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【D.I.C.E.リポート】任天堂レジー・フィザメイ氏や『ゴッド・オブ・ウォー』のジャフィー氏が講演

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●世界のクリエイターがエンターテインメントの街に集結! 

 


 2月9日(現地時間)、米国ラスベガスでデザイン・イノベート・コミュニケート・エンターテイン(D.I.C.E.)サミット2006が開幕した。華やかなショーとギャンブルで知られるこの街で毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演は今年で5回目を迎える。講演はすべて英語。日本語での同時通訳はなしということで、3月に開催されるGDCと比べると日本のゲームクリエイターの参加は多くはないが、英語圏を中心に世界各国からのクリエイターが参加。最新情報の収集や交流の場として定着している。

 

 なお、初日の9日にニンテンドー・オブ・アメリカのレジー・フィザメイ氏が講演を行うことで、2006年中に発売予定の次世代ハード、レボリューション(コードネーム)に関する何らかの情報が出る可能性があり、大いに注目が集まっていた。

▲"砂漠の不夜城"と言われるラスベガスは夜でもきらびやかな光が街を照らしている。テーマパークのような巨大ホテルが立ち並び、全米や海外からの観光客を魅了している。近年は住宅の建設ラッシュが続き、仕事をリタイヤした人などが好んで住むようになったという。

 

▲会場はラスベガスの中心地から離れたグリーン・バレー・ランチ・リゾートという瀟洒なホテル。中心地のホテルとは打って変わって、コロニアル風(スペインやイギリスなどがかつて統治していた植民地風)の古き良き時代のたたずまい。タクシーのドライバーに聞いたところ、地元の人が好んで訪れるという。


●「我々が市場を拡大できなければ、ゲーム産業はゆっくりと死に向かうだけだ」(フィザメイ氏)

 初日の2月9日には6つの講演(7つの予定だったが、当日になり6つに変更)が行われたが、その先陣を切ったのがニンテンドー・オブ・アメリカ上級副社長、レジー・フィザメイ氏。タイトルは"Expanding the Market for Interactive Entertainment(ゲーム市場の拡大)"だ。


▲レジー・フィザメイ氏と言えば、2004年のE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)でのニンテンドーDSの発表が思い出される。思えば、ニンテンドーDSの大成功はあのときの発表から始まったのだ。

 

 フィザメイ氏はまず、3つのデータを提示して2005年の米国でのゲーム市場を分析した。ひとつは、前年度に比べ市場全体が6パーセント成長していること。ふたつ目は、ニンテンドーDSとPSP(プレイステーション・ポータブル)の販売が拮抗していること(どりらも14万台前後の販売台数)。3つ目は、前年に比べ据え置き型ハードの売上が14パーセント減、携帯型ハードの売上が88パーセント増だったこと。これらのデータから、フィザメイ氏は「ポータブルのハードとソフトが市場を牽引した」とコメント。

 

 続けてフィザメイ氏は、日本でのTouch! Generationsシリーズの成功に関し、「我々は従来からのユーザーだけでなく、新たなユーザーの獲得にも成功した」とコメントしたうえで、北米市場で『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』と『やわらかあたま塾』をそれぞれ『BRAIN AGE(ブレイン・エイジ)』(4月17日発売予定)、『BIG BRAIN ACADEMY(ビッグ・ブレイン・アカデミー)』(5月30日発売予定)というタイトルで発売することを改めて発表(すでにニンテンドー・オブ・アメリカが1月30日に発表済み)した。フィザメイ氏は、両タイトルに関して「合わせて250万本の販売を達成しており、まだ販売本数を伸ばしている。これまで携帯ゲーム機に触れようとしなかった中高年が手に取るようになった」とコメント。北米での成功に自信を表した。

 

 さらに、北米地域の駅やゲームショップ、マクドナルドにWi-Fiコネクションへの接続ポイントを設置して、体験版のダウンロードサービスを開始することも明らかにされた。日本ではすでに行われているサービスだが、北米地域でのサービスはこれまで未発表だった。北米のニンテンドーDSユーザーにはうれしいニュースだったはずだ。

 

 ここで、フィザメイ氏は話題を転換。2月6日づけのニューヨークタイムズを引用し、「コアユーザーはたった21パーセントにすぎない。79パーセントはコアユーザー以外だ」とコメント。また、米国の10歳から14歳までの男子が減少傾向にあることを示したうえで、以下のように語った。
 

 「もし、我々が市場を拡大できなければ、ゲーム産業は少しずつ死に向かうだけである」(フィザメイ)
 

 これまでに岩田聡社長らが語り続けてきた任天堂の基本戦略に沿った発言ではあるが、より強い言い回しになっており、決意の固さがうかがえる。このような決意のもとに。フィザメイ氏は、今年の目標として以下の5項目を挙げた。

1. プライズに注目する

ゲームはエンターテインメント。きれいな絵を描くことよりも、広い意味でのエンターテインメントとして成立させる。

2. 最大多数のユーザー層に力を入れる
コアなユーザー層だけでなく、広範なユーザーにアピールする

3. 新たなユーザーにそっぽを向かれるのを阻止する
価格や内容の点で、多くの人に満足してもらう

4. 革新。でなければ死だ
開発費のリスクを避けて革新を断念するか、革新を目指して開発費のリスクを背負うかという選択を迫られた場合、任天堂は迷わず開発費のリスクを背負う

5. "アイデアの民衆化"を確立する
いいアイデアのゲームは多額の宣伝費をかけなくても市場に受け入れられるべきだ。宣伝費が市場を支配するのではなく、すべてのアイデアが"民主的に"ユーザーの目に触れるような環境を確立する

 

 

 この5つの目標に沿った具体的な施策として、フィザメイ氏は先に述べたニンテンドーDS向けのダウンロードステーションの設置と、Wi-Fiコネクションに対応したニンテンドーDS用ソフト『メトロイド プライム ハンターズ』の北米地域での発売、ニンテンドーDS Lite の発売、そしてレボリューション(コードネーム)の発売を挙げた。
 

 注目のレボリューションに関しては、価格や発売日、未発表の機能に関する発表は残念ながらなし。今回は、以下の参入メーカーが発表された。

■レボリューション(コードネーム)への参入メーカー
 

セガ
スクウェア・エニックス
ナムコ
アクティビジョン
THQ
Ubiソフト
エレクトロニック・アーツ
(発表順)

 

 最後にフィザメイ氏は、以下のようにコメントし講演を締めくくった。

 「今日、私がお伝えしたかったメッセージは、ゲーム業界として成長することを当然と考えてはいけないということ。業界にいるもの全員が、いまゲームをしているユーザーだけでなく、ゲームをしていない人にも浸透させるという挑戦に立ち向かうべきだということです。この会場にいらっしゃるすばらしい才能をお持ちの皆さん、ぜひこの大きな挑戦に参加して下さい!」(フィザメイ)

 

 会場に詰めかけた世界のクリエーターは、フィザメイ氏の呼びかけに盛大な拍手をもって応えた。 

 

▲別の講演を聴いていたフィザメイ氏。自身の公演中の厳しい表情とは打って変わって、リラックスしたようす。なお、手にしているのは週刊ファミ通2月24日号だ。



●『ゴッド・オブ・ウォー』のデビッド・ジャフィー氏がプレイステーション3の価格と発売日を発表!?

 

 レジー・フィザメイ氏と並んで多くの注目が集まっていたのは、プレイステーション2用ソフト『ゴッド・オブ・ウォー』のゲームデザイナー、デビッド・ジャフィー氏の講演。『ゴッド・オブ・ウォー』は、ギリシャ神話を題材にしたアクションゲーム。海外で非常に高い評価を受けており、今回の講演は報道陣よりもゲームクリエーターからの注目が集まった。講演終了後、9人のクリエーターが質問に立ったほどだ。

 

 ジャフィー氏は、衝撃の発言で講演をスタートさせた。

 

 「今日、自分に許可されたことは非常に驚くべきこと。それは、今日ここでプレイステーション3の価格と発売日を発表させてもらえることだ(笑)」(ジャフィー)

 

 もちろんこれは冗談。会場は大爆笑だった。ジャフィー氏は話の随所に冗談を織り交ぜ(ただしブラックジョークが多く、そのほとんどはここでは書けない)、非常に早口でまくし立てる。その話しっぷりは、講演というよりは芸人のトークライブといった感じだったのだ。

 

 会場の笑いが収まるやいなや、ジャフィー氏は以下のように語り始め、『ゴッド・オブ・ウォー』を作り終えたいまだから話せる"ここだけの話"をスタートさせた。

 

 「数年まえ、いまの業界では珍しいことだが、多くの資金と時間とチームを与えられて、自分が作りたいゲームを開発する機会を得た。4年まえにも同じような機会を与えられたが、不安と懸念から生まれたゲームだったため、大失敗に終わった。今回はそれをくり返さないために、いつも自分が作りたかったものを作ろうと思った。今日はこの経験を経ていくつか考えていることをお話したい」(ジャフィー)

 

 ジャフィー氏がこのゲームで目指したものは、幼いころに見た映画『インディー・ジョーンズ』で得た興奮と感動。ただし、プレイヤーがインディー・ジョーンズになるのではなく、映画を見た子供の感動と同種の経験を、ゲームで実現させたかったのだという。そのために、『ゴッド・オブ・ウォー』は意図的に短く作られている。子供が集中できる長さになっているのだ。

 

 「20時間も費やすゲームは好きではない。4〜10時間で終わるゲームは消化しやすいし、デジタル配信というすばらしい手段にも向いている」(ジャフィー)

 

 ジャフィー氏は、ゲームのボリュームをコンパクトにするに際し、「せっかく作った部分を削られたスタッフが不満に思うこともあっただろう」と語った。しかし、「ゲームがつまらなくなっては意味がない。ゲームデザイナーとして、つねにユーザーのために戦わなくてはならない」のだという。

 

 また、ジャフィー氏はゲームと映画の関係について以下のような発言もしている。

 

 「有名監督が作った映画のようなゲームを作りたいというクリエーターがいるが、どうしてみんな同じ事をやりたがるのかわからない。創造性に富んでいて、しかも楽しいゲームも作れるはずだ。映画ではこれがたやすく実現でき、しかも商業的にも成功している。おそらくゲーム業界には、こうした才能を育てる土壌がまだできていないのだろう」(ジャフィー)

 

 補足すると、『ゴッド・オブ・ウォー』は、敵との戦闘やジャンプしたり物体を動かしたりといったアクション要素が、とことん計算し尽くされたゲームである。もちろんしっかりとしたストーリーも存在し、各所にムービーも挿入されるが、その醍醐味は映画的なドラマ性や演出よりもアクションそのものにあることは間違いない。ジャフィー氏はシネマチックな手法に頼ることに警鐘を鳴らし、ゲームならではの手法をもっと重視すべきだと言っているのだ。

 

 さらに、ジャフィー氏の矛先はソフトの知的財産所有権に向かった。発売メーカーがすべての権利をもち、クリエーターにはなにも残らない、いまのゲーム業界のありかたに疑問を呈したのだ。

 

 なお、『ゴッド・オブ・ウォー』の続編に関し、ジャフィー氏は「頼まれても作ろうとは思わない」と、きっぱりと否定。やや残念な気もするが、ジャフィー氏がそれだけ創造性を大事にしているということでもある。『ゴッド・オブ・ウォー』とはまた違ったジャフィー氏の次回作に期待する。

 

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