HOME> ゲーム> 『ファイナルファンタジーXIV』プロデューサー田中弘道氏にgamescom会場でインタビュー
●多忙を極める田中氏を会場でキャッチ!
gamescom会場で、全世界からの取材に追われて多忙を極める『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)プロデューサーの田中弘道氏と『FFXIV』グローバルオンラインプロデューサーのSage Sundi氏に、そのスケジュールの合間を縫ってインタビューを敢行! ここでは田中弘道氏へのインタビューをお届けする。のちほどSage Sundi氏へのインタビューもお届けするので、そちらもお楽しみに!
まずは、今回の“gamescom”で試遊が可能となっているバトル部分の解説を田中氏みずからにお願いした。
田中 では、“プーク被害続出”というギルドリーヴを実際にプレイしてみます。
ギルドリーヴとは? |
エオルゼアにある冒険者ギルドでは、訪れた冒険者に対して、仕事の委任パス“ギルドリーヴ”を発行している。この仕事の依頼を達成すれば、報酬などをもらえる仕組みだ。これは、オフラインのRPGでもよく見られる、“クエスト”と呼ばれるシステムと同様のもの。大きな違いは、プレイヤーどうしで協力したり手伝ったりすることができるところだ。ひとりでも大人数でも楽しめる、MMORPGの醍醐味がそこに詰まっている。 |
田中 リーヴのタイトルどおりプークを倒せばいいんですが、最初はプークはいません。ドードーを倒していくとプークが現れる仕掛けですね。
――謎解きの要素があるものも用意されていると。しかし、とても広大なフィールドですが、討伐対象のモンスターは自分で捜すのでしょうか?
田中 ギルドリーヴ中はマップ内に敵の位置などが表示されるので、それをもとに捜していくことになります。ですが、今回はα版なので表示されていませんね。
――月並みですが、やはりグラフィックがすごいですね。
田中 まだ開発中なので、現状はまだまだ荒いところがあります。今回のバージョンでは、遠景がかなり簡略化されてしまっていますが、実際には非常に遠くの木1本1本まで表示されるようになります。
(ここでドードーと戦闘を開始。)
田中 『FFXI』では“攻撃”のコマンドを選択すると自動的に攻撃をくり出すオートアタックシステムを採用していましたが、『FFXIV』では毎回コマンドを選ぶ必要があります。コマンドの組み合わせによって発動する技が変わったりもするので、どう組み合わせていくかが戦略的には重要になりますね。
――画面下部に並んでいるアイコンがコマンドですか?
田中 そうですね。“アクションメニュー”と呼んでいます。このインターフェースもまだ暫定ではありますけど。また『FFXI』との比較になりますが、今回特徴的なのは、武器の抜き差しがどこでも行えます。『FFXI』のように戦闘だから剣を抜くわけではなく、敵がいないところでも剣を抜いて、そのまま走ったりもできます。
(つぎつぎとドードーを倒していく田中さん。)
――コマンドについて、もう少し詳しく教えてください。
田中 下にズラッと並んでいるのが、現在セットしているアビリティです。この中から使いたいアビリティを選択すると、その上のゲージにコマンドとして登録されます。このゲージはふたつあって、右手と左手に対応しています。たとえば、盾は左手に持つものなので、盾に関するコマンドは左手側のゲージに登録されます。
――コマンドはすぐ発動するのですか?
田中 “アクションゲージ”というゲージが溜まると発動できます。さらに、“パワーゲージ”というのがあって、パワーを溜めることで技の威力や命中に影響します。また、画面右下に“TP”というゲージがあり、このTPの溜まり具合によっても発動できる技が変わるんですよ。ですから、戦闘中はTPを溜める行動をする必要があります。
――敵に攻撃をしたり、逆に攻撃を受けたりすると溜まっていくと。
田中 そうですね。
(ここで剣の特殊技“レッドロータス”をくり出す田中さん。)
――お! 見覚えのある技が(笑)。
田中 レタスです(笑)。
レッドロータスとは |
『FFXI』に登場した特殊技のひとつ。ユーザーのあいだでは“レタス”の愛称で親しまれた。 |
――魔法なども、このアクションメニューから選んでいくのでしょうか?
田中 そうです。現在の武器(スキル)によってアクションコマンドの中身が変わります。たとえば、いま剣を持っていますけど、杖に持ち替えれば魔法使い系のコマンド類に変わります。
――習得したスキルも、そのアクションメニューに並んでいくわけですね。
田中 そうなります。武器のスキルが上がらないと習得できない技もありますから。
――このアクションメニューは、最終的にはものすごい数が並んだりするのですか?
田中 アクションメニューにセットできるアビリティは10個までです。どの10個をセットするかを自分でカスタマイズするわけです。
――それがプレイスタイルに合わせて、ということなのですね。
田中 そうですね。
――このバトルシステムを採用した理由とは?
田中 まずはやはり、オートバトルよりももう少し積極的にバトルを組み立てたい、より戦略性を増したいというのが、コマンドを自分で選ぶようにした理由ですね。『FFXI』はジョブによる役割分担を明確にするためにパーティープレイをある程度前提にしていたところがありますけど、『FFXIV』はひとりでも遊べますし、ふたり、3人パーティーといった少人数でも楽しめます。そのときの状況に応じて、どう役割分担をしていくのか選べるようにしてあるんです。
――アクションメニューの中にある“スマイルマーク”は何でしょう?
田中 これはエモート(感情表現コマンド)ですね。『FFXI』ではテキストコマンドでエモートを行っていましたが、『FFXIV』は、グラフィカルなユーザーインターフェースでも選択できます。その隣にある袋のマークはアイテム選択ですね。
――プレゼンテーションで拝見しましたが、今回はエモートの表現力がすごいですよね。戦闘中にもできるんでしょうか?
田中 いまのところ戦闘中はできないですね(笑)。
――インターフェースまわりの質問になりますが、次世代機で解像度が上がったことにより、チャットやステータスなどがほどよく分散していて情報が見やすいですね。たとえば、パーティーメンバーのステータスはどこに表示されるのでしょうか?
田中 初期状態では画面右側中央あたりに出ますが、じつは画面のレイアウトは、マウスでウインドーを移動するような感じでユーザー側が自由に変えられるんです。チャットウインドーの行数やサイズも自由に変えられます。お好きなレイアウトで遊んでいただければと。
――プレイヤーの視点はどうなりますか?
田中 いまはα版の段階なので今後どうなるかはわからないのですが、いわゆるふつうの三人称の視点と、肩越しからのショルダーカメラ、そして主観の3種類を切り替えられるようにしています。
これでギルドリーヴ終了。ワープポイントを利用してギルドリーヴ開始地点のエーテライトへワープする田中さん。
――『FFXIV』での移動はエーテライトが主軸になるのでしょうか?
田中 ワープが使えるのはギルドリーヴをクリアーしたときぐらいで、それぞれ冒険の目的地には実際に移動してもらう必要があります。便利な移動方法として映ってしまったかもしれませんが、そうひんぱんに使えるものではないです。
――ゲームシステムの説明ありがとうございました。では、今回の出展の経緯と今後の展開について伺います。6月のE3でセンセーショナルな発表をしたわけですが、私たちにとってはそこから3ヵ月も経たないうちに、「もうプレイアブル?」とかなり驚きました。
田中 僕ら開発側からすると、かれこれ3、4年作っているので、「やっと」というところではあるんですけど(笑)。今回の『FFXIV』については、なるべく早い段階からある程度公開して、ユーザーさんの意見を吸い上げていこう、というコンセプトがあるんです。かなり未完成の部分も多いんですけど、そういう段階からあえて“さらけ出す”感じですね。ですので、少し早めにβテストもスタートするかもしれないです。
――現在の完成度はどのぐらいなのでしょう?
田中 全体量から言えば、だいたい4割か5割ぐらいかと思います。基本システムもまだ未完成の部分はあるんですが、完全に仕様を固めてからβテストがスタートとなると、変更が効きづらくなってしまいますよね。なので、まだ固まってない状態で見てもらうほうがいいと思っています。当然未完成なので、完成度を期待されると「あれ? まだ全然できてないんじゃないの?」って思われるかもしれませんが、それは逆にいいんじゃないかなと。
――現在、もっとも開発が進んでいるのは今回見せていただいた戦闘まわりなのでしょうか?
田中 そうでもないですね。一番進んでいるのはグラフィック系だとは思うんですけど、システム面ではまだまだ流動的な部分も多いですし、作らないといけない部分はたくさんあります。
――ドイツでの反響はいかがでしたか?
田中 じつは昨日(2009年8月18日)こちらに着いて、今日いきなり取材なので、あまり見れていないんですけど、例年ドイツのユーザーさんは非常に熱いですよね。以前、『FFXI』の出展のときに床が抜けるぐらい人が集まってしまったという事件があって(笑)。あと、ドイツはコンシューマよりもPCのゲームのユーザーさんが非常に多い国なので、キーボードとかマウスでのゲームプレイに抵抗がないんですよ。むしろ、パッドだと「えーっと……」という感じの方が多いと思います。
――たしかに、試遊はパッドではなく、キーボードとマウスでしたが、何の抵抗もなく操作している方が多いような気がしました。
田中 それが当たりまえみたいですね。そして、いきなり触り始めちゃうんですよ。いじり回すというか(笑)。
――バトルの説明でもありましたが、コマンド類がアイコンであったり、グラフィカルなインターフェースになってますね。
田中 そうですね。でも、アイコンだけだと、それが何のコマンドを表しているか伝わらない場合もあるので、取っつきよさそうにみえて、じつは悪かったりもするんですよね。このあたりもまだ検討中ではあるんですけが、どっちも一長一短あると思いますよ。
――似たようなたくさんアイコンが並ぶと、とっさに選べないかもしれないですね(笑)。
田中 MMO(多人数参加型)RPGのつねとして、将来的に操作はマクロ化していくと思うので、そうなるとアイコンで選ぶのもコマンドで選ぶのもいっしょだったりするのかなと。けっきょく、全部マクロでユーザーさんが好きな形で組んでいくと思いますし。
――ということは、『FFXIV』もマクロで操作が行えるのでしょうか?
田中 そうなるでしょうね。
――今回の試遊は、ギルドリーヴとそれに伴う戦闘を体験できたわけですが、かなり手軽に遊べる印象ですね。
田中 今回は3つのギルドリーヴを用意したんですけど、実際には前段階として“ギルド”と呼ばれる場所でどのリーヴにするかという選択があります。試遊ではすでにリーヴを選択して、エーテライトに着いたところからプレイする形になっていますね。
――エーテライトで着いた先で、与えられた任務や目的のようなものをこなす、という部分が遊べると。
田中 リーヴの難易度は今後いろいろ用意する予定です。リーヴは一度に数個しか同時に持てないので、どのリーヴをこなすかでその日のスケジュールが変わってくると思うんですよ。
――もっと遊びたい場合は、誰かのリーヴに相乗りしてもいいんですよね?
田中 そうですね。自分が持っているリーヴと、仲間が持っているものとでは目的が違ったりもしますので。
――今回の試遊でユーザーに一番感じ取ってほしいところは何でしょうか?
田中 ギルドリーヴが手軽に楽しめるコンテンツである、ということが第一ですね。今回は試遊が約15分と非常に短時間なわけですが、それでもちゃんと遊べるというのをみなさんに伝えたいです。もちろん、こういったライトな部分だけを強調するわけではなく、やはり『ファイナルファンタジー』シリーズですから、核となるストーリーとその演出は、絶対に見ていただきたいなというのはありますね。その点に関しては、今後いろいろなところでご覧いただけるのではないかなと思います。
――今回出展したバージョンからガラッと変わることも可能性としてはありますか?
田中 当然変わりますよ。今回のバージョンは、ギルドリーヴに特化した形として展示をしていますので、それ以外の要素はバッサリ切ってあるんです。ギルドリーヴでの討伐対象となるモンスター以外はまったく出現していないですしね。フィールドにモンスターが徘徊するようになると、また印象も難易度も変わってきますよね。当然、ジャマをしてくるでしょうし。
――話をプレゼンテーションに移しますが、とくに気になったのがキャラクターの表情の豊かさですね。
田中 キャラクターのモーション自体はモーションキャプチャーでやっているんですけど、フェイシャル(表情づけ)に関してはなかなかキャプチャーでやることが難しいので、すべて顔専門の開発者たちが手作業で行っているんです。
――ララフェルの等身が『FFXI』のタルタルに比べてかなり上がっているのを気にしている方もいますが……。
田中 まだ調整中ですけど、だいたいあれぐらいでしょうね。このリアルな世界に、マンガのキャラクターのような等身だと、逆に違和感があるかもしれませんし。『FFXI』のときも、タルタルの身長だけは何十種類も作って、もっとも落ちつくところを捜した、という経緯があるんですね。ララフェルの等身は、この世界観にこの絵柄と合わせると、あれぐらいがいちばんいいのかなという、グラフィッカーたちの選択ですね。
――今回のプレイアブル出展は日本のユーザーも注目していると思います。日本でも触れられる機会はありませんか?
田中 βテストよりもまえに、“デベロップメント版”と呼ばれる、今回のα版に近い形のものをみなさんにプレイしてもらう、というのをやってみたいですね。まだ日程などのメドは立っていませんが、ショーなどで展示という形ではなくて、ユーザー募集をしていく感じかもしれないです。イメージ的には“フォーカスグループ”に近いですね。「今回はこれを見てほしい」といった感じで不定期開催でやっていくようなところからスタートして、ある程度安定してきたらゲーム全体を見てもらうためにβテストをスタートするといった感じで。段階的にどんどんユーザー数を増やしていって、最終的にはオープンβにつなげたいなと。
――最後に、日本のユーザーのみなさんにメッセージを。
田中 開発もいよいよ佳境に入り、いまはスタッフ全員が必死になって作っているところです。日本のみなさんにも、今回のドイツのように何らかの形でプレイしてもらう機会を作りたいと思っています。よろしくお願いします。
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