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世界が認めるグラフィックはいかにして生まれたのか? 実演も交えながら『メタルギア ソリッド 4』のデザイン手法を紹介
【CEDEC 2008】

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●効率化が生んだ美麗なデザインの数々


 2008年9月9日から11日まで、都内にある昭和女子大学で開催されているCESA デベロッパーズ カンファレンス 2008(CEDEC 2008)。本イベントは社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンスとなっている。

 2008年6月12日の発売以来、日本国内におけるプレイステーション3用ソフトの歴代累計販売本数記録を更新し続けている、KONAMIのプレイステーション3用ソフト『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(以下、『メタルギア ソリッド 4』)。開催初日に行われた“「METAL GEAR SOLID 4」のデザインワークフロー”と題したセッションでは、同作を語るうえで外すことができない美麗なグラフィックが、いかにして生まれたのかが明かされた。


▲講師と務めたのは小島プロダクション デザインユニットの面々。左から根岸氏、佐々木氏、木村氏、小林氏。


 小島プロダクション デザインユニット マネージャの根岸豊氏によれば、『メタルギア ソリッド 4』のデザインワークは“キャラ”、“ステージ”、“メカ”、“モーション”、“2D”という6つの班に分かれて制作が進められた。ふだんからゲームに触れている人ならば、班の名称からある程度の作業内容は想像できそうだが、ひとつだけ“メカ”という名称の班があるあたりが同作ならでは。ご存知のとおり、『メタルギア ソリッド』シリーズには数多くのメカが登場する。最新作では、銃器だけで70種類以上、そのほかに戦車などの車両も含めると全部で100種類以上ものメカがゲーム中に登場するため、専門の班を作らなければとても作業が追いつかないというわけだ。ちなみに『メタルギア ソリッド 4』のデザインワークスに関わったスタッフは契約、派遣なども含めるとKONAMI社員だけで約100名。それに外部スタッフなどが加わる、大規模体制で進められた。そのうち、メカ班に割かれた人数は約10名。メカのためだけに全体の約10分の1を当てるあたり、『メタルギア ソリッド 4』がいかに細部にこだわって作られたかうかがい知ることができる。


 根岸氏に続いては、小島プロダクション デザインユニット リードアーティストの佐々木英樹氏からキャラクターに関するデザインワークスが説明された。『メタルギア ソリッド 4』の制作が始まったのは、2005年春のこと。当時はハードがプレイステーション2からプレイステーション3へ変わり、すべてが未体験だったためまずは実験をするところから開発がスタート。時期が経つにつれ、ある程度の制作フローは確立されてきたが、やはり思いどおりに進むことはまずなかったと語る佐々木氏。「プレイステーション2の時代に比べてやるべきことが増え、ひとつミスがみつかるたびに、かなりの段階の作業を遡る手間がありました。そのため、作業はかなり慎重になっていました」(佐々木)。こういったトライ&エラーのくり返しから、本物の人間と見まがうほどにリアルなキャラクターたちが生まれてきたわけだ。

 そのほかに、佐々木氏の話で興味深かったのはキャラクターの顔にある“皺”について。「(『メタルギア ソリッド 4』は)オジサンがたくさん出てくるので、皺専用のシェーダー(陰影処理などを行う機能)を用意しました」(同)。確かに『メタルギア ソリッド 4』は主人公のオールド・スネーク(ソリッド・スネーク)を始め、リボルバー・オセロット、ロイ・キャンベルなど主要キャラクターにオジサンが少なくないが……それ専用の機能を作ってしまうとはさすが。スクリーン上ではこの皺シェーダーを使って、オールド・スネークの皺を調整する画面も紹介された。


▲皺のためだけに機能を作ってしまう小島プロダクションのこだわり。このこだわりが、世界に認められる作品を作り上げるのだ。


 キャラクターだけでなく、背景デザインの細かさに関しても『メタルギア・ソリッド 4』は群を抜いている。小島プロダクション デザインユニット リードアーティストの木村峰士氏によれば、背景ができるまでにはまず“コンセプトマップ”と呼ばれるザックリとした構成のマップを作り、その時点で実際にキャラを投入して“ゲーム評価”を行うのだという。これを通過して初めて、背景の仮モデリングが行われ、再度のゲーム評価を経て、作りこみに入るのだ。ちなみに1エリアに使用されるポリゴン数は25〜35万。2005年の東京ゲームショウで初披露されたトレーラーは「とりあえず次世代機なので作れるだけ作ってみよう」(木村)ということで、1エリアあたり約80万のポリゴンで構成されていたそうだ。しかし、ゲーム全体の尺から見た場合にこれではさすがに容量が大きすぎるということで、その後は質を落とさずにデータ量を削減する苦労にも見舞われたとのことだ。


▲2度にわたるゲーム評価を通過して初めて、マップの作りこみがスタート。作りこみ部分に関しても、さまざまな設定が用意されている。


▲“What did we want?(私たちは何がしたかった?)”を掲げ、質を下げずにデータ量の削減に取り組んだ。


 セッション最後のテーマはゲーム中のデモシーン制作について。解説は小島プロダクション デザインユニット リードアーティストの小林政哉氏が担当した。『メタルギア ソリッド 4』では、すべてのデモシーンが“リアルタイムポリゴンデモ”となっている。この手法の場合、ポリゴン表示機能だけで映像を作るため、キャラクターの服装やギミックの変更、ゲーム本編とのグラフィックの均一化、モデル自体の入れ替えなどが容易に行えるという利点がある。一方で、すべてを演算処理で表現するためバグが起きやすい、ポリゴン表示数の限界の兼ね合いから作業に時間がかかるといった問題点もあるそうだ。『メタルギア ソリッド 4』に収録されているデモシーンの総尺は約8時間。必然的に作業の効率化が求められたという。

▲こちらがデモシーンができあがるまでのワークフロー。


 ここで小林氏は、デモ制作効率を上げるために開発された“カメラセレクター”というツールを紹介。これはマップ内に自由にカメラを設置して、デモシーンの制作が行えるというもの。カメラごとのズーム、ズームアウトといった動きも直感的に行うことができ、デザイナーの感性に近い映像が作れるのだ。また、よりリアルな映像を作り上げるための機能として“手持ちカメラシステム”というものがこのツールには搭載されている。これはその名のとおり、手持ちカメラならではの手ブレを再現するもので、手ブレ具合もカメラの移動スピードなどに合わせて自動で調整してくれる優れもの。小林氏はこのツールによる実演も披露。解説を交えながら15分程度で約10秒のデモシーンを作り上げ、同ツールの効果を来場者に印象づけた。

▲カメラ位置は自由調整できるだけでなく、同時に複数個設置することも可能。


※『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』の公式サイトはこちら
 

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