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『FF』コンサート"VOICES"開催! オーケストラだけじゃない多彩なプログラムで観客を魅了

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●『ファイナルファンタジーXII』の体験コーナーとトークライブが華を添えた

 

▲全席前売りだったのにも関わらず、開場まえには行列が! なお、チケットは販売開始後30分でソールドアウトしたという。

 2月18日、神奈川県のパシフィコ横浜、国立大ホールで、『ファイナルファンタジー』シリーズのコンサートが開催された。これは、スクウェア・エニックスが主催、同シリーズの音楽を担当する植松伸夫氏が制作総指揮を担当したオーケストラコンサートで、ファンにはおなじみの催し。今回は、"VOICES music from FINAL FANTASY"というタイトルで、"歌声"がテーマ。オーケストラだけじゃないちょっと変わった趣向で行われた。
 

 まずは開演まえの様子からお伝えしよう。開場時間が開演2時間まえの午後4時と早かったのだが、それもそのはず。会場には、3月16日に発売を控えたプレイステーション2用ソフト『ファイナルファンタジーXII』の体験コーナーが! 広々としたスペースに、50台もの試遊台がずらりと並び、観客の入場を待っていたのだ。コンサートの開演まえに『ファイナルファンタジー』の世界に浸ってもらおうというスクウェア・エニックスの粋な計らいだ。

▲体験できたのは、イベント用の特別バージョンで、指示されるクエストをクリアーするというもの。イベントシーンは観られなかったが、バトルは十分に堪能できた。なお、プレイ時間は10分。

 

▲サントリーとのコラボにより制作された清涼飲料"ポーション"の試飲コーナーも。記者もひと口いただいたところ、ミントの香りが効いたさわやかな飲みごこちだった。さまざまな香料が配合されると聞いていたので癖のある味を想像していたのだが、これなら誰もが好き嫌いなく飲めそうだ。

▲この日だけの限定販売Tシャツやパンフレット、音楽CDが買える物販コーナーも大人気だったのだが、コンサート終了後にこの物販コーナーでちょっとしたサプライズが。どういうサプライズかは、記事を最後まで読んで確認してほしい。

 

 ステージは午後6時ジャストに開幕したのだが、またしてもうれしいオマケが用意されていた。『ファイナルファンタジーXII』のボイスアクターによるトークライブが行われたのだ。登場したのはヴァン役の武田航平、パンネロ役の三国由奈、アーシェ役の園崎未恵、バッシュ役の小山力也、フラン役の深見梨加の5人のアクターと、サウンドトラックを担当している崎元仁氏。以下、それぞれの印象的なコメントをお届けする。
 

武田航平
(ヴァン役)

『ファイナルファンタジーXII』はボクの青春をかけた作品。これだけ待っていただいたので、いいものに仕上がっていると思います。現場のスタッフの気持ちもたっぷり入っているので、1本と言わず2、3本買ってください!

三国由奈
(パンネロ役)

電車内やコンビニで広告を見るたびに、もう発売が迫っているんだなあ、と実感しています。あと、私もこの作品に青春をかけたんですよ(笑)。

園崎未恵
(アーシェ役)

長い時間をかけて丁寧に作った作品です。これだけの大きな作品に重要な役で出さしてもらって、ファンのみなさんとスタッフに感謝しています。

小山力也
(バッシュ役)

CMのナレーションで「全世界待望」というセリフを言ったんですが、本当に"全世界待望"です。乞うご期待!

深見梨加
(フラン役)

ウェブサイトの声優紹介に、私だけベテランって書かれてたのが気になっているんですが……。私も青春、かけました(笑)。今日は、このすばらしい空間ですばらしい音楽を堪能してくださいね。

崎元仁氏

たいへんな意欲作です。楽しくて遊びやすい作品なので、ぜひ買ってください!

 

 ソフトの体験コーナーとトークライブだけでも十分にお客さんが呼べる内容なのだが、ここまではあくまでもオマケ。横浜港に面した開場の外は、すでに美しい夜景が広がっていたが、ファンにとって長く楽しい夜は始まったばかりだったのだ。
 


●豪華ゲストの歌に加え、『FFVI』のオペラの再現も! 植松さんも納得の"伝説のステージ"に!!
 

 ボイスアクターが退場したのち、交代でステージに立ったのは26人の混声コーラスが加えたプリマビスタオーケストラ。この日のために結成された楽団だ。総勢80人近くのフルオーケストラがずらりとステージに並んだ様は壮観のひと言。そして開始を告げるブザーが鳴り会場が静まりかえると、コツコツと靴音を響かせて指揮者のアーニー・ロス氏が登場。指揮棒を振ると同時に、幻想的なハープの音色が響き渡り演奏がスタートした。曲名は『プレリュード』。シリーズを通して使われている、ファンにはおなじみのあの曲だ。
 

▲こちらは2曲目に演奏された『Liberi Fatali』(『ファイナルファンタジーVIII』より)。打楽器が作る速いテンポに合わせた、緊迫感あふれるコーラスの歌声が印象的。聞いている者をドキドキさせる曲だった。なお、撮影が制限されていたため、残念ながら写真をお見せできるのはこの曲だけだ。

 

 2曲目、3曲目とオーケストラによる演奏が続いたあと、ステージに植松氏が登場。スクウェア・エニックスの広報担当、片山理恵子氏ともに軽快なトークを披露した。

▲植松氏、片山氏ともに和服で登場。なお、片山氏の着物は、"VOICES"のイメージカラー、緑に合わせたものだとか。

 

植松伸夫氏(以下、植松) 昨日は雪が降ってたけど、今朝になったら雪がどっかに"ユキ"ましたね(笑)。
 

片山理恵子氏(以下、片山) ……。
 

植松 去年は日本でコンサートができなかったので、今日はツール・ド・ジャポン以来、2年ぶりの"FFコンサート"になります。スペシャルゲストも大勢来てますよ!
 

片山 まさにプレミアム!
 

植松 プラネタリウム(笑)!
 

片山 それはちょっとスベッってますよ……。
 

植松 今日は遠くから来てくれた方もいらっしゃるようですね。
 

片山 海外からいらした方は?
 

数名の観客が手を上げる
 

植松 ボクは英語もオーケーなんです。You came from England,Right?
 

観客 はい(日本語で)。
 

会場、大爆笑

 

 用意した冗談よりもアドリブが受けてしまった植松氏だが、このあともたびたびステージに登場。その都度、冗談を交えたトークで和ませてくれたのだ。


 4曲目までオーケストラによる演奏が続いたあと、5曲目にRIKKI、7曲目に白鳥英美子と、ふたりのスペシャルゲストが登場。それぞれ『素敵だね』(『ファイナルファンタジーX』より)、『いつか帰るところ 〜Melodies of Life〜』(『ファイナルファンタジーIX』より)という歴代シリーズのテーマソングを熱唱。奄美大島の島唄の歌手であるRIKKIは、現在妊娠中とのことだが、この日はそれを押して出演。本調子ではない様子だったが、気持ちの入った歌声を聴かせてくれた。そして、デビュー35周年を迎えた白鳥英美子の歌声に観客が聞き惚れたあと、20分の休憩。その後、第2部がスタートした。
 


●圧巻のパフォーマンスで魅せたアンジェラ・アキに、ファン感涙のオペラ、そしてThe Black Magesが真のアンコール!
 

 第2部は、第1部以上に多彩なプログラムが続いた。2曲目までのオーケストラ演奏に続いて、3曲目にオペラ歌手の増田いずみが『石の記憶 〜Distant World』(『ファイナルファンタジーXI』オープニングテーマより)を披露。RIKKIと同じく身重の体とのことだったが、それを感じさせない澄み切った歌声で観客を魅了した。

 

 続いて、ステージにアンジェラ・アキが登場。『Eyes On Me』(『ファイナルファンタジーVIII』より)と『Kiss me good‐bye』を披露したのだが、このピアノの弾き語りによる2曲がすごかった! ときに繊細に歌い聴く者を切なくさせ、また、ときに声を振り絞って聴く者の感情を大きく揺さぶるそのパフォーマンスは圧巻。個人的な感想だが、日常的でありふれた生活のなかで見い出す、哀しみとか、希望とか、そんなものを想起させる歌声だった。植松氏は「アンジェラ・アキさんは、今年のJポップの台風の目になるよ!」と語っていたが、会場に居合わせた観客の多くが、同じ感想を持ったことだろう。

▲全プログラム終了後の舞台あいさつの様子。左から白鳥英美子、RIKKI、増田いずみ、アンジェラ・アキ。

 

 続いて6曲目は、オペラ『マリアとドラクゥ』。『ファイナルファンタジーVI』で、主人公ロックの敵だった女将軍セリスが、ロックへの切ない思いをマリアという役柄に託して歌う『ファイナルファンタジー』シリーズのなかでも名場面中の名場面だ。「おぉ〜、マリア〜」で始まるこの名曲を聴けば、そのシーンを思い出すという人も多いはず。これを太田悦世(メゾ・ソプラノ)と渡辺澄晃(テノール)、小田川哲也(バス)という3人のオペラ歌手が完璧にに再現。かつてツール・ド・ジャポンの最後の曲として演奏され、ファンのあいだで話題となった演目が再演されたわけだ。会場は10代後半から20代の若い来場者が多かったが、さすが『ファイナルファンタジー』ファン、この名場面を知っている人がほとんどのようで、終了後、大きな拍手で熱演に応えていた。
 

 プログラムはここで一応、終了。お約束のアンコールとなった。まずはオーケストラによる『スウィング de チョコボ』。チョコボのテーマ曲をスウィング('30年代に流行したジャズの一種。金管楽器によるビッグバンドにより演奏される) 風にアレンジしたもの。重厚な音を響かせていたオーケストラが、一転して軽快なリズムを奏でる様がおもしろく、演奏が始まると同時に会場から「ぷっ」と吹き出す声が、そこかしこから起こっていたのだ。
 

 そしてアンコールの2曲目にThe Black Magesが登場! 演奏した曲は『片翼の天使』(『ファイナルファンタジーVII アドベント・チルドレン』より)。タイトルではわかりにくいかもしれないが、セフィロスが登場するときにかかる曲と言えば、おわかりだろう。この曲を植松氏とスクウェア・エニックスのスタッフによるバンドメンバーがまさに"熱演"。オーケストラコンサートにヘビーメタルというのも変わった取り合わせだが、やはりロックは魂の音楽! 会場のボルテージは最高潮に達し、総立ち状態になったのだ。演奏終了後、拍手は鳴りやまず……。
 

 すると、ここで終了のはずがハプニングが起こった。なんと、"真の"アンコールが演奏されたのだ。曲はふたたび『片翼の天使』。同じ曲を演奏したのだから、これこそまさに予定なしのアンコール。本当に鳴りやまない拍手に応えて、植松さんが決断したという。来場者が喜んだのは言うまでもない。報道陣もここぞとばかりにカメラのシャッターを切っていた(この曲に関しては、撮影禁止と言われていなかったので)。
 

▲ギタリストが客席に飛び降りて演奏する場面も。観客は興奮のるつぼに!

 

 こうしてコンサートは終了したが、帰ろうとする来場者にさらなるうれしいサプライズが待っていた。物販コーナーに植松氏が登場し、購入者に商品を手渡ししてくれたのだ。物販コーナーはたちまち黒山の人だかりになり、商品はあっという間に売り切れてしまったのだ。

▲疲れているはずなのに、ひとりひとり握手を交わす植松氏。ファンはいい思い出になったはずだ。

 

 終了後、植松氏は記者の質問に応えて以下のように語った。
 

 「いやー、すばらしかったですねぇ。今回は歌ものに焦点を当てたんですが、飽きがこなくてよかった。オーケストラの演奏だけだと眠くなっちゃう。帰っていくみなさんの表情が成功を物語ってますよね。The Black Magesの演奏は、ある意味実験です。オーケストラの打楽器というのは低音の色合いを描いていく楽器。ロックのリズムは前に進めていくものなので、キャラがかぶってない。ロックのリズムで進めながら、オーケストラで色合いをつけていく、そういうことができるんじゃないかと思っています。まだ完成形じゃないですけどね。まあ、いろいろと企んでますよ」(植松)
 

 植松氏の言葉からも、今回のコンサートがどれだけ成功したかがわかる。これまで数多く行われてきた『ファイナルファンタジー』のコンサートのなかでも、来場者の満足度という点でもっとも成功したステージだったのではあるまいか。

 

 

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