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「シューティングの“進化”の歴史を表現」−−『スペースインベーダー インフィニティジーン』メイキング秘話
【iPhone/iPod touch Game Devシリーズセミナー】

2009/9/15

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●iPhone/iPod touchのクリエーターや業界関係者が集結

 

 2009年9月14日に都内にあるApple Store Ginzaで、“第二回 iPhone/iPod touch Game Devシリーズセミナー”が開催。このセミナーは、国際ゲーム開発者協会(IGDA)が主催セミナーで、今回はCRI・ミドルウェアの幅朝徳氏による“iPhoneアプリにミドルウェア企業ができること”と、タイトーから配信中の『スペースインベーダー インフィニティジーン』の生みの親である石田礼輔氏による同アプリの制作秘話という、ふたつの講演が実施された。

 

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▲成功者の話を聞こうと、iPhone/iPod touchのアプリ開発者などが集まった。

 

●「いまの世代の人に『インベーダー』を伝えたい」という想いから始まった

 

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▲タイトーの石田礼輔氏。「なぜiPhone/iPod touch向けに開発したのか?」との自問に対し、「会社が参入したから(笑)」と、タイトーのほかのアプリなどもアピールした。

 第二部にあたる講演を行ったのが、iPhone/iPod touch向けアプリとして「App Storeで360件を超える5つ星評価を獲得した話題のゲーム」(リリースより抜粋)と名高い『スペースインベーダー インフィニティジーン』(以下、『インフィニティジーン』)のディレクター兼グラフィックデザインを担当した石田礼輔氏だ。もともと本作は、『スペースインベーダー』生誕30周年を記念して2008年に配信が始まったケータイアプリ。iPhone/iPod touch向けに2009年7月末に配信が始まると、瞬く間にApp Storeの有料アプリケーションランキングのトップに輝き、その後もつねに上位をキープしている人気タイトルだ。石田氏による講演は、『インフィニティジーン』の開発コンセプトから始まり、iPhone/iPod touch版を作るにあたっての注意点など、非常にていねいかつユーモアを散りばめた内容だった。
 

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▲いちばん左の写真が石田氏のプロフィール。写真は「インフィニティポーズ」(石田)なんだとか。「ぜひ今年の流行語大賞に!」と冗談も交えつつ、『インフィニティジーン』の開発秘話を語った。ちなみにいちばん右の写真は社内用企画書の最後のページに記載したというメッセージ。通常ならば作り手の意気込みなどを記す必要性はないのだが、石田氏の本作に賭ける“熱さ”が伝わってくる。

 

 石田氏によると、「『インフィニティジーン』は“進化”というコンセプトから始まった」という。この“進化”にはゲーム自体が進化するだけでなく、「生誕30周年を迎えた『スペースインベーダー』が切り開いた“シューティングゲーム”というジャンルの歴史の進化を辿る」(同)という大きな意味が込められているのだとか。このコンセプトをもとに、ゲームの骨子として「“一言で表現できるウリ”、“印象に残るビジュアル”、“誰でもわかる”という三点をとくに気をつけて開発に取り組んだ」と石田氏。「もともと『インフィニティジーン』は海外展開を見据えていたので、言葉で説明しなくてもできるものが重要と感じていました。ゲームのメインは“撃って避けるだけ”という初代の要素に関しては絶対守ろうと思いました」。これらのゲームデザインの柱をもとに肉付けして完成したのが『インフィニティジーン』なのだ。

 

 本作のディレクターだけでなく、グラフィックデザインも担当している石田氏だけに、グラフィックに関しては並々ならぬこだわりが感じられた。「『インフィニティジーン』はストーリーがあるゲームとは違い、ゲーム自体の歴史を辿るもの。だからこそ、過去と未来をつなぐデザイン」(石田)を目指し、「『インベーダー』の世界観を壊す有機的なデザインではなく、“ビミョー”に違和感のあるデザイン」(同)を心がけたんだとか。この“ビミョーな違和感”というのは、感覚的な表現ではあるが、実際にゲーム画面を見たり、ゲームをプレイしてみると“ビミョー”ではなく、レトロ感もありながら近代的な“ゼツミョー”なバランスのビジュアルを感じることができるはず。「インベーダーや自機などに、昔のブラウン管をイメージした走査線を入れる」(同)など、微に入り細を穿ったこだわりで、レトロでもあり、未来的な感覚でもある独特のグラフィックが誕生したというわけだ。

 

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▲グラフィックデザインを担当した石田氏。単なるレトロからの脱却だけを目指したデザインではなく、初代『インベーダー』の雰囲気をしっかりと残しつつ、新しさが感じられる作りに。石田氏の言葉の端々から並々ならぬこだわりが感じられた。

 

 そのほかにも『インフィニティジーン』の核となる部分として、シューティングゲームが下手な人でもクリアーできることを心がけ、ある意味、現在の家庭用ゲーム機の作りとは逆行し、絶対的な安全地帯があるなど細かいテクニックを必要としないクリアー法や明快な攻略方法がある作りを目指したという。「攻略方法を教え合うことから生まれる口コミ効果を狙いました」と、家庭用ゲーム機ほど宣伝などにお金をかけられないダウンロードコンテンツならではの取り組みを披露した。

 

 
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▲ダウンロードコンテンツの特徴として、わかりやすさ、敷居の低さなど、“ならでは”のこだわりも多数。これからiPhone/iPod touchなどでゲーム開発を目指す人には参考になったのでは?

 

 

 操作方法を決める際、加速度センサーを使っての操作も考慮したとのことだが、「現状の操作方法以外のインターフェースではどうしてもストレスを感じてしまう」(同)ため、画面のどこを触っても自機を操作できる現在の操作方法に落ち着いたんだとか。指と自機がシンクロした動きをするという“触ればわかる明解さ”が日本のみならず世界でも受け入れられた要因と石田氏は分析した。

 

 石田氏が講演中、「“ゲームと映像の融合”。ミュージックPVを観ているような楽しさを表現したかった」と強調していた。それを実証するかのように、グラフィックやゲームデザインだけでなく『インフィニティジーン』はサウンド面でも高い評価を得ている。音楽を手掛けたのは、タイトーのサウンド集団ZUNTATAの小塩広和氏。講演には同氏も駆けつけ、本作の音楽を作る際に交わした石田氏とのメールのやりとりを公開したほか、デモ版の音源などを披露しながら、制作過程を語った。

 


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▲石田氏のディレクターとしてのこだわり、小塩氏のサウンド担当としてのプライド。双方の意見交換が、『インフィニティジーン』のサウンドを生んだ。

 小塩氏自身も「『インフィニティジーン』のコンセプトをある程度理解したうえで、過去のシューティングゲームとは一線を画す音楽を目指した」ものの、実際は「デモ曲を何度か聴いてもらいながら、議論を交わし、石田が目指しているものを少しずつ理解して作っていった」と、曲作りも決して平坦なものではなかったことを明かした。石田氏とのやりとりの中で、同氏の意見を参考にしつつも、サウンド担当として譲れない部分もあり、「殴り合いの日々を経て、ようやく石田が求めているものがわかっていきました(笑)」と冗談を交えて苦闘の日々を振り返った。石田氏も「深夜まで激論を交わしたのを覚えています(笑)」と、生みの苦しみを改めて思い出していたよう。なお、『インフィニティジーン』の楽曲は、iTunesで配信中。ふたりの魂が込められた楽曲の数々はゲームファンならずとも聴いてみる価値ありと言えそうだ。 
 

 
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▲石田氏とのメールのやりとりなどを、本人に内緒で(?)披露した小塩氏。また、最後にはZUNTATAが手掛けた名曲の数々を披露し、講演に華を添えた。

 

 

 「初代『スペースインベーダー』をリスペクトしている」という石田氏が、「いまの世代にも『スペースインベーダー』を知ってもらいたい」という熱意のもと、大胆かつ慎重に開発に取り組んでいたことをうかがい知ることができた今回の講演。とくにiPhone/iPod touch向けゲームとして、大きな成功を収めているだけに、集まった開発者や業界関係者にとっても貴重な機会だったと言えそうだ。記者自身も個人的に『インフィニティジーン』のファンとして、純粋に講演を楽しむことができた。まだプレイしたことがない人は、ケータイ(iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ)もしくはiPhone/iPod touchで配信されている『インフィニティジーン』をぜひ一度プレイしてみてほしい。

 

【スペースインベーダー インフィニティジーン】

キャリア:iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ、iPhone/iPod touch

アクセス

iモード:iMenu→メニューリスト→ゲーム→ミニゲーム→タイトーステーション

EZweb:au one トップ→カテゴリ(メニューリスト)→ゲーム→総合→タイトーステーション
Yahoo!ケータイ:メニューリスト→ケータイゲーム→ゲームパック→タイトーステーション

iPhone/iPod touch:iTunes→iTunes Store→App Store→ゲーム

情報料:ケータイ版は月額315円[税込]、iPhone/iPod touch版は600円[税込]

 

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