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「キャラクターの動きにはとことんこだわった」――『鉄拳6』プロジェクトディレクターの原田氏にインタビュー
【2009 NAMCO BANDAI EDITOR’S DAY】

2009/4/30

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●「絵のキレイさだけを求める時代はプレイステーション2で終わっている」(原田)

 

 現地時間2009年4月28日、アメリカのサンフランシスコにてバンダイナムコゲームスの現地法人NAMCO BANDAI Games Americaが“2009 NAMCO BANDAI EDITOR’S DAY”と題した、業界関係者のみに向けた発表会を開催。バンダイナムコゲームスの北米における、2009年度の最新ラインアップがお披露目された。

 

 プレイステーション3、Xbox 360の据え置き機版に続いて、PSPでの発売も決定した『鉄拳6』。性能面で劣る携帯ゲーム機でいかにしてゲームを表現するのか? といった、『鉄拳6』の見どころになどについてシリーズのプロジェクトディレクターである原田勝弘氏に聞いた。
 

▲10数年にわたって『鉄拳』シリーズを手掛けている、プロジェクトディレクターの原田氏(左)。

――今回の発表会の中で、据え置き機版の『鉄拳6』では「動きにこだわった」と語っていましたが、具体的にどういった形でそのこだわりは表現されているのでしょう?

原田 単純に絵のキレイさだけを求める時代というのは家庭用ゲーム機市場においてはプレイステーション2である程度終わっていると思うんですよ。ハイエンドなPCゲームにはいくらでもキレイな絵のゲームがありますから。そういった中で我々は、映像表現における重要な部分というのは、ゲームの種類のよって異なっていると考えているんです。たとえば、シミュレーションやRPGにとって重要なところと、FPSとって重要なところは違います。じゃあ格闘ゲームにとって重要なのは何だろう? って考えたときに、あたりまえですけどキャラクターの動きというのがいちばん重要視されなければいけないという結論に達しました。いままでの描画エンジンというのは単純にスクリーンショットとして、パッと見がキレイなものを目指していましたが、今回はその発想をガラっと変えて、動きに特化した視覚処理を入れたわけです。具体的に何をやったかと言うと、キャラの全身に“フルタイムの可変型モーションブラー”という効果をかけ、アニメーションのつなぎをよりスムーズにしただけでなく、動きがダイナミックに見えるようにしました。この真価は『鉄拳6』を数十分遊んでもらったあとに、昔の『鉄拳』シリーズを遊んでもらえばわかるはずです。以前の作品がかなりコマ割りした動きに感じられますから。また、モーションブラーの効果はキャラが攻撃を食らったときの表現にも活かされていて、動きをスムーズにする以外に、カメラのブレと相まって画面全体の描写をダイナミックにして迫力を増すという効果も見られます。そういったところはスクリーンショットでは伝わらないよさなので、じつは損している部分もあるんですよね(笑)

 

――モーションブラーによる効果がもっとも大きく表れるキャラは誰でしょうか?

原田 動きの激しいキャラクターですね。カポエラを使う“クリスティ”なんかはすごくわかりやすいですし、あとは“吉光”のクルクル回っているところなんかは本当にコマが回っているように見えます。新キャラクターで言えば“ラース”。彼はすごく加速度的な動きをするんですよ。ゆっくり始動して、後半一気に早くなるといった具合に。そういったキャラもわかりやすいですね。あとは、やられモーション中は全般的にモーションブラーの効果が表れやすいです。相手にやられてきりもみしながら吹っ飛んでいるシーンや、叩きつけられて画面が揺れるようなエフェクトなどですね。それと補足になりますが、このモーションブラーによる表現は現在稼働中のアーケードゲーム『鉄拳6 BLOODLINE REBELLION』から使われているものです。そのひとつまえの『鉄拳6』では、プレイステーション3ベースの基板を研究することに精一杯でそこまで手が回らなかったんですよ。それから、どうにかもっと動きをよくできないかと研究を重ねた結果、『鉄拳6 BLOODLINE REBELLION』で初めて搭載することができた、というわけです。
 

▲止まった状態でのキレイさよりも、動いているときの美しさにこだわって作られた『鉄拳6』。


――Xbox 360版の発売は、アーケードの『鉄拳6』稼働後に行われた研究の結果、可能と判断したのでしょうか?

原田 そうですね、研究しているあいだに、できるんじゃないかなという手応えを得ました。ただ、それ以上にXbox 360の北米と欧州市場における存在感の大きさというのがありました。あれだけ海外で普及しているハードのことを無視できないですから。そういう意味では、Xbox 360版発売に向けて『鉄拳6』稼働後に研究を重ねたとも言えるかもしれません。

 

――家庭用版の『鉄拳』シリーズは毎回豊富なオリジナルモードが用意されていますが、今回もかなりのボリュームが用意されているのでしょうか?

原田 これまでの作品ではミニゲームの集合体みたいな感じだったのですが、今回はもう少し規模を大きくして、格闘ゲームファンだけでなく、初めて『鉄拳』を触ってくれる人や対戦が苦手な人でも遊べるモードを考えています。イメージとしては『鉄拳6』という対戦格闘ゲームのほかに、もうひとつ『鉄拳6』をモチーフにした作品が入っている感じでしょうか。

 

――これまでの作品では家庭用版オリジナルキャラも何人か出てきましたが、こちらも入る予定などはあるのでしょうか?

原田 まだ何ともお答えすることはできませんが、仮に何かあるにしてもあまりに突拍子のないキャラを入れるのは避けようかなと。ただでさえ40キャラいますし、これ以上増やしてあんまり混乱させるのもどうかと思いますから、まだまだ検討段階といったところです。

 

――今日発表されたPSP版に関してですが、そもそもなぜPSPでも出そうと思ったのでしょう?

原田 意外と知られていないのですが、前回PSPで出した『鉄拳 ダーク・リザレクション』は全世界で220万本以上売れているんですよ。そのうちの9割以上が欧米で、最近はロシアなんかでも売れていたり、PSPに限らずシリーズとおしてとにかく海外からの反響がすごい。そういったユーザーからPSPで『鉄拳6』を遊びたいという声が多数届いていて、我々もPSPで作るために早い段階から動いていたのですが、前作と比べてキャラの数、ステージのギミックも増えていましたから、容量的に収まるか不安で発表していなかったんですよ。まさかできると思っていなかったので。で、いざ作り始めたら何とかできるかもしれないということになって、今回発表させていただきました。正直プレッシャーはすごいですけど。

 

――PSP版に関して、さきほどのモーションブラーなども含めて移植度は正直どれくらいを目指しているのでしょうか?

原田 100パーセントの移植は逆立ちしても無理でしょうね。PSPでできることは前回の『鉄拳 ダーク・リザレクション』でかなり突き詰めてあるんです。なので、さらなる技術の追求はもちろんありますが、それよりも今回は『鉄拳6』の雰囲気が感じとれるかどうかにあると思うんですよ。ビジュアルの再現度よりも、雰囲気を伝えられる絵作りを突き詰めよう思います。まあ、基本的なグラフィック表現は前回以上にしたいとは思っていますね。
 

▲『鉄拳6』を移植するのではなく、再現するPSP版『鉄拳6』。


――『鉄拳 ダーク・リザレクション』もシステムや操作感覚はほぼ完全移植でしたから、今回も期待できそうですね。

原田 触り心地、プレイ感覚はかなりイイ線まで行けると思います。ただ、ステージのギミックに関しては少し変えなければいけないのかなと思っています。今回は床が崩れたりして構造的にかなり広いので、あれをPSPで完全再現するのはかなりツライ。ただ、重ねてになりますが空中コンボの感覚や壁コンボの楽しさといったプレイ感は同じものになるはずです。

 

――PSP版では据え置き機版とは、また違ったオリジナルモードが収録されるのでしょうか?

原田 さきほども言ったとおり、据え置き機版はかなり規模が大きいので、それをそのままPSPに落とし込むというのは考えていません。PSPではPSPだからこそできる遊び。たとえば電車など移動中にプレイして何かをコツコツ溜めるとか、そういった遊びになるんじゃないでしょうか。格闘ゲームって意外とひとりで遊ぶというか、練習している時間が長いので、そこらへんを考慮して考えています。据え置き機版とPSP版、それぞれに違う楽しみを見い出してもらえればうれしいですね。
 

▲『鉄拳6』からの登場キャラも完全収録。オリジナルモードは携帯ゲーム機という特性を活かし、コツコツ遊べる内容になる?

 

――『鉄拳6』はカスタマイズ要素が充実していますが、PSP版でもそれは楽しめるのでしょうか?

原田 『鉄拳6』では『鉄拳5』とカスタマイズの作りかたが違うんですよ。据え置き機のほうでは裸のモデルの上に実際に服とか着せているんですね。一体型ではなくてちゃんと重ねて乗せている。そのことによって、Tシャツの上に服を着れば、上着を脱いだときにちゃんとTシャツがあったりとか着合わせが可能になりました。ただ、この仕組みってすごく処理が重くなるのでそのままPSPへ持っていくのは難しい。だから、PSPではカスタマイズの手法は若干違ってくるでしょう。とは言ってもアイテム技などはちゃんと入れますよ。

 

――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

原田 今回はいままでの作品のいいところを引き継いだうえで、新しいシステムが入っているので『鉄拳6』から始めた人でも楽しい。むしろ『鉄拳6』で『鉄拳』を始めてください、といった作りになっています。従来までのファンに向けても、多数のキャラやカスタマイズの自由など、クオリティーだけでなくボリュームでも満足してもらえる内容になっていると思います。ぜひ楽しみにしてください。

※『鉄拳6』の公式サイトはこちら
 

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