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開発者視点から見たベストゲームは?――CEDEC AWARDS 2008が発表に
【CEDEC 2008】

2008/9/11

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●特別賞は……歓声に包まれて宮本茂氏登場!

 

 2008年9月10日、開催中のゲーム開発者向けカンファレンス“CEDEC 2008”で、過去に発売されたゲームすべてに用いられた技術を対象に表彰する“CEDEC AWARDS”が発表された。これは一般公募によるエントリーのなかから作成されたノミネートリストより、CEDEC受講者とアドバイザーの投票で選ばれるというもので、いわばゲーム開発現場ならではの視点によって厳選される賞。今回が初めての試みとなる。
 

 “プログラミング・開発環境部門”以下の4部門各賞のノミネート作品を下にまとめてみた。『グランツーリスモ』シリーズのメーカー表記がソニー・コンピュータエンタテインメントではなくポリフォニー・デジタルになっていたり、同じく『ポケットモンスター』シリーズもゲームフリークになっていることで、「ん?」と思った人もいるかもしれないが、開発の視点から選ばれる賞なので、賞の対象となるメーカーはあくまで開発メーカーになっている。

 

プログラミング・開発環境部門

MTフレームワーク (カプコン)

『グランツーリスモ』シリーズ (ポリフォニー・デジタル)

『バーチャファイター』 (セガ)

『ピクミン』 (任天堂)

『リッジレーサー』 (バンダイナムコゲームス)

ビジュアルアーツ部門

『ICO』  (SCE)

『グランツーリスモ』シリーズ (ポリフォニーデジタル)

『ソウルキャリバー』シリーズ (バンダイナムコゲームス)

『ファイナルファンタジー』VII〜XII (スクウェア・エニックス)

『メタルギアソリッド』シリーズ (KONAMI)

ゲームデザイン部門

『スーパーマリオブラザーズ』シリーズ (任天堂)

『ドラゴンクエスト』シリーズ (堀井雄二/スクウェア・エニックス)

『バーチャファイター』 (セガ)

『ポケットモンスター』シリーズ (ゲームフリーク)

『モンスターハンター』シリーズ (カプコン)

サウンド部門

『グランツーリスモ』シリーズ (ポリフォニー・デジタル)

『実況パワフルプロ野球』シリーズ (コナミ)

『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』 (カプコン)

『絶対音感オトダマスター』 (ハドソン)

『ゼルダの伝説』シリーズ (任天堂)

 

 まず最初に発表された“プログラミング・開発環境部門”では、古今の作品で技術的革新を生んできた候補が並ぶなか、カプコンのゲームエンジン“MTフレームワーク”が選ばれた。下の受賞コメントからも、カプコンの稲船氏の基調講演からもわかるように、世界を視野に入れた技術レベルが評価されたのだろう。
 

 続く“ビジュアルアーツ部門”では、幻想的な光と影、空気感の表現が評価され、海外のクリエーターにも影響を与えたとして『ICO』が選ばれた。選考理由では『ワンダと巨像』でのビジュアル的世界観への評価も含まれているが、果たして新作は……上田氏のコメントによれば、どうやら新プロジェクトが着々と進行している模様。期待して待ちたい。
 

 そして“ゲームデザイン”部門では、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズが。スクロール型のアクションゲームの基礎であることはもちろん、『スーパーマリオ64』で3D化されてもなお、立体的なレベルデザインとマリオのゲーム世界の融合を見せたことが選考理由。登場した手塚卓志氏からは、時代が変わっても、プレイするユーザーのことを考えながら地道にゲームデザインしていくことは変わらない、という深いコメントが。


 最後の“サウンド部門”では、任天堂が誇るアクションゲームのもうひとつの雄、『ゼルダの伝説』が選ばれた。近藤浩志氏が仕掛けてきた、ゲームプレイと一体に融合されたサウンドが選考理由だ。

 

 ノミネート作品から選ばれる各賞が発表されたところで、最後に特別賞が。“世界中のゲーム開発者から尊敬と賞賛を集め”、“世界で一番売れたゲームを作ったとしてギネスブックにも載っているゲーム開発者”とは……会場が暗転すると、“SHIGERU MIYAMOTO”の文字が。これまで手掛けてきたタイトルがスクリーンに次々と映し出され、宮本氏が姿を現すと、会場内は歓声とともに、拍手に包まれた。

 

 世界最大規模のゲーム開発者向けカンファレンスである“Game Developers Conference”で発表される“Game Developers Choice Award”のように、日本でもゲーム開発者が選ぶ賞として創設された“CEDEC AWARD”。早くも日本のゲーム業界のレジェンドたちが登場し、今後が興味深い賞となったのは間違いない。下ではそれぞれの賞の受賞者の声をお届けする。

 

▲日本のゲームクリエーターがみずから選んだ、同業者も認めるトップクリエーターが集合。全員が関わったタイトルの販売本数を足したらいったいどのくらいになることやら……。

 

プログラミング・開発環境部門:“MTフレームワーク”

【受賞コメント】カプコン 伊集院勝氏

 

 第1回のCEDEC AWARDを受賞させていただき、光栄に思います。ありがとうございました。

 MTフレームワークは2004年の終わりから開発を始めて足かけ4年近くになります。そのあいだにいろんなタイトル、『デッドライジング』、『ロストプラネット』、『デビルメイクライ』、そして『バイオハザード5』というタイトルにそれぞれ対応して、成長を続けている真っ最中のエンジンです。

 エンジンを作るにあたってカプコンでは大きな転換がありました。いままでほとんど技術的な発表を外にすることがなく、会社の中では作っていたけど、外に公表しようという流れになったことですね。

これは現状の日本のゲーム開発シーンがあまり元気がないのではないか、というところから、ウチが率先して技術を公開していこう、そして最先端の技術をどんどん開発していこう、というような考えかたから、専門チームを作って、推進させていったものなんです。今後もこういった流れを引き継いで、ここにいるメンバーもそうですし、いま会社のほうでまさに仕事をしているメンバーもそうなんですが、新たな発表をCEDECでしていけたらいいなと思います。ご静聴ありがとうございました。

 

ビジュアルアーツ部門:『ICO』

【受賞コメント】ソニー・コンピュータエンタテインメント 上田文人氏

 

 このような賞をいただきありがとうございます。『ICO』はちょうど10年前くらいにスタートしたんですけれども、(細かいシェーダー名など)専門用語なども知らなくて、そんな固定観念がない状態でスタートできたからこそ、いい絵作りができたんじゃないかと思います。 

 このプレッシャーを糧にいま作っているプロジェクトをまとめたいと思います。もう少し先になると思いますが、次のプロジェクトも期待してください。ありがとうございます。

 

ゲームデザイン部門:『スーパーマリオブラザーズ』シリーズ

【受賞コメント】任天堂 手塚卓志氏

 

 任天堂の手塚です。今日はみなさんからこんな素晴らしい賞をいただいて非常にうれしく思っています。ありがとうございます。

 今日は“絶妙なタイミング調整と、緻密に構築されたレベルデザイン”というかっこいい文句でいただいたんですけども、わたしが『スーパーマリオ』に関わったのは20年以上前です。そのころはもちろんレベルデザインという呼びかたも、ゲームデザインという呼びかたもなくて、ただ“ゲーム作る人”だったんですけども、当時は専用の用紙を作って、いろんなコースを描いていって、「ここのブロックをちょっと右にずらそう」とか、「敵をもう少し手前に置こう」とか、地道な作業をずっと続けてきました。最近はそういう手作業をなるべく簡単に、いろんなツールを使って、環境としてはどんどん変わってきていると思います。

 でもですね、どんなものを作るのかというのは今も昔も変わらないなと、遊ぶ人がここでちょっと怖い思いをするだろうとか、怖い思いをしたあとそのあと気持ち良くなるとか、そんなことをずっと考えながら、地道にこつこつといろんなものを作り続けてます。

 長いことマリオゲームに関わってきましたけれども、新入社員から、それこそ20年以上ゲームデザイン、レベルデザインと呼ばれているものをしている、たくさんのひとたちを代表して賞をいただいたと思っています。みなさんどうも、ありがとうございました。

 

サウンド部門:『ゼルダの伝説』シリーズ

【受賞コメント】任天堂 近藤浩志氏

 

 任天堂の近藤です。このような、栄えある第1回サウンド優秀賞をいただき、大変光栄に思います。とくにゲームの開発者が選んでいただいたということで、とても価値あるものとして、大変嬉しく思います。

 選定理由として“サウンドの総合的なクオリティーを挙げていただいたということで、『ゼルダ』にいままで関わったみんなのこれからの励みになると思います。ありがとうございました。

 『ゼルダ』の世界観をひとことで言うのはなかなか難しいんですが、あえてひと言で言いますと、なんでもありの世界だと思うんですけど、その次々と現れる新しい世界を盛りあげていこうと、サウンドを制作しておりました。 それと『ゼルダ』の攻撃アイテムとか謎解きアイテムとして音とかがふさわしくないんじゃないかということで、いままで楽器とか、音の遊びを入れて制作してきました。

 とくにサウンドで気を付けてきたことは、リアルタイムにサウンドが変化する、“インタラクティブなサウンド内容”にするということ。たとえば『時のオカリナ』では、フィールドの音楽が何度聴いても飽きのこないように、8小節のパターンをランダムに組み合わせて鳴るようにしたり、『(風の)タクト』では、攻撃がヒットしたときに、流れているBGMのコードに合わせてオーケストラヒットが鳴って、そこで爽快感を味わってもらう、そういうようなサウンドのインタラクティブなアイデアを重要視して制作してきました。

 これからもサウンドの技術やアイデアを、ゲームのおもしろさに結びつけてもりあげていくよう、頑張っていこうと思います。ありがとうございました。

 

CEDEC AWARD特別賞:宮本茂氏

【受賞コメント】

 えー、明日一時間ばかり喋るんで、今日はスピーチはないって思ってた。(笑) ありがとうございます。一番年寄りになってしまいそうになってるんですが、まだまだこれからがんばっていこうと思っています。皆さんとまたどこかで仕事できる機会があればと思っています。本当にね、ここまでちょっとずつ世の中で認められるようにのぼってきたと思っているんですけども、ますますこれが栄えていくように、ゲーム業界に入りたいという子供が増えるように、みなさんでがんばっていきましょう。ありがとうございます。

 

※“CEDEC 2008”の公式サイトはこちら

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