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岡本吉起氏が考える“いま必要とされるゲームプロデューサー”とは?
【CEDEC 2008】

2008/9/10

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●プロデューサーという仕事について岡本氏が語る

 

 国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス“CEDEC 2008”。開催2日目の2008年9月10日、ゲームリパブリック代表取締役社長の岡本吉起氏が、“いま必要とされるゲームプロデューサー”と題したセッションを行った。「こういうお題でセッションを頼まれましたが、そんな大きなことを語るのは無理! 昨日、ウィキペディアで“プロデューサー”について調べたので、それでも見てください(笑)」と、まずは岡本氏らしい挨拶で場を和ませた。そして、自身の経験をもとに、プロデューサーとはどういう立場の人間なのかを語り始めた。

 

▲ゲームリパブリック代表取締役社長、岡本吉起氏。「ゲームリパブリックを略すとき、“ゲーパブ”はやめてね(笑)」など、まじめな話の中に時折笑いの要素を盛り込む岡本氏のセッションを受講者も心から楽しんでいた。

 

 ゲーム業界におけるプロデューサーは、人選、予算、クオリティーコントロール、人材育成、プロモーションなどの役割があり、「スタッフは最初に決まっていることが多いし、予算もどこからどれだけのお金が出るのかだいたい決まっている」(岡本)と、人選、予算についてはある程度枠にはまっているとのこと。大きな会社になると、“この作品は何人のスタッフで何ヵ月で作る”という計算もされているらしい。予算に関しては、「言うまでもありませんが、赤字を出すプロデューサーはいいプロデューサーとは言えません」と、コストオーバーやスケジュールの遅れによる資金の余計な出費を抑え、予定内のスケジュール、コストで作品を完成させるのがプロデューサーであることの大前提だと説明した。

 

 作品を良質なものに導くクオリティーコントロールも重要とし、「ディレクターから“あと何人欲しい。あと1週間欲しい”という要望を聞き、可能な部分は応じ、無理な場合は削れる部分を削ってそこから補うといったバランスの調整をしなければなりません」(岡本)。

 

 「この人はこのくらいまで仕事ができるようになる、と成長をあてにしている」と、人選で採ったスタッフは作業させながら育成することも必要だという岡本氏。いかに育成するかについては、「人間の感情と仕事量が鍵。本来1の仕事しかできない人を、倍(岡本氏曰く2.56)の仕事ができるようにさせる」(岡本)。

 

 岡本氏の説明によれば、プロデューサーからただ仕事を振っただけでは1の仕事しかできないが、どうしてこの仕事を頼んだのかを相手が納得するまで理由説明した場合、自発的にがんばって2.56の仕事をこなすようになるそうだ。この自発的に仕事をがんばるように導くのもプロデューサーの役目だと岡本氏は語る。「キミはこの作品を作るために生まれてきたんだよ、と言えば4倍くらい仕事するかもしれませんが、それじゃ洗脳なので(笑)」(岡本)。

 

 チームの不平不満を解消するガス抜きも、プロデューサーの務め。あるスタッフがディレクターからきついことを言われ続ければ、当然不満は溜まる。そこでプロデューサーは「最近彼に無理なことを言っているので」とディレクターからチームの状況を聞き、そのスタッフを食事に誘ってディレクターへの不満を聞いてあげたりして、ガスを抜くのだそうだ。「ディレクターに不満を持つスタッフは、ディレクター本人に文句を言うより、プロデューサーに愚痴ったほうがいい。そこでプロデューサーが“そうか、じゃあ今度ディレクターに言っておくよ”と言ってあげるだけで解消されたりします。ただ、そのスタッフに無理な注文をするディレクターは、プロデューサーの指示で動いているからなんですが(笑)」(岡本)。

 

 ここまで紹介したいくつかの要素をすべてこなすのがプロデューサーの仕事だが、岡本氏は「どれか得意な要素に特化していれば、ほかの部分が苦手でもプロデューサーとしてはアリ」だという。加えて「スタッフから何をやっているのか仕事内容が見えてこないプロデューサーはいいプロデューサー。何をしているかわからないけど、スタッフが通常業務をこなせるのはプロデューサーがいるからなんです」(岡本)。

 

▲プロデューサーたるもの、“欠品気味の法則”を頭に入れておくべきとは岡本氏。手に入りにくい、在庫がないゲームは欲しくなってしまう、という心理を突いたプロモーションの手法。「どんなゲームでも欠品にすればいいというものじゃないですけど。まったく無名のゲームがいきなり欠品になっても意味ないですからね(笑)」(岡本)。

 

 岡本氏は、かつて在籍していたカプコンが、`96年からプロデューサー制を導入したことにも触れ、ゲームタイトルとそれを手がけるプロデューサーを同時に売り出し、「『●●●』を作った●●プロデューサーの最新作という流れを構築した時期」と振り返った。そのとき岡本氏は、各プロデューサーの服装や髪型に個性を持たせたり、「たとえばスタイリッシュなゲームを作っているプロデューサー自身の外見もスタイリッシュにさせて、ゲームとプロデューサーをリンクさせる」など、プロデューサーをプロデュースしたという。

 

▲プロデューサーをプロデュースしてきた岡本氏。スクリーンで某プロデューサーのビフォー、アフターの写真を紹介したが、「彼はいまも昔も変わらない。そのスタイルが個性です(笑)」と岡本氏。

 

 最後に、「5年まえは、ちょうどいまの現行機の開発が立ち上がっていた時期だったので、そのタイミングを狙った」と、2003年にゲームリパブリックを設立した理由についても話した。岡本氏曰く、「新ハードのロンチタイトルって、いきなり大作ソフトが出ることがない。でもハードメーカーとしてはロンチタイトルを充実させたいから、新規の開発会社でもオファーが来るチャンスがあるし、新ハードなら大手メーカーも新規の会社でもスタートラインはいっしょ。会社の売り込みがしやすいタイミングでした」(岡本)。

 

▲ゲームリパブリックが開発を手がける、バンダイナムコゲームスのニンテンドーDS用ソフト『ドラゴンボールDS』も紹介された。「僕が『ドラゴンボール』好きだったので作ることにしたんです(笑)」(岡本)。

 

※CEDEC 2008公式サイトはこちら

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