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PCゲーム最高級のエンジンが家庭用機についに上陸――CryENGINE 3プレビュー&ショートインタビュー
【GDC09】

2009/3/29

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●待望の家庭用機初作品は2010年に?

 

 2009 年3月23日〜27日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターのための国際会議、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)09が開催。世界中のクリエーターによる技術交流を目的としたGDCでは、トップクリエーターらによる注目の講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。

 

 すでにこちらの記事でお伝えしているように、Crytekは同社のPC用アクションシューティング『クライシス』などに使われたゲームエンジンの最新バージョン、CryENGINE 3をGDC会場にて公開した。破壊可能なオープンワールド環境でハイエンドなグラフィックを実現してきたPCゲーム最高級のゲームエンジンは、家庭用機の対応によってどう変わる、あるいは変わらないのか。会場でのデモ内容と、CrytekのCEO、Cevat Yerliに行ったショートインタビューをまとめてお届けする。デモは2台のディスプレイにそれぞれXbox 360とプレイステーション3を接続し、コントローラーを使って実際に1280×720ドットのリアルタイムデモを動かしながら行われた。同内容のムービーもファミ通.comにアップしたので、こちらもチェックしてほしい。

 

 

 

 

 

 

1.複雑な曲面と光源

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 まず最初に見せられたのは、複雑な曲面を持ったオブジェクトが中央に設置された、未来テイストのスペース。180個の光源が設置されており、アサルトライフルから発光する球体を発射すると、リアルタイムで球体からの光が周囲に映り込んでいく。このスペースは複雑な曲線に対していくつもの光源をセットし、表示していくためのもので、中央の床がガクンと降りていくと、次のステージへ。

 

2.都市の表現と物理破壊

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 『クライシス』と『クライシス ウォーヘッド』ではジャングルで話が展開していったこともあり、これまであまりなかった、複雑な形状を持った都市表現も可能であることを見せるためのステージ。ビル群のネオンサインや部屋からこぼれる明かりなどが表現されている。グレネードを発射すると、外壁やネオンなどが破壊されて飛び散る。広大なオープンワールドを実現するCryENGINEらしく、都市はかなり巨大。グレネードが到達するのにかなり時間がかかるほど。

 このあと、回廊を通って次のステージに移る。回廊では、銃弾の影響で揺れるライトを光源に、鉄格子を通して影が落ちるという複雑な表現が行われていた。

 

3.『クライシス』のジャングルのシーン

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 『クライシス』に登場する南国の島を、家庭用機でも再現可能であることを実証するためのステージ。ただしフォグ(霧)をあえて排除して、2.5キロメートル先まで見通せるようにしてある。低木の葉がプレイヤーキャラクターにぶつかって曲がったり、銃弾によって木が折れたり、グレネードによって小屋を粉々に吹きとばしたりといった、『クライシス』でのおなじみの表現が完全に再現されている。デモを見たデベロッパー各社が「これは不可能だ!」と驚くというシーン。水面の反射なども見て取ることができた。


5.さらに複雑な自然表現

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 ジャングルの奥深く、森林のなかでのシーン。1000本以上の松がうっそうと生い茂る表現が美しい。マップ全体は4キロ四方の広大なエリアで、内容の密度などを調整すればさらに広大な領域も表現可能としている。ここでもアサルトライフルから発光する球を発射し、木々や小川などに光が影響していくのを見て取れた。豪快に流れ落ちる滝も、すべてリアルタイムにレンダリング。「CryENGINEにプリレンダリングはない、すべてはリアルタイム(もちろん、やろうと思えば可能)」とのこと。


6.爆発や炎と、水面への反射、噴煙など

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 そこらじゅうで炎が燃え盛り、橋が崩れ落ちるなど、激しい戦場を表現したステージ。炎からは煙があがっており、煙そのものも炎に照らされている。雨水がさまざまな形状の表面を流れ落ちていくのも見られる。

 

 以上でデモは終了。このほか、ハイエンドなグラフィック表現にくわえて、物理表現や音声処理、複雑なキャラクターのアニメーション機能(走る際や、斜面での姿勢制御など)、そしてマップの制作と動作チェックをリアルタイムに行き来できる強力なエディター”Sandbox”などがすべて同梱されているというのがCryENGINEの強みになる。

 家庭用機で本作を採用した作品の登場については「おそらくはCrytekの作品が最初になるだろうが、タイトルは未定。現在CryENGINE 2を使いながらCryENGINE 3に切り替えて開発を進めているメーカーもあり、来年(2010年)半ばから2011年にかけて初期の作品が出てくるのではないか」とのこと。


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――GDCで見せての反応はいかがですか? すでに採用について話を始めているメーカーなどはありますでしょうか。

 

Cevat Yerli(以下、Yerli) 非常にポジティブな反応をもらっているよ。家庭用機でこのグラフィックが動いているのが信じられないくらいだと言われた。ここ2年間に20以上のトップクラスの開発会社のほとんどがエンジンを見ており、われわれがPCで非常にハイエンドな仕事をしてきているので、家庭用機ではどうかと興味を持って見に来てくれたが、ほとんどみんなハッピーだった。日本の会社も来てくれて光栄に思うよ。

 

――これまでのPCだけでやってきた状況から、マルチプラットフォームに移行した理由を教えてください。一説に『クライシス』でのコピー問題についてあなたが頭を悩ませ「もうPCではやらない!」と言ったという話もあるそうですが、この件にはなにか関連してますでしょうか。

 

Yerli PCと家庭用機を両方というよりは、PCのハイエンド・グラフィックスの蓄積によって家庭用機のゲームもやっていくというのがより近いかな。海賊版問題はどこでもある問題なので、これは動機にはならない。家庭用機の市場はゲーム業界では主流であり、同じゲームが3〜5倍成功するという調査結果も出ているので、企業として成功するための選択だ。また、ハイクオリティなゲームを遊んでもらうには、最高級のゲーミングPCを買うより、家庭用機のほうが安くすむしね。

 そしてエンジンを家庭用機に対応させたのは、自社のゲームだけが理由ではない。我々は常にグラフィックス、ゲームを改善しようとしており、そのテクノロジーを使ってほかの会社のゲームも良くなってほしいんだ。アイデアがあってもテクノロジーが足りないという状況を、我々が変えたいと思っている

 

――プレイステーション3とXbox 360に対応する際に、苦労したことはありますか?

 

Yerli とても大変だった。とくにプレイステーション3はパワフルなマシンだが、使いこなすにはスキルが必要。過去3年間にわたってプレイステーション3のドライバーを最適化してきた。一番大変な部分の仕事をCryENGINE 3がやってしまっているので、開発者はゲーム開発に専念できると思う。そして、さらなる次世代ゲーム機にもすぐに移行できるというのがポイントだ。

 

――家庭用機でのゲームエンジンには、アンリアルエンジンという巨人がいるが、Crytekの戦略は?

 

Yerli まったく問題ない。まず、ビジュアルはアンリアルエンジンより優れていると思う。そして、開発にあたってミドルウェアをあっちこっちから買う必要がない。モジュールがより完全で、AIや物理演算、サウンド、なにもかもが揃っている。さらに、エディターの“Sandbox”では、開発画面上で見たままがすぐにプレイできる。2001年から改善し続けていて、長い歴史もある。ウチのエンジンを採用すれば、生産性がずっと上がる自信があるよ。

 

――デモの一部のシーンでフレームレートが落ちているところが見受けられました。当然これから完成までにさらにチューンアップしていくと思いますが、どのくらいのフレームレートを維持できますか?

 

Yerli デベロッパーが何をやりたいかによるが、最低で秒間30フレームは出せる。『クライシス』のようなゲームなら30、シンプルなものなら60だろう。今年9月にエンジンが完成したときには、今日のようなデモならどこでも最低30フレームは確保して、エリアによってパフォーマンスが30から50%改善されるはずだ。

 

――では最後にゲームメーカーとして、日本のファンにメッセージを。

 

Yerli 日本にファンがいるのはありがたい。次のゲームを待っていてくれることに感謝するよ。Xbox

360、プレイステーション3向けの優れたゲームを出すためにベストを尽くしているが、ファンをがっかりさせないようにしたい。近いうちに全世界向けに発表するので、辛抱強くまっていて欲しい。


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▲ゲームメーカーとして、ゲームエンジンのメーカーとしてもその技術力に自信を見せるYerli氏。待望の新作の登場を期待して待とう。


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