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【不定期連載】『Catan』開拓王への道(第5回)

2009/4/2

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●サイの目に左右されない“安定した”方法は曲者

 

 これはゲームリパブリックから発売中のプレイステーション3用ダウンロードソフト『Catan(カタン)』(1200円[税込])について筆者の個人的な考えを披瀝している不定期連載記事。5回目の今回は、サイコロの目による勝敗の揺らぎについて考えたい。

 

 これまでこの連載では、第1回第2回で初期配置、第3回で中盤の進め方、第4回で発展カードとドロボウについて語っており、『Catan(カタン)』の全体をひととおり押さえている。そこで今回は、根本的な部分に立ち返り、サイコロの目と勝敗について考えたいと思ったしだいだ。

 

 2009年3月15日に神奈川県のSOCO横浜で“岡本一押し!『カタン』で遊ぼう会”というイベントが行われた。これは、プロジェクトFとバンタン電脳ゲーム学院が主催する“次世代につなげ!ゲームの賢人セミナー”の一環として行われたイベントで、ゲームリパブリック代表取締役社長の岡本吉起氏とともに『Catan(カタン)』を遊んでみるという催しだった。

 

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▲イベントの参加者は『Catan(カタン)』初心者が中心。岡本氏が丁寧にルールと進め方を解説して行われた。必ずしも高度な戦いは見られなかったが、終始和やかな雰囲気で進行し、『Catan(カタン)』の楽しさを再認識させられた。

 

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▲岡本氏のトークも披露された。興味深かったのは、ドイツの版権元から『Catan(カタン)』の版権を購入したときの話で、岡本氏曰く「愛で買った」とのこと。交渉のためにドイツに滞在しているあいだ、岡本氏らゲームリパブリックのスタッフはときには徹夜で『Catan(カタン)』を遊んでいたという。その熱意が版権交渉に有利に働いたとのことだ。

 

 そのイベントの中でゲームリパブリックのスタッフのひとりが、「今日は●●が出る気がする」というように、そのときに多く出そうなサイコロの目を予想して、そのポイントを重点的に取るようにしているという。イベントでは、あまり込み入ったことは考えずに、気楽に楽しむプレイスタイルとして紹介されたのだが、このような考え方はどうなのだろうか? この一見、気楽なスタイルの中に『Catan(カタン)』の極意の一端が隠されている気がする。

 

 こうしたスタイルとは真逆のスタンスに、できる限り幅広いサイコロの目から素材が得られるようにするというやり方があるだろう。

 

 この連載の第1回で触れたように、サイコロの目は7を中心に、6と8、5と9、4と10、3と11、2と12という順で出る確率が低くなっていく。しかし、実戦ではサイコロの目に揺らぎが生じ、必ずしも確率どおりに数字が出現するわけではない。たとえば、6と8は確率的には36分の5で出現することが期待される数字だが、実際にそのとおりに出るわけではなく、むしろ4や10のほうが多く出たりすることがよくある。もちろん、長期間プレイしていれば、サイコロの目は確率どおりの出現数に収束していく。だから、4や10よりも6や8を重視するのは基本的に正しい。たまたま、ある対戦で4や10が多く出たことが原因で勝てないことがあっても、長い目で見れば勝てる確率は高くなる。

 

 それでも、あまりサイコロの目に左右されずに、安定して勝利を収めたいと思う人はいるはずだ。その意味で注目されるのは、できる限り幅広いサイコロの目から素材が得られるようにするというやり方だ。サイコロの出目の揺らぎに左右されず、安定して材料が入手できる。

 

 極論すれば、サイコロの目に対する考え方にはふたとおりがある。ひとつは幅広く取る、もうひとつは集中して取るだ。
 

幅広く取る−−−サイコロの目に左右されにくい、安定している

集中して取る−−−サイコロの目に左右される、不安定だが爆発力はある

 

 どちらにもメリットとデメリットがある。プレイスタイルの違いというか、好みの問題と言ってしまえばそれまでだが、もう少し考えてみたい。

 

 じつは“安定している”というのは勝負事において曲者である。一見、メリットのように思われるが、必ずしもそうではない。とくに『Catan(カタン)』のように1位にならなければ意味がないゲームでは、安定していることが勝ちに繋がるわけではない

 

 仮にA、B、C、Dの4人のプレイヤーがいて、サイコロの目が1、2、3、4の4とおりあったとする。単純化するために1、2、3、4は同じ確率で出ることとする。Aは完全な安定志向ですべての出目を幅広く取るタイプ、Bはやや安定志向、Cはやや集中志向で、Dは極端な集中志向。それぞれが重視する出目は以下のとおりとする。
 

A……1、2、3、4

B……1、2、3

C……1、2

D……4

 

  1、2、3、4のそれぞれにサイコロの目が偏った場合、誰が有利になるのか? 1に偏った場合、それを重視しているのはA、B、Cの3人。ただし、3人に均等にチャンスがあるわけではなく、1と2にだけに絞ったCがもっとも有利。1、2、3、4のすべてに分散させたAはもっとも少ない恩恵となる。そのほか、2、3、4の目に偏った場合を合わせてまとめると以下のようになる。
 

1に偏った場合……C、B、A

2に偏った場合……C、B、A

3に偏った場合……B、A

4に偏った場合……D、A

※先に記入したほうがより有利。

 

 こうしてみると、あまり安定志向が有利ではないことがよくわかる。安定して2位、3位にはなれるが、1位を取るのに適しているわけではない逆に極端な集中志向の場合、狙いどおりの目に偏れば強いが、そのほかの場合には惨敗する可能性が高い。結局、総じて有利なのはBかC、つまり、やや安定志向もしくは、やや集中志向ということになる。これは、条件を変えて考慮しても変わらない。

 

 具体的に言おう。『Catan(カタン)』において有効なサイコロの目は、4、5、6、8、9、10。2、3、11、12は確率が低すぎるので考慮しない。先の検証を踏まえれば、6と8の両方に食い込みつつ(ほかのプレイヤーと共有しつつ)、4、5、9、10のうち、ひとつ乃至ふたつに重点を置くという方針が順当なのではないだろうか
 

『Catan』開発者、岡村隆治氏
ワンポイントアドバイス

1回のゲームは大体60〜80ターンで終わる。単純化のために72ターンとすると、7が12回、6、8が10回、5、9が8回、4、10が6回、3、11が4回、2、12が2回ずつ、それぞれ出るという計算になる。7が12回出るということは、ドロボウが12回動くのだ(単純化のため兵士カードを無視する)。記事にもあるように、2、3、11、12は眼中にないので、ドロボウは来ないと仮定でき、12回のドロボウ移動で止まった回数を、6、8が3回、5、9が2回、4、10が1回とする。サイコロの目が出てかつ「ドロボウがいない」場合が何回ありそうか計算すると、6、8が7回、5、9が6回、4、10が5回、3、11が4回、2、12が2回ずつ、となる。思ったより3、11が健闘していると思わないだろうか? 兵士カードも考慮すると、この差はもっと縮まると予想できる。これが「良い所で3が出たから勝った!」という現象をよく引き起こすのだ。


 今回はここまで。次回を最終回としてお届けしたい。

 

※ゲームリパブリックの公式サイトはこちら
 

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