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思考の螺旋に絡めとられるアドベンチャーゲーム 『極限脱出 9時間9人9の扉』
【プレイ・インプレッション】

2009/12/10

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●ノナリーゲームを体感したか……?

 密室からの脱出を目指して、9人の男女が命を懸けた“ノナリーゲーム”に挑む、新作アドベンチャーゲーム『極限脱出 9時間9人9の扉』。プロデューサーに『428 〜封鎖された渋谷で〜』などのイシイジロウ氏、シナリオ&ディレクションに『Ever17-the out of infinity-(エヴァー17-ジ アウト オブ インフィニティ-』などを手掛けた打越鋼太郎氏、キャラクターデザインに『ストリートファイター』シリーズなどの西村キヌ氏と、豪華なスタッフを迎え、チュンソフトが開発を手掛けるという期待のアドベンチャーゲームだ。そんな同作を、『428 〜封鎖された渋谷で〜』のプレイ・インプレッションも執筆した、フリーライターの世界三大三代川がいち早くプレイ。その魅力を語ってもらった。
 

 

●驚愕の展開が待つ新感覚のサスペンスアドベンチャー

 

 それまでに感じていた得体の知れない不安、そしてドキドキが弾ける瞬間。一瞬の驚きとともに押し寄せる、全身の毛が逆立つ感覚。ザワつく心を必死に落ち着かせようとしながら、逆に速さを増していく鼓動。どれも良質の推理小説、サスペンスものの映画、そしてアドベンチャーゲームを体験したときに筆者が味わうものだ。その内容がすばらしいほど、そしてトリックの衝撃が大きいほど、「なるほど!」、もしくは「やられた!」という言葉とともにこれらの感覚を味わい、しばし呆然となる。『極限脱出 9時間9人9の扉』(以下、『999』)で、とあるエンディングを迎えたとき、これに近い感覚を味わった。

 

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●パズルゲームとノベルゲームの融合

 

 『999』は『428 〜封鎖された渋谷で〜』や、『かまいたちの夜』などのサウンドノベルを作ったチュンソフトが開発するアドベンチャーゲーム(販売はスパイク)。それまでフリーランスとして活躍されていた打越鋼太郎氏が、チュンソフトに入社して初めて手掛けた作品である。打越氏と言えば、『Ever17-the out of infinity-(エヴァー17-ジ アウト オブ インフィニティ-』などの、いわゆる“ギャルゲー”チックなグラフィックのノベルでありながら、最後のトリックでユーザーを驚愕させるゲームを手掛けてきた人物。その才能はこの『999』でもいかんなく発揮され、見事に冒頭のような驚愕を味わわされたというわけだ。

 そんな『999』の概要を紹介しよう。『999』は豪華客船に閉じ込められた9人の男女が、9時間以内に数字の書かれた扉を通って、生還を目指す物語。9人はときに協力、ときに猜疑心を抱きながら進むのだが、進むにつれて9人の中に今回の事件の首謀者、すなわち犯人がいることを確信していく……というもの。じつは、扉を通るためにはいくつかのルールがあるのだが、それらは詳しいゲーム紹介の記事に譲って、ここでは簡単に内容を紹介させていただく。

 ゲームの流れは、“脱出パート”と“ノベルパート”のふたつのシステムで構成され、これをくり返して進んでいく。脱出パートとは、インターネットのFlashゲームなどにある脱出ゲームに近く、密室状態の部屋のあちこちを調べ、ヒントを集めて脱出の糸口を探っていくという形式。比較的難度は低く設定されているのだが、多少のひらめきが必要な部分も多く、それが解けたときは解放感とともに、なんとも言えない優越感が味わえるのがうれしい。しかも、この脱出パートでいろいろと調べていると、同行メンバーが調べたものに応じてヒントをくれたり、ムダ話を始めたりと、何かしらリアクションを取ってくれるのも楽しいところだ。そして、この脱出パートを抜けた先にあるのが“ノベルパート”。

 これは、サウンドノベルのような文章を読み進めていく構成で、途中に現れる“どの扉へ進むか”という選択肢で、物語が大きく分岐し、異なるエンディングへ進んでていくこととなる。進む扉によって、前述のルールに沿って同行するメンバーが変わるのだが、この選択肢に大きく悩むのは2周目以降の話。

 

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●2周目以降に姿を現す本作の全貌

 

 というのも、本作は1周目と2周目以降でプレイ感覚が大きく異なる。1周目は脱出ゲームをメインに楽しみながら、どんなお話なのかと、物語の全貌を知るためにプレイするもの。そして迎えたエンディングを踏まえたうえで遊ぶ2周目は、きっとそれまで見えていた物語よりも各登場人物の行動が怪しく見えるはずだ。「あの人物はわざと別行動を取ったのではないか?」、「あの発言の真意は?」といろいろと疑心暗鬼をくり返しながら遊んでいると、ふと扉を選ぶ際の選択肢、すなわち同行メンバーの選択が、非常に恐ろしいものに感じ始めるのだ。そうなってからはもうノンストップ。エンディングを迎え、すべての真実を知るまで怒涛の勢いで遊びたくなってくる。一度脱出した密室を再び解かなくてはいけないのがもどかしく感じる部分もあるが、ある程度のフラグ立てと、暗号を覚えていればあっさりと脱出できるようになるので、じつはメモを取りながら遊ぶと2周目以降に便利だというのは、ちょっとしたお得情報。
 

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 もちろん遊ぶ人にとってその衝撃や驚く度合いというのは異なると思う。少なくとも、筆者はゲームの構成に関する事前情報をほぼ仕入れることなく遊んだときに、本当に冒頭のような衝撃を味わった。しかも2回。最初はとあるエンディングを迎えたとき。そして2回目が真実を知ったときのエンディング。ひとつの作品でこれほどの衝撃を2回も味わうというのは、映画、小説、ゲーム、すべての中で初めてだった。『428』も終盤でかなりの衝撃を味わったし、「これはゲームでしかできない!」と思ったが、『999』でもやはり同じことを思ったものだ。……と書くと、なんだか感情が安く感じられてしまうのだが、本当にそう思ったのだからしょうがない。これ以外にも、いろいろな部分で衝撃的なイベントが起こるゲームである。この1度味わってしまったら2度と同じ感情を体験できない作品を、見逃すことなく、ぜひ挑戦してほしいと、切に願う。そして、筆者と同じように「こんな展開アリか!」と狼狽しながら楽しんだら、知人やネットの掲示板などでその感覚を共有しつつ、物語の解釈について話せば、より楽しめることは間違いない。
 

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text by 世界三大三代川


著者紹介
世界三大三代川

週刊ファミ通にて、『999』の記事を担当しているフリーライター。その関係でかなり早くに本作をクリアーしたものの、その驚きを誰にもしゃべれず、悶々とした日々を過ごすことに。

 

極限脱出 9時間9人9の扉

■機種:ニンテンドーDS

■メーカー:スパイク

■発売日:発売中

■価格:5040円[税込]

■テイスト/ジャンル:サスペンス/アドベンチャー
■備考:エグゼクティブプロデューサー:中村光一、プロデューサー:イシイジロウ、シナリオ&ディレクション:打越鋼太郎、キャラクターデザイン:西村キヌ、開発:チュンソフト

 

※『極限脱出 9時間9人9の扉』公式サイトはこちら
 

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