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「ゲームの中を作るよりも、空気を作る」――第13回文化庁メディア芸術祭贈呈式に宮本茂氏登壇

2010/2/2

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●業界の発展に貢献した宮本氏功労賞を授与


 2010年2月3日〜2月14日まで、都内にある国立新美術館にて、文化庁、国立新美術館、CG-ARTS協会主催の“第13回文化庁メディア芸術祭”が開催される。アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門を対象に、すぐれたメディア芸術作品を表彰、展示するというこの試み。先日開催された今年度の受賞作品発表会では、エンターテインメント部門でバンダイナムコゲームスのプレイステーション3用ソフト『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』が優秀賞を獲得したほか、業界の発展に多大な貢献をもたらした人物へ贈られる“功労賞”を任天堂の宮本茂氏が受賞。過去にもカプコンの『大神(OKAMI)』、任天堂の『Wiiスポーツ』が大賞を受賞したほか数多くのタイトルが優秀賞に選出されており、ゲームソフトとの関わりも非常に深い催しとなっている。

 

 一般公開の前日に当たる2010年2月2日には、東京ミッドタウン・ホールで受賞者を表彰する贈呈式が開催。各業界を代表するクリエーターたちとともに、上で紹介した『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』の開発元であるサイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏と、功労賞を獲得した宮本茂氏も登壇。賞状とトロフィーが贈られ、宮本氏からは檀上にて喜びのコメントも語られた。
 


 

 「こういう賞をいただくたび、ふたつの思いがあります。ひとつは功労賞をいただくと、だんだんと自分も年を取ってきたなあと(笑)。27歳のころに『ドンキーコング』を作り、若手若手と社内からずっと言われていてですね、僕も若手のつもりでいたのですが、今日こうやって皆さんの顔をうかがっていると、ずいぶんと年を取ってきたなと思いました。身の引き締まる思いです。もうひとつは、ひとりで作るものではないので、その評価をひとりでいただくというのは気恥ずかしい思い。なので、いっしょにやってくれたみんなといっしょにこれは頂戴しようと思います。

 

 私ごとになりますが、昨年の12月に『New スーパーマリオブラザーズ Wii』でひさしぶりに『スーパーマリオ』を自分で一生懸命作りました。それが期待以上に売れてくれまして、いま世界中で販売本数が1000万本くらいになりました。もうちょっと早かったら、エンターテインメント部門も取れたのに、という悔しい思いもあったりしますが(笑)。最近、私はゲームを作るというよりも、遊んでいる姿というのをすごく意識しています。『スーパーマリオ』をひとりで遊ぶ姿から、4人で遊んでいる姿というところで、ゲームの中を作るよりも空気を作るというか、今回そういうステップに一歩踏み出せたのかなと思っています。これからも現役で、来年も受賞を狙いに行きますのでよろしくお願いいたします」(宮本)
 


 この日は、贈呈式と合わせて国立新美術館にてプレス向けの内覧会も開催されていた。会場では例年どおり各部門の受賞作品および推薦作品を実際に体験できるほか、今年からアーティストたちと顔を合わせる機会をさらに増やすという取り組みが進められている。入口近くに設置されたプレゼンテーションステージでは、会期中アーティスト自身によるプレゼンを計46回実施。加えて、同会場内の別室にて12個のシンポジウムが行われる。ちなみに2010年2月5日のシンポジウムには宮本茂氏が登場予定。今回エンターテインメント部門の主査を務めたスクウェア・エニックスの河津秋敏氏とともに講演を行うとのことだ。
 

▲メディア芸術と聞くとなにやら堅苦しいイメージを抱きがちだが、そんなことはまったくない。どの作品も単純に見ているだけで楽しい内容となっており、アートの知識がない人にもオススメ。

 

 会場内のゲーム関連出展については『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』のほかにも、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』、『ラブプラス』、『バイオハザード5』といった多数の推薦作品をプレイすることが可能。功労賞を受賞した宮本氏の代表作および、貴重な開発資料をチェックできるコーナーもあるのでゲームファンも見逃せない。
 

 

 内覧会には松山氏も訪れており、メディア向けの会場ツアーで「これからも日本人にしかできない作りかたで、世界にゲームソフトを贈り続けていければと思います」と力強い言葉とともにみずから作品を紹介していた。今回、別途同氏より受賞のコメントおよび、今後の抱負を聞くことができたので、以下に紹介しよう。

 

 

 「我々ゲームクリエーターは、短いものでも1年、長いものになると3年以上くらい開発を行うわけです。そのあいだ我々が何を糧にやっていくのかという、やはり子供たちなんですよね。遊んでもらい、喜んでもらうというのがすべてで、そのためにモノを作っているとも言える。ただ、子供たちから「おもしろかった」、「よかった」と聞くことは多いのですが、大人から褒めてもらうことってなかなかないんですよ。なので、今回メディア芸術祭で、私たちのタイトルがエンターテインメント部門で優秀賞をいただけたのはすごく特別なことだと思います。こういった受賞が、ゲームソフトの文化的価値を高める機会になればいいなと感じています。

 

 もちろん、ゲームは子供たちのためにあるという我々の信念は変わりません。しかし、今回のように大人から褒められるという機会はほかのクリエーターたちにとってもモチベーションになると思います。マンガに例えて言うと、かつて『餓狼伝』という作品の中で“グレート巽”というレスラーが「プロレスをボクシングの地位まで向上させてみせる」と語ったのですが、それを私の考えに置き換えれば、ゲームソフトという文化を映画の地位にまで高めたい。そのためにいい作品を作るというのは基本ですが、できることならもっといろいろな大人に評価してもらえる場を増やしてもらえればなと思います。総合芸術性とエンターテインメント性が合わさった表現は、ゲームにしかできないものでしょうから」(松山)
 

▲松山氏は受賞の喜びを「チョーうれしいっす!」と、同氏らしいストレートな言葉で語った。




第13回文化庁メディア芸術祭の開催概要
会期2010年2月3日〜14日(9日(火)は休館)
時間:午前10時〜午後6時(金曜は午後8時まで)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
入場料:無料
問合せ先:CG-ARTS協会“文化庁メディア芸術祭事務局” フリーダイヤル0120・454・536

※文化庁メディア芸術祭の公式サイトはこちら

[関連記事]宮本茂氏が功労賞に――第13回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品発表会
 

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