『ルーセントハート』の運営面から考える、オンラインゲームの開発とは
【CEDEC 2008】
●ユーザーのモチベーションをいかに維持するか
2008年9月9日から11日まで、都内にある昭和女子大学で開催されたCESA
デベロッパーズ カンファレンス
2008(CEDEC 2008)。本イベントは、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンスだ。このイベントの模様をリポートする。
今年サービスが開始されたオンラインゲームのなかでも、『ルーセントハート』は同時接続者数が1万5千人を超えるなど、とくに勢いのあるタイトルのひとつだ。国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンス“CEDEC 2008”最終日である2008年9月11日、同作を運営するガマニアデジタルエンターテイメントの中島秀樹氏が講演を行なった。
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▲コンシューマー機のゲームの開発経験もある中島氏だが、「個人的にはコンシューマーの開発より楽しい」という。 |
まず中島氏はオンライン市場の概況を説明。市場自体は大きくなっているものの、昨年は事業者数が若干減少に転じ、サービス終了するタイトルも増えてきたことを指摘し、オンラインゲーム自体がかなり増えたことで、新規タイトルの参入や運営が難しくなってきていると述べた。そして新規ユーザーを集めづらくなっているが故に、ビジネスモデルでも月額課金モデルを採用するのが難しくなっており、基本プレイ料金無料のアイテム課金のタイトルが過半数を占めることになっているのだという。では、どうやってユーザーを集め、定着させ、課金アイテムを購入させるのか。
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▲下部グラフが近年のサービス終了タイトル数の推移。2007年(いちばん右)でいきなり増加しているのがよくわかる。 |
ここで中島氏は、オンラインゲームの研究者Nick Yeeのオンラインゲームに必要な10個のモチベーションを提示する。通常のパッケージゲームではどうユーザーに受け入れてもらうか、どうおもしろくするかを考えながら開発し、販売するまでがひとつのサイクルとなるが、オンラインゲームではサービスをやめない限り半永久的に続いていき、コストもそれだけかかる。ユーザーのモチベーションをどう維持するのか、運営状況を把握するための指標となる“数字”を考えながら開発し、ユーザーのモチベーションを下げないように新しいものを追加していくことで、たとえ典型的な“クリックゲー”(マウスを延々とクリックしてプレイするさまから呼ばれる蔑称)で基本的なゲームプレイそのものに革新性がなくても、人気を集めることは可能だという。
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▲Nick Yeeによるオンラインゲームに必要な10のモチベーション。それぞれの要素により、プレイヤーがゲームに引き込まれる。 |
前述のモチベーションのなかでも、中島氏が重要視するのがソーシャル(コミュニケーション)部分。オンラインゲームが特に強い要素でありながら、日本のオンラインゲームでは比較的弱く、「話しかけても返事が返ってこないので、やめちゃう人もいる」(中島氏)ほど。
『ルーセントハート』では、同じ星座同士がチャットできる“星座チャット”だったり、比較的近いユーザーのマッチングを行なう“キューピッドシステム”がソーシャル部分をシステム側で促進させるためのシステムになっているという。ただの全体チャットでは漠然とし過ぎて発言しにくくても、運営側で星座によってカテゴリー分けすることで、ユーザー同士が近づくきっかけとなり、結果としてログインユーザー数や継続率といった“数字”に繋がってくると主張する。
つぎに考えるべきなのは、集まってきたユーザーにどう課金してもらうか。まず「買わないと遊べないような課金をするべきではなく、買わなくても最低限は遊べるようにするべき」と前置きしたうえで、「線引きは難しいが、不満なく購入してもらうのが大事」として、ゲームの流れにさりげなくアイテム購入要素を盛り込むなどの方法で、ユーザーに課金を強く意識させずに自然に促すのが有効としていた。課金アイテムでは他人との差別化や、優越感、向上心を煽ったりするアイテムが客単価を上げやすく、アバターでも追加効果があるものとないものを用意するなどの違いを出しているとのこと。どのアイテムをどれだけ売りたいかを考えて企画を立てるべきで、ランダムにアイテムが当たる、いわゆる“ガチャ”はもっとも売上が上がるが、レア度を高めると熱中するプレイヤーが出る反面、客離れも進んでしまうので、バックエンドツールでどれだけのアイテムが流通しているか、運営と開発が把握しておくべき、と語っていた。
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▲会場は立ち見が出るほどの盛況。現場からの生の分析が聞ける貴重な機会に、質疑応答時も聴講者から具体的な質問が次々と投げかけられていた。 |
※CEDEC 2008公式サイトはこちら
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