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ソーシャルゲームは本人、オンラインゲームはキャラ――ゲームディレクター“しおにく”が語る両者の違い
【OGC2010リポート】

2010/2/17

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●「ソーシャルゲームはゲームじゃねえ!」と魂の叫び
 

しおにく氏

 ブロードバンド推進協議会主催によるOGC(オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス)2010が2010年2月17日に都内で開催された。オンラインゲームやコンシューマーゲームを中心とした開発者向けのセッションが多数用意されるOGCだが、ミクシィの笠原健治氏の基調講演を始め、今年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やTwitter、ニコニコ動画といった、コミュニケーションツールを媒介としたコンテンツをテーマにしたものが中心。オンラインゲームの運営、開発を経て現在はフリーのゲーム企画開発ディレクターとして、オンラインゲーム界隈では“しおにく”の愛称で呼ばれている澤紫臣氏のセッションもその例に漏れず、mixiアプリに代表されるソーシャルゲームについて論じる内容になった。

 

 澤氏は話を始めるに当たり、自身の“魂の叫び”として「ソーシャルゲームはゲームじゃねえ!」と過激な意見を披露。もちろん、これはソーシャルゲームの存在を否定するという意味ではなく、我々がこれまで親しんできたゲームとは別物であることを強めの言葉で表現したもの。その理由を語るに当たって、同氏は“ゲームとは?”という根本的な分析を行った。
 

資料

 

 将棋やチェスといったクラシックゲームおよびテレビゲームは勝敗、競争を成立させるためのルールがコアとなっている。一方ソーシャルゲームは、“ミニアクション・デカリアクション”が続く、言ってしまえば“作業的”なものであり「ルールがあるしたら、それはコミュニティーです」と澤氏は説明。つまり、ルールのありかたという部分で既存のゲームとは大きく異なるというわけだ。ここから話は、同じくコミュニティーの存在が重要なMMORPGを始めとするオンラインゲーム(以下、OG)と比較しながら、ソーシャルゲーム(以下、SG)の特性を分析する形で進行することになった。

 

 SGとOGが第1に違うのは、コミュニティーが形成される経緯。SGではSNSというコンテンツとは別でコミュニティーが成立しているが、OGではコンテンツをきっかけにコミュニティーが生まれ、維持されることになる。これが意味するとこを理解するには、「明日そのコンテンツがなくなったら?」を考えればいい、と澤氏は話す。つまり、SGではたとえコンテンツが終了してもコミュニティーの本体は外部にあるため維持される。一方、OGはブログやプレイ日記といった形で一応外部でのつながりもあるが、大多数はコンテンツの消滅とともにコミュニティーが解散してしまうというわけだ。

 

資料

 

 澤氏はSGを“ショートタイム/サムタイムS”、OGを“ロングタイム/リアルタイム”と表現し、ユーザーのプレイスタイルという部分にも両者の違いが見られると説明。前者が意味するのは、1プレイ数分(ショートタイム)のくり返し(サムタイムS)で、ほかユーザーと遊ぶタイミングを同期する必要がないというもの。後者はログインしている時間が長く(ロングタイム)ユーザーどうしの同期が重要視(リアルタイム)されるということだ。この違いはアクセス推移にも影響する。たとえば1週間で見た場合SGのほうは同期の必要がないのでとくに触れ幅がなく、OGはプレイヤーが同期しやすい金〜日曜にアクセスが集中するという具合に。

 

 気軽にアクセスできるというのはSGの強みではあるが、同時に、ほおっておけばプレイヤーのモチベーションが下がり、利用者数が減少してしまうという問題も孕んでいる。澤氏はそうならないためにも、SGを運営する際にはイベントやアップデートでアクセス推移に「わざと周期を作る」べきであるとコメント。「盛り上がりをユーザーに想像させる」(澤)ことが重要であるとした。そのほか、ユーザーのモチベーションという点で、ほかのプレイヤーが何をしているのか知らせる“アクティビティ”のありがたみも、SGとOGでは異なると澤氏は語る。プレイヤーどうしの同期を必要とせず、こま切れに遊ぶSGではアクティビティが唯一と言ってもいいコンテンツ上でのつながりだが、同期が醍醐味であるOGは「ゲーム内で会えばわかるし、話せばわかる」ためアクティビティのありがたみは薄い。これはゲームプレイへ向かう動機にも関係していると澤氏は考える。SGではアクティビティを見て“遅れを取りたくない”というポジティブな方向でプレイへの欲求を喚起されるが、リアルタイムのつながりが重要なOGはゲームが進行するほど“役割分担を強制される”という一種のプレッシャーがゲームに向かわせるということだ。


 ゲームへ向かう動機の違いからもわかるように、コミュニティーが核となる場合はプレイヤーのパーソナリティーについても気を遣わなければいけない。澤氏は、キャラクターが本人なのか分身なのか? という見かたをした場合、“SGは本人”で“OGは分身”になるだろうと考える。実生活でお互いに知っていたり、SNS上でパーソナルな情報を把握している可能性が高いSGでは、コンテンツ上とは言え傷つくのを避けたいという心理が働く。OGはコンテンツ上でコミュニティーが形成されることに加え、キャラクターメイキングが細かく行えたりするので、リアルタイムでのやり取りに気を遣う一方、プレイヤー自身のパーソナリティーが傷つくことは少ないのだ。

 

 興味深い話が相次いだ澤氏のセッションだったが、今回は残念ながら時間が足らず結論にまでは到達しなかった。事前に配布された資料によれば、澤氏はSGとOGの違いを把握したうえで、儲けを追求するのではなく“プレイ・ライフ・バランス”を重視したエンターテイメントを追及していきたいと考えているとのこと。また、冒頭で“ゲームじゃない!”と述べたソーシャルゲームの登場で、市場はどんどんエキサイティングになっていくだろう、と自身の考えを述べている。
 

資料

 

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