HOME> ゲーム> 次世代のゲームセンターを本気で目指す――『スペースインベーダー』30周年で見えた新生タイトーの姿
●「極論で言うとマシンがなくても楽しめるゲームセンターはできないか」(和田社長)
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▲1日限りでオープンした無料ゲームセンター。入口にはタイトーの足跡をたどれるパネル展示、そして'70、80年代を彩ったレトロ筐体が。奥には最新鋭の筐体が並ぶ作りに。これまでのタイトーと、未来のタイトーを感じられる凝ったスペースとなっていた。平日なのにこの混雑模様。 |
タイトーは2009年3月26日、秋葉原のUDXでスペースインベーダー30周年記念の最後を飾るファイナルイベントを実施した。既報のとおり、新旧のゲーム筐体がズラリ勢ぞろいした1日限りの無料ゲームセンターを展開したほか、報道関係者向けには新プロジェクト、新製品発表会を行った。これまで同社は30周年を祝うべく、Yahoo!JAPANや有名ファッションブランドとのコラボ、原宿ラフォーレのジャック、記念ゲームのリリースと数々の施策を打ってきたが、その集大成にふさわしい内容となった。
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▲残念ながら失敗に終わったが、和田氏の貴重なバルーンパフォーマンスのシーン。 |
新プロジェクト、新製品発表会で登壇した和田洋一社長は、「こんなのも持ってきちゃいました(笑)」と取りだしたのがバルーンアート用の風船。「みなさん、リアクションにお困りでしょうけど……」と話しながら、キュキュと音を立てながら軽快な手さばきで何かを作ろうとしている様子。報道関係者一同あっけにとられていると、和田社長は手を動かしながらこう続けた。
「最近、何でも機械に頼りすぎなような気がするんです。1台の機械がなくても楽しめるスペースはできないか。遊びの原点に帰ることでもっとおもしろいことができないか、ということを考えています」
和田社長がこのバルーンパフォーマンスで伝えたかったことはひとつ。顧客層のコア化、ゲーム内容の複雑化、筐体開発の高騰化などさまざまな不安材料が叫ばれるアーケード業界で、いまこそ原点回帰の時期ではないか? ということだ。タイトーはそのために、会社の体制をも変え、新たな遊びを模索していく考えをぶち上げた。
その具体的な一歩が、アーケード分野で4月から実施される“ハッピープロジェクト”。タイトーはこれまで、自社アミューズメント施設でのサービス品質の向上を精力的に行ってきた。アルバイト従業員の接客ナンバーワンを決めるコンテストの実施や、一定の品質基準を保てた提携店舗にだけブランド名をのれん分けするブランド認定制度の導入など、業界随一の厳しさを貫いてきた。ここにさらなるハードルを設ける。一般モニターが覆面をして店舗サービスを評価する業界初の試み、“★★★制度(スリースター制度)”を導入し、客の目線でさらなる品質向上に取り組んでいくという。これはスタッフ単位にも導入される予定で、アミューズメント施設のサービスを根本から見直すことになる。
社内横断の企画創出プロジェクト“プロジェクト オーシャン”はソフト面で原点回帰を狙った施策のひとつ。これはタイトー社員でふたんゲームの開発に関わっていない施設マネージャーやプライズ・玩具系の企画者などで構成されている新製品開発プロジェクト。それぞれが専門分野で培ってきた“お客様視点”、“お客様を意識”という独自の視点でもの作りを進めていく。今回は『オッポポブーン!』と『みどりのおせわ』というふたつのコンセプトモデルを参考出展した。
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▲左がフィットネスとゲームを組み合わせた『オッポポブーン!』。右は樹木をみんなの力で育てていく『みどりのおせわ』。どちらも参考出展で、ゲーム内容の詳細は決まっていなかった。 |
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また、昨年立ちあがった業務用ゲームの主軸ブランド“NO考ゲーム(のうこうげーむ)”からも、ゲームを根本から見直す姿勢がビシビシと伝わってくる。“見りャァ、ワカル。やりャァ、オモシロイ”をコンセプトのもと、マニュアル不要、ゲームが苦手な人でも楽しめる、比較的安価な筐体の提供、中身はしっかり濃厚という、ユーザーにも店舗にもやさしい筐体の開発を目指す。その第4弾として発表されたのが『ホーンテッドミュージアム』。旧来のガンシューティングとは違ってリロードを廃止し、弾数制限もなくした。敵に思うぞんぶん弾を撃ち込む爽快感を突き詰めた作品となっている。
『ホーンテッドミュージアム』はそのゲーム性だけでなく、筐体自体のライトさも特筆すべき点。(言い方は悪いが)テントのような手軽な作りになっていて、カーテンとハードディスクの内容を変えるだけで、新しい筐体にリニューアルできるようになっている。商品の回転が早いアーケード業界に柔軟に対応できそうだ。
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▲左が『ホーンテッドミュージアム』。博物館内を探検するガンシューティング。右は女性プロデューサーが手がける第5弾『ミュージックガンガン!』。リズムアクションとガンシューティングを融合した作りで女性でも手軽に楽しめるのが特徴。筐体はポップな色使い、荷物置き場もありと、ゲーム性だけでなく筐体自体も女性を意識している。 |
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▲今回初お披露目となったファーストパーソンシューティング『サイバーダイバー』。『ハーフライフ 2 サバイバー』を手掛けたメンバーが開発。5対5のオンライン対戦が楽しめる。 |
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和田社長はこれらの発表を踏まえ、ふたつのことを約束すると語気を強めた。ひとつは「お客様を徹底的に応援する」、もうひとつは「つぎの(アーケード業界の)山はタイトーが作る」ということ。前者はこれまで説明してきたとおり、お客様視点のアーケード施設の運営、お客様視点のゲーム開発という部分に当たる。
後者は和田氏のアーケード業界全体への挑戦状でもある。
「アミューズメント業界が不況だとは過去何十年ずっと言われてきたこと。この業界は山あり谷ありをずっと繰り返してきた。ただ、おもしろいことに、谷に落ち込んだとき、それ以上に高い山がくることが多い。しかも景気循環のなかで起こってるわけではないんです。これまでクレーンゲームやキッズカードゲーム、サテライト型の通信対戦ゲームなど、そのつど新しいサービスやアイデアが山を生んできた。このつぎの山はタイトーが作りたい」(和田)
もちろん和田社長は、そうやすやすと事が運ぶとは思っていない。「ゲームの固定観念が壊れるように社内の体制を変えてみたり、そもそもモニターにゲームを描写することが必要なのか、そんなところから考えるもの作りをしていきたい。『スペースインベーダー』が喫茶店に置かれたように、ゲームを置く場所が変わっていくかもしれない。いまは種をまいてる状態で、結果がでるのは早くても1〜2年後」(和田)。
『スペースインベーダー』30周年ファイナルイベントはてっきりノスタルジックな雰囲気に包まれるかと思いきや、それだけに終わらなかったサプライズ。タイトーはこのイベントを皮切りに、気持ちを引き締めて次世代のアミューズメント業界の創造に本気で取り組んでいる。成果が出るのはそう簡単ではないが、和田社長の力強い約束と新生タイトーには期待せずにはいられない。
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▲懐かしい筐体がズラリ30台以上。ゲーム博物館並みのラインアップで、中には熱心に撮影するユーザーも。 |
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