HOME> ゲーム> 東京ゲームショウで光ったユービーアイソフトの大胆なTシャツ戦略
●Tシャツの効果は絶大
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▲スティーヴ・ミラー社長。流暢な日本語で話す。ジョーク好き。 |
今年の東京ゲームショウ2009でもっとも目立ったブースのひとつが、ユービーアイソフトだ。年末商戦の目玉となる『アサシン クリードII』(PS3、Xbox 360:12月3日発売予定)、新世代のステルスアクションとの呼び声が高い『スプリンターセル コンヴィクション』(Xbox 360:2010年発売予定)、ジェームズ・キャメロン監督の最新映画をゲーム化した『アバター THE GAME』(PS3、Xbox 360、DS:2010年1月7日発売予定)、Wiiの代表的なチャンバラアクション『レッドスティール2』(Wii:発売日未定)、パーティーゲームとしての完成度が高い『ラビッツ・ゴー・ホーム』(Wii:2009年11月26日発売予定)の5タイトルを出展。同社が過去にここまで大規模なブースを構えたことはなく、今回が実質上の初出展となる。
海外メーカー、しかも初出展ということで期待以上に大きな不安があったに違いない。しかし蓋を開けてみたら、各タイトルの体験コーナーはつねに数時間待ちの大盛況。ゲーム試遊後に全員にTシャツプレゼント、という(日本では)新手のプロモーションも手伝ってか、『アサシン クリードII』に至っては、開場まもなくして5時間30分待ちに。大慌てで行列を規制するほどだった。
日本のゲームイベントにおいて、いち海外メーカーがここまで注目されたことはあっただろうか? そこでゲームショウ最終日にスティーヴ・ミラー日本法人社長にゲームショウ出展までのいきさつや最終日を迎えた胸の内を聞いてみた。
――ゲームショウの最終日を迎えてみてどんな感触を得ましたか?
スティーヴ もともとゲームショウへの出展は本社の意向が強かったんです。今年はとくに強力なラインアップを披露できるので、東京ゲームショウだけではなく世界のゲームイベントにブースを出展すべき、と。でも東京ゲームショウを考えたとき、我々は海外メーカーであり、日本ではさほど知名度が高くない。ユービーアイソフトブースは日本のユーザーに受け入れてもらえるだろうか? と正直不安でしたが、終日大盛況で、これは予想だにしなかったことです。
――混み合っていましたもんね。
スティーヴ 『キングコング』のときに小さいブースを出したことがあるだけで、スタッフもこれだけの大規模なブースの運営は初めて。この部分でも不安を感じたんですが、予想以上にうまくいってうれしいです。
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▲驚きの5時間30分。 |
―― 一般公開日初日、開場まもなくして『アサシン クリードII』は5時間30分待ちになりました。あれには驚きました(笑)。
スティーヴ ゲームショウ運営スタッフの方からも「並ばせすぎです」という指摘が入って(笑)。すぐさま行列を規制して対応したんですが、みなさんにはご迷惑をおかけしました。『アサシン クリードII』に関しては前作の売れ行きがよかったこともあり、今回も注目していただけるかなと思ってましたけど、まさかここまでとは(笑)。シアターを使ったプレゼンテーション形式の出展だった『スプリンターセル コンヴィクション』も最高3時間待ちまでなりましたから、本当に驚きました。
――PSP(プレイステーション・ポータブル)版『アサシン クリード ブラッドライン』などの映像を公開していた、ブースセンターの大型モニター前も相当賑わっていましたね。
スティーヴ 大型モニターに関しては裏話があって(笑)。すでにE3(北米のゲームショウ)、gamescom(ドイツのゲームショウ)で最新作の映像を公開していたので、本社から東京ゲームショウにはあえて大型モニターを出さなくてもいいのでは? という提案があったんですけど、断固とした姿勢で「ぜひ出したい」と説得したんです。続いて、映像を公開するならプロジェクターで十分では? という提案もあったんですが、こちらも「せっかくならLEDの大きな画面で見せたい」と強くアピールしたら要望がとおりしました(笑)。
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▲大型モニターにも黒山の人だかり。これを中心に右と左に『アサシン クリードII』と『スプリンターセル』の体験コーナーが。 |
――ゲームショウ開催まえから戦っていたんですね(笑)。
スティーヴ そうなんですよ(笑)。ブースの中央に大型モニターを設置すれば、『アサシン クリードII』、『スプリンターセル』の行列に並んでいる皆さんも観ることができるし、モニターをフックにユーザーの皆さんをブースの中に誘導できるイメージがあったんです。
――なるほど。計算された作りだったんですね。『アサシン クリードII』と『スプリンターセル』はなぜクローズド形式にしたんですか?
スティーヴ 『アサシン クリードII』はCEROの審査中なんですが、Z指定の可能性が高いのでゲームショウの規定によりクローズドにしました。
――ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)ブースでもZ指定の区分になってましたね。
スティーヴ そうですね。『スプリンターセル』は映像を観た方に「並ばないと観られない」というような特別感を味わってもらいたくて、敢えてクローズド形式を採用したんです。ここではお客様に座っていただき、ヘッドフォンをしていただいき、周りの音に左右されることなくじっくりとゲームの説明を受けられるようにしていたんです。観ていただいた人にはご満足いただけたんじゃないでしょうか。
――『アバター THE
GAME』は前回のインタビューで名言されていたように、プレイアブル出展でき、しかも3D立体視版の試遊台も設置してましたね。
スティーヴ 『アバター THE GAME』は映画ありきタイトルなので、どこまで日本市場に浸透するかな、という思いはありますが、ジェームズ・キャメロン監督の映像は芸術性に優れているのでぜひ日本市場でも人気が出てほしい。しかも、今回は3D立体視版も出展できたので、こちらで注目されることが多かったですね。
――SCEブース、ユービーアイソフトブースを筆頭に、今回のゲームショウで3D立体視のゲームをいくつか見かけました。3D立体視のゲームにどのような可能性を感じていますか?
スティーヴ 環境を整えるのに敷居が高いので主流になるかどうかはわからないですが、新しいガジェットや新しい技術が好きなユーザーは絶対的にいるので、ある程度は浸透すると思います。でも一般的な方たちが長時間、3D立体視ゲームを遊ぶのはつらそうですが(笑)。
――映像のインパクトはありますからね。
スティーヴ いずれにせよゲーム性が重要だと思いますが、『アバター THE GAME』のような、ここまで完成度の高いタイトルで3D立体視を発表できるのはうれしいですね。
――話を戻しますが、今回出展されている『アサシン クリードII』はE3のときよりも進んだバージョンになりますね。もしかしたらE3と同じバージョンなのでは、と思っていただけにうれしかったですね。
スティーヴ じつはスタジオから、「ちょうどいま『アサシン クリードII』の最終調整時期で、手が離せないのでE3バージョンでもいいですか?」という問い合わせがあったんです。“出展”を最優先にしたかったのでE3バージョンを覚悟していたんですが、いざ届いたら誰も見たことがないステージで。東京ゲームショウでこれを公開できて、けっこうインパクトがあったんじゃないですかね。
――娼婦の利用の仕方など、いままで言葉でしか聞いていなかったことが実体験できておもしろかったですね。
スティーヴ 経済システム、水中での移動、仲間との共同作業と前作にはない要素がいっぱいつまってます。前作をプレイしてくださったユーザーさんもかなり満足できる内容になっているはずですよ。
――PSP版の日本発売も明らかになりましたが、今回は映像出展のみでした。プレイしてみたかったです!
スティーヴ いま思えば出展すべきだったかなと思います。ただ、東京ゲームショウの出展が決まったときに、PSP版のプレイアブルバージョンが間に合うかわからなかったので、映像出展を選択しました。いまやPSP版の完成度がいちばん高いので、出せれば最高だったなと思います(笑)。日本は携帯ゲーム機市場が盛り上がってますし、PSPでここまでしっかり遊べるアクションはあまりないと思うんで。
――プレイステーション3版とPSP版が連動することも明らかになりましたね。
スティーヴ そうなんです。たとえばPSPで稼いだお金を、プレイステーション3に移してアイテムを購入することができるなど、あまり詳しいことは言えないんですが楽しみですね。
――『アサシン クリードII』、『スプリンターセル』を体験したユーザーからの感想は聞いてます?
スティーヴ 『アサシン クリードII』は、メディアの方やブースに来てくださった方々の感想を聞く限り、今回出展したことでさらに期待が高まっている感じがします。『スプリンターセル』に関しては、まだ発売日が未定だし、映像しか公開していない状態ですが、シアターを観たお客さんからは「実際に触っていないのでおもしろいかどうかは判断できないけど、映像を見る限り、しっかり作り込まれていて期待が持てる作品のひとつ」というような意見を多くいただきました。
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▲コンパニオンもレベルが高く話題に。このカメラ小僧たちの数をみよ。 |
――それにしても、Tシャツの効果はてきめんでした。
スティーヴ 絶大ですね! 『アサシン クリードII』はSCEさんやマクロソフトさんでもプレイできますよ、とスタッフがお声掛けしたらしいんですが、「いや、待ちます」というユーザーさんが多かったらしく(笑)。
――全タイトルできっちり行列できてましたもんね。5タイトルも出展すれば、どれかひとつくらい人気のないコーナーがあったりするものですけど。
スティーヴ これまでゲーム大会などのイベントの賞品として贈呈するメーカーさんはありましたけど、全タイトルで配りましたからね。(少し声をひそめて)これがユービーアイソフトのサービスなんですよ(笑)。
――(笑)。
スティーヴ 東京ゲームショウには観るもの、プレイするものがいっぱいあるので、Tシャツがきっかけでもいいからユービーアイソフトのゲームに触ってほしいという思いはありましたね。それにチラシなどの販促物よりも効果は高いかなと。
――来年はTシャツを配るメーカーさんが増えそうですね。ここ数年はレベルファイブがゲームの体験版を配って話題になってますけど、今年はユービーアイソフトのTシャツですかね(笑)?
スティーヴ そうなるといいですね(笑)。そうなってもらいたい。
――今回はTシャツの効果以上に、ユービーアイソフトという名前が広がった感じがするんですが、どう感じてますか?
スティーヴ 海外メーカーは東京ゲームショウに出展してもなかなか宣伝につながらないという話を聞きますが、今回の我々は非常に運がよかった。『アサシン クリードII』と『スプリンターセル』の2枚看板があって、『アバター THE GAME』も映画公開が間近。徐々に話題になってきています。いちばんいい形で出展できたように思えます。私も日本が長いので東京ゲームショウをずっと見てきましたが、海外メーカーが出展する場合、きちんと日本に合ったタイトルをそろえられているかが重要だと感じています。
――昨今、ここまで海外メーカーが注目されたことはなかったように思えるんですが。
スティーヴ ありがとうございます! 市場が次世代ゲーム機に移行して、開発力が上がってきた海外メーカーにとってはいい材料がそろってきている。あと日本のユーザーさんにも変化が見られるような気がします。
――会場の雰囲気を見る限りだと来場者たちは、海外産ゲーム、国産ゲームをあまり意識していないように感じました。
スティーヴ そうですね。確実に海外産ゲームに対するアレルギーがなくなってきてますね。ほんのちょっとまえまでは、「海外のゲームだからチェックしなくてもいいや」というような風潮は絶対的にありました。それが今回はほとんど感じなかったですね。
――もう海外産ゲーム、国産ゲームとカテゴライズすること自体がナンセンスなのかもしれませんね。逆に海外産ゲームのほうがブランド力が高くなっている感触もありますし……。ほかのメーカーのブースで気になったところはありますか?
スティーヴ 気にならないところなんてないですよ(笑)。出展社側にたってみて、ブースの作りまでチェックするようになりました。とくにスクウェア・エニックスさん、レベルファイブさん、そしてハードメーカーのブースは非常に勉強になりますね。タイトルではセガさんの『ベヨネッタ』が期待どおりの作品だと思いました。
――やっぱりアクションゲームは気になります?
スティーヴ そうですね。日本ではかっこよくてキャラクター性が強いアクションゲームが人気ですから。その点で『アサシン クリード』シリーズも日本で受け入れられるのかなと感じます。あと『ファイナルファンタジーXIII』も発売日が近いので気になりました(笑)。映像を観たところ、すごいのひとことです。
――ところで、まだ先になりますが来年はどうしましょ?
スティーヴ どうしましょう(笑)? 日本で成功するためには戦略的に“継続性”が必要だと考えているんで、来年も出展したいと考えています。来年のタイトルラインアップはまだ決まってないんですが、じっくりキータイトルになる作品を選んでいきたい。今回のゲームショウのビジネスデーに本社のイヴ・ギルモ(CEO)が来日して、たいへん喜んでいましたので、おそらく出展できると思っています。来年もここでファミ通さんに「スティーブさん、今年もよかったですねー」と言われたいですね(笑)。
――僕も言いたいです(笑)。最後に年末商戦への意気込みをお願いします。
スティーヴ ユービーアイソフトのタイトルだけを買ってください。それだけです。というのは冗談で(笑)、弊社のタイトルは、映像美だけでなくゲームの奥深さも感じられると思うので、ぜひプレイしてみてほしいですね。プレイしてもらえば必ずわかってもらえると思います。
日本には、海外産ゲームにアレルギーを持っているユーザーが少なからずいる。しかし、昨今の海外産ゲームの目覚ましいクオリティーアップに加え、カプコンやスクウェア・エニックスのような大手が海外産ゲームの国内販売を手掛けたことで、ユーザーの意識は確実にかわりつつある。“洋ゲー=クオリティーの低いゲーム”という考えはいまやナンセンスだし、逆に“洋ゲー=ハイクオリティー”という向きの方が強い。今回のユービーアイソフトブースの盛況ぶりを見れは一目瞭然だ。スティーヴ・ミラー氏は、東京ゲームショウ出展を「日本市場での第一歩」と謙虚な言葉で表現した。同社の過去のタイトルラインアップを見る限り、日本人が受け入れやすい作品が多いのは確か。多少乱暴で高飛車な言い方ではあるが、このままコンスタントに良作を輩出できれば“日本人が海外メーカーと意識しない海外メーカー”という唯一無二の立ち位置を確立しそうだ。
※ユービーアイソフトの公式サイトはこちら
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