HOME> ゲーム> 『フォルツァモータースポーツ3』 を開発する日本人クリエーター谷口氏に聞く、最高峰のレーシングシミュレーターへのこだわり
●誰でも楽しめるレーシングシミュレーターを目指して
Xbox
360最高峰のレーシングシミュレーターとして君臨するマイクロソフト『フォルツァモータースポーツ』シリーズ。その最新作である『フォルツァモータースポーツ3』が満を持して発表。E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)の会場で、開発元であるTurn10スタジオのシニアゲームデザイナー、谷口潤氏にお話をうかがった。谷口氏は、『セガラリー2』などセガで数多くのレースゲームを手掛けたあと、2006年にマイクロソフトに入社。Xbox
360用ソフト『ブルードラゴン』のプログラム マネージャーを経て、2007年にかねてからの希望であった、マイクロソフトゲームスタジオ傘下のTurn
10スタジオに移籍。2007年に発売された『フォルツァモータースポーツ 2』から同シリーズの制作に関わっている。今回発表された『フォルツァモータースポーツ
3』では、ゲームデザインを担当している。
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▲Turn 10スタジオの谷口潤氏。セガに15年近く在籍し、『セガラリー2』などを手掛けたのち、2006年にマイクロソフトへ。2007年からはアメリカ・シアトルにあるTurn 10に入社。『フォルツァモータースポーツ 3』ではゲームデザインを担当。 |
――『フォルツァモータースポーツ
3』の魅力は?
谷口 「『フォルツァモータースポーツ 3』は最高のレースゲームである!」と断言するための4つのポイントがあります。
(1)最高のグラフィックおよび物理演算能力
(2)収録車種は、シリーズ最大の400台
(3)もっともスリリングで親しみやすいゲームプレイ
(4)最大のクリエイティブなオンラインコミュニティー
この4つです。実際のところ、クルマは前作と比べて相当美麗になっていて、前作にはなかったコクピットもしっかりと再現していますよ。
――とくにグラフィックにこだわった理由は?
谷口 まず基本前提として、私たちは『フォルツァ』シリーズは、レーシングシミュレーターであるというこだわりを持って開発しています。レーシングシミュレーターである以上は60分の1フレームの実現は必須になる。もちろん、前作では60分の1フレームだったわけですが、『3』を制作するにあたって「その上で何をすべきか?」というときにでてきたのが、「クルマのグラフィックはもっとキレイになるのか?」というテーマだったわけです。
――60分の1フレームという基本前提があって、そこからいかにキレイにできるか?というのが本作のテーマだったわけですね?
谷口 そうですね。そんなわけで、今回はクルマに関しては前作の10倍のポリゴンを使用しています。クルマのトレッドパターンやヘッドライトのコンビネーションランプなど、『3』では熱心なクルマファンの方にも納得していただけるようなグラフィックを実現しています。通常こうしたクルマには、車輪のブレーキディスクの横にベンチレーテッドディスクのフィンがついているのですが、そういった細かい部分もしっかりと再現しています。みなさんなかなか気付いてくれないので、わざと言ってみたりするわけですが(笑)。『3』では、そこまでクルマの美麗さやリアリティーには力を入れています。
――眺めているだけで惚れ惚れしそうですね。
谷口 そうですね。クルマを鑑賞する喜びはあると思います。クルマの大好きな人に遊んでいただきたくて、偽りのない精緻さを目指しました。400台分!
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▲北米版のパッケージは、“ヒーローカー”のアウディR8 V10”をフィーチャー。 |
――収録車種にもこだわりが?
谷口 今回はアウディR8
V10を“ヒーローカー”として、北米版パッケージのほうでもフィーチャーしています。とはいえ、アウディさんとのコラボがありながらも、まだまだ言えないようなクルマも用意していますよ。現段階でお話しできるのは、ストックカーやオーストラリアで人気のV8スーパーカーとかかな。とにかく、レーシングカーから過去の名車まで用意しています。
――幅広いクルマが収録されているというわけですね。
谷口 あと、シミュレーターである以上、“クルマのダメージ”にもこだわっています。シリーズでおなじみのクルマのダメージも健在です。クルマがしっかりと壊れます。これは僕個人の思いになってしまうかもしれませんが、たとえクルマゲームにおいても、壊れることの“恐怖感”というのはたしかにある。ハイスピードで走っていても壊れないし、痛くも痒くもなんともないということでは、シミュレーターから見ればありえない。(レースゲームで)ぶつかったときに、しかるべきダメージを受けて、クルマが壊れるのを体験すると、実際に走るときにある種の“怖さ”を覚えるんですね。『フォルツァ』シリーズがシミュレーターである以上、壊れることは必須だと思っていて、このへんもこだわりのポイントではありますね。
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▲ディテールを細部まで再現。使用ポリゴンは前作の10倍になるという。 |
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▲本作では、コクピット内部もきっちりと再現している。 |
▲オーバーロールなどもしっかりと実現。これもシミュレーションとしてのこだわりならでは。 |
――では、3つめのポイントの“親しみやすいゲームプレイ”というのは?
谷口 “レーシングシミュレーター”というと、どうしても硬いイメージがつきまとって、「気軽に遊んでみたい」という方には抵抗があると思うんですね。そこをなんとか、いろいろな人に遊んでもらいたいということで、いくつかのシステムを追加しています。いわゆるアシスト機能ですね。たとえば前作から“サジェステッドライン”と言って、推奨ラインを表示できるようにしたのですが、ほかレースゲームからの追随を生むほどの業界標準となりました。今回は、それらに加えてオートブレーキを採用しています。オートブレーキは、各種アシスト機能を取って走ってみると、ありがたみがわかるのですが、実際にコーナーに近づくと自動的にガソリンのインジェクションをカットして、フットブレーキが介入するという仕組みです。つまり、コーナーで自動的に減速して操れてしまうという親切設計なんですね。
――クルマゲームが苦手な人でも操りやすくなりそうですね。
谷口 あとは、Rewind(リワインド)。失敗というものは誰でもするわけですが、「ゲームの世界なのでやり直しができてもいいだろう」という発想からRewindは生まれました。これはいわば、時間を遡れる機能で、「失敗した!」と思ったら、スタートボタンを押せば、時間を巻き戻すことができるわけです。Rewindでは好きなところから始められて、ペナルティーもない。スタートやコーナリングをミスしても、何度でもやり直しが効くわけです。これも親しみやすい要素のひとつです。
――オンラインコミュニティーというのは?
谷口 もちろん“ペイントカー”です(笑)。前作では、ユーザーの方々それこそいろいろなペイントカーを制作してユーザーの方のコミュニティーが広がったのですが、その要素は『3』でも進化しています。具体的なことは言えないのですが、ツールの進化もありますし、いわゆる“ペインターさん”にとっては、楽しみがいがあると思いますよ。またハイデフの映像をネットにアップロードして、みんなでシェアできたりもしますので、レースゲームとしてここまでUGC(ユーザー生成コンテンツ)を提供できるのか?というゲームになっています。
――オンライン要素などもかなり充実している?
谷口 オンライン要素は、今回「あまり言うな」と言われているのですが(笑)、発売までのあいだにいろいろと発表させていただくことがあると思います。なにしろ『フォルツァモータースポーツ』シリーズは、ネットワークでハイデフを楽しむゲームの元祖です。さらに、UGC(ユーザー生成コンテンツ)としても抜群のおもしろさを持ち合わせているので、オンラインまわりでは、今後大きな発表がでてくるのを期待していてください。
――最後にファミ通.comの読者に向けてのメッセージをお願いします。
谷口 『フォルツァモータースポーツ
3』が、圧倒的なボリュームでカムバックしました。最高のレーシングシミュレーターとして、ソフトが発売されたあかつきには、そのすべてを楽しんでほしいと思います。
「クルマが大好きという情熱の塊のようなやつらと、日本から来た僕がぶつかって、いったい何ができるんだろう?」という自分自身へのチャレンジの意味も込めて、Turn
10スタジオの扉を叩いたという谷口氏。最初は言葉の壁に苦しんだという谷口氏だが、海外の制作スタイルは大いに驚嘆させられることが多いという。たとえば、300人を擁する『フォルツァモータースポーツ
3』の開発陣のなかには、クルマのことを綿密に取材してクルマの外観や内装などを数値としてデータを作成する“カーリサーチ”のチームがいるという。彼らはクルマがあるところにはどこにでも飛んでいき、そのクルマを取材する。そしてリサーチしたクルマは、“カーデータベース”として蓄積されていくというのだ。こういったスケールの大きな取り組みとクルマ好きな開発者たちのこだわりがあるからこそ、『フォルツァモータースポーツ
3』は、最高峰のレーシングシミュレーターとして君臨しているのかもしれない。
『フォルツァモータースポーツ
3』は、北米では2009年10月発売予定、日本での発売時期は未定だ。
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▲E3の会場では、モニターを3台使ってのプレイを楽しめた。まさにドライブという感覚。 |
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▲レーシングシミュレーターとしてXbox 360ユーザー待望の『フォルツァモータースポーツ 3』。 |
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