▲こちらはプレイステーション3とPCの物理演算の処理速度を示したもの。プレイステーション3の処理速度はコアが3つあるPCと同程度ということになるようだ。 |
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▲こちらはラクドールの"ぶっ飛ばされ遊び"というデモ。200体もの兵士が吹っ飛ぶ様子を物理演算でシミュレートしている。最終的には800体まで可能になるとのこと。 |
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さて、Havok Spectrum4.0でできるのは物理演算だけではない。Havok Spectrum4.0を構成するソフトにHavok Behaviorというツールがある。これは、ゲームキャラクターの行動を制御するソフト。これを使うと、物理演算だけではなし得ない表現が可能になる。たとえば、キャラクターが敵にやられて倒される場合、物理演算だけだと、あやつり人形が倒れるみたいな不自然な動きになってしまうという。これは関節の反発力など、キャラクターの体から発生する力を加味しないからであり、Havok Behaviorを使うことで、キャラクターの動きはより
自然なものに近づくのだ。
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▲キャラクターに向かって右方向から引っ張られている状態を表している。引っ張られる力に反発する力が加味されて、自然なポーズになっていることがわかるはずだ。 |
まさに次世代の表現と呼ぶにふさわしい映像が惜しげもなく公開されたこの公演。Havok Spectrum4.0の実力を知らしめたとともに、それを使って制作されるソフトへの期待を高める内容だった。
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