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英国大使館主催のセミナー、"プレイUK 2006"でプレイステーション3用ソフトのデモ映像が!

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●開発中のプレイステーション3用ソフト『Redwood Falls』も飛び出した!
 

 イギリス大使館が、自国のゲーム関連企業をアピールするセミナーを開催した! 本日(2月7日)、都内の会場で、駐日英国大使館、英国貿易投資総省主催のセミナー、"プレイ UK 2006"が行われたのだ。これは`98年から毎年行われている、日本のゲームメーカー向けに英国のゲーム関連企業の技術やコンテンツ、開発ツールなどを紹介するという催し。今回は、ゲーム開発会社や制作ツールのメーカーなど6社が参加した。

▲まず、駐日英国大使館商務部のロビン・オードスミス1等書記官が壇上に立ち挨拶。英国は、米国、日本に次いで世界第3位のゲーム生産国であることなどを述べた。

▲続いて、アジア太平洋市場に明るい貿易コンサルタント、ケビン・コールマン氏がスピーチ。日本と英国の商慣習の違いなどについて語った。

 

 なかでも興味深かったのが、クジュウ・エンターテイメントのプレゼンテーション。開発中のプレイステーション3用ソフトのデモ映像が公開されたのだ。発表者は、同社のクリエイティブ・ディレクター、タンクレッド・ダイク・ウェルズ氏。同社は`89年に設立されたゲーム開発会社で、販売業務を行わない開発会社としては、英国最大の企業だ。
 

 これまでにプレイステーション2用ソフト『コール・オブ・デューティ ファイネスト・アワー』(日本ではカプコンから発売中)や『アイトーイ:プレイ3』(日本では未発売)、『パイロットになろう!』(マーベラスインタラクティブとの共同開発、日本ではマーベラスインタラクティブから発売)、ゲームキューブ用ソフト『突撃!! ファミコンウォーズ』(任天堂から発売)など、21タイトル(`98年以降)のソフトを開発している。ウェルズ氏は、『コール・オブ・デューティ』や『突撃!! ファミコンウォーズ』などを開発した実績から「我々は日本向けのソフトを開発する能力があることをすでに証明している」とコメントしたのち、プレイステーション3用ソフトを開発中であることを発表。そのデモ映像を公開したのだ。
 

 『Redwood Falls』というタイトルのそのデモ映像は極めて衝撃的だった! 以下、多少暴力的な表現が含まれることを、あらかじめお断りしておきたい。

 ゲームはFPS(ファーストパーソン・シューティング、1人称視点のシューティング)で、画面には敵らしき人物がひとり。この人物がリアルなことにまず驚かされる。のちにうかがった話によると、皮膚を透過した光が映す内部や、逆に反射した光を再現しているという。この敵らしき人物を銃で撃つわけだが、人物の体が破壊される表現が極めて生々しい。肉がはぎ取られ、骨がむき出しになる。同じ部位を何度も撃つことで体の一部が損なわれる。破壊されることによって、その人物の体が内部まで完全に再現されていることがわかるのだ。

▲顔を撃った場面は思わず目を背けたくなるほど。会場からは「うわっ」っという声があちらこちら聞こえていた。なお、実際はハイビジョン対応の高画質で作られているものの、今回はノートPCの画面をスクリーンに投影していた関係で、画質が落ちている。

 

 体のいたるところを破壊された人物は倒れることなく、なんと破壊された部位が再生されていくのだ。そして、完全に再生されきって元どおりの体になったところで、デモ映像は終わった。セミナー終了後、映像を作ったウェルズ氏に話をうかがった。
 

--非常に衝撃的な映像でした。
 

ウェルズ氏 今回は我々の技術を見てもらうのが狙いだったんだ。残虐な表現と受け取られるのは懸念していたんだけど、人体を完全に再現していることを知ってもらうには、ああするしかなかったんだ。
 

--人体を完全に再現しているとは?
 

ウェルズ氏 この映像では、皮膚を透過した光が映す内部や、逆に反射した光を再現している。しかも内部骨格を完全に再現している。人体の表面と内部骨格の動きを、2重にモーションキャプチャーしているんだ。当然、内臓を再現して、撃ったときに内蔵をぶちまけるような描写もできたんだけど、今回はやらなかった。あまりリアルにしすぎるのも考えものだしね。
 

--『Redwood Falls』はどんなゲームになるのでしょう?
 

ウェルズ氏 現時点では、あまり詳しくは言えないけど……。まだパブリッシャー(発売メーカー)が決っていないからね。今後、パブリッシャーの意向でゲームがどう変わるかわからない。いま言えることは、このゲームのテーマは"破壊"じゃなくて"再生"だということ。始めはデモで見せたように元に戻るだけだけど、ゲームが進むとより強化された体に再生されるようなことも考えている。骨が伸びて刀のような武器になったりね。このゲームでは、敵の細胞のひとつひとつがAIを持っていて……。うーん、これ以上は秘密かな。
 

--日本では、一部の地方自治体によるゲームソフトの有害図書指定が問題となりましたが……。
 

ウェルズ氏 ゲームの表現については重く受け止めている。このゲームをパブリッシャーに売り込みにいっているんだが、そこでもつねに話題に上っているよ。協議を重ねて、表現の線引きをしていくよ。
 

--では、発売日は……。
 

ウェルズ氏 パブリッシャー次第だね。製品化されるのを楽しみにしてよ。


▲突然インタビューを申し込んだにも関わらず、快く応じてくれたウェルズ氏。


 ほかにも、興味深い内容のプレゼンテーションが。ジェネメーション社のジョン・ビックレーCEOは、次世代ハード向けのミドルウェア(ソフト開発ツール)、"GenHead"と"GenCroud"を紹介。ビックレー氏は次世代ゲーム機のソフト開発には、これまでにくらべ50パーセント増の人件費が必要になることを説いたうえで、「とりわけ多くの顔グラフィックを必要とする欧米で人気のスポーツゲームの分野では、スキルが不足している。だからこそ、優秀な顔グラフィック用のツールが必要」と発言。2Dの写真2枚から、短時間で3Dの顔グラフィックが作成できる"GenHead"で、実際に顔グラフィックの制作を実演した。"鼻の頂点"や"眉毛の端"など、ソフト上で指定される部分を、写真上で指定していくだけで、ソフトが写真のデータを3D化してくれるのだ。ビックレー氏によると、「1時間程度操作を覚えれば、10分〜15分で顔グラフィックが作れるようになる」という。いっぽう、"GenCroud"は3Dの顔グラフィックを変形させるツールで、表情を変えるのはもちろん、性別や人種を変更することも可能。こちらは、どのように変形させるのかを指定するだけで、瞬時にグラフィックが完成する。

▲上が"GenHead"で顔グラフィックを制作しているところ。下は"GenCroud"でグラフィックの表情を変えているところだ。

 

 また、ケンブリッジ・リサーチ・システムズのトニー・カーペンター氏は、テレビや映画、ゲームなどによって引き起こされる可能性がある、光過敏性てんかんの特徴と、コンテンツ制作者向けの対策を紹介。バベル・メディアのアンナ・スジョストローム氏は、日本のゲームメーカーの作品を海外向けにローカライズするノウハウをアピール。マスタードのモーリス・サックリング氏も同様に、ローカライズの手法についてプレゼンテーションを行った。t5ラボのグラハム・クレミー氏は、自分のPCにデータをダウンロードすることなしに、ストリーミング配信によってゲームが楽しめる"インスタント・ゲーミング"の仕組みを紹介した。
 

 日本のゲームメーカー向けのセミナーだったため、必ずしも一般向けではなかったプレゼンテーションもあったが、その内容はじつに興味深く、英国企業の技術力を感じさせるものだった。日本のゲームメーカーも負けてはいられない!
 

※駐日英国大使館の公式サイトはこちら

※駐日英国大使館の公式サイトはこちら(Embassy Worldwide)

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