モーションキャプチャーを超える新技術を検証する!!
●新技術"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"が次世代の扉を拓く!
年明け早々、PC向けソフトとして『パワードフォーミュラ』のダウンロードサービスが始まった。このソフト自体はほんの小さな一歩かもしれないが、そこで駆使されているテクノロジーは、ゲーム産業にとって大きな1歩になるかもしれない。詳しく紹介しよう。
スーパージョッキー社により開発された『パワードフォーミュラ』は、乗用人型動機(パワードライド)を駆使してコースを周回する、リアルロボットシミュレーターだ。プレイヤーは身長5メートル程のロボット型のマシンをうまく操縦し、"パワードフォーミュラ"というレースを戦うことになる。コース上にはさまざまな障害物や敵ロボットなどが配置されており、それらを破壊して進むというのも、本作の魅力のひとつとなっている。現段階では、『パワードフォーミュラ』はスーパージョッキーのホームページからダウンロードすることが可能で、無料で楽しめるようになっているのだ。
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▲人形ロボット"パワードライド"の開発技術の向上や操縦・整備技術の発展を目的として開催されるレース"パワードフォーミュラ"。世界でもっとも視聴者の多い、超人気イベントとなっている。スプリントや耐久レースなど、ささまざまな競技内容が存在する。メカ好きのスタッフが作り上げている本作では、細かいディテールまでしっかりと構築されているのだ。 |
本作を開発しているメンバーは航空宇宙軍事機器などを手がけた経験もあるだけに、実際に動くことを想定したメカのバックボーンの緻密な作り込みなど見どころは多い。だが、何よりもゲームファンに注目してほしいのは、そこで駆使されている驚くべき技術。具体的には、"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"と名付けられたテクノロジーだ。このテクノロジーをひと言で表現すると、「モーションキャプチャーに頼らずに、物理計算のみでキャラの動きを表現する」となる。ご存じのように、現在の3Dグラフィックスの動きは、モーションキャプチャーが主流だが、この"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"は、そこからさらに一歩進んだ技術と言える。
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▲こちらはファンダクトを避けてジャンプするシーン。新技術が可能にしたさまざまなコースも本作の魅力のひとつだ。どのようなステージでもキャラクターモーションが対応できるため、ステージ形状の作成に制約がないのだ。 |
実際の人物の動きを取り込んで、3D化するモーションキャプチャー。そのメリットは、とにかく動きがリアルであること(人間の動きを取り込んでいるのだから当り前と言えば当り前だが……)。この技術はいまや、ゲーム業界のみならず、アニメなどにも取り入れられているくらいだ。そんなすぐれた技術であるモーションキャプチャーだが、いくつかのデメリットも上げられる。おもなものを列記すると……。
(1)コストがかかる
(2)時間がかかる
(3)動きが限定される
といった点だ。少し説明を加えておくと、モーションキャプチャーはある程度の設備を必要とするために、まずは、とにかくコストがかかる。そのため、中小のゲームメーカーだと、なかなかモーションキャプチャーを使いづらいという事情がある。また、モーションキャプチャーは、実際の動きを取り込むので、必要なモーション(動き)をすべて撮影しないといけない。そのため、時間もかなりかかる。さらには、個々の動きは応用がきかないため、どうしてもゲーム中の動きが制限されてしまうという側面もある。
"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"は、その辺の問題をクリアーにする技術だと言える。以下、そのテクノロジーについて、スーパージョッキー代表取締役にして、本作のプロデューサーでもある森田直孝氏に、みずからの言葉で語っていただくことにしよう。
――"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"とは?
森田 簡単に言うと、物理計算でモーションを作ってしまうという技術ですね。ゲームの開発をするときは、まずモーションをキャプチャーをして、つぎにそれをプログラマーが合成して、最終的にコントローラーで動くようになって初めてゲームの作りこみが始まる。でもそれって、ある種無駄な時間だし、それを省けたら開発はすごく効率化されると思うんです。この"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"では、極端な話、キャラとステージを作りさえすれば、すぐにゲームとして動くようになる。つまり、すぐに作り込みを始められるわけです。まさに、"21世紀的手法"といったところですね(笑)。
――モーションキャプチャーより手軽に3Dゲームを作ることができるわけですね。
森田 モーションキャプチャーというのは、パラパラマンガをつなげるようなものなんですね。パラパラマンガの素材を山のように作ってておいて、走る−歩くといったモーションを切り替えて表現するわけです。でも、用意していない素材は再現することはできないので、動きの表現に制約ができてしまう。近年のゲーム業界では、パラパラマンガを処理するアルゴリズムと、物理演算を処理するアルゴリズムのふたつをどう結びつけるかということが課題になっていました。そこで、物理演算でモーションの制御も行い、パラパラマンガのアルゴリズムをなくし、単一のアルゴリズムでゲーム空間内すべてを演算するという新しい次元に到達したのがこの"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"なんです。
――具体的にはどのようなことが可能に?
森田 たとえばロボットが坂道を登ると仮定します。10度の坂道を登るか、45度の坂道を登るか、60度の坂道を登るかで、当然モーションは異なるわけですが、モーションキャプチャーだと当然そんなに細かく対応できるわけではないので、いくつかのパターンを作っておいて、おおまかに対処する形になります。ところが、それが"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"だときめ細かく対応できるようになるわけです。
――地面がデコボコしていても対応できる?
森田 まさにそうです。いままでクリエーターが苦心惨憺していた部分がエンジンの処理能力のみで簡単に表現できるようになりますね。
坂道の上り下り |
足のすべり |
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▲"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"ではデコボコした地形でも違和感なく歩行することができる。さらに、キャラの脚力で地面を蹴って歩いたり、走ったりする感覚を再現できるのだ。 |
▲氷上などで足を滑らせながらの歩行表現も可能となっている。モーションの流れに切り替えが存在しないので、ギクシャクとした動きをせずに、滑らかで自然な動きを見せる。 |
転倒表現 |
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▲転倒状態の表現自由で、デコボコした傾斜地の上でも転がったり操作できる。 |
以上、"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"のポイントをいくつか紹介してみた(より詳しく知りたい方はこちらまで)。次世代に大きな影響を与えるかもしれない"リアルタイム物理演算モーション生成型ゲームエンジン"。スーパージョッキーでは、今後この技術やエンジンをどのように活かすか模索中であり、『パワードフォーミュラ』に対してバックアップしてくれる企業を求めているという。森田氏いわく「小さな会社でも、やろうと思えばここまでできるんだということを証明したかった」というこの試みが、どのような成果を上げるのか、期待したい。
※スーパージョッキーのホームページはこちら
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