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ゲーム産業のV字回復の決め手は? 浜村弘一氏が恒例の講演を実施

2010/4/9

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●同時多発的に真逆の動きが生まれる?

 

 2010年4月9日、エンターブレインの浜村弘一氏が業界アナリスト及びマスコミに向けて“ゲーム産業の現状と展望<2010年春季>”と題する講演会を実施した。毎年2回、春と秋に行われている恒例の企画で、ゲーム業界の直近の展望はもとより、中長期的な動きに対してもデータをもとに言及する内容となっている。今回のテーマは“新次元化するゲーム産業〜ゲーム各社のV字回復ロードマップ〜”。2007年のピーク時と比べて右肩下がりの傾向にある世界のゲーム市場が今後どうなるのか、浜村氏独自の視点とデータで語られた。

 

 まずは、2009年度の各ハードのトピックスを振り返りながら、日本国内のゲーム市場の概況を分析。ハードごとに、その傾向を見ていこう。

 

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◆Wii

 

 Wii関連のトピックスとして真っ先に挙げられたのが『New スーパーマリオブラザーズ Wii』の快進撃だ。全体的に見てWiiのソフト市場は2009年上半期は落ち着いていて、前年度までに発売されていたロングセラータイトルを中心に動いていた(『Wii Sports Resort』のメガヒットはあったが)。そんな状況の中で2009年12月3日に発売されたのが前出の『New スーパーマリオブラザーズ Wii』だ。発売時から驚異的な人気を獲得し、Wii用ソフトとしては史上最速で300万本の販売を突破。Wii用ソフトの累計販売本数でも1位の『Wiiスポーツ』(363万4806本)に肉迫する358万7755本を記録している(2010年3月28日現在)。この人気について浜村氏は、「『New スーパーマリオブラザーズ Wii』は2Dのよさがウケている」と指摘。Wii用の『マリオ』には3Dがウリの『スーパーマリオギャラクシー』があるが、こちらの販売本数は約98万本に止まっている。浜村氏は販売本数に差ができた大きな要因のひとつに“2Dと3Dの違い”を挙げ、「よりカジュアルに遊べる2Dの『マリオ』が、かつての任天堂ファンやライトユーザーの層に訴求したのではないか」と分析した。この『New スーパーマリオブラザーズ Wii』を筆頭に、Wiiは2009年度にミリオン以上のタイトルを4本輩出。ハードの販売も牽引され、Wiiは発売から170週で国内販売台数1000万台を突破した。

 

 「しかし」と浜村氏。ハードの普及スピードはここにきて、プレイステーション2と比べて落ちてきているというデータを公表。国内1000万台に到達した日数は、Wiiの170週に対してプレイステーション2は131週だったので、確かに開きがある。

 

 ここで浜村氏が指摘したのが、Wiiにおけるサードパーティーのソフトの売れ行きだ。じつはWii用ソフトの販売本数TOP10はすべて任天堂のタイトルで、サードパーティーのソフトは11位まで顔を見せない。この、11位に食い込んでいるソフトこそが2009年8月に発売されたカプコンの『モンスターハンター3(トライ)』である。

 

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 任天堂のタイトルが非常に強いWii市場にあって、いまやゲームファンから絶大な支持を得ている『モンハン』最新作の登場はサードパーティータイトルの起爆剤になるのではないかと期待された。実際、販売本数は101万6812本とミリオンヒットを記録。しかし『3(トライ)』発売後もWii市場の傾向に大きな変化は起こっていない。

 

 浜村氏が注目するのは“セカンドパーティー”の存在だ。任天堂が積極的にソフト開発に助力するセカンドパーティーを充実させることで“任天堂ファミリー”を形成し、少数精鋭のソフト群をそろえるという戦略。その代表格になるのが坂口博信氏が開発する『THE LAST STORY(ラストストーリー)』(2010年発売予定)。任天堂が認めるWii向けのラインアップがセカンドパーティーから生まれることで、新たな動きが出てくるかもしれない。

 

◆プレイステーション3

 

 プレイステーション3のキーワードとして浜村氏が挙げたのが“反転攻勢”という言葉だ。実際、プレイステーション3は落ち着いていた2009年度のゲーム市場で気を吐き、ハード、ソフトとともに順調な伸びを見せている。データで見るとわかるが、累計ソフト販売ランキングTOP50に2009年発売のタイトルが20本もランクイン。その中でも出色なのが2009年12月17日に発売されたスクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーXIII』である。販売本数は188万本に達し、これはプレイステーション3所有者の3人にひとりはこのソフトを持っている計算になる数字だ。これだけ売れていれば当然、ハードを牽引する力にもなっており、『FFXIII』の発売週にプレイステーション3は24万5000台の販売を記録。2009年9月のモデルチェンジにより値下げされ、プレイステーション3の販売には勢いがついたが、この『FFXIII』の登場により人気に拍車がかかった格好だ。海外市場でも『FFXIII』の販売は好調で、欧米では発売3日間で300万本の出荷を達成。販売本数も米国、英国ではシリーズ史上最速のスピードでミリオンを突破したとか。本体の値下げ効果が日本以上とも言われる欧米で、普及の相乗効果を生み出しているようだ。

 

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 続いて浜村氏は、発売されたばかりのプレイステーション3用地デジレコーダーキット“torne(トルネ)”の存在に言及。発売から2週間で83000台を売り上げ、品切れ状態でなかなか買えない……というエピソードを紹介したあと、なぜこの周辺機器が人気になっているのかを端的に紹介した。torneの人気の原動力になっているのは「ストレスのない操作感」と浜村氏。「ポンとボタンを押すだけでポンとレスポンスが返ってくる。マニュアルがなくても簡単に使える」とユーザーフレンドリーな造りを絶賛。torneの開発はソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンのゲーム開発部隊が担っていることに触れ、「遊び心がしっかりと入っていることもウケている要因のひとつ。DVDプレーヤーとしても売れたプレイステーション2や、ブルーレイプレーヤーとして売れ始めている海外のプレイステーション3と同じく、地デジ化の流れに乗ってさらに注目されるかもしれない」と浜村氏は結んだ。

 

 そしてもうひとつ、浜村氏が注目トピックのひとつとして挙げたのがプレイステーション3の新たなインターフェース“PlayStation Moveモーションコントローラ”だ。その使い心地を「より細かい動きに対応した、Wiiリモコンに近いコントローラー」とした浜村氏。プレイステーション3用カメラ“PlayStation Eye”と組み合わせて使うところがミソで、プレイステーション3の遊びの幅が広がる可能性は十分にあると断言する。ただ、いまのところ出ている企画は、すでにWiiで使われてきたものばかり。大ヒットするためには「より新しい遊びの発明」と「価格」がネックになると語り、「今後の発表に注目している商品」とした。

 

◆Xbox 360

 

 日本と海外では人気の温度差が激しいXbox 360。日本においては2009年度発売タイトルは歴代TOP10に名を連ねることができず、「市場は縮小傾向にある」と浜村氏。『BAYONETTA(ベヨネッタ)』が約90000本の販売を記録したがプレイステーション3版の約20万本には遠く及ばず、「やはりマルチプラットフォームのタイトルでハードを牽引するのは難しい」と浜村氏は言う。

 

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 それでもやはり、Xbox 360は海外市場で強い。プレイステーション3に先行して発売できたアドバンテージが大きく、またネットワークサービスの充実度や使いやすさもほかのハードと比べて一日の長があることなどから、まだまだ大きな伸びしろがあると見られる。

 

 その牽引役となりそうなのが、プレイヤーの動きをゲームに反映させる新しいインターフェース“Natal(ナタル)”だ。技術的にはほかのハードの体感型コントローラーの上を行く作りになっているとされており、6月のE3(エレクトロニックエンターテインメントエキスポ)で大々的な発表が行われる公算が高いとか。そして、日本市場活性化のカギを握っていると見られるのがカプコンの『モンスターハンター フロンティア オンライン』。『3(トライ)』や『ポータブル』シリーズとは違う独自進化を続けているHD対応の『モンハン』がXbox 360のコアユーザーにどう受け入れられるのか? 「2010年のラインアップはマルチプラットフォームのものが多いだけに、『フロンティア』の動きに注目」(浜村)とのこと。

 

 据え置きゲーム機の総括として、真っ先に出てくるキーワードは“長寿化”であると浜村氏。つぎのように締めくくる。

 

 「ゲーム機はこれまで、ロンチのタイミングを最大に次第に売り上げが落ちていった。しかしいまの市場はロンチのあとにも大きな波があり、ハードの寿命が確実に延びている。プレイステーション3とXbox 360は新技術のインターフェースが登場することから2015年くらいまで戦いが続くだろう。さらに、ネット販売や家電業界をも巻き込んだ市場の争いが展開されるのではないか。そしてWiiはHD対応ではないことから、Wiiと互換性があり、より遊びにこだわったコントローラーを搭載した新型が模索されるかもしれない」(浜村)

 

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◆PSP

 

 2009年度のPSPは、後半に『ファンタシースターポータブル2』、『GOD EATER(ゴッドイーター)』という、“つながる”楽しさを前面に押し出したゲームが登場してスマッシュヒット。『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』も約72万本の販売を記録し、サードパーティーの充実が目立った。

 

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 『ファンタシースターポータブル2』と『GOD EATER(ゴッドイーター)』がとった戦略でエポックメイキングだったのが“体験版の効果的な使いかた”だったと浜村氏。体験版の段階からマルチプレイを可能にし、さらに製品版にデータを引き継げるといった付加要素もたっぷりと盛り込んで、体験版をプレイしたファンを放さなかった。「宣伝手法の新しい境地」と浜村氏は絶賛する。

 

 そしてPSPには2010年年末に、キラータイトルの『モンスターハンターポータブル 3rd』が登場する。『2nd G』は380万本を売りながらもいまだ販売本数が伸びている。この事実を指して浜村氏は「このシリーズはまだまだ伸びしろがある」と言い、続けて「『3rd』の目標は500万本らしいが、十分届くのでは」と太鼓判を押す。

 

 このように順風満帆に見えるPSPだが、じつは大きな問題もある。それは海外市場で伸び悩んでいること。毎年シェアが落ち、「このままでは日本でしか売れないハードになってしまう恐れがある」と浜村氏は顔を曇らせる。しかし去る4月7日に、この問題点を払拭する可能性すらある驚きの発表が行われた。それがKONAMIの『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』と前出の『モンスターハンター』のコラボレーションだ。『モンハン』シリーズはこれまで海外ではそれほど強烈なインパクトは残せていないが、全世界的な人気を誇る『メタルギア』とコラボすることで知名度が上がる可能性がある。逆に日本では『メタルギア』内で狩りができるということで、『ピースウォーカー』が『モンハン』ファンに訴求できる。「日本、海外の両方に影響を及ぼす画期的な出来事」という浜村氏の発言に頷ける。

 

◆ニンテンドーDS

 

 ニンテンドーDSは2009年度も市場の中心だった。ソフトでは『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』、『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』、『トモダチコレクション』の3タイトルが300万本を突破。『ドラクエ』、『ポケモン』という2大ブランドのメガヒットは想像できたことだが、この中で異彩を放っているのが『トモダチコレクション』だろう。このソフトの発売初週販売本数は約10万本。そこから延々と売れ続け、じつに39週かけて300万本の大台を超えている。『トモダチコレクション』を手がけたのは、硬派な『メトロイド』シリーズやコミカルな『メイド イン ワリオ』を作った任天堂の企画開発本部 企画開発部の坂本賀勇氏。さまざまな色のコンテンツを手がける坂本氏による『トモダチコレクション』はソーシャルゲームの要素も含まれた目から鱗の作品で、「『トモダチコレクション』からまったく新しい“ゲームらしいゲーム”が誕生するかもしれない」と浜村氏も瞠目する。

 

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 ハード面のトピックとして挙げられたのは、ニンテンドーDSiを大型化したニンテンドーDSi LLの売れ行き。浜村氏は「携帯ゲーム機なのに大きく、重くなることに対して10人中9人はクエスチョンマークだったと思うが、現在のDSシリーズの売り上げの44パーセントはLLになっている」というデータを紹介。ではなぜ“大型の携帯ゲーム機”という矛盾のような事実が受け入れられているのか? それは「ニンテンドーDSi LLが個人使用のモニターになっている可能性が高いから」とし、「ユーザーはLLを、家庭で据え置き機と同じように使っている。ゲーム機の扱われかた自体が変化してきている兆しではないか」と語った。

 

 ニンテンドーDSの今後の課題として挙げられたのは、Wiiと同じくサードパーティーのソフトが苦戦していること。しかし2010年は『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』(スクウェア・エニックス)、『イナズマイレブン3』(レベルファイブ)などタイトルが充実。「任天堂を理解しているソフトハウスのタイトルがハードを支えていくのでは。ここでも“任天堂ファミリー”が活きてくる」(浜村)。

 

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●ゲーム市場の現状

 

 ここから、世界の各市場の分析に。まず日本だが、2009年度(2008年3月31日〜2010年3月28日)の市場規模はハード、ソフトを合わせて前年比99.4パーセントだった(ハード:93.4パーセント、ソフト:103.7パーセント)。ハードの規模減少が大きいが、じつはこれ、金額ベースで見た数値。同期間のハード・ソフトの販売数比較では、2009年度は前年比101.6パーセントと増加(ハード:96.6パーセント、ソフト:102.5パーセント)しているのである。ハードが金額ベースの数値よりも3ポイント近く高くなっているが、これは2009年度に各ハードが相次いで値下げを行った影響だ。ちなみに、2009年度の各ハードの販売台数は以下のとおり。

 

ハード名

2008年度販売台数

2009年度販売台数

前年比

ニンテンドーDS

398万3205

392万2762

98.5パーセント

PSP

323万563

242万2765

75.0パーセント

Wii

225万7575

218万3938

96.7パーセント

プレイステーション3

99万9903

192万5429

192.6パーセント

Xbox 360

39万8633

25万1911

63.2パーセント

プレイステーション2

41万2968

19万5702

47.4パーセント

 

 マクロな視点で見ると、日本のゲーム市場は上がったり下がったりをくり返している。近年も、2007年のニンテンドーDSの大ヒットを頂点にゲーム市場は縮小してきた。それが、2009年夏に『ドラゴンクエストIX』や『モンスターハンター3(トライ)』といったソフトのヒットで回復の兆しをみせ、12月に『New スーパーマリオブラザーズ Wii』が出てV字に伸びた。では2010年はどうなのか? 『ポケモン』の新作や『モンスターハンターポータブル 3rd』が発売を控え、ラインアップ的には粒が揃っている。しかし比較される2009年はトリプルミリオンが続出したことでソフト市場が伸びただけに、これを超えられるかは微妙なところだという。この状況を指して浜村氏は「2010年は構造改革のさなかの年」と語る。

 

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 海外に目を転じると、ずっと右肩上がりを続けていた米国、欧州ともに増進が頭打ちになっていることがわかる。まず米国は、前年比92パーセントに減少。値下げ効果もあってプレイステーション3が前年比122パーセントの売り上げを記録したが、それでも前年比94パーセントとなったWiiの半分にも満たない数字だ。そのWiiは年末に、世界最大のスーパーマーケットチェーン・ウォルマートで50ドル分の割引クーポンとともにハードを販売。これが起爆剤となって年末はハードが品切れになるほどの売り上げを記録したという。

 

 英国の市場規模は米国よりもさらに減少が激しく、前年比73.8パーセント。英国は米国以上に不況の影響が深刻で、さらに米国で行われたようなキャッシュバックキャンペーンも実施されなかったことからハードの販売が鈍っていたようだ。この傾向は欧州全体に及んでおり、現状、販売台数が伸びているのはプレイステーション3のみとなっている。そんな中でももっとも注目度が高いのは、やはり任天堂の動向。「市場の半分を持っている任天堂の動きは見逃せない。ニンテンドー3DSを始め、2010年はさまざまな施策を打ってくる。それらが発表される今年のE3は本当におもしろいと思う」と浜村氏は結んだ。ちなみに、年々市場規模が拡大している中国は、現在こそ手軽なブラウザーゲームにトレンドがあるが、これも次第に重厚なゲームに移行しつつあるという。しかし政府サイドで外資系のネットゲーム参入が禁止されるとの報道もあったりするため、何かと不透明な部分は残っている。

 

●V字回復へのロードマップとは?

 

 全世界的にゲーム市場は、2008年から2009年にかけて縮小した。浜村氏はこの理由として、WiiやニンテンドーDSがある程度普及しきったこと、プレイステーション3の普及が遅れたことを挙げるとともに、「音楽ゲーム市場の縮小が大きかった」と断言する。ここ数年、米国では『Guitar Hero』シリーズや『Rock Band』シリーズに代表される音楽ゲームが市場拡大の牽引役となってきたが、その勢いに急ブレーキ。2005年、2006年の『Guitar Hero 1・2』が合計で2000万本売れたことに対し、2009年9月に発売された『Guitar Hero 5』は約100万本に止まっている。『Rock Band』も2007年の第1作目が約500万本売れたことに対し、最新の『The Beatles:Rock Band』は約120万本。この極端な凋落の理由を浜村氏は、同じようなゲームが乱立したことによる“飽和状態”と、不況の影響で多くのファンが専用コントローラーに手が出なくなってしまったことを挙げる。

 

 この不況の影響は音楽ゲームにだけに止まらず、出せば必ず売れると言われたスポーツゲームなどにも波及していて、発売した直後から50パーセント以上のディスカウント販売を余儀なくされているほど。「2008年は47パーセントの59ドルタイトルが5ドル以上ディスカウントされていたのに対し、2009年はその比率が70パーセントになった」(浜村)という調査結果も。ショップ自体が新品ソフトを買わなくなり、中古販売が加速したことによってゲームメーカーの利益が減るという悪循環に陥っているという。

 

 「ゲーム業界は不況に強いと言われていたが、これは誤り。コストパフォーマンスがいいため外食産業や旅行産業と比べれば不況に強いと言えた。でも現在の不況は消費そのものが減退しているのでその影響を免れない」(浜村)

 

 現況を打開する手段として、浜村氏は「流通改革」を挙げる。その最たるものがネット販売。もともと、無料ソフトや安価なコンテンツとの親和性が高いため効果が高いという。その好例がiPodだ。安いコンテンツが楽しめるインフラというスタンスは、すっかり市民権を得ている。しかも新たなプラットフォームとして、現在iPadが注目の的に。携帯ゲーム機としてみると、ニンテンドーDSi LLと比べてモニターの大きさが約2倍になっているが、重さは3倍、価格は2倍にもなる。しかしニンテンドーDSi LLが据え置き機の代わりとして使われているという側面もあることから、14万本もの安価なコンテンツ資産が使えるiPadが普及する目は多分にあると浜村氏は分析する。

 

 このiPod系プラットフォームと並んで注目されているのが“ソーシャルアプリ”だ。日本国内でもmixi、モバゲータウン、GREEの“3強”がしのぎを削っている。その規模も日ごとに拡大しており、mixiアプリの『サンシャイン牧場』の登録者数は約480万人に達していて、ひと月の収入が1億円を超えるメーカーも出てきているとか。モバゲーとGREEも好調で、大手のゲームメーカーもこぞって、ソーシャルアプリの分野に参入しだしている。カジュアルなゲームは、こういった“バーチャルマーケット”の定着によりさらなる普及を遂げそうだ。

 

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 ではカジュアルゲームではなく、もっと濃いゲームを楽しみたい人の市場はどうなるのか? 浜村氏はここでのキーワードとして“技術革新”を挙げる。

 

 その代表格が“3D技術”だ。まず3D対応テレビだが、すでに米国では発売されていて品切れになるほどの人気を博しているという。ゲームメーカーの動きも敏感で、ソニー陣営が3Dテレビ対応のプレイステーション3用ソフトの研究をしているのはもちろん、ソフトメーカーにも呼応した動きをしているところがあるという。代表的なところはカプコンで、浜村氏によるとカプコンの開発ツールであるMTフレームワークは3Dに対応していて、『バイオハザード5』や『ロスト プラネット2』も、すでに開発段階から3Dに対応できていたという。このようにゲームを3D対応にするときのハードルはそれほど高いものではなく、「何の気なしに遊んでいたゲームがある日突然、テレビを変えただけで3Dになってしまうかも」(浜村)ということが現実として起こるかもしれないという。

 

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 そして3Dと言えばやはり、ニンテンドーDSの後継機“ニンテンドー3DS”を忘れてはならない。浜村氏は「このハードについては現状、まったく情報がない」としながらも、「いくつかある裸眼3Dの技術の中で“パララックスバリア方式”が採用されるのでは」と予測。さらにニンテンドー3DSについては「3D機能のほかに、さらに驚く隠し球があるかも?」と期待を寄せる。

 

 このほか、技術革新で注目したいものとして任天堂の“Wiiバイタリティーセンサー”と先のGDCで発表された“クラウド型ゲームサービス”を列挙。クラウド型ゲームサービスとは、サーバーにゲームの機能をすべて置いてしまい、ユーザーはそこにアクセスすることでどんな端末でも同一のゲームが遊べる……という画期的なシステムのこと。しかし、ハードの垣根を取っ払うかもと注目されてはいるが、サーバーへの投資が非常に大きくなるなど課題も多いという。

 

 もうひとつ、ゲームのメディア化が進むのも今後の大きな流れと浜村氏。『龍が如く4』で見られる30数社もの企業・商品とのコラボレーションに代表される動きで、ゲームをメディアのひとつとして使うトレンドが生まれつつあるという。最近もフジテレビがオンラインゲーム市場に参入して、ゲームが中心となったオンラインコミュニティーを作ったばかり。そして米国ではディズニーやワーナーブラザーズに代表される“5大メディア企業”がゲーム事業参入を睨んでおり、ゲーム関連会社をつぎつぎと買収している。任天堂に匹敵する規模のメディアが参入することで、「世界的に新しい潮流が生まれるかも」と浜村氏は指摘している。

 

 これらの動きを総括して浜村氏は、2010年以降のゲーム市場には“チープとゴージャス”、“カジュアルとヘビー”、“マルチでロングライフ”と言った真逆のキーワードが同時多発的に生まれ、さまざまな分散進化を遂げると断言。この動きの先にこそ「V字回復への道がある」と締めた。

 

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