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浜村弘一氏セミナー、"ゲーム産業の現状と展望"詳細リポート!

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●豊富なデータに基づく分析でゲーム業界を俯瞰

 

 2006年4月7日、都内のエンターブレインで"ゲーム産業の現状と展望"と題するセミナーが開催された。これは、毎年2回(春と秋)にエンターブレインがまとめたゲーム産業に関するデータに基づいて、同社代表取締役社長、浜村弘一氏が行う恒例の講演。今回も多くのアナリストや報道関係者が聴講に訪れた。

▲エンターブレインによるゲーム業界随一のデータと浜村氏の分析によるこのセミナー。アナリストや新聞記者はこの講演を参考にして分析や記事作成を行っているようだ。

 

 セミナーでは57ページに渡るブ厚い資料が配付された。ゲーム業界(おもに2005年度)をさまざまな角度から照らしたデータがびっしり記入されたこの資料、アナリストや報道関係者にとってはまさに宝の山。この資料に基づく浜村氏の分析と予測は、資料以上に興味深い内容だった。
 

 浜村氏はまず、2005年度の概況を説明。それによると、ニンテンドーDSとPSP(プレイステーション・ポータブル)のヒットにより、ハードの販売台数は1002万台(前年比123.2パーセント ※数字は推定。以下掲載するデータはすべて推定)と大きく伸長。ソフトの販売台数も6084万本(前年比107.9パーセント)と好調だった。ただし、ソフトの市場規模は約3091億円(前年比100.8パーセント)と、昨年並みに止まっている。浜村氏によると、これはニンテンドーDS用ソフトなどの単価が安かったから。ハードとソフトを合計した国内市場規模は、約4727億円(前年比109.0パーセント)。ハードが市場を牽引したことにより、2005年のゲーム産業は順調に推移したことがわかる。この傾向はしばらく続き、2007年〜2008年にかけてハードとソフトの比率が交代する時期が訪れ、ここ数年間で最大の活況を呈するという。

◆国内市場規模比較 (単位:100万円)

 

ハード

ソフト

合計

2005年度

(2005年3月28日〜2006年3月26日)

163577

309130

472707

2004年度

(2004年3月29日〜2005年3月27日)

127085

306723

433809

 

 

◆各ハードの累計販売台数

(集計期間:発売日〜2006年3月26日)

プレイステーション2

1919万7777台

ニンテンドーゲームキューブ

396万5737台

Xbox 360

12万3222台

ゲームボーイアドバンスSP

576万1384台

ゲームボーイミクロ

46万3439台

PSP

317万4196台

ニンテンドーDS

613万4314台

ニンテンドーDS Lite

38万4262台


 続いて浜村氏は、2005年度のゲームソフト売上げトップ10のデータを示したうえで、トップ10のうち7タイトルをニンテンドーDSが占めていることを指摘。メーカー別のソフト推定販売数も公開し、2006年度の展望に言及。1位は任天堂で、約1572万本。2位のスクウェア・エニックスの約657万本の2倍以上となる圧倒的な数字だが、浜村氏は「ソフト単価が安いので、本数に比べ利益は薄い。また海外ではPSPとの決着がついていない」とコメント。スクウェア・エニックスに関しては、「(2006年は)『ドラクエ』、『FF』、『キングダムハーツ』という3本の柱の発売がない。海外での販売が支えることになる」と予測した。また、3位のバンダイ(約523万本)について「最近『ガンダム』のタイトルが下降気味。先日(2006年4月6日)発表されたXbox 360のタイトルに期待」と語った。
 

 浜村氏は今年注目しているゲーム企業グループとして、3つを挙げた。ひとつは、コナミ、カプコン、ナムコ、セガといったアーケードゲームにも強いグループ。これは「アーケードで基板を作っているので、ハードの転換期に強い」(浜村)ため。さらにタカラトミーにインデックスを加えたグループのキャラクターもの、ドワンゴ、元セガの中山氏が率いるマーベラスエンターテイメントとAQインタラクティブにも注目だという。

▲バンダイナムコに関しては、バンダイのプロデュース力とナムコの技術開発力が組み合わさったという点で、スクウェア・エニックスの成立に似ているとの発言も。

 

 ここまでは、資料に則った講演内容だっかたが、ここで資料に掲載されていない分析が述べられた。これは、2006年度に発売されるソフトの販売数を5段階評価で予想したもの。その詳細を公開することはできないが、浜村氏は「2006年はソフトハウスにとって試練の年になる。5月にプレイステーション3が出ると予想していたソフトハウスは、それを避けるために3月、4月に前倒しでソフトを発売している。回復するのは秋以降になる」と全般的な傾向を予測した。
 


●「今後は2極化しながら一元化していく」(浜村)


 続いて浜村氏は携帯ゲーム機、次世代ゲーム機に言及。まず携帯ゲーム機に関しては、2005年に大ヒットとなったニンテンドーDSを俎上に上げた。

◆2005年度 携帯ゲーム機の国内ソフト販売数

ゲームボーイアドバンス

573万1992本

ニンテンドーDS

1847万4181本

PSP

455万7194本

 

▲ニンテンドーDSの現在(2006年3月26日)までの累計販売台数は約651万9000万台。浜村氏は『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』が販売のピークになると予測。同ソフト発売の時点で約1050万台、2007年末には1450万台に達すると見る。

 

 "ニンテンドーDSはなぜ売れたのか?"、この問いに浜村氏は「任天堂には3つのフェイズ(局面)の戦略があったと思う」と述べた。第1フェイズは2005年4月頃で、これは「Touch Generations!で新規層を取り込む」(浜村)が目標。低コストのソフトにより団塊ジュニアなどの"ゲームに対する拒否反応"を説いた戦略は、優秀な作戦だったという。第2フェイズは2005年末。「ニンテンドーDSを手に取った人にいわゆる"ゲーム"を遊んでもらい、リピーターにする」(浜村)というのが目標だという。この時期に発売されたのが『おいでよ どうぶつの森』や『マリオカートDS』だ。そして、それに続く第3フェイズが、まさに今期(2006年4月以降)。これまでニンテンドーDS用でヒットしたタイトルは任天堂のソフト(例外はバンダイの『たまごっちのプチプチおみせっち』)だけだったが、これでは増加したユーザーの需要を満たせない。今後はサードパーティのソフトを売ることが求められる。これによりニンテンドーDSはプラットフォームとしてさらに大きなものになると言う。
 

 一方、PSPに関して浜村氏は、「発売が早かった。ソフトメーカーがいつ発売されるかわからなかった時期に、急に発表し発売してしまった。そのため、ロンチ(立ち上げ)は移植ものが多く、それもすぐに途切れてしまった。負のスパイラルに陥った」と、ニンテンドーDSに遅れをとった原因を分析。そのうえで、「しかし、ここにきて『モンスターハンター ポータブル』が急激な伸びを見せた。PSPの特徴であるネットワークを楽しみに買った人が多く、好例になった」とコメント。今後はかつてプレイステーションが示した販売台数の推移と同じような曲線をたどるという。海外では、PSPとニンテンドーDSの販売台数は拮抗しており、浜村氏は「まだ混沌としている。PSPは値下げが起爆剤に、ニンテンドーDSは"Touch Generations!"がどこまで通用するかがカギとなる」と、シェア争いの行方に留保をつけた。

▲PSPの現在(2006年3月26日)の販売台数は約317万4000万台。浜村氏の予想によると、今後の販売台数は2006年末に約490万台、2007年末に670万台に達するとのこと。

 

 浜村氏は、2006年最大のトピックひとつである次世代ハードについても言及。まず、Xbox 360に関して、約12万3000台現在(2006年3月26日)の販売台数を示し、「これは前機種のロンチに満たない」とコメント。その最大理由として「雰囲気が作れなかったこと」を挙げた。今後巻き返すためには、「『ブルードラゴン』がミリオン(100万本)ヒットになるかどうかがポイント」(浜村)とのこと。そのため条件は年末までに最低でも50万台売れていなければならないと言う。なお、Xbox 360の米国での販売状況に関して、浜村氏は「マイクロソフトが言うほど売れていない。これは深刻な供給不足によるもので、欧米のソフトハウスは大損をしている」と語った。
 

 プレイステーション3については、2006年3月15日に開催されたPS Business Briefing 2006 Marchで発表された情報に注目し、「ソニー・コンピュータエンタテインメントは"世界同時"にこだわっていると感じた。これはソニーにとっての命題で、日米だけでは開発コストを回収できない」(浜村)とコメント。なお、ソフトに関しては「実際に開発に入っているタイトルは少ないようだ」(同)という。レボリューション(コードネーム)は、「もともとクリエイターには人気があったが、経営者には不人気だった。ところが、ニンテンドーDSのヒットで経営者にも人気が出てきた」(浜村)とのこと。
 

 そして次世代ハード全般に関して注目発言! 浜村氏は、アンケート結果などから「今後ますます、オンラインゲームなどを楽しむコアなユーザーと、カジュアルなゲームを好む層に2極化していく」と考察。コアな層は据え置き型のゲーム機を、カジュアル層は携帯ゲーム機を好むことから、「次世代では据え置き機をベースステーションにして、取り込んだ携帯機にソフトを移すような連動もあり得る」と発言。「2極化しながら一元化していく」という流れができるという。

▲セミナーでは、アンケート結果も多数公開された。こちらはゲームをしなくなった理由について尋ねたアンケートで、"時間がなくなった"という答えが最多の票を獲得。

 

 現状の詳細な分析と、それに基づく大胆な予測で、浜村氏によるセミナーは今回もアナリストや報道関係者の注目を大いに集めた。残念ながら一般の方は聴講できないが、次回以降もリポートをお届けするので、お楽しみに!
 


※エンターブレインの公式サイトはこちら


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