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思い出を美しく――『ストリートファイターIV』の“原点回帰”の制作手法とは?
【GDC09】

2009/3/27

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●“なつかしい”と思ってもらえるものを目指した

 2009年3月23日〜27日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターのための国際会議、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)09が開催。世界中のクリエーターによる技術交流を目的としたGDCでは、トップクリエーターらによる注目の講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。

DSC_1464  カプコンの2D対戦格闘ゲーム『ストリートファイターIV』の制作過程をたとったセッションが、同作にてプロデューサーを務める小野義徳氏による“IV Style:Returning to the Roots of a Fighting Game Classic(『ストリートファイターIV』のスタイル:格闘ゲームの原点の復活)”だ。ナンバリングタイトルとして十数年ぶりの復活を果たした『ストリートファイターIV』だが、カプコンとしては『ストリートファイターIII』が格闘ゲームの完成形だと思っていたために、続編を作るプランはなかったという。ところがユーザーの認識は少し違ったようで、「『ストリートファイター』シリーズの続編はまだなのか?」という声が多く聞かれるようになり、復活を決意したとのことだ。長いあいだ眠っていたタイトルを呼び起こすのは難しいが、そこで掲げたテーマが“原点回帰”。小野氏には昨今の格闘ゲームは“ハードコア”という印象があり、それではこのジャンルはなかなか広がらないのでは、という思いがあった。翻るに『ストリートファイターII』の全盛期には、コントローラーを奪い合うようにして遊ぶ時代があり、「そこに戻れないかな?」と思ったというのだ。

 プロデューサーとしては、スタッフにいかに同じ方向を向いて開発に取り組んでもらうかが大きなカギとなる。そこで小野氏がスタッフに対して掲げたキーワードが“同窓会”。「15〜16年ぶりに初恋の人に会うときは、その人を美化していますよね。“変わった”ではなくて、“なつかしい”と思ってもらえるものを目指そうと思ったんです」と小野氏は語る。

 思い出というのは美化されるもの。いかにその“思い出”のままに『ストリートファイターIV』を楽しんでもらえるかがテーマであったというのだ。「いかに思い出をリアルに再現していくのかもテクノロジーではないかと思いました」(小野)という。当時『ストリートファイターII』を遊んでいた若者たちが少し年をとって、反応速度なども少し衰えただろうから、当時の操作感をそのまま味わってもらえるようにコマンドの入力受付けを少し長めにした……など細やかな心配りが随所に施されているのだ。「私にとって最高のほめ言葉は、『ストリートファイターIV』は『II』とぜんぜん変わらないですねと嫌味を言われること(笑)」と小野氏は来場者を笑わせた。

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▲当時のキャミィは左のようだったかもしれないが、年月がキャミィを美化し、右のように思っているのかもしれない、という一例。


 以前にゲーム開発をしていたときは、「斬新な機能を入れないといけないのでは?」と悩んだという小野氏だが、『ストリートファイターIV』では、プレイヤーがあってこその『ストリートファイターIV』なので、あくまでプレイヤーの目線に立っての“斬新”だと思えるゲームにすることに注力したとのこと。その結果生まれたのが、中パンチボタンと中キックボタンを同時押しすることで発動する“セービングアタック”だ。小野氏いわく「カジュアル層だけでなく、熱心なゲームファンにも遊んでもらえるように、噛めば噛むほど味のでるようにしました」とのことだ。奥深く遊べるゲームを作るのが、そのゲームが長生きする要因になるという。

 「いいツール(対戦格闘ゲーム)は偉大な先人たちが作り上げた財産。これからは、これらの偉大な財産を後世に伝えていかないといけないと思います。新しいゲームを作るときは、そういった点も考えてみてほしいです。それがつぎの時代につながるのではないでしょうか」(小野)

 ちなみに、最後の質疑応答で、新キャラを入れた理由を問われた小野氏は以下のとおり答えた。小野氏の挑戦はまだまだ続くのかも。

「同窓会なので本来は新キャラはいらないのかもしれないのですが、折詰弁当を作ったときに、毎日白いご飯と梅干だけだと、いくらご飯と梅干がおいしくても、ユーザーさんにキャッチーな部分がないかなと思いまして(笑)。で、『IV』を見たら埋まっていないポジションがあったので、4キャラを入れました。後悔があるとしたら、アベルが思った以上にキャラが立たなかったこと。人気も上がらなくて、ユーザー視点で見られなかったと反省しています。もし、数年後につぎを作るチャンスがあるとすれば、そういうところも見極めてやりたいと思っています」(小野)

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▲当たり判定も当時を再現すべく、2D的にしているという。

▲キャラの動きも滑らかなアニメーションをつけのではなくて、あえて段階ごとに描くことで当時の雰囲気をかもしだしている。

 

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▲かつては友だちの家などに集まって対戦プレイを楽しんだが、いまはなかなかそういうわけにもいかないので、テクノロジーの力を使ってかつての熱気を取り戻したい……ということで、『ストリートファイターIV』はオンラインに対応している。参加プレイヤーを待つストレスを解消するために、アーケードでゲームをしているのと同じ感覚で、CPUとプレイをしながら対戦相手の乱入を待つ“アーケード待ち受け”を採用。

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