PRESS START 2008 -SYMPHONY OF GAMESの詳細リポートをお届け!
●超豪華メンバーが揃ったコンサートの模様を余すところなく紹介
2008年9月14日、東京の渋谷Bunkamuraオーチャードホールにて開催された、ゲーム音楽のオーケストラコンサート“ファミ通PRESENTS
PRESS START 2008 -SYMPHONY OF GAMES-”。
作曲家の植松伸夫氏、酒井省吾氏、ゲームデザイナーの桜井政博氏、シナリオライターの野島一成氏、指揮者の竹本泰蔵氏ら5名が発信するこの催しも、今年で3回目。ここではその模様を詳しくお届けする。(セットリストはこちら)
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▲開場まえから渋谷Bunkamuraオーチャードホールにはご覧のとおり長蛇の列が発生した。 |
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▲コンサートでは全65曲のゲーム関連楽曲がオーケストラ演奏で披露された。 |
第1部
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『ワイルドアームズ セカンド・イグニッション』 <ソニー・コンピュータエンタテインメント> 作曲:なるけみちこ 編曲:なるけみちこ/亀岡夏海 |
企画者のひとり、指揮者・竹本泰蔵氏が登場し、コンサートが開演。演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
最初の演目は、荒野を舞台にしたRPG『ワイルドアームズ』の楽曲。オーケストラにプラスして、ギタリストの窪田晴男氏を迎えて演奏された。(窪田氏は、『スーパーマリオギャラクシー2008』、『クロノ・トリガー』&『クロノ・クロス』も演奏) また、『ワイルドアームズ』のメロディーを象徴する重要な口笛パートを、神奈川フィルハーモニー管弦楽団 首席トロンボーン奏者の倉田寛氏が担当。ゲーム音楽ファンで満席になった会場は、たちまち哀愁漂う音色で満たされた。
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▲『ワイルドアームズ』の楽曲でコンサートは幕を開けた。 |
司会者の鷲野圭子氏の紹介で、PRESS
STARTの企画者の面々と『ワイルドアームズ』の作曲者、なるけみちこ氏が登壇。会場から盛大な拍手が送られた。
このコンサートのために編曲も担当したなるけ氏は、演奏のすばらしさに感極まり、舞台袖で泣いてしまったのだそうだ。また、口笛が挿入される「荒野の果てへ」という楽曲を作ったころの思い出として、「ディレクターから口笛を使った曲を作ってほしいと依頼され、時代劇(マカロニウエスタン)をたくさん観てイメージ作りをしました」と語った。
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▲ステージにはなるけみちこ氏(中央)も登壇。楽曲制作時の思い出などを語った。 |
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『スーパーマリオギャラクシー2008』 <任天堂> 作曲:近藤浩治/横田真人 編曲:横田真人 |
印象的なファンファーレでスタートした『スーパーマリオギャラクシー2008』も、このコンサートのために編曲された特別な楽曲。浮遊感と爽快感が入り混じる『エッグプラネット』では、誰もが星空を飛ぶマリオの姿を思い浮かべただろう。
楽曲にちなんだゲストは、『スーパーマリオブラザーズ』や『ゼルダの伝説』の作曲者として世界的に有名な任天堂の近藤浩治氏と、『スーパーマリオギャラクシー』の作・編曲者である横田真人氏。コンサートでの演奏が決定し、横田氏が近藤氏に頼み込んで編曲をした話や、宮本茂氏の厳しいチェックなど、めったに聞けないエピソードを披露した。
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▲近藤氏(左から3人目)と横田氏(左から4人目)今回のコンサートが実現するまでの紆余曲折などが明かされた。 |
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『スペランカー』 <アイレムソフトウェアエンジニアリング> 作曲:アイレム 編曲:中村暢之 |
ゲーム史上もっとも弱い主人公が登場することで名高い『スペランカー』。その、ファミコンのピコピコ音がオーケストラになる!? ということで期待が高かった演目。タイトル画面で流れるおごそかなメロディーから一転、軽快に洞窟冒険スタート! ……と、思いきや、段差に耐えられなかったのか、地面で蹴つまずいたのか、あっというまにミス!(当然ミスのメロディーもオーケストラが演奏) 間髪入れずに再スタートするが、これまたミス! ミスの連続であっというまにゲームオーバーのメロディー。
主人公の奮闘が目に浮かぶ演奏で会場は大爆笑。「けっきょく1面の扉にたどりつかなかった」という声があたりからもれるほど、ファンのツボを抑えたすばらしい編曲だった。
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▲オーケストラになってもやはり主人公は弱かった!? ユーモアに溢れた演出で演奏された『スペランカー』。 |
『逆転裁判』 作曲:杉森雅和/木村明美/岩垂徳行 編曲:岩垂徳行 |
成歩堂龍一や御剣怜侍のテーマ曲から緊迫した法廷シーンまで、ドラマチックな編曲がほどこされた『逆転裁判』。楽曲にちなんだゲストは、作曲家の岩垂徳行氏。今回の演奏が実現したことについて、「皆さんがリクエストしてくださったおかげです!」と会場に一礼した。が、ここで、9日後に同会場で“逆転裁判
特別法廷 2008 秋 オーケストラコンサート”と題された催しが控えていることを桜井氏が指摘。「意義あり!」と、ゲーム中の成歩堂龍一さながらのポーズで桜井氏に詰め寄られ、苦笑いする岩垂氏。会場からも大きな笑い声が起こった。
岩垂氏は『グランディア』シリーズなども担当したことでも知られる作曲家。次回以降のPRESS STARTにもぜひ参加したいと語った。
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▲桜井氏(いちばん右)との掛け合いで会場を笑わせた岩垂氏(中央)。 |
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『サムライスピリッツ』 作曲:TATE_NORIO 編曲:中村暢之 |
オーケストラに津軽三味線の奏者、廣原武美氏を迎えての豪華な競演。目にもとまらぬバチさばきでかき鳴らされる三味線の音色には、思わず息を飲むほどの迫力があった。演奏終了後は、サプライズとして『ザ・ニンジャウォーリアーズ』でおなじみの、津軽三味線の独奏が演じられた。これには、5人の企画者をはじめ会場のファンも大満足! 割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。
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▲洋と和の融合。三味線による迫力の演奏に会場は息を飲んだ。 |
若かりし頃の植松伸夫メドレー 作曲:植松伸夫 編曲:酒井省吾 |
「僕がゲームの仕事を始めた、20代の真ん中くらいに作った曲ばかりです。野島君は1曲も知らないって(笑)」と植松氏。本人としては昔を掘り起こさず、そっとしておきたかったようだが、スタッフに企画を押し切られてしぶしぶ許可したとのこと。
しかし、編曲を担当した酒井氏が、「植松さんは、若いころから植松さんでした。メロディーが非常に秀逸でしたから」と語ったように、往年のゲーム音楽ではあるが、たしかに植松氏独自のカラーがにじみ出た興味深い演目となった。メドレーを構成するのは、『アルファ』(1986年・PC)、『キングスナイト』(1986年・ファミコン)、『とびだせ大作戦』(1987年・ファミコンディスクシステム)、『魔界塔士 SA・GA』(1989年・ゲームボーイ)、『半熟英雄』(1988年・ファミコン)の5作品。年代が新しくなるにつれ「おおっ!」という歓声があちこちで上がり、植松氏の音楽の魅力を再認識していたようだ。
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▲ファミコン、ゲームボーイ時代の楽曲が披露された“若かりし頃の植松伸夫メドレー”。同氏の作曲家としてのキャリアの深さがうかがえる演目となった。 |
『モンスターハンター』より「英雄の証」 <カプコン> 作曲:甲田雅人 編曲:浜口史郎 |
第一部をしめくくるのは、2006年に開催されたPRESS
STARTの記念すべき第1回公演でも好評だった『モンスターハンター』の『英雄の証』。作品を代表するこのテーマ曲は、CMやプロモーションでも起用されていることが多いため、非常に知名度が高い。
観客たちは、勇ましく壮大なメロディーに、しばし聴き惚れていた。
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▲第1部は『モンスターハンター』の楽曲の中でも取りわけ知名度が高い、『英雄の証』で締めくくられた。 |
第2部
『バテン・カイトス』より「光星煌めく旅路の果てへ」 <バンダイナムコゲームス> 作曲:桜庭統 編曲:中村暢之 |
知る人ぞ知る名曲、胸が熱くなるような『バテン・カイトス』の珠玉の1曲からPRESS
START第二幕がスタート。楽曲にちなんだゲストは、作曲者の桜庭統氏だ。
桜庭氏は、『テイルズ
オブ』シリーズや『スターオーシャン』シリーズ、そして『ヴァルキリー プロファイル』など、名曲の生みの親として数多くのファンを持つ。じつは、企画者の中にも桜庭氏ファンが多いとのことで、「なかばキレ気味で推しました!」と、植松氏が強くプッシュしたことを打ち明けていた。
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▲植松氏の猛プッシュで出演が実現した(?)、桜庭氏(左から2番目)。 |
『Touch! Generationsメドレー』 <任天堂/ハル研究所/バンダイナムコゲームス> 編曲:酒井省吾 |
この演目は読んで字のごとく、いわゆる脳トレ系ソフトをメインに据えたメドレー。演奏されたのは、全10タイトル。『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修
脳を鍛える大人のDSトレーニング』、『nintendogs』、『はじめてのWii』、『監修
日本常識力検定協会 いまさら人には聞けない 大人の常識力トレーニングDS』、『ことばのパズル
もじぴったんWii』、『やわらかあたま塾』、『英語が苦手な大人のDSトレーニング
もっとえいご漬け』、『しゃべる!DSお料理ナビ』、『Wii Fit』、『Wii Sports』。
多くの人が一度は触ったことのある作品だが、オーケストラでの演奏となると何の楽曲であるか瞬時にわからないものも中にはあり、ステージ脇に設置された電光掲示板に映し出されたタイトルを見て「ああ、わかった!」と声を上げる人もいた。
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▲脳トレ系ソフトの楽曲が中心ということで、楽曲のテーマとなったタイトルを当てるという脳トレもできた!? |
『イース』 <日本ファルコム> 作曲:ファルコムサウンドチームjdk 編曲:山下康介 |
日本のゲーム音楽を語るうえではずすことができない、『イース』。1987年にPCゲームとして世に登場してから現在に至るまで、数多くのゲームファンをとりこにしてきた名作だ。PRESS
STARTでは2006年の再演となるが、今年は、編曲を手掛けた故・羽田健太郎氏の愛弟子である山下康介氏が再編曲した『イース』を演奏。
いつの時代でも古さを感じさせないメロディーは、「海外にもファンが多い」(植松氏談)とのこと。
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▲オーケストラ演奏でさらに荘厳さを増した『イース』の楽曲たち。 |
『レイトン教授と不思議な町』 <レベルファイブ> 作曲:西浦智仁 編曲:かみむら周平 |
人気の高いアドベンチャーゲームから、テーマ曲と、それをしのぐ印象深さで耳に心地よく響く、謎解き時に流れる楽曲『謎』を演奏。不思議な雰囲気をかもし出し、どこかしらノスタルジックなテイストを持つメロディーは、オーケストラで編成されてパワーアップし、さらに新しい魅力をあらわにした。
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▲ゲームの雰囲気的にも、オーケストラ演奏との相性はバッチリだった『レイトン教授と不思議な町』。 |
『ロックマン2』 <カプコン> 作曲:カプコン 編曲:外山和彦 |
楽曲の構成はもちろん、電光掲示板に映し出される画像までみずからが編集したという、桜井氏こだわりの演目。原曲はいずれも電子音バリバリのファミコンサウンドであり、『スペランカー』同様、オーケストラが演奏することでどのように変身するのか注目を集めた。
電光掲示板には楽曲が移り変わるたびに“AIRMAN”や“Dr.W”などの画像が浮かび上がり、どのシーンで流れていたかひと目でわかるようになっていた。また、ボスを倒したときのエフェクトまで挿入され、ファンの笑いを誘っていた。
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▲『ロックマン2』ではスクリーン上の凝った演出でも来場者を楽しませた。 |
『ファイナルファンタジーIX』より「Melodies
Of Life」 作詞:シオミ 作曲:植松伸夫 編曲:浜口史郎 |
PRESS START 2008のトリを務めるのにふさわしいゲスト、ボーカリストの白鳥英美子氏を迎え、『ファイナルファンタジーIX』の主題歌である「Melodies
Of Life」が演奏された。これは、命についてのメッセージが込められており、『ファイナルファンタジー』のコンサートでも演奏されるたびに、感動で会場を満たしている名曲。
観客たちは、美しいメロディーと、白鳥氏の包容力あるのびやかな歌声を存分に堪能し、おしみない拍手をステージに送っていた。
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▲白鳥氏の歌声とともに、PRESS START 2008は一旦の締めとなった。 |
アンコール
ここからは、PRESS
STARTの公式ウェブページでも、当日配布されたパンフレットにも載っていなかったサプライズが目白押し。
まず、軽快なリズムで演奏が始まったのは、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』<セガ>。ゲームセンターのUFOキャッチャーで流れる楽曲としても有名なメロディーをはじめ、代表曲全7曲で構成されたスペシャルバージョンが演奏された。その後、5人の企画者たちが登場。
「始まってみたら、あっという間でした」(酒井氏)
「お祭りみたいにみんなが毎年楽しめるといいですね」(植松氏)
「コンサートの運営はゲーム作りの縮図のよう。真実は皆さんひとりひとりの心の中にあると思います。皆さんが今日ハッピーだと感じてくれていたらうれしいです」(桜井氏)
「僕にとってPRESS
STARTの思い出は、去年の大阪公演が終わって新幹線で帰る途中、騒ぎすぎておじさんに叱られたこと(笑)。今日はそれをぬりかえるくらい楽しかったです!」(野島氏)
と、それぞれの感想を述べた。さらに、PRESS
STARTが近々上海で公演される計画があることも発表されたのだ。
これでお開きになると思われたが、観客を驚かせるもうひとつのサプライズが!
突如、聞き覚えのあるファンファーレとともに客席から作曲家の光田康典氏が登場。ゲーム音楽ファンなら名前を聞いてすぐにひらめいたと思われるが、そう、今年の隠し玉には、『クロノ・トリガー』&『クロノ・クロス』<スクウェア・エニックス>も控えていたのだ。
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▲最後の最後に、光田氏(下写真、左から2番目)が客席から登壇するというビッグなサプライズが! |
ほとんどの楽曲がこのコンサートのために編曲されるという贅沢さ、そして上質なオーケストラ、豪華ゲストの登場で、毎年内容の濃い催しとしてファンを楽しませてくれるゲーム音楽コンサート、PRESS
START。今年もこうして大盛況のうちに終了した。
ちなみに、演奏曲に関してはユーザーのリクエストを随時募集しているとのことなので、この機会にPRESS
STARTの公式サイトに意見を投稿してみてはどうだろう。
※PRESS
STARTの公式サイトはこちら
※ゲーム音楽のオーケストラコンサートPRESS START 2008開催
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