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[完全版]新生グラスホッパー・マニファクチュア始動

2010/2/5

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●トップクリエーターふたりが須田剛一氏のもとに集結

 

 『ノーモア★ヒーローズ』や『キラー7』を筆頭に、国内外で高い評価を得ている開発会社グラスホッパー・マニファクチュアに、飯田和敏氏と山岡晃氏が入社することが明らかになった。ふたりの経歴は下に詳しいが、両名ともにゲーム業界で大きな存在感を放つクリエーターとして知られている。そんなふたりが須田剛一氏のもとに集結したというのだ。週刊ファミ通2月18日号にて3名のインタビューを掲載したが、ファミ通.comではそのインタビューに加筆したより濃い内容でお届けする。

 

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飯田和敏氏(左)、須田剛一氏(中央)、山岡晃氏(右)

 

●グローバル市場に発信する“ビデオゲームバンド”に

 

――今回飯田氏、山岡氏がグラスホッパー・マニファクチュアに入られるとお聞きしてすごく驚きました。その経緯からお聞かせください。

 

suda

グラスホッパー・マニファクチュアの代表取締役。'98年に同社を設立。『シルバー事件』や『killer7』、『ノーモア★ヒーローズ』など、独自の世界観や革新的なゲームシステムを採用したゲームを多数輩出。国内外で高い評価を得ているゲームデザイナーだ。

須田 グラスホッパー・マニファクチュアという会社は2010年に設立満12年目を迎えました。2年まえに10周年記念パーティーを開催したときは、ちょうど『ノーモア★ヒーローズ』という代名詞となるヒット作を生み出すことができ、業界の中で少しずつ認知されてきました。そういう状況の中で、僕は海外に向けて、国内に向けて、ジャンルを問わず、魅力的でイノベイティブなタイトルを作っていくと決意を固めたんです。グラスホッパー・マニファクチュアという会社は、SUDA51という名前が先行していましたが、そうではなくてこれからはいろいろな才能のあるクリエーターの方に参加してもらって、我々ならではのコンテンツやブランドを構築することで世界基準の活力あるゲームを作っていこうと。生活に活力を与えたり、潤いを与えられたりすることができるゲーム。グラスホッパーのゲームを遊ぶと遊園地に行ったときの興奮を思い出すような感覚をより強めたいと思っていました。それを実現させるために、昔から親交があり、尊敬しているおふたりといっしょに仕事がしたいと思い、僕から口説き落としました。
 

――具体的にはどのように口説かれたのでしょう?

 

飯田 長い期間ゲームが作れない時期があって、その間いろいろな形で須田さんに応援していただいていました。そういう励ましのなかで『ディシプリン*帝国の誕生』を作って、楽しかったんです。またゲームを作りたいと思えるほどに。だけど、フリーでゲームを作るとなると1本ごとにスタッフをイチから編成したり、契約をしたり、ゲーム開発とは違うこともひとりでやらないといけない。そういったことで悩んでいた時期に「クリエイティブに専念できる環境を作るからいっしょにゲームを作ってほしい」と口説かれて、落ちました(笑)。

 

須田 飯田さんは誰もが認める天才クリエーター。『シム』シリーズを作ったウィル・ライトや“シミュレーションゲームの父”と言われているシド・マイヤー、『Fable』シリーズなどを手掛けているピーター・モリニューという世界三大ゴッドゲームクリエーターを継ぐゲームデザイナーは飯田和敏だと思っています。だからこそ、グラスホッパーの一員として飯田さんが世界で活躍する場を作りたいと純粋に思いました。それで「1本1本丁寧に作っていきましょう」と声を賭けさせていただいたんです。ゲーム作りだけでなく、会社経営の楽しいこともヘビーなことも含めて、さまざまな経験をしてきた方ですし、人間的にも大好き。好きな人と仕事がしたいという想いも強く、口説きました(笑)。もちろん山岡さんも大好きな人。まだ山岡さんの名前を知るまえ、9年まえの東京ゲームショウで『サイレントヒル2』の映像を観て、あまりの曲のかっこよさに会場で動けなくなるほどの衝撃を受けたんです。それからずっといっしょに仕事をしたいと夢見ていたところ、あの「山岡晃が会社を辞める?」という噂を聞いて口説こうと決めました。

 

山岡 タイミングがよかったんですよね。もちろん、須田さんの名前は知り合うまえから知っていて、日本人が作って海外でも認められる作品が作れるチームはグラスホッパーだと感じていました。それでたまたまロスで会う機会があっていろいろな話を聞かせてもらい、「世界に向けた作品、そして商品を作り続けたい」という想いにビビッと来て僕も落ちました。グラスホッパーが掲げる理念に"ビデオゲームバンド"というのがあるのですが、僕も「日本人だけでなく、世界中の人をうならせられる商品を作りたい」という想いを持っていたので、このバンドに参加しようと決心したんです。

 

iida

『アクアノートの休日』や『巨人のドシン』などを手掛けたゲームデザイナー。講師や作家など、幅広い分野で活躍。2009年8月には約7年半ぶりの新作としてWiiウェア向けタイトル『ディシプリン*帝国の誕生』を発売し、話題を集めた。

飯田 僕たちは同年代で、ゲームを作ってきて20年。これからあと20年間ゲームを作るとして、その折り返し地点でちょうど決意したということですね。どうしても世界を意識したものを作らなければならないという使命感もあります。
 

山岡 日本人がそういう世界を意識したものを作る、ということに意味があるんだと思います。

 

●飯田氏、山岡氏ともにプロジェクトが進行中

 

――山岡さんは作曲家でありながら、プロデュース業もやられてきました。須田さんはどちらの面に期待されているのでしょう?

 

須田 まず曲を作っていただきたいですね。山岡さん自身も作曲家として集中して活動できる場を欲していますから。もちろん、そのさきに"プロデューサー山岡晃"のイメージもありますが……ご自身はどうでしょうか?

 

山岡 経験を活かしたトータルでのゲーム作りを行いたいとは思っています。ただ、現在進行のプロジェクトにおいては、"誰が作ったゲームか"ということよりも、自分でしかできないサウンド力で、まずは世界中の人をうならせることが必要だと思っています。

 

須田 僕もいまはグラスホッパーのオーディオ面を山岡色に染めてもらいたいという気持ちが強いです。なので、今後発売されるグラスホッパーのゲームのオーディオに関してはすべて山岡さんにお任せしています。

 

――すでにプロジェクトに関わられている?

 

須田 直近だと、三上真司さんがプロデュースを担当しているエレクトロニック・アーツさんのプロジェクトも、すでに山岡さんが作業に入っています。

 

飯田 すごいことですよ。『キラー7』の須田さん、『バイオハザード』の三上さん、『サイレントヒル』の山岡さんがひとつの作品を作っているという。すごい作品になるしかない。僕は仲間に入っていないですけど(笑)。

 

須田 飯田さんがディレクションするタイトルもすでに動き始めているので、それに集中していただいて(笑)。飯田さんが手掛けているタイトルはまだ発表できないんですが、たぶん皆さん、ビックリすると思いますよ。

 

飯田 僕もビックリしているほどですから、マジで皆さんもひっくり返りますよ(笑)

 

――作家性の強い作品になるのでしょうか?

 

飯田 僕らはアーティスティックと言われることが多いですが、目指しているのはスコアー(数字)。“TOP OF THE WORLD”を目指してプレイヤーに喜んでほしい。それだけです。

 

須田 作家性も大事ですが、大衆作品であるという大前提も大切にしていきたい。誰もが触れて楽しめるゲーム、いまの市場を大事にしつつ、つぎの市場に意識を向けた魅力的な“未来のゲーム”を作りたいと思っています。

 

――具体的に“未来のゲーム”とは?

 

須田 つぎの世代の子供たちが遊ぶゲーム、そしていまの子供たちが大人になっても遊べるゲームのことです。現在の我々からは想像しづらいかもしれませんが、新しいブランドイメージを築いていきたいと思っています。グラスホッパーにいろいろなタイプのクリエーターが集まりゲームを作る。作家性だけでなく、どんな素材でもおいしく料理できるというイメージを皆さんに持っていただけるような丁寧なゲーム作りをしていきます。この丁寧というのは、お客様にとって丁寧という意味でもありますし、パブリッシャーさんにとの関係も、働いてくれているスタッフに対しても丁寧という意味でもあります。そういったことすべてを丁寧にやりたいと思っています。

 

●つぎのE3で何かが起こる?

 

――2010年2月1日に新社屋に引っ越されたとか。

 

須田 決意を新たにするという意味も込めて、引っ越しました。組織強化という意味もあります。山岡さんが言っていたグラスホッパーの理念に"ビデオゲームバンド"というのがあります。これは開発をバンドという概念に置き換えて、ボーカルやギター、ベース、ドラムという編成もあれば、もっと大きいサイズのビッグバンドもある。もちろんオーケストラのような大所帯もある。いろいろなサイズで音楽を奏でることができるというスタイルを目指したいと思っています。スタッフひとりひとりが物作りの重要なパートを担うという想いも込めて、ビデオゲームバンドという言葉をスローガンに掲げているんです。それを達成するために、カプコンさんやスクウェア・エニックスさんがある……いわゆる“パワースポット西新宿”に引っ越すことにしました(笑)。

 

――おふたりはグラスホッパーで働き始めていかがですか?

 

飯田 ゲーム制作はすごくいろいろなやり方、方法があって、僕は20年間いろいろな方法を試してきましたが、(グラスホッパーは)すごい。すごい単純で、簡単なやり方をしているなと思いました。具体的に言うと、朝10時に集まって「おはようございます」、社内ですれ違うときは「お疲れさまです」、帰るときは「おさきに失礼します」と。こういうことがちゃんとやれているところは少ないと思います。少なくとも僕がやってきた中ではありませんでした。非常にルーズだったんです。もちろんルーズでもいい作品はできるんですが……やはり気持ちいいんですよね。バンドって仲間ですから、仲間として「ゲームをロックしようぜ」と思ったら、まず「おはようございます」。これが大事だし、それができているのがグラスホッパーなんだと思いました。やはり声を出すのは気持ちいいですし、集中できる。クリエイティブな波を作りやすくなるんだと思いますよ。

 

山岡 僕も国内外のいろいろなデベロッパーを見てきましたが、グラスホッパーがおもしろいのは日本なのに外国人スタッフが多いことですね。外国人って日本人じゃ持っていない感覚をやはり持っているんですよ。それは言葉ではなく、センスのようなもの。それが日本人スタッフと混ざり合って爆発するというか。新しいものにつながっているんだと思います。国内でも外国人スタッフがいる現場もありますが、ここは人数も多くて僕自身刺激を受けています。トラディショナルな中に、グローバルな感覚もある。そういう意味でもビデオゲームバンドとしておもしろそうなものが結果的に生まれてくればいいなと思っています。

 

――楽しみですね。

 

yamaoka

『サイレントヒル』シリーズの楽曲を手掛け、シリーズ3作目以降はプロデュース業にも携わっていた。2006年にはオリジナルアルバム『iFUTURELIST』を発売。映画版『サイレントヒル』の制作総指揮として世界各国を拠点として活動。音楽に留まらない才能の持ち主である。

山岡 このバンドには、須田さんや飯田さんだけでなく、ギターもできるし、ドラムもできるという人がたくさんいますから楽しみですよね。だから、"誰がこれをやる人だ"と決めつけるわけでなく、このプロジェクトでいちばんいい仕事ができる人がその仕事を適材適所でやるのがいいんだと思います。僕はサウンドをやりながらゲームも見て、サウンドの立場からこのコンテンツをどうしたらいいのかを考えさせてもらっているので。そうすることによって、いままでの世の中になかったものを作りたいですよね。
 

飯田 肩書きはあっても、それにとらわれない。僕の横で山岡さんが音を奏でることで、刺激を受けることもあるわけですからね。

 

――今後の躍進に、おふたりの入社はかなり大きな意味を持ちそうですね。

 

須田 世界の山岡晃、天才・飯田和敏の経験、感性、技術力、あらゆることが従来のスタッフたちへの大きな刺激になると思います。その刺激は必ず今後の作品に反映されるでしょうし、それが結果的に世界中のお客様に喜んでもらえることにつながると思います。そのひとつの成果は今年のE3で発表できると思うので、ぜひ期待してください。そのあとには飯田さんの作品を発表できると思います。

 

山岡 もちろん、飯田さんのプロジェクトも僕が音作りしますしね。

 

飯田 ここの現場の活気が尋常じゃない。多国籍化したスタッフが集まって、クリエイトの情熱がスパークしてヤバいことになっています。

 

須田 グラスホッパーは世界中の皆さんに楽しんでもらえるゲームを目指します。ビデオゲームの歴史が生誕100年を迎える60年後のビデオゲーム業界でも、しっかりと飛び跳ねていて皆さんに期待されるブランドにしたい。60年後には生きていませんけど、いやひょっとしたら生きているかもしれません(笑)。

 

須田・飯田・山岡 これからのグラスホッパーへの応援をよろしくお願いします!

 

※グラスホッパー・マニファクチュアの公式サイト

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