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気鋭のアナリストに聞く、ゲーム業界の未来と大変革
【GDC 2010リポート】

2010/3/14

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●ゲーム業界は第2の黄金時代を迎えるか?

 

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 2010年3月9日〜13日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターによる国際会議、 GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2010が開催。世界中のクリエーターによる講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。

 

 今年のGDCではソーシャルゲームやiPhoneといった話題を扱うセッションが急増し、展示ホールに降りれば3Dグラスをかけて画面を見つめる人をあちらこちらで見かける。そのまま市場に受け入れられるかはわからないが、去年とは明らかに違う変化がここにある。では、ゲーム業界はどのように変化していくのか? GDC最終日の会場で、アナリストのスコット・スタインバーグ氏に話を聞いた。

 

――不況の長期化と同時に、ゲーム市場が縮小しているという報道をしばしば見かけますが、これについてスタインバーグさんの考えを聞かせてください。

スコット・スタインバーグ氏(以下、スタインバーグ) 市場全体としては大きいままで、むしろ過去最大だ。NPD(調査会社)のリポートなどを見ると、パッケージを販売する小売の部分が減っているので一見縮小しているように見えるが、それは一部分を捉えたものにすぎない。ソーシャルゲームやiPhoneなどのスマートフォンや、基本プレイ無料のオンラインゲームといった領域は成長している。それに合わせてデベロッパーが小規模な独立系にシフトしてきているのは確かだけどね。ゲーム市場全体は多様化していて、老若男女を問わず、いままでゲームをしなかった人もゲームを遊んでいるようになっている。僕はゲーム業界に第2の黄金時代が到来してもおかしくないと考えているよ。

 

――これまでのハードウェアに対してパッケージを販売していくという収益モデルに対して、ダウンロード販売だったり、マイクロトランザクション(小額課金)といった部分がどんどんシフトしていくということでいいですか?

スタインバーグ そのとおり。これは予測じゃなくて、確実に起こり始めていることだ。起こるかどうか、ではなくて、いつそれが起こるかという種の問題だね。

 

――ではその流れによって、ゲーム産業に及ぼす影響を教えてください。

スタインバーグ 業界全体がコアの部分から揺れていくと思う。これまではパブリッシャー(販売メーカー)やデベロッパー(開発メーカー)が、ゲームを市場に出して賭けをして、当たったら次のゲームを作って……というサイクルだった。でもいまはユーザーが自分が声をあげるのが当然だと思っているから、発売するとすぐにフィードバックがある。たとえばValveのSteamでは1週間の売上がすぐ反映されて、それに対しての意見はすぐに返ってくる。メーカーとユーザーの関係が深くなってきている。全体がコアの部分から揺れると言ったけど、それが終わったころにはみんながハッピーになると思っているよ。

 

――GDCの展示では立体視技術やモーションコントロール関連のものが多く出展されており、エンターテインメント全体が、それ自体“体験”に近づいているように見えます。たとえば『アバター』は映画として素晴らしいわけではないですが、かつてない体験をすることができる。ゲームもまた、体験するエンターテインメントになっていくのでしょうか?

スタインバーグ まず3Dについては、将来期待できるものではないと思っている。3Dはソニーやパナソニックやサムソンといった家電メーカーが主導しているだけで、それはPCなどのほかのエンターテインメント機器に押されているテレビを復権したいだけだ。一方で、Natalやプレイステーション3のモーションコントローラーは体をインターフェースとして使って操作を易しくしたもので、ボタンを覚えたりする必要がない。いままでゲームをプレイしたことがないカジュアルな層も取り込めるという意味で価値があると思う。

 

――今年のE3の展望を教えてください。

スタインバーグ ホリデーシーズンの発売を控えて、Natalのメジャーなニュースが出てくるのは間違いないだろう。モーションコントローラーについても同様だ。最初の世代のゲームはあまり優れたものではないかもしれないけどね。ビッグタイトル、フランチャイズ(ここでは続編物)などが発表されるのはいつもどおりとして、テレビや映画に対向するなにか新たなゲームが出てこなければいけない時期だ。また、ハイエンドなゲームに対して、エキサイティングではないかもしれないが、モバイルゲームなどももっと出てくるだろう。

 

――GDCはどうでしたか?

スタインバーグ ゲームを支えようという気持ちは伝わってきた。作り手の多様化も感じたし、ソーシャルゲームであっても画期的なものもあった。だけど、不安を持ちながらこれまでの栄光も引きずっている人が多いようにも感じた。実際に覗いてみると、お金の心配をしていたり、将来がどうなるのか心配している様子が垣間見えたね。ソーシャルゲームに(旧来のゲーム産業が)荒らされている感じはあるけども、小さな芽は見えてきている。新しいゲームを探っている感じはするので、マジカルな芽が出てくるんじゃないかな。それと、ソーシャルゲームやiPhone、ダウンロード配信などの領域が成長しているのは確かだけど、ベンチャーキャピタルなどの資金を操る“シャーク(鮫)”がうろうろしている。第2の黄金時代が来たあと、もう一度バブルが弾けそうな気もしている。結局最後に儲けるのはベンチャーキャピタルだからね。

 

――ソーシャルゲームやiPhoneのゲームは開発資金などがきつくないぶん、小回りが効いて、英語で直接ユーザーとコミュニケーションできることが重要だと思うのですが、この分野で日本のゲームメーカーはまだそれほど成功していないように見えます。先日北米でも日本のビッグタイトルである『ファイナルファンタジーXIII』が発売され、全世界で500万本出荷されましたが、スタインバーグさんは今後ゲーム業界全体に根本的に変革が起きると考えている。では、今後日本のゲームメーカーは北米市場で何が可能でしょうか?

 

スタインバーグ いままでの考えを一切捨てて、柔軟性をもって臨む必要がある。新しいビジネスモデルも必要だが、市場に合わせてリスクを少なく、かつグローバルな展開を考えるべきだ。スタッフを減らさなければいけないかもしれないが、そのぶんは外注のスペシャリストを使えばいい。そして、ユーザーからのフィードバックを確実に聞いて、数字を正確に把握しなければいけない。とにかくこれまでのやりかたは通用しなくなる可能性があることを念頭に置いてやっていかないと、洪水のごとく押し寄せる流れに溺れて浮かぶことになりかねない。くり返しになるが、柔軟性を持って小回りをもち、ラディカルに改革しなければいけない。これは新たな分野のゲームをやれということではなく、ひとつの方法に固執しないで、複数の選択肢を持つということが重要なんだ。パッケージだけでなく、ダウンロードコンテンツ、アドオン(拡張パック)、別のデジタルコンテンツをつけるのでもいい。試行錯誤をしてやりかたを変えなければいけない。そして自分の作ったゲームがこれからもうまくいくと思わないで、ユーザーによってどんどん変わっていくということを認識すべきだよ。


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