HOME> ゲーム> 『FFXIII』サントラ第2弾、そして退社の真相に迫る浜渦正志氏インタビュー
●『FFXIII』関連CDの最新情報も!?
スクウェア・エニックスから『ファイナルファンタジーXIII』(以下、『FFXIII』)のサウンドトラック第2弾、『ファイナルファンタジーXIII
オリジナル・サウンドトラック-プラス-』が、2010年5月26日に発売される(価格は2500円[税込])。今回のサントラには、海外版の『FFXIII』にしか収録されていなかった楽曲や、プロモーションビデオ(PV)用に作られた楽曲、そして開発過程のバージョンであるプロトタイプの楽曲が収録されている。この一風変わったCDがどのようなきっかけで作られたのか、『FFXIII』のコンポーザーを務めた浜渦正志氏にお話しを伺った。また、スクウェア・エニックスを退社されたという浜渦氏の今後の活動にも迫る!
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『FFXIII』の全楽曲を手掛けたコンポーザー。現在はスクウェア・エニックスを退社し、フリーとして活躍している。代表作は、『FFX』、『サガ フロンティア2』など。 |
●トラック名から感じられる開発現場
――今回のサントラ発売のきっかけについて教えてください。
浜渦 ゲームに収録した楽曲以外に、海外版用の楽曲や、PVで使った曲などがありまして、それらだけでもかなりのボリュームがあったんです。そこでスタッフと相談して、ひとつの形にまとめようということになりました。
――プロトタイプの楽曲も収録されていますが、そのコンセプトは?
浜渦 前回のサントラに収録できなかったPV曲や海外版楽曲の収録はもちろんですが、プロトタイプの曲から音楽制作の現場を感じて楽しんでもらいたいという構想があります。
――変わった曲名が多いですね。
浜渦 はい(笑)。“PV”とついた曲は、PV専用の曲で、のちにゲーム中で使う曲としてアレンジや編集を行っています。『2006
E3』という曲は、バトル曲の『閃光』のベースになったものですが、じつは『2006 E3』がフルバージョンのもので、この中からゲームとしてピッタリ合うように抜き出してループさせているんです。
――“M1”や“M306”という名称もありますが?
浜渦 ゲームに必要な曲のリストがあって、数字が少ないものはリストの番号そのままの数字を、派生したバージョンが必要になった場合は、300や400番代の数字をつけています。派生バージョンの数字はそのときの気まぐれで番号を割り振っていて、「300番代にしたら管理が楽だろう」といった単純な考えですね。電車の型番で50000系と言っても実際に50000種類あるわけじゃない。そんなノリです(笑)。
――なるほど(笑)。では、『HOPE_PfNer3』というのは?
浜渦 “HOPE”というのは、キャラクターのホープそのままです。ゲームに収録された『ホープのテーマ』は、もともとホープをイメージしてピアノで曲を作ったんですが、ゲーム中ではキャラクターのイメージに合わせてギターで演奏することにしたんです。このピアノバージョンは、ゲーム中に入れていいかなと思っていたのですが、無闇に入れてもしかたないと完成させずにいた原曲になります。ただ、もともとの原曲は打ち込み(コンピューター上で作曲、編曲し、音源を作ること)があまりにざっくりしていたので、収録に合わせて作り直しました。
――『M33
Lightning NW Version』の“NW”というのも気になります。
浜渦 それは、よく覚えていなくて……。曲のファイル名にそう書いてあったんです。自分で、なんでこれをつけたのかわからない(笑)。
――(笑)。プロトタイプと書かれている曲も、プロトタイプとは思えないほど作り込まれているように感じましたが?
浜渦 僕としては、まだまだプロトタイプのものというイメージです。僕が使っていた音源は、ざっくりと作ってもある程度いい音が出るので、そう思われるのかもしれませんね。強いて言うならゲームに収録された完成版とは、打ち込み色が強く残っている部分などが違います。各トラックをバラバラにミックスするまえの、いわゆる自宅で録音する“宅録状態”に近いですね。開発途中のゲームに曲を載せる際にプロトタイプのまま仮に載せる場合があるのですが、なかにはその曲がプロトタイプだとしても、スタッフに聴いてもらったときに「なるほど。こういう雰囲気の曲か」とわかってもらえるようにしたい曲があります。そういう曲の場合は、ほかの曲よりも作り込んだプロトタイプになるわけですが、今回CDに収録したものはそういう曲になりますね。
――では、すべてのプロトタイプの曲が、ここまで作り込んでいるわけではないと。
浜渦 そうですね。CDに収録したものはいいほうのプロトタイプだと思います。ただ、ほかの曲もディレクターやプランナーの皆さんに、この曲がどのように進化するかわかってもらわないといけないときがあるので、ある程度は作り込んでいます。ですので、雰囲気的にCDのものと同レベルまで作り込んだ曲はほかにもあるんですよ。
――以前のインタビューで、浜渦さんは「ある程度打ち込みで曲を作ってから、オーケストラなどの生音を載せる」とおっしゃっていましたが、その生音を載せるまえの状態に近いのでしょうか?
浜渦 プロトタイプと書いてある11、12、13、14トラック目の曲は、完成版では打ち込んだあとに生音を載せていますが、そのベースとなる打ち込みもすべて録り直しています。ですので、プロトタイプはその前段階のもので、この中で使われている音は1音もゲーム中では鳴っていません。それだけ極端な曲をCDに収録したということですね。一方で、3、4トラック目の“αバージョン”ですが、これもプロトタイプに近いものなんです。ただ、これらはどちらもCDに収録されている打ち込みの音源を活かして、上から生音をかぶせています。
――海外版で追加された楽曲も収録されていますが、そもそも海外版用にこの曲を差し替えた意図を教えていただけますか?
浜渦 日本語版の曲も英語詞だったのですが、海外版のスタッフから、海外のいわゆる英語を日常的に使う方にももっと内容が伝わりやすいように歌詞を変えたいという要望が来まして、それで歌詞を変えてレコーディングをし直すことになりました。国内版の開発が終わったあとの楽曲ですから、『FFXIII』で最後に手掛けた楽曲になりますね。日本語詞がついている『コクーン
de チョコボ』は、ディレクターの鳥山さん(鳥山求氏)から「英語にしたい」という意向を聞いていましたので収録し直しました。日本語版もかわいらしくていいんですけどね(笑)。ちなみに、『セラのテーマ』も海外版では歌を録り直したのですが、こちらはまた別の機会に皆さんにお届けできると思います。
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海外版『FFXIII』には、日本版と異なる楽曲が収録されている。今回のサントラで、それらをチェックしよう! |
――浜渦さんが考える、このサントラの聴きどころはどこでしょうか?
浜渦 全体の構成として、ふつうのサントラを聴くのとはちょっと違うと思います。ゲームに収録された完成版とは違う楽曲になりますし、そういったバージョンのものを皆さんに聴いていただくという機会はふだんはないものですから。さきほどもお話しをしましたが、ゲーム音楽の制作現場を感じ取ってもらいたいというコンセプトもありますので、こういう曲名から現場の空気を感じてほしいですね。たとえば、『Shugeki2』という曲は、『ファングのテーマ』の原曲ですが、サウンドスタッフにとっては『ファングのテーマ』と言われるより『Shugeki2』と言われたほうがすぐに頭に浮かぶんですよ(笑)。開発が進むと正式な名前に慣れてくるのですが、それでもたとえば『父ちゃん奮闘だぁ!』と言われるより『サッズB』という曲名のほうが、スタッフ間では通じやすいんです(笑)。
――なるほど。『FFXIII』関連で今後、CDなどのリリースの予定は?
浜渦 アナログレコードの第2弾を予定しています。ゲームの顔になる曲と、歌ものが3曲くらい入る予定ですね。あと、『FF』シリーズ定番の“アレ”も予定していまして、いま必死でアレンジをしています(笑)。
――アナログレコードの第1弾は、実際に音色を聴いてみてCDとは違うと感じましたか?
浜渦 マスタリングスタジオで初めて聴いたのですが、やはりレコードに針を落としたときの“ボツッ”という音はいいですね。アナログ盤というのは信号以外の要素がふんだんに入っているのかわかりませんが、たくさんの豊かな情報が沁み込んでくるという感情はありました。一般的に「デジタルのほうが音がいい」と言われたりして、アナログ盤を出す意味を考えたりもしたんです。でも、うまく理由は言えないものの、聴いたとき純粋に「いいな」と思ったんですよね。あと、アナログ盤はパッケージも含めていいと思います。大きくて存在感もありますし、CDより大事に扱いますから(笑)。
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2010年2月26日に発売されたアナログレコード、『W/F:Music from FINAL FANTASY XIII』。完全数量限定で、すでに生産は終了している。 |
●スクウェア・エニックスを退社。その真相は!?
――スクウェア・エニックスを退社されましたが、その理由は?
浜渦 「媒体を限定せずに、音楽活動の幅を広げたい」という想いが強くなったのが大きな理由ですね。その想いを実現するタイミングを考えたときに、大きな目標だった『FF』シリーズを担当でき、大きな節目を迎えたというのもありました。スクウェア・エニックスという会社はとても居心地がよかったのですが、僕自身がそこに甘えてしてしまいそうだったということもあって、自分にハードルを課そうという思いもきっかけのひとつです。
――いま担当されているお仕事は?
浜渦 いまは『FFXIII』のCD関連がほとんどです。ですので、まだあまり退社した感覚がないんです(笑)。つぎに発売予定の『FFXIII』のCDは海外レコーディングを予定しているのですが、これは会社に所属しているときにはできなかったことです。外に出ることでより貢献できることがあるんだと思いました。
――今後もゲーム楽曲を?
浜渦 具体的な予定はまだありません。自分のホームページもオープンしたばかりですし(笑)。『FFXIII』のCD関連が終わってからが、つぎのスタートになるのかもしれません。ただ、ゲームもそうですが、媒体を限定するつもりはありません。映像に合わせて作る音楽も好きですし、映像以外のものもやってみたいですね。以前も、知人がダンスをするというので、それに合わせた曲を作ったことがありましたし、けっきょくどんなものでも音楽が好きなのかなと思います(笑)。
――今後は、いろいろな活躍をされる浜渦さんが見られる、と?
浜渦 どうでしょう(笑)。機会があれば、何にでも応えていきたいですね。
――では、このサントラを楽しみにしている読者にひと言お願いします。
浜渦 ふつうのサントラとして聴くのとはかなり違って新鮮なものになると思います。全体を通して聴いていただいて、『FF』の音楽制作現場を感じてもらえればうれしいですね。
――ゲームのコンポーザーを目指している人には、現場を知るための参考用CDになりますか?
浜渦 じつは、このサントラを楽しんでもらうためには文章による説明を多く用意したほうがいいと思っているんです。制作現場を知ってもらうことで作曲の過程などを知ってもらえると思うのですが、このときに「デモ版の曲を提出するときは、これくらいのレベルで提出することもありますよ」ということをどこかで書けば、より現場がわかる説明になりますよね。CDのブックレットにも解説が入っていますが、公式サイトでもプロトタイプと完成版を聴き比べられるようにしています。コンポーザーを目指す勉強というよりは、制作の裏側を感じられるものとして聴いてもらえるとありがたいですね。
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通常のサウンドトラックとは毛色の違う今回の作品について語る浜渦氏。活躍の場が広がりそうな今後にも要注目だ。 |
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『ファイナルファンタジーXIII
オリジナル・サウンドトラック -プラス-』 |
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収録楽曲リスト |
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1 |
PV「FINAL FANTASY XIII 2007 JFS」 |
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2 |
PV「FINAL FANTASY XIII 2006 E3」 |
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3 |
M1 No.2 title αVersion |
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4 |
M3 No.4 BossA αVersion |
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5 |
M306 OPN2「運命への反逆」パラメキア突入
Version |
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6 |
Hope_PfNer3 |
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7 |
M42E「サンレス水郷」海外 Version |
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8 |
M36A「ガプラ樹林」Instrumental |
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9 |
M74_2 PRO「宿命への抗い」 コーラス無し
Version |
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10 |
M64E「コクーンdeチョコボ」English
Version |
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11 |
M33 Lightning NW Version |
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12 |
M181 Shugeki2 Prototype |
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13 |
M44B サッズB+ Prototype |
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14 |
M106 Last Battle Prototype+ |
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15 |
M5_2「閃光」Long Version |
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16 |
M42「サンレス水郷」Instrumental |
※『ファイナルファンタジーXIII
オリジナル・サウンドトラック -プラス-』公式サイトはこちら
※浜渦正志氏のホームページはこちら
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