ホリの新機軸周辺機器シリーズ“ペリボーグ”、開発者に聞く!
●異質な周辺機器“PeriBorg(ペリボーグ)”シリーズ
画期的なアイデアのゲーム周辺機器を世に送り出し続けてきたHORI(以下、ホリ)が、新機軸の周辺機器シリーズ“PeriBorg(以下、ペリボーグ)”を発表した。ホリと言えば、コントローラーやメモリーカードといった周辺機器の老舗、という印象の読者が多いと思うが、この“ペリボーグ”シリーズはこれまでとはかなり違った切り口。いずれも、“周辺機器の機能をプレイヤー自身に備えてさせてしまおう”というコンセプトで開発されている。手に装着して自分の指自体に連射機能を備えさせる『オレコマンダー』など、公式サイトにていくつかのプロトタイプを公開されている。
“ペリボーグ”シリーズのラインアップの詳細については次回(2005年4月8日予定)、追って紹介させていただくとして、今回は開発担当者にインタビューを敢行。開発営業部の森川栄司氏と、広報の大神佳人氏に、“ペリボーグ”のコンセプトや開発裏話についてお話を伺った。 |
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▲今回お話しを伺った大神氏(左)と森川氏(右)。お二人とも気さくに質問に答えていただいた。この日は“ペリボーグ”のラインアップについても話していただいたのだが、製品について説明しているときの森川氏はとても楽しそうな様子だった。 |
――本日は新機軸の周辺機器シリーズ“PeriBorg(以下、ペリボーグ)”についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
森川:よろしくお願いします。
大神:よろしくお願いします。
――まずプロジェクトの経緯について教えていただきたいのですが、立ち上がったのはいつぐらいになりますか?週刊ファミ通では昨年(2004年)8月に一度記事として触れさせていただいてると思うのですが…。
森川:はい、2004年8月に一度週刊ファミ通で取り上げていただいています。本当はそのタイミングでお披露目してということを考えていたのですが、その後色々と企画を練り直していました。発案自体は随分前になりまして、昨年(2004年)の初頭になります。丁度、私が担当した『鬼武者3』専用コントローラーやメモリーカードの発売が決まって、次は何をやろうかなと考えていたところでした。
――この面白いアイデアの源は森川さんでいらっしゃるんですね。では次に、本企画のコンセプトについて教えていただけますか?
森川:はい。私はこれまで特定のタイトル専用のコントローラーを開発することが多かったのですが、次に手掛ける製品はそういった一部のユーザーだけでなく、もっと幅広い層に受け入れてもらえるようなものを作りたいという考えがありました。個人的な考えとしても、いまのゲーム市場がかなり分散化してきていることが気になってまして……。
――「分散化」といいますと?
森川:ゲームをプレイする環境についてです。最近はさまざまなハードが発売されており、ユーザーも自分の趣味や好みに合わせてハードを選ぶ時代になってきています。そんな中で、例えばわれわれがひとつの製品を作ったとしても、買っていただける方は特定のハードの所有者だけに限られてしまいますよね。他にも、携帯電話向けゲームだったり、PCでちょっとしたゲームをプレイしたりと、ゲームをプレイする環境はどんどん多彩になってきています。われわれとしては、より多くの方々に楽しんでいただきたいにも関わらず、従来のような専用コントローラーなどではそれが実現できないというギャップに頭を悩ませていたんですよ。
――確かに。コントローラーもハードによって異なりますしね。
森川:ええ。そこで、ちょっと視点を変えてみることにしたんです。アプローチしていくのは特定の方々ではなく、“ゲームをプレイする人そのもの”にしてはどうかと。そこから、今回のコンセプトとなる“周辺機器を自分自身に接続する”というアイデアが生まれたんです。プレイヤー自身が周辺機器と同様の機能を備えていれば、ゲームをプレイする環境が変わっても対応することができるのでは、と考えました。
――なるほど。“ペリボーグ”のラインアップは、そういったコンセプトに基づいて開発されたわけですね。しかしながら、いずれもこれまでに見たことのないデザインばかりですよね。例えば『オレコマンダー』ですが、この“カタチ”を発案されたきっかけみたいなものはあったんでしょうか?
森川:『オレコマンダー』に関しては……、まず周辺機器の機能というものを考えてパッと連想したのが“連射機能”だったんですよ。“HORI=『ホリコマンダー』=連射機能”、というイメージも少なからずありますしね(笑)。これまでいろいろな機能を備えたコントローラーが発売されてきましたが、本当に“実用的”な機能とは何なのかというと、ユーザーから一番要望が強いのはやはり連射機能なんです。ニーズがあったからこそこれまでも面白いコントローラーをたくさん開発しましたけど、実際に使っていただける方々というのはどうしても少数になってしまいます。以前、弊社から『セパレートコントローラー』という製品を発売しました。こちらも話題性があって大変好評をいただいたのですが、より広いユーザー層にアプローチするという視点で見ると反省点があります。
――『セパレートコントローラー』も面白かったですね。コントローラーが中央から真っ二つに分かれて、それぞれを片手で持つことができるという……
森川:そうです(笑)。あと、企画を練っていたころにニンテンドーDSやPSPといった新型携帯ゲーム機の発表がありまして、われわれはコントローラーのメーカーですのでそこにチャレンジしてみたいという気持ちがありました。しかし、携帯ゲーム機用の周辺機器となると、なかなか面白い製品を開発するのが難しいです。本体そのもので操作を行う携帯ゲーム機に対して、連射パッドを発売するわけにもいかないですよね(笑)。ただ今後、携帯ゲーム機はますます力をつけてくると思いますし、プレイする人も増えていくだろうと。だったらまずは携帯ゲーム機での連射を実現するところから始めようと考えて、この『オレコマンダー』のプロトタイプを開発しました。
――自分自身が連射機能を備えていれば、どんなゲーム機にも対応できるということですね。
森川:その通りです。とりあえず『オレコマンダー』の形が出来上がったときは、これを“ペリボーグ”シリーズとして発売していこうと思って動き始めました。しかし、マーケットやユーザー調査を行ううちに、もっと“ペリボーグ”シリーズの全体像を見てみたいというご意見をいただいたんです。実際、私としても『オレコマンダー』だけでは“ペリボーグ”という存在を理解していただくのに時間がかかるだろうと思いました。
――なるほど。そういった流れを経て、いまここに5つのプロトタイプが並んでいるわけですね。『オレコマンダー』『ショクシ』『オバチャブレーキ』……と、まずはこのラインアップのアイデアが生まれたんですか?
森川:これが閃いた順番というわけではないですね。“ペリボーグ”シリーズとしては、実はものすごい数のアイデアが出ていまして、いま目の前にあるものはその中から選んだごく一部になります。総合的に見て“ペリボーグ”のコンセプトを伝えやすいものをプロトタイプとして開発しました。
――いずれも型破りというか、これまで見たことのないものばかりですよね……。初めてお披露目したとき、社内の反響はどうだったんですか?ツッコミをもらった点などは……。
大神:ツッコミというよりも、ツッコめなかったですよね(笑)。「なんだこれは!?」っていう(笑)。社内でもそういう反応が大概だった記憶があります。
森川:私も初めからこの企画が社内的にすんなり受け入れられるだろうとは思っていなかったですから(笑)。『オレコマンダー』については、アイデアが思いついたその週にギミックの基礎となる部分を作りました。口頭でこれはこうですよ、と説明するよりも、実際にモノを見てもらったほうが理解してもらい易いだろうと思ったからです。
――そうかもしれませんね。でも、実際に見たら見たで「なんだこれは!?」っていう気持ち、分かります。
森川:われわれ開発営業部内での会議があるんですが、まずはそこでお披露目して、会社としてOKをもらうためにどうすればよいか作戦を練りました。最終的には商品として発売するわけですから、社内のさまざまな部署に認知してもらわなければなりません。商品化を決定するのは社内全体の審議会なのですが、それ以前に社内のいろいろな人に『オレコマンダー』のプロトタイプを見てもらって、誰ひとり「クスっ」とも笑ってくれなければ、この企画はやめようと決めていました。
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▲“ペリボーグ”第1弾として発表された『オレコマンダー』。紹介していただいたのはまだプロトタイプとのことだったが、連射速度は3段階に調整することができ、ホールド機能も備えているなどなかなか本格的。ちなみに本体のカラーはファミコン用連射パッドとして好評を博した初代『ホリコマンダー』をあしらったもの。 |
――戦いは既に始まっていたわけですね。
森川:そうです。社内にはわれわれ開発のほかに、実際に商品を売り込んでいく部署があるわけですが、やはりあまり市場のニーズにそぐわないような型破りな商品ですと、彼らはなかなか良い顔をしてくれないわけです(笑)。しかし、もちろんこちらは本気です。ということでいろいろ考えた結果、ちょっと反応が怖かったのですが、まずそういった人たちから口説いていくのが近道だと考えました。実際に『オレコマンダー』のプロトタイプを装着してもらって、コンセプトを伝えて、ということを少しづつ行っていきました。
――なるほど。ではいまここにシリーズが並んでいるということは……。
森川:はい、みな気持ちよく笑ってもらえましたね(笑)。社内でそれなりの結果が出て、「これは売れるかわからないけど、きっとウケてもらえる!」という確信は持てましたよ(笑)。
――実際に目の前で見せられてノーリアクションでいるのは難しいと思いますよ(笑)。
森川:そしていよいよ社内全体の審議会を向かえたわけですが、時期は2004年4月くらいだったかと思います。審議会には、先ほどお話しした社内での反響の結果を持って臨みました。『オレコマンダー』をお披露目して、皆に“ペリボーグ”という名前やコンセプト、全体像などを説明したんです。そのときに社長にも実際に『オレコマンダー』を装着していただいたんですが、動作確認しながら「『オレコマンダー』という“名前”はいいなぁ〜。」と何回も言っていただいたのを鮮明に覚えています。嬉しかったですね。
――では、ほとんど釘を刺されないまま話が進んでいったわけですか?
森川:全くというわけではなかったです。例えば“ペリボーグ”の名前ですが、「ちょっと言いにくくないか?」との指摘がありました。“PeriBorg(ペリボーグ)”というのは、“peripheral(ペリフェラル:周辺機器)”と“cyborg(サイボーグ:生物に機械装置を移植した結合体)”の造語になります。このシリーズのコンセプトを考えていたときに思いついたのですが、この単語は本企画のコンセプトを実に的確に表現していると思います。私としてもそこは譲れない部分でしたので、これでいかせてください、ということになりました。
大神:森川はそういった審議会などの場で、アピールの仕方が本当にうまいんですよ(笑)。確かに製品の機能が優れていることや、それをアピールすることは重要なのですが、それを使って遊ぶことの“楽しさ”を相手に伝える演出が見事です。あとぶっちゃけて言ってしまうと、実際にこの“ペリボーグ”シリーズがホリという会社の運命を左右するほど影響力があるかというと、社長もそこまでは見込んでいないと思うんです。ただ、森川の説明にもあったコンセプトとか、ホリとしてこれまでとは違った新しい切り口の商品であること、それに秘められた楽しさの本質みたいなものが、その場できちんと伝えられたんじゃないかと思いますね。
森川:コントローラーですと、売り上げがハードの普及率やソフトの装着率にどうしても依存してしまいますので、“ペリボーグ”はそういったものに捕われない位置付けになるとか、そんなことを説明したと思います。結果的には、「面白そうだからやってみろ」っていう雰囲気でした(笑)。
――「ホリがまたやってくれた!」という感じですよね。
森川:そう言っていただけるのが一番嬉しいです。こういった商品はホリが開発するからこそ、説得力があるものだと思っています。そういうプライドみたないものはありますね。設計やデザインにもすごく気を使いました。真似されないように、デザイナーに細かな部分をあれこれ注文したり打ち合わせしたり……。
大神:……まあ、そもそも他社さんは真似しないですけどね(笑)。
(一同笑)
森川:いやいや、本当にかなり気を使って作ってるんですよ(笑)。
――さて、気になるのは発売日・価格ですが、いかがでしょうか?
森川:発売予定についてはまだ未定です。それぞれのプロトタイプももう少しアイデアを練り直したい部分もありますし。あと、プロトタイプもただやみくもに作っているわけではなく、実はすぐにでも量産体制に入れる仕様になっています。いま公式サイトで少しずつ製品を発表させていただいていますが、ユーザーの反応を伺うとともに、ご賛同いただける方を募っているところです。もちろん、われわれも商品化を念頭に置いて開発を進めていますよ!
――期待しております。本日はありがとうございました!
森川:ありがとうございました。
大神:ありがとうございました。
ホリ“ペリボーグ”シリーズ、動画・コメントを交えて一挙解説!
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