HOME> ゲーム> 初音ミクの人気楽曲『*ハロー、プラネット。』を手掛けたsasakure.UK氏にインタビュー
●当初は“リン”や“ルカ”を操作できた!?
▲ゲームの監修にも挑戦したsasakure.UK氏……のイメージです。 |
セガから発売中のPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ-』。この作品の追加楽曲集『ミクうた、おかわり』には、人気楽曲『*ハロー、プラネット。』をモチーフにしたアクションゲームが収録されている。今回、『*ハロー、プラネット。』の作曲者にして、ゲームの監修も行ったsasakure.UK氏へにインタビューする機会を得た。ゲーム化するに当たってのエピソード、そして楽曲の誕生秘話などを聞いた。
――ミニゲーム監修を引き受けたときの率直な感想をお願いします。
sasakure.UK 以前からゲームなどを手掛けてみたいと思っていましたので、お話をいだたいたときはまさかこんな形で実現するとは……! と非常に感激したのを覚えています。
――ゲーム化するに当たって、苦労した点などはありますか?
sasakure.UK ゲームに落とし込む際に、ここはゲーム性を優先すべきだとか、楽曲を優先すべきだとか、の線引きでしょうか……。どちらの方向に偏りすぎてしまっても、ゲームとしてのおもしろを狭めてしまうので、ここはディレクションを行うときに慎重に決めましたね。
――ゲーム化するに当たって、何か参考にした作品などはありますか?
sasakure.UK 『ワギャンランド』や『PC原人』などのコミカルなキャラのアクションゲームをプレイし直しましたね。大きなコンセプトのひとつに“敵を倒さない”というものがあったので、そういうイメージを大切にしながら作りました。
――今回はアクションを監修しましたが、ほかに挑戦してみたいジャンルはありますか? また、やるとしたらどんな内容にしたいですか?
sasakure.UK シューティングやRPGは挑戦してみたいジャンルですね。いずれにせよレトロフューチャー感を前面に押し出した感じの、ドット絵で作られたキャラクターたちが縦横無尽に駆け巡るようなものを作りたいです。
――sasakure.UKさんにとって、8bitまたは16bitとは?
sasakure.UK ひたすら“憧憬”と“懐古”ですね。プロのミュージシャンがはじめて憧れたギタリストやボーカリストと同じような存在なんだと思います。僕の場合その入り口が8bit、16bit世代のゲームだったんです。おそらく少年時代に大きく影響を受けたからこそ、根強くその感覚が残っているんでしょうね。
――そもそも音楽を制作するようになったきっかけは?
sasakure.UK 高校のときに携帯電話で3〜4和音の着メロが流行ったんですよ。そのときに携帯を持ちはじめて、着メロを作るアプリがあったんですけど、それで『火の鳥』のBGMアレンジとか作ってまして(笑)。そこからオリジナル曲を3〜4和音で作るようになったのがきっかけでしょうか。だんだん楽しくなってしまったんです、作曲が。それからシンセサイザーを購入するようになって、気づいたらいまのような作曲人生を送っています……!
――“初音ミク”はいつごろから、どういった経緯で利用するようになったのですか?
sasakure.UK 2007年の11月ごろですかね。“初音ミク”が発売されて少し経ったときに、何気なく聴いてみたボーカロイドのオリジナル楽曲たちが非常に完成度が高くて感動したのをいまでも覚えてます。人間じゃないものが歌う歌だからこそできることがある、と思って活動を初めていまにいたりますね。
――sasakure.UKさんの曲は、誰もいなくなった未来を連想させるものが多いですが、その源となっているのはなんでしょうか?
sasakure.UK そうですね、もしかしたら手塚治虫さんの『火の鳥(未来編)』や、フィリップ・K・ディックの小説でさんざん戦争したり機械と対立したり寿命が縮んだり、なにかと不安にさせる未来SF世界を見せつけられたことの影響が大きいのかもしれません(笑)。
――世界観を形成する歌詞も印象的ですが、どのようなときに思いつくのでしょうか?
sasakure.UK 絵本や童話、ショートショートに影響を受けるかたわら、その世界観と自分の過去の日記や手記などと織り交ぜて作っていたりします。歌詞は食事中や寝る直前などに限って突然思いつくことが多いですね。メモ帳が手放せません。
――ゲーム中にオリジナルキャラを登場させましたが、この可愛らしいキャラクターたちにはハロプラの物語性の中で何かしらの存在意義があるのですか?
sasakure.UK オープニングやマスターの日記などでルカとルカのマスターが登場しますが、これは僕の楽曲『ワンダーラスト』の話と絡めてあるんです。ふたりも『*ハロー、プラネット。』と同じような境遇でシェルターで生活していたマスターとロボットだったんです。『*ハロー、プラネット。』はもともと『ワンダーラスト』の続編という形で制作したので、ゲームでうまく絡められないかと思いデザインしました。また、敵キャラもそうですね。人間が居なくなってしまった世界の話なので、敵キャラはミクと同じ機械なんです。かろうじて生き残った機械たちも暴走してしまっているという設定です。
――オリジナルエンディングについてはどのような経緯で追加したのでしょう?
sasakure.UK もともと『ハロープラネット』の楽曲が完成したときに、ふた通りのエンディングを構想していたんですよ。ゲーム化する際に、エンディング分岐を作って、公にされていなかった方のエンディングもフィーチャーできたらおもしろいな、と思って追加しました。
――ちなみに、『ハロプラ』はどういった形で生まれた曲なのでしょうか?
sasakure.UK 作曲を始めた当時から、人間以外のキャラクターにスポットを当てた楽曲を作りたくて、以前から好きだったSF+童話風のストーリーを煮詰めて作ったものが『*ハロー、プラネット。』だったのです。惑星に挨拶をする瞬間って、一体どういうシチュエーションになるのだろう? とふと思い立ってプロットを作りました。で、できたプロットを見返して思ったのですが、ちょっと(相当?)暗めのストーリーになってしまったんです。ですがそんな荒廃感ただよう空気だからこそ、ひたすら明るい+可愛らしい歌やトラックで突き抜けてしまおう、と思って制作に臨みました。世界がどんなになってしまっても、この歌の主人公のようにまっすぐ突き進める純粋な心を持ち続けていたいという気持ちを込めつつ……。
――ご自身の作品の中で、『ハロプラ』以外でもゲーム化するとしたらどれがいいですか?
sasakure.UK ここは、往年のシューティングゲームに影響を受けて作った『ニジイロ*アドベンチュア』を推したいところですね(笑)。
――『ハロプラ』のミニゲームを監修することになった際、sasakure.UKさんの周辺の方たちや、ファンの方からはどんな反応がありましたか?
sasakure.UK ファンの方々からは沢山お祝いメッセージをいただいてうれしかったです! またふだんボーカロイドを聴かない知り合いから反応があったりしましたね。地元の友人とか……。
――いまだから言えるミニゲーム版『ハロプラ』ぶっちゃけ話などはありますか?
sasakure.UK 最初の企画段階だと、じつは“リン”や“ルカ”を操作できたり、ネギを持って攻撃をするという案があったんですよ。また、ニューヨーク・ステージなるものも当初は存在していたんですが、開発期間と敵キャラ・ほかのステージ特性を考慮した結果、このような完成品となりました。
――sasakure.UKさんにとって、ゲームと音楽の関係とは?
sasakure.UK 今回はBGMも担当したんですが、BGMもそれぞれゲームのシーンにあわせて作曲してあります。僕はゲームをプレイするときバックに流れるBGMで大きくテンションをゆり動かされることが多々あるので、そういうワクワク感を大切にしようと思い制作しました。インストなので、パッと聴いたときにそのイメージを想起できるような表情付けにこだわりました。
――いちばん好きなゲーム音楽はなんでしょうか?
sasakure.UK おお、なんでしょうね。いちばんと言われると困ってしまいます……大好きな曲が多すぎて。おなかが空くとよく、『マザー』の『ポリアンナ』のイントロが流れますかね……だから、きっと好きなんだと思います(笑)。
――最後にファンへ向けてメッセージをお願いします。
sasakure.UK いつも僕の楽曲を聴いてくれてありがとうございます! これからも自分らしい楽曲や方向性を追求していきたいと思います。それと、2010年3月3日に、Third-Ear/UMAAさんより、僕のデビュー・アルバム『ボーカロイドは終末鳥の夢を見るか?』が発売となりました! 多くの方々にご協力いただいて完成させることができた大事な作品なのですが、特に手元に置いておきたいパッケージというのを心掛けて制作したので豪華な仕様です。イラストレーターの茶ころさんが、ひとつの楽曲につき1枚のイラストを、コンセプトに沿った形で描き下ろしていただきましたので、こちらも合わせてご覧いただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします……♪|'ω'|三|'ω'|シババーン。
※『初音ミク
-プロジェクト ディーヴァ-』の公式サイトはこちら
※sasakure.UK氏の公式サイトはこちら
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