【CEDEC 2日目】会議室でライブも!? 数多くのセッションが集うCEDEC 2004
●韓・日・中におけるオンラインゲームユーザーの違いは?
今年で6回目を数えるゲーム開発者向けのカンファレンス"CEDEC 2004"。年々その認知度は高まり、ゲーム開発者たちの情報交流の場としてのニーズも高い。本日はその2日めの模様をお届けしよう。
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▲アジアのオンライン事情に対する関心が高いのか、多くの受講者が訪れた。 |
オンラインゲームが次世代のゲームを語るうえで大きなポイントになることは、すでに多くの関係者が認めるところ。オンラインゲームの分野では韓国がかなり先行しており、『リネージュ』シリーズ(PC版)などが爆発的にヒットしているが、いざそのソフトを他国に……となるとなかなか振るわないのが現状。一方で『エバークエスト』(PC版)のアジア市場での苦戦も伝えられる。ゲームメーカーにとって、各国のオンラインユーザーの嗜好を把握することは大きな関心事になっているのだ。そんな嗜好の違いにテーマを当てたのが、魏晶玄氏による"韓日中、オンラインゲーム・ユーザー特性の比較・分析"だ。魏氏は中央大学(韓国)の経営学科の助教授で、中国や韓国のオンラインゲームに対する造詣が深い。講義では、日本、韓国、中国でオンラインユーザーを対象に行った膨大な量のアンケート調査をもとに、3国のユーザーの特性を比較したのだ。
とくに興味深かったのが、日本のユーザーのほうが韓国や中国のユーザーに比べて"コミュニティー性"を求める点。一方で韓国や中国では、想像していたよりもはるかにシングルプレイヤーが多かったという。「韓国のゲーム市場は近年盛んになったばかりという事情もあり、ビデオゲームユーザーとオンラインゲームユーザーが混在しています。そのため、本来シングルプレイヤーであるべきはずのユーザーまでオンラインゲームを遊んでいるという傾向がある。一方、日本の市場ではビデオゲームユーザーとオンラインユーザーは分離しています」(魏氏)
また、ゲームを進める際、日本では過程を重視し、韓国や中国では結果を重視するという。「韓国や中国のプレイヤーにとっては、あるキャラが登場したとして、"その結果何をもたらすのか"といったことを気にしますが、日本のユーザーは"このキャラは何を意味するのか?"といったことを大事にする。韓国人は結果が伴わなければ、パーティーを崩すことも辞さないわけです」(魏氏)
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▲講義では日、韓、中のゲームの利用時間の違いなども紹介。それによると、日本は休日約6時間、平日約5時間。韓国は休日約5.5時間、平日約3.6時間。それに対して中国は休日9時間、平日6時間。「ほかに娯楽がないことが、中国のオンラインプレイヤーの利用時間を増やしているのでは?」と魏氏は分析。 |
「オンラインゲームの特徴は、ユーザーの意見を聞いて柔軟に対応できる点。それぞれの国でゲームを成功させようと思ったら、各国の嗜好をしっかりと分析してローカライズすることが必要になるのではないか」(魏氏)とのことだった。オンラインゲームは底が深いと思わせるセッションだった。
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▲「PCのオンラインゲームは、ほかの娯楽が少ない発展途上の国ほど急速に普及する傾向がある」と魏氏。 |
●ゲームソフトウェア今後の方向性は?
つぎに紹介するセッションはパネルディスカッション。お題は"ゲームソフトウェア開発の今後の方向性について"。パネリストとして招かれたのは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の開発研究本部 ソフトウェアプラットフォーム開発部部長の豊禎治氏と、元気の開発管理部部長の砂塚佳成氏、そしてメトロワークスの取締役、今村義幸氏の3名。コーディネーター(いわゆる司会)はメディアクリエイトの代表取締役、細川敦氏が務めた。プラットフォームホルダー(豊氏)、ソフトメーカー(砂塚氏)、ツールメーカー(今村氏)という三者三様の異なる立場によるディスカッションだけに、その内容に大いに注目が集まった。
セッションでは、まずは砂塚氏がゲーム開発の現状と課題を指摘。「ここ10年は技術も飛躍的に進歩を遂げ、自分のしたいことができる環境が整いました。一方で、開発には多種多様なことが必要になり開発コストがかかるようになった。さらに、プロジェクトの巨大化から分業化が盛んになり、人と人とのつながりで不具合が起きた。誰もが持っている資質に頼るのではなく、教育により伝えていかないといけない部分も増えてきたのですが、その方法論がまだ確立されていないように思います」(元気 砂塚氏)
一方で、ゲーム技術を応用するケースとして、その可能性が注目されたのがPSX。「デジタル家電はゲームテクノロジーを応用する宝庫だと思います。PSXはゲームで培ったノウハウを家電で活かすという、ひとつの方向性を示したものだとは言えるでしょう。"ゲームだから"という固定概念を崩すべきで、新しい視点を見せてくれたことは刺激になっています」(SCE
豊氏)
さらに、今村氏はツールメーカーの立場として、「最近は開発ツールとミドルウエアにいいものがたくさんでていますので、そういったものをたくさん使ってみてほしいですね。こだわっている部分は自分たちのところで仕上げて、それ以外のところは私たちのツールなりを使って、いいソフトを作ってほしいと思います」(メトロワークス 今村氏)
最後に三者がそれぞれに対し期待、要望を出した。「ゲームメーカーさんには社会現象になるようなゲームを期待したい」(SCE 豊氏)、「こだわりたいところをどこまでもやりたいというのはクリエーターのつねです。それを実現できるプラットフォームを開発し続けて欲しい」(元気 砂塚氏)などの意見があったが、いちばん盛り上がったのはメトロワークス(ツールメーカー)への要望。「現状のゲーム開発では、デバックにかける時間がかなりを占めている。自動デバック装置みたいなものがあれば、いいですよね?」(SCE 豊氏)。それに対し今村氏は「難しいですが……検討します」と発言。なごやかなうちにセッションの幕は閉じた。
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▲SCEの豊氏。プレイステーションのプラットフォーム開発、プレイステーション2やPSXの基本ソフトウェアの開発を取りまとめた。 |
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▲元気砂塚氏はただいま『首都高バトルオンライン』のプロデュースを担当している。 |
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▲メトロワークス今村氏。プレイステーション2やゲームキューブのプログラミングツール、"Codewarrior"の立ち上げに従事する。 |
●松浦雅也氏による"ペンギンのすすめ"
『パラッパラッパー』などでおなじみの松浦雅也氏がCEDEC 2004に講師として登壇! タイトルは"ペンギンのすすめ"という一風変わったもの。タイトルの由来は少し説明が必要だろう。松浦氏は、今年の3月にアメリカで開催されたゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)"にて、"ファーストペンギンアワード"を受賞。ファーストペンギンとは、サメとかがいるかもしれない水中にえさを求めて、群れの仲間から勇気をもって最初に飛び込んだペンギンの意味。つまり、ゲーム業界の開拓者に与えられる賞が"ファーストペンギンアワード"なのだ。そして、今回の松浦氏の講義は"ファーストペンギン"らしいぶっ飛んだ内容になった。
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▲「ゲーム業界に対しては外様感があったが、暖かく迎えられたことが長く続けられた要因です」と松浦氏。 |
セッションは、「用意してきた原稿を読むだけだったらおもしろくないので、1回性のもとに進めようと腹をくくって来ました」との言葉とともに、これまで取り組んできた仕事を追いかけるのがメインとなった。「一見節操のなさそうなプロジェクトからヒントをつかんでいただければ……」との発想によるものだ。まずは、氏が音楽に出会うまでの経緯を説明。そのなかでは、「22歳後半の6ヵ月で400曲以上作りました」などという、驚くべきエピソードも披露してくれた。そのときには「人間のイマジネーションは思ったよりも貧弱ではない」と実感したとか。さらには、PSY・Sのデビュービデオクリップ(超レア!)を紹介。以後、順調に仕事をこなしつつも「やりたいことと受け入れられることのギャップ」に苦しみつつ、ついに「CDはボーっと聴いているだけではおもしろくないのでは? ということから、音楽作りをできるような環境を自分で作ってしまえばいいじゃんという発想になったんです。それで、音楽のインターフェースを変えるようなプログラムを作りました。それがゲームにつながっていくんですね」と、『パラッパラッパー』が生まれるまでの経緯を明かしてくれたのだ。さらに松浦氏は、「ゲームにこだわらずいろんなものを作ろうと思っています」とスピーチ。実際にAIBOの出す音を手がけているなど、その仕事の幅は広い。そして最後に行われたのは、なんとそのAIBOとのセッション! まさに"1回性"の講義として、当日参加した受講者はその場に居合わせたことを喜んだのでは?
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▲講義は映像や音楽を交えて行われ、受講者を飽きさせなかったのだ。 |
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▲おそらくはCEDEC初(!)の会議室でのミニセッション!! しかもAIBOと。松浦氏がギターを弾くと、AIBOがそれに合わせてハミングをしてくれるのだ。披露してくれたのは、松浦氏作曲による"ありがと サンキュ〜"。NHKみんなのうたでも使用されていたので、聴いたことがある人もいるのでは? |
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