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企画・ニューストピックス

ゲーム音楽の"マエストロ"植松伸夫氏への公開インタビュー
【GDC 2005】

●曲作りのこと、すぎやまこういち氏のことなど

▲ロサンゼルス、シカゴに続き、3度目の北米『ファイナルファンタジー』コンサートを成功させた植松伸夫氏。
 

 3月7日〜11日にアメリカで開催されたゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス2005(GDC 2005)の中で、"マエストロへのインタビュー"というセッションが行われた。これは、3月7日にサンフランシスコで北米では3度目の『ファイナルファンタジー』コンサートを開催(→関連記事)した作曲家の植松伸夫氏を迎え、公開インタビューを行うというもの。北米での植松氏の人気はたいへんなもので、会場は同氏を尊敬するゲームや音楽の関係者で埋め尽くされたのだ。ここでは、インタビュアーや出席者たちからの質問に対する植松氏の回答から、いくつかをピックアップして掲載するぞ。
 

――ライブやコンサートを行ってきた感想は?

植松 自分の感情とアメリカの方の感情が同じもので感動できると知ると、幸せで満たされますよね。だから、僕、コンサートの途中で演奏を間違えないかなと思うんですよ。まともに聞いてると涙が出てきちゃうんで(笑)。

――ゲーム音楽はどんな歴史を持ち、これからどんな発展をしていくと思いますか?

植松 僕が初めてゲームの音楽に関わったのは1985年か86年くらいだと思うんですけど、そのころはPSGという音源でピコピコという電子音が3つしか同時に使えなかったんですよ。それが最近はDVDソフトになって、スタジオで実際にオーケストラが演奏したものを流せるという時代になっているけれども、かといってゲーム音楽が進化したというと、それは問題がべつのような気がしますね。PSGの3音でも十分にゲームに合った音楽がありました。それこそ、『スーパーマリオブラザーズ』の音楽なんか傑作だと思いますね。ハードの進化と音楽の進化は関係ないと思います。

――作曲のときに心がけることは?

植松 僕が基本的に心がけているのは、いいメロディーを書きたいということ。やっぱりメロディーがしっかりしているものは、どんな音色で聞いてもいいんじゃないかな。

――ゲーム音楽を音楽としてどう捉えていますか?

植松 ゲーム音楽がゲーム音楽として進化していくのはこれからだと思う。いまのゲーム音楽は、いわゆる映画的な使われかたをしていますよね。登場シーンはダダダダーンとか。ゲームのようなインタラクティブなエンターテインメントでは、音楽の鳴りかたも遊ぶ人によって変わっていいですよね。どういうふうにすればそんなことができるのか、決定的なアイデアは持っていないのですが、そういう、ほかのエンターテインメントと違う音楽のつけかたの発想が生まれるのはこれからだと思うんですよね。

――自分でゲームを作るとしたら、どんなゲームを作りたいですか?

植松 僕がいつか作ってみたいのは、誰も死なないゲーム。自分のやっている『ファイナルファンタジー』でも思うんですけど、べつにバトルなんかいらないんじゃないかなと思います。うまく言えませんけど、無理矢理誰かを殺してドラマを盛り上げていくのには、もうそろそろ飽き飽きしているかな。本当に大人から子供まで安心してできるドラマを持ったゲームはできないかなと。いつかはそれを作ってみたいなと思っています。<場内拍手>

▲大人気の植松氏を前に、質問する来場者の列は途切れなかった。
 

――自身が作った中で好きな曲は?

植松 『ファイナルファンタジーX』のオープニングで『ザナルカンドにて』という曲があるんですが、これはじつは『FFX』用に作ったものではないんですよ。日本のフルート奏者のために書いたもので、僕は好きな曲だったんですが、フルートにはちょっと悲しすぎるかなと思って出さないでいた。それである日、『FFX』の開発会議で、企画側から「もうなんでもいいから曲を早く聞かせてくれ」と言われて、フルートのために作った曲をそっと忍ばせておいた。そうしたら、企画側から「この映像にぴったりだ!」言われて、「でしょ?」なんて言っちゃって(笑)。

――ほかのゲームで好きな曲は?

植松  やっぱり『スーパーマリオブラザーズ』じゃないかな。17、8年前、日本でゲーム音楽がなかったころ、ラジオのDJが突然、『スーパーマリオ』のBGMをかけ始めた。最初はおかしなことをするなと思っていたけど、そのうち、あ、これはおもしろいなと思い始めて。ゲームの音楽を意識した初めての体験でしたね。

――新しい会社(スマイルプリーズ)を設立し、今後はどんな活動をしていきますか?

植松 とりあえず、コンサートでTシャツを売りました(笑)。もちろん、ゲーム音楽を作るのがメインですけど、ポピュラー音楽も作ってみたいですね。エルトン・ジョンやカーペンターズが、僕が音楽に目覚めたきっかけなので。これからは歌ものも書いて行きたいと思います。

――すぎやまこういち氏の音楽についてどう評価しますか?

植松 ファミコン時代、みんなが3音しか同時に出ない音源で苦労していたときに、あの人は2音ですばらしい音楽を作っていた。これはちゃんとした音楽の知識がないとできないことですよ。あと、すぎやまさんのいちばんの功績はゲーム音楽で初めてコンサートをやったことです。彼がやってなければ、こないだの僕のコンサートもなかったでしょう。ゲーム音楽でのコンサートは、オーケストラの新しい形だと思うんです。ふつう、クラシックは座っておとなしく聞くものですが、ゲーム音楽だと叫んでもいい。これはオーケストラの革命ですよ。ロックコンサートを見る感覚でオーケストラを見られるわけですから。

――どんなときに、インスピレーションをかきたてられるのですか?

植松 壁にぶち当たったときは、まず仕事を打ち切りますね。犬を散歩に連れていったり。あとね、部屋の中でうろうろする。鍵盤に向かっているよりも歩いているときのほうがインスピレーションが浮かびやすい。よくあるのが仕事場から帰ろうと駐車場へ向かっているときに思いつくこと。また仕事場へ戻るのが面倒くさい(笑)。それと、お風呂に入ろうとパンツを脱いだときに思いつく(笑)。本当ですよ。だからあなたも、曲が浮かばないときはパンツを脱いでみたらどうですか? <場内爆笑>

 

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