じっくりと余韻を楽しみたい大人のギャルゲー『ドリームクラブ』インプレッション
【プレイ・インプレッション】
●3Dキャラクターを使い、ほろ酔い気分の描写を追求した恋愛シミュレーション。その独特な魔力を、キミは感じることができるか?
『ドリームクラブ』は、ピュアな心の持ち主のみが入店できる“DREAM
C CLUB”を舞台に、ホストガールとの恋愛を楽しむことができるディースリー・パブリッシャーの恋愛シミュレーションである。Xbox
360で発売される本作を、ファミ通Xbox 360を中心にレビューや攻略記事を担当してきた古株ライター、石井ぜんじがインプレッションする。
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▲ホストガールとお酒を飲みながら会話が楽しめる。好感度が上がっていくにつれ、店外デートなどが楽しめるようになる。 |
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●ギャルゲーに新しいスタイルを提唱する『ドリームクラブ』
本作はキャバクラに近いシステムを持ったギャルゲーと紹介され、ユーザーにも認識されていると思われる。しかし本作は、これまで一般的に知られたギャルゲーとは異なったスタイルと方向性を持った作品である。冷静に見れば足らない点もあるが、それを補ってあまりある長所も存在する。それを理解しないで最初から突き放した視線で見てしまうと、その独特な魅力に気づきにくい。
いったい『ドリームクラブ』のどこに、プレイヤーを捉えて離さない魔力があるのか。それを掘り下げて検証してみよう。
●会話に特化した特殊なシステム
通常のギャルゲーは、テキストベースのアドベンチャーノベル形式を採用している。これらの形式では会話シーンもあるが、世界観や状況説明といった地の文が非常に多い。もともと小説に近いシステムであり、それに選択肢を加えているのでこのような形になる。
ところが本作ではドリームクラブという、仮想空間がおもな舞台となり、舞台や背景といった状況説明が極力省かれている。そのために、ほとんどのテキストを会話に割くことができるのだ。順調に好感度を上げて進めていくならば、ゲーム内の時間で52週通いつめても異なった会話パターンがつぎつぎと出現する。地の文は除き、会話のテキスト量だけで考えるならば、相当なボリュームが用意されていると思ってよい。
しかも会話シーンでは、ホストガールの問いかけに対して受け答えする三択がしばしば出現する。それらをすべて分岐と考えるならば、非常に多くの分岐が存在しているといえるだろう。実際には会話シーンでの選択はほとんど好感度を左右するもので、1回の受け答えが決定的なストーリー分岐に影響するわけではない。とはいえ、相手の反応は選択肢の数だけあるわけで、それをすべて見ようとしたら大変である。
このように本作は、ひたすら会話を続けてコミュニケーションを取っていく、というゲームシステムを採用している。このシステムが、プレイヤーのホストガールへの思い入れを、さらに深める効果を発揮しているといえるだろう。
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▲1年間同じホストガールを指名しても、会話のバリエーションは簡単に尽きない。ホストガールが10人存在することを考えると、かなりのテキスト量といえる。 |
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●機知に富んだ会話と、テキストのバランス感覚が秀逸
本作の最大の魅力が、ホストガールとの会話のやりとりであることは間違いない。ホストガールたちは、ツンデレ、妹キャラなど、類型的な役割をそれぞれが担っている。しかしどのキャラもひとくせあり、どうやったら喜ぶのか、怒るのかを予測するのが難しい。雪や魅杏など、毒舌に定評のあるキャラクターは、主人公の失言に容赦なく突っ込んでくるので注意したいところだ。ホストガールとの会話は、つねに先が見えない緊張感を伴っている。『ドリームクラブ』は、ホストガールとの戦いの舞台でもあるのだ。
ホストガールのキャラクターを、類型的な存在から個性的な存在へと変えているのは、この適度な会話の緊張感である。筆者は近年、レビューがらみで恋愛シミュレーションをプレイすることが多くなったが、狙いすぎて人間味のない、思い入れできないキャラクターをよく見かける。ツンデレなどの類型キャラは確かに魅力的だが、やりすぎると「こんなヤツ、ゲームの中にしかいないよ」と冷めてしまう。やはり最低限の理性、知性、個性、意外性がないと、親しみにくいものなのだ。
本作は会話を中心に、類型的なキャラのイメージを守りつつ、しらけない程度に個性を感じさせてくれる。そのバランス感覚は優れており、比較的広いファン層に受けいれられるのではないかと思われる。
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▲何度も会話を続けていくと、少しずつ親密になっていくのが体感できる。ドラマ性とは関係なく、キャラクターにのめりこんでいくのが不思議。 |
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●3Dポリゴンだからこそできた『ドリームクラブ』の感情表現
本作の攻略対象となる女性キャラクターは、3Dポリゴンで描かれている。3Dキャラクターの魅力は、2Dのように1枚ずつ絵を描かなくてもリアルに動くことなのだが、ギャルゲーではその利点を活かしにくい。なぜならギャルゲーは、女性キャラクターの身体を操って動かすことが目的ではない。女性キャラクターの心を動かしてなびかせることが目的だからである。
ではギャルゲーならではの方向性で、3Dキャラクターを活かすのはどのような形だろうか。そのひとつが歌や踊り(ダンス)の鑑賞であり、『アイドルマスター』はその本質を突いていたと思う。本作でもその方向性は取り入れられている。
だが本作は、別の部分で3Dポリゴンの利点を生かしている。3Dポリゴンキャラクターを使うことにより、会話の受け応えの際のちょっとした可愛らしいしぐさ、感情表現がより細かく表現できる。その部分で、本作は新たな可能性を開いていると言えるのだ。
本作は会話に特化し、飲酒というテーマに挑んだ作品だ。主人公の会話に対し、同意や否定、喜びや怒り、不機嫌など、細かいしぐさで表情を表してくれる。さらに飲酒という感情を捻じ曲げ、増幅する要素を組み込んだことにより、より複雑で魅力的なリアクションをホストガールたちが返してくれることになる。
このような感情の機微は、これまでビデオゲームの中で表現されたことがあまりない。戦いや冒険といったものがテーマの作品では、なかなかこのような感情表現は発達しない。また、ムービーでいかに美しく感情を描いたところで、それは切り離された世界で、ゲームならではのインタラクティブ性が存在しない。
言葉を投げてみて、相手の反応をうかがう。それは人間が日常的にこなしているコミュニケーションである。言葉だけでなく、相手の視線やしぐさ、表情などで、人は相手の真意を見抜こうとする。このような基本的なコミュニケーションに対し、ゲームというジャンルは弱かった。だが3Dポリゴンのギャルゲー、仮想空間である『ドリームクラブ』というアイデアを得て、本作は感情表現の世界に一歩踏み込んだといえるだろう。
もちろん、ゲームキャラクターの感情表現は進化の過程であり、本作においてもまだ物足りない点は数多くある。ホストガールのキャラクターに思い入れのできない人にとって見れば、「しぐさのパターン数が少ない」とか、「表情に乏しい」と感じるかもしれない。また数年後に見たら、ずいぶんと劣化して見えてしまう、といったことがあるかもしれない。
それでも筆者は、本作はありがちなギャルゲーにはない魅力を持った、意欲作になっていると思う。このほかにない味をどのように感じるかは、プレイヤーのセンスにゆだねられているといっていいだろう。
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Text by 石井ぜんじ |
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筆者紹介 石井ぜんじ |
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ファミ通Xbox 360誌でクロスレビュー、攻略を担当する古株ライター。ゲームの文章を書き始めてから20数年、飽きずに続けております。過去に『NINJA GAIDEN』シリーズ、『Fable II(フェイブル II)』などの攻略本に参加。硬派がウリのようなイメージもありますが『Fate/stay night』の同じシナリオを複数回やるくらいの信者だったりします。世間のありがちな先入観にとらわれず、レビューに関してはチャレンジャーでいたいですね。 |
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『ドリームクラブ』 | |
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対応機種 |
Xbox 360 |
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メーカー |
ディースリー・パブリッシャー |
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発売日 |
2009年8月27日発売 |
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価格 |
7140円[税込] |
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テイスト/ジャンル |
シミュレーション/恋愛 |
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CERO |
15歳以上対象 |
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備考 |
Xbox LIVE対応 |
※『ドリームクラブ』の公式サイトはこちら
[石井ぜんじの過去のレビュー記事]
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