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植松伸夫氏が長を務める“犬耳家の一族”が、初の親族会議を開催

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●一族総出で、ライブステージを展開

 

 突然だが“犬耳家”という一族をご存知だろうか? 某有名推理小説のタイトルを彷彿とさせるミステリアスな名前だが、決して怪しげな集団というわけではない。これは、『ファイナルファンタジー』シリーズのメインコンポーザーとして知られる植松伸夫氏が設立した音楽レーベル“ドッグイヤー・レコーズ”と関わりのあるアーティストたちの総称なのだ。ちなみに、説明の必要もないと思うが、“犬耳”とはレーベル名にある“ドッグイヤー”を訳したものである。

 

 そんな犬耳家の一族が、2008年11月24日に東京の代官山にあるライブハウス、晴れたら空に豆まいてで初の親族会議“犬耳家 親族会議vol.1”を開催。すでに作品を発表している、もしくはこれから活躍が期待されているドッグイヤー・レコーズのアーティストたちが一堂に会し、親族(ファン)たちとの顔合わせ(生ライブ)を行ったのだ。会議には植松氏も駆けつけ、「CDで聴いたりするのいいけど、やっぱりこうやって直にアーティストのパフォーマンスも含めて楽しむのが音楽だと思うんだよね」と、一族の長らしく含蓄に満ちた挨拶。会場はそれほど広くなかったが、そのぶんステージと客席の距離が近く、また植松氏も来場者といっしょに客席へ座ったりと“親族会議”という名にふさわしいアットホームな雰囲気でライブはスタートした。

 

▲会議では一族の長とも言える植松氏(左)と、ドッグイヤー・レコーズのプロデューサー松下謙介氏(右)のふたりが司会を務めた。


 ひと組目は、植松伸夫ファンクラブイベントといったプライベートイベントを除けば、公の場に顔を出すというのはほぼ初めてというグループ“hejmsopiro(ヘイムソピーロ)。アイリッシュサウンドを主体とした4人組で、ギター、ヴァイオリンといったスタンダードな楽器に加えて、ホイッスル、“バウロン”と呼ばれる太鼓などふだんはあまりお目にかかれないものも使用しているのが特徴だ。ライブではアイルランド民謡やオリジナル楽曲と合わせて、『ファイナルファンタジーV』から『街のテーマ』、『ファイナルファンタジーXI』から『Ronfaure』のアレンジバージョンも披露した。また、特別ゲストとして“ノビバウロン”こと植松氏が、バウロンを持って参加。「俺のところはマイク拾わなくてもいいよ(笑)」と言いつつも、ヘイムソピーロたちとピッタリ息の合った演奏を見せていた。
 

▲哀愁を漂わせるメロディーに躍動感のあるバウロンのドラム音が絡むアイリッシュサウンド。ちなみに、メンバーの中には植松氏が10数年まえに発売した『ファイナルファンタジーIV』のアレンジアルバム『ケルティックムーン』を聴いて、アイリッシュに目覚めた人もいるとのこと。


▲新人メンバー“ノビバウロン”として、バウロンの演奏を披露した植松氏。


 続いて登場した“CELLYTHM”は、2008年8月に横浜で開催された植松氏率いるロックバンド“ザ ブラック メイジズ”のライブに出演した実績を持つ犬耳家の出世頭。グループ名にもあるとおり、弦楽器のチェロによる演奏を行うグループで、同じ楽器なのにまったく雰囲気の違う音を重ねてくるテクニックと4人の絶妙なコンビネーションがウリとなっている。ザ・ブラックメイジズのライブ出演時は『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲のみ演奏されたが、今回はレッド・ツェッペリンの『Immigrant Song(移民の歌)』、ビートルズの『Eleanor Rigby(エリナー・リグビー)』といったクラシックロックの名曲にも挑戦。チェロの音をおもにロック系の楽曲で使われるマーシャル社製アンプに通すことで音を歪ませ、荒々しいサウンドを創出。チェロというアコースティックな楽器で、見事なロックサウンドを展開した。もちろん『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲も演奏。『Clash on the Bigbridge(ビッグブリッヂの死闘)』では、その曲名が読み上げられた瞬間に会場から待ってましたと言わんばかりに「オー!!」という歓声が。また、演奏の合間には2009年春に初のミニアルバムが発売予定であることを明かし、来場者たちにその存在を強く印象づけた。

▲来場者のほとんどは2008年8月のザ ブラック メイジズのライブに足を運んでいたようで、多くの人にとっては2度目となったCELLYTHMのステージ。植松氏は「前回は探り探りな部分があったけど、今日はそれぞれの個性がよく出ていたよね」と、演奏技術の急激な成長ぶりを称賛した。


 親族会議のトリを飾ったのは、植松氏に「この人の演奏を聴くたびに、なんで俺はジャズピアニストにならなかったんだろう、と思うんですよ(笑)」と言わしめた、ピアニストの江草啓太氏。今回の出演者では唯一ドッグイヤー・レコーズからCDを発売しており、植松氏と並んで犬耳家を牽引するアーティストと言っても過言ではないだろう。ライブではその発売中のアルバム『KALAYCILAR(カライジュラル)』から、表題曲の『KALAYCILAR』、YMO(イエロー・マジックオーケストラ)のファーストアルバムに収録されている楽曲『SIMOON』のピアノカバー、そして植松氏が「聴いていると幽体離脱しそうになるほどの名曲」と絶賛した『AISHA』を演奏。そのほかに『ファイナルファンタジーXI』から『Distant Worlds』、そしてアルバムには未収録のオリジナル楽曲『東京都にタヌキがあらわれた』でも美しいピアノの旋律を披露し観客を魅了した。


▲テレビCMの楽曲なども数多く手掛けている江草氏。『KALAYCILAR(カライジュラル)』はドッグイヤー・レコーズ初のオリジナルアーティスト作品としてiTune Storeおよびドッグイヤーレコーズの専用サイトで発売中だ。


▲ジャズを基調にしつつ、そこに独自のアレンジを加えた演奏方法は「ジャンルの枠に収まらない“江草啓太”という音楽」(植松)で、一聴の価値あり。


 約2時間にわたって行われた犬耳家の親族会議。会場は出演者との距離が近い規模のため、その雰囲気はいい意味でユルく、本当の親戚どうしが集まりさまざまな余興を楽しんでいるといった感もあった。植松氏によれば今後も継続的にこの親族会議の開催を予定しているとのことで、会場の規模は今後も今回程度の留めたいとのことだ。ちなみに、犬耳家に親族入りするのはとても簡単。ドッグイヤー・レコーズの公式サイトを訪問して、お気に入りの楽曲、アーティスト……とにかく、何か気になるものを見つければ、その瞬間からあなたも犬耳家の親族になれるのだ。
 

▲来場者には記念として出演者のサインと犬耳家の家紋が入ったポストカードが贈られた。また、“ドッグイヤー・レコーズここだけの話”として、ザ ブラック メイジズのライブDVDが発売されることも明らかに。現在は2009年春の発売に向けて鋭意制作中だ。


▲最後に一族の絆を深めるべく、握手会が行われイベントは終了となった。


※ドッグイヤー・レコーズの公式サイトはこちら
 

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