HOME> ゲーム> ゲーム業界を代表するサウンドクリエーター、瀬上純氏独占インタビュー!
●瀬上純氏プロデュースのCDが3ヵ月連続リリース!
セガの『ソニック』シリーズを筆頭に、『つくろう』シリーズなどのスポーツゲームやレースゲームの楽曲を手掛けてきたサウンドクリエーターの瀬上純氏。2009年10月21日を皮切りに、瀬上氏がプロデュースしたサントラアルバムが、3ヵ月連続でリリースされる(サントラアルバム第1弾、第2弾、第3弾)。この3枚は、まさに瀬上氏の歴史を振り返ることができる集大成とも言えるサントラアルバムなのだ。今回瀬上氏に、独占インタビューをすることに成功。また、瀬上氏がエンディング曲を手掛けたニンテンドーDS用ソフト『プロ野球チームをつくろう!2』のプロデューサー兼ディレクターの馬場保仁氏もインタビューに同席。瀬上氏と楽曲を作る過程なども聞くことができた。ゲーム業界を代表するサウンドクリエーターが今回のアルバムに込めた想いとは? ゲーム音楽とはどのように生まれるのか? 実際にCDを聴いた人も、まだ聴いたことがない人も、じっくりと読み進めてほしい。
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セガ サウンドクリエーター |
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●瀬上純氏の集大成が完成
−−10月21日に発売された『JUN SENOUE - THE WORKS』を皮切りに、11月18日に第2弾『THE BEST OF CRUSH 40 - SUPER SONIC SONGS』、12月16日に第3弾『TRUE COLORS - THE BEST OF SONIC THE HEDGEHOG Part.2』と、3ヵ月連続でサントラアルバムをリリースされます。この時期に、こういった集大成的なお仕事を手掛けようと思われたきっかけは何だったのでしょう?
瀬上 2008年に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズのテーマ曲を集めたベスト盤『トゥルー・ブルー』をリリースしました。これは、ちょうどソニックがゲスト参戦していたWiiの『大乱闘スマッシュブラザーズX』が発売された時期で、それまでソニックの楽曲を聴いたことがなかった人にも興味を持ってもらえるチャンスだと思ってまとめたベスト盤でした。すると『ソニック』シリーズのサントラアルバムの中でも、とくに高い評価をいただけたんです。
−−やはりまとまったアルバムになっていると、ファンにはうれしいですよね。
瀬上 確かにこれまではゲームのタイトルごとのサウンドトラックはあっても、ベスト盤という形で『ソニック』のテーマ曲だけをまとめたことはなかったんですよ。それで最初は『トゥルー・ブルー』に続く、『ソニック』シリーズのキャラクターのテーマ曲を網羅したベスト盤の続編を出そうと思ったところから始まったんです。ただ、ゲームと同じで前作と同じことをやってもつまらない。だったら、バラバラに発売するよりも、もっとファンにも喜んでもらえることはないかなということで、『ソニック』以外で自分が関わったプロジェクトの楽曲をひとまとめにしたり、自信のバンド“CRUSH40(クラッシュフォーティ)”の10年に渡る歴史をまとめる感じにしたり、とほかの企画も加えて3ヵ月連続リリースをやってみようと思ったんです。
−−3ヵ月連続リリースというのはかなりたいへんだったのでは?
瀬上 既存の曲を単純に集めるだけであれば、全然たいへんではないのですが……。ただ、『トゥルー・ブルー』のときも新たに4曲録り直して、それがファンの方たちから好意的に受け止めていただきまして。それに、すでに過去の作品のサントラを持っているファンの皆さんにも喜んでもらいたい、手にしていただきたいという想いが強かったので、発売中の『JUN SENOUE - THE WORKS』では録り直しも含めて、24曲中17曲が初CD化音源になっています。
−−ファンにはたまりませんね。とくに『野球つく2』の楽曲などは、ゲームをプレイしないと聴けないですし。
馬場 それに『JUN SENOUE - THE WORKS』に収録されている『野球つく2』のエンディング曲2曲のうち1曲はゲームに収録されたセガの光吉(猛修氏)が歌ったバージョンとは異なり、作詞を担当したテッド・ポーリー氏がボーカルを担当したものになっていて、また違った魅力がありますので、『野球つく2』ファンにはぜひ聴いていただきたいですね。
●ゲームクリエーターとのシナジーによって生まれる
−−ゲーム音楽を作るうえで、いちばん苦労されていることは何でしょう?
瀬上 音楽を作るという質問からはちょっとかけ離れた答えになりますが、僕の場合いちばん苦労するのは、曲のタイトルを決めることです。
馬場 ゲームのタイトルを決める以上に難しいかもしれませんね。
瀬上 もともとゲーム自体にタイトルがあって、そのテーマ曲に改めてタイトルをつけるのはやはり難しいですよ。歌詞つきの楽曲や『『●●』のテーマ』といったタイトルをつけるのであればいいんですが、とくに歌がないインストゥルメンタルの曲が難しいですね。たとえば『サカつく』のオフィスの曲にタイトルをつけるとなると……。イメージやキーワードはあったとしても、曲のタイトルとなるとなかなかピタッとくるものが思いつかない。1曲であればまだしも、そういったものが5曲となると辛いですね。そういうときは、馬場さんのようなキーワードメーカーに登場していただいて(笑)。やはりつねに言葉で説得させられるようなものを考えている人の力を借りるのがいちばんですから。
馬場 実際に僕は何曲かタイトルをつけていますからね。瀬上のお情けでつけさせていただいているのかもしれませんが(笑)。
−−(笑)。では、曲作りに関してはいかがでしょう?
瀬上 絵コンテを見せてもらったり、説明を受けたり、実際に動いているものを見せてもらったりしたときの第一印象を大事にして作っています。自分が得意としているジャンルのゲームの楽曲を手掛けることが多いせいもあるのでしょうが、曲作りに関して苦労と思うことは少ないですね。ただ、ゲーム音楽の場合、「1ステージで必ず50秒間でループするように」といった、インタラクティブなメディアならではの注文や容量の問題もあるので、細かい点ではいろいろ工夫しています。
−−そういう意味では先ほど例に挙がった『サカつく』のオフィスの音楽は、ビタッとハマっている印象です。
瀬上 そういってもらえるとうれしいですね。今回初めてサントラにも収録してありますから、ぜひ聴いてください。秘書がいるオフィスのシーンは、プレイヤーにとって長く滞在することが多いシチュエーションですから、居心地のよさを大事にしました。ただ、プレイヤーの邪魔にならないようにしなければならないので、心地いいけど印象にも残る。覚えやすいけれども主張し過ぎない雰囲気を目指しました。
−−さじ加減が難しそうですね。
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▲馬場氏(左)と瀬上氏(右)。 |
馬場 こちらからは最初にテーマを話すんです。今回はこういったテーマでいこうと。たとえば、野球の場合はアメリカのものだからノリノリのロックだとしたら、サッカーの場合はイギリスのものだからアコースティックな雰囲気で、とか。秘書はキャンキャンした感じで、とか。本当にアバウト(笑)。そこから瀬上にイメージしてもらう。ゲームの企画を考えるのと同じで、他者から何かしらのインプットがあると、化学変化が起こって何かしらのシナプスが発火すると思うんですよ。
瀬上 最初に馬場からキーワードをもらって、僕もそこからイメージするスケッチ画のような曲のアイデアを作って送る。それを聴いてもらって、また意見をもらって……そういった建設的な意見交換をして完成するという感じですね。
−−信頼関係があるからこそでしょうね。
馬場 パートナーシップの上に、積み上げていく。お互いのあいだで当然ボツになるものもありますし、作り直してもらったりすることもあります。プロフェッショナルであるとともに、リスペクトし合える仲からこそだと思いますよ。
瀬上 それがお互いセガという同じ会社にいるからこその強みでもあると思います。いろいろなジャンルの音楽に秀でたサウンドクリエーターがいて、ゲーム本編の制作チームと、それぞれが密接に絡んでいるんです。だからこそ、セガのゲーム音楽はファンの皆さんから高い評価を得ているんだと自負しています。
●瀬上氏の歴史のターニングポイントとなった楽曲が収録
−−これだけの楽曲数の中で、とくに思い出に残っている曲などはありますか?
瀬上 思い出に残っているというか、自分がサウンドクリエーターを続けてきたうえで節目となった楽曲は入れています。たとえば、『JUN SENOUE - THE WORKS』の2曲目『The American Dream feat. Eric Martin』。これはサターンの『デイトナUSA サーキットエディション』の楽曲で、’96年にMR.BIGのシンガー、エリック・マーティンと共作共演したものです。いまだに人気が高い曲なのですが、最近ファンになってくれた方は残念ながら手に入れることが難しい。もう一度、この曲にスポットライトを当てたいなという想いもあったので、今作では楽曲部分を録り直して、新たな体裁で収録しています。僕が初めて海外のシンガーと組んだ作品という意味では、ひとつの節目になった楽曲ですね。
−−大きな意味を持った作品と言えそうですね。
瀬上 僕はボーカル曲を作るときに、「こういうシンガーに歌ってもらいたい」という最終形を頭に入れて作っているんです。やはりボーカルは曲の顔になりますし、声の質感や歌いまわしの雰囲気というのは、前面に出てきますから、僕は必ず思い描いているシンガーにお願いすることにしているんですよ。
−−声や歌いかたが似ている人というわけではなく?
瀬上 やはり曲を作るうえで想定していた人とそうでない人に歌ってもらうのではまったく違いますから。曲に命を吹き込んでもらうというのでしょうか。思い描いた人に歌ってもらうことで、完成形になると思うんです。それを実現させられたのが、MR.BIGのエリック・マーティンと組んだこの曲(『The American Dream feat. Eric Martin』)だったんです。そこで得られることができた手応えと自信は、以降の『ソニック』シリーズなどでのボーカル曲のプロデュースにも役立っています。
−−なるほど。まさに、瀬上さんのこだわりが生んだ作品ですね。
瀬上 そしてもうひとつの節目と言えるのが、ドリームキャストの『ソニックアドベンチャー』のテーマ曲『Open
Your Heart』のボーカルを担当したジョニー・ジョエリとの出会いですね。最初は僕が曲も歌詞も作って、それを歌ってもらうだけの関係だったんですが、何曲も彼と仕事をするうちに打ち解けてきて、もう1段階上のステージへ行こうと。僕が曲を作って、彼が歌詞を書き、お互いに影響されつつ、いっしょにひとつのものを手掛けるスタンスに変化していったのですが、それは先ほどの馬場との関係と同じで、お互いのパートナーシップの上に成り立っているものなんですよね。その最初の曲が『ソニックアドベンチャー2』のテーマ曲『Live
& Learn』だったんです。もちろん、それも第2弾サントラ『THE BEST OF CRUSH
40 - SUPER SONIC SONGS』に収録しています。僕らのバンドCRUSH40の代表曲のひとつですね。
−−そういうことを考えても、瀬上さんの進化の過程を辿ることができる3枚と言えそうですね。だけど、これだけの楽曲を収録したとは言え、ファンからは「あれも聴きたい!」という声が出てきそうな……。
瀬上 かなりファンの方たちの声をくみ取ったつもりだったのですが、すでに選曲を発表したときから、そういうありがたい声はいただいていますよ(笑)。ただ、今回3ヶ月連続でリリースする作品には、いずれも新たにレコーディングやリミックスをした曲や、別バージョン、初めてCD化された音源など、魅力的な楽曲がたくさんありますから、まずはそれらをじっくりと楽しんでもらいたいですね。
−−最後にファンの方々や初めて瀬上さんの曲を聴かれる方たちにメッセージをいただけますか?
瀬上 僕だけでなく、セガのサウンドチームをこれまで支えてくれたファン皆さんにはありがとうと言いたいですし、そういう感謝の意味も込めたパッケージの数々でもあります。もちろん聴いたことがない人たちにも、今回リリースされるCDを通じて、僕たちが手掛けているゲームの音楽の幅広さ、奥深さを知ってもらいたいという想いもあります。ゲームの世界にマッチしているけれども、その世界から離れた観点で聴いてもらっても、十分にカッコよく、聴き応えがある出来に仕上がっていると思うので、ぜひ皆さん聴いてみてください。
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